あの日の指輪を待つきみへ

お気に入り度 ★☆☆☆☆

こんな話

夫の葬式で淡々とした態度をとり、娘マリーに「私の人生は21歳で終わった」と言うエセル・アン。マリーは両親の親友であるジャックに昔のことを聞こうとするが、彼は何も話してくれない。そんなとき突然、アイルランドから「エセルとテディ」の名前が刻まれた指輪が見つかったという電話があった。

思ったこと

始まってから終わるまで、いろいろな点で癇に障ってしょうがない映画だった。
全っ然感情移入できないしイライラするので途中で出ちゃおうかなとも思ったけど、真ん中あたりの座席に座っており右にも左にも人がいたので断念。
終わるまでひたすら忍耐・・・という映画も久しぶりだな〜。
以下、どこがイヤだったか文句ばかり書き連ねます。

●舞台が切り替わりすぎ。
1991年のアメリカ・ブラナガン、1940年代のブラナガン、1991年の北アイルランド・ベルファスト、1940年代のベルファストの場面が次々と切り替わる。
そして説明調のシーンやセリフが続く。
わずらわしい・・・同じ年代の中でも出来事が前後したりするし。

●主人公のエセル・アンに感情移入できない。
シャーリー・マクレーン演じる老エセル・アンはひたすらイヤな女だった。
長年連れ添った夫の葬式で、悲しめないのはまあ仕方ないにしても、「なんで私が悲しまなきゃならないのよ」とばかりに不満そうな態度を見せつけてるのが感じ悪い。
ジャックにとっては生涯の親友を亡くした、娘にとっては最愛の父を亡くした、ということが思いやれない。
さらに、「私の人生は21歳で終わった」と娘の存在自体を否定するようなことを言い、私の家なんだから出ていけと怒鳴る。
マリーはこんな母親放っといてさっさと出ていったほうがいいと思う。
いくら悲しい過去を抱えているのだとしても、その後の50年、人生に対して恨みだけを持って過ごしてきた人のことなんて好きになれないし、そんな人の話も聞きたくない。
若いときのエセル・アン(ミーシャ・バートン)はかわいかったけどねー。

●エセル・アンばかりがモテますなー。
「もし僕が死んだらエセル・アンを頼む」って、どっちも同じように戦場に行くのに?
裏を返せば「もし僕が死ななかったらエセル・アンは僕だけのもの」なんだよね?
想いを抑えてきた親友に対して無神経ではないですか?
そういうのが男の友情なの?
エセル・アンと男3人のやりとりばかりで話が進み、なんか世界が狭く感じる。
それから、仲間の写真やハガキを飾っている壁に、「JAPS ATTACK PEARL HARBOR」という見出しの新聞記事をでかでかと貼っておく感覚が理解できない。

●老ジャック(クリストファー・プラマー)の演技が大げさ。
うんうんわかったから、お爺ちゃん・・・と言いたくなった。

●ジミー・ライリーがうざい。
にこにこといかにも善良そうな顔をして空気を読まずに引っかき回すタイプ。

●IRAを出す必要はあったのか。
ベルファストの話はどれもこれも不自然過ぎ。
ストーリーに爆弾を使いたかったからIRAを出したんだろうね。
歴史背景の説明が少なくて、IRAは目的不明の無差別テロリストというだけの扱いだ。

俳優陣は豪華なのにな・・・。
この映画で泣いた人って本当にいるのかな?
と思って、「あの日の指輪を待つきみへ」&「泣けた」でGoogle検索してみたら・・・けっこういるな・・・私ってやっぱ文句が多い人間なのかも。

あの日の指輪を待つきみへ
Closing the Ring

(2007年 イギリス/カナダ/アメリカ)
監督/リチャード・アッテンボロー
出演/シャーリー・マクレーン(エセル・アン)
   クリストファー・プラマー(ジャック)
   ネーヴ・キャンベル(マリー)
   ミーシャ・バートン(若き日のエセル・アン)
   グレゴリー・スミス(若き日のジャック)
   ステファン・アメル(テディ・ゴードン)
   デヴィッド・アルペイ(チャック)
   ピート・ポスルスウェイト(マイケル・クィンラン)
   ジョン・トラヴァース(若き日のマイケル・クィンラン)
   マーティン・マッキャン(ジミー・ライリー)
   ブレンダ・フリッカー(エレノア・ライリー)
公式サイト

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華麗なる恋の舞台で

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

1938年のロンドン。人気、実力ともにナンバーワンの舞台女優であるジュリアは、40代半ばにして人生に倦怠感を感じていた。しかし、ジュリアの熱烈なファンだという若者トムと恋に落ちて、毎日が彩りを取り戻す。恋も仕事も家庭生活も順風満帆かに思えたが、トムは若い女優エイヴィスに心変わりし、ジュリアは心乱れる。

思ったこと

映画が始まってからしばらく、アネット・ベニング演じるジュリアのしわっぽい顔が気になってしょうがなかった。
遠くから見たり、ベールをかぶっていたりすると非常に美人なんだけど、アップになるとビミョー。
45歳にしては老けて見えると思う。
ヨーロッパの女は何歳になっても恋愛現役よ!って話かなぁ〜・・・と最初は思ってた。
でも、息子ほどにも若い恋人と戯れて、媚びを含んだ嬌声をあげている姿、決してステキとは言えない・・・。
そして、心変わりしたトムにすがる様子。
“恋愛に年齢は関係ない”という考えでいたいけど、やっぱり年をとるってイヤかな〜、自分が見えなくなっちゃうとみっともないな〜と思わせられる・・・などと考えていたら、新作舞台に上がったジュリアのしたたかな行動!
なんつー爽快感!
イエー!!
ジュリアはいくつになってもジュリア。
強く賢く美しく年をとっていくわよー!
前半がローだった分、加速度的な気分の高揚がたまりません。

女優としての才能あふれるジュリアは、自分で意識している以上に、実生活の言動にお芝居が溶け込んでしまっている。
でも、そういうとこ、多かれ少なかれ誰でもあるよね。
恋愛関係だけじゃなく、仕事上だって、家族間だって、適度な茶番が潤滑油。
離れていこうとする恋人をいつものセリフと最高の所作で引き戻した後の、ジュリアの言葉がふるってる。
「男って単純、と心の底で軽蔑する気持ちに、気付かないわけにはいかないわ」
あはー。
男性が聞いたら「コエー」って感じでしょうが・・・。
それまで本当に恋にのめり込んでいるように見えたジュリアだが、やっぱり年齢相応の冷静な目と賢さも持っていたのだな。

こんなに後味がさわやかなのは、ジュリアが多くの友情関係を手にしているからだと思う。
才能を見出し導いてくれた演出家ジミー・ラングトンは、いつまでもジュリアの心に住んで助言を与え励ましてくれる。
チャールズと交わす男女間の友情は、ジュリアの人間的魅力の裏付けを感じさせる。
付き人のエヴィは、ジュリアのことを誰よりも見て理解し案じていて、ちょっと辛口な意見を言ったりするところもイイ。
賢い息子のロジャーは、母に苦言を呈しながらも、互いに理解しようという歩み寄りがある。
夫のマイケルとの関係から情熱は消え去ってるけど、深い信頼と愛情で結ばれた同志として、かけがえのない存在。
なんていうか、人生で一番大切なものって、やっぱ友情だよな〜との思いを新たにしました。
広い意味の友情・・・恋愛や家族愛にも含まれている・・・相手の人間性自体を慈しみ愛する、という気持ちのことです。

華麗なる恋の舞台で
Being Julia

(2004年 カナダ/アメリカ/ハンガリー/イギリス)
監督/イシュトヴァン・サボー
原作/サマセット・モーム
出演/アネット・ベニング(ジュリア・ランバート)
   ジェレミー・アイアンズ(マイケル・ゴセリン)
   ショーン・エヴァンス(トム・フェネル)
   ブルース・グリーンウッド(チャールズ)
   ミリアム・マーゴリーズ(ドリー)
   ジュリエット・スティーヴンソン(エヴィ)
   トム・スターリッジ(ロジャー)
   ルーシー・パンチ(エイヴィス・クライトン)
   マイケル・ガンボン(ジミー・ラングトン)
公式サイト

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ローズ・イン・タイドランド

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

10歳のジェライザ=ローズは、ドラッグ中毒の両親のために注射器を準備する毎日。ある日、母親がオーバードーズで死亡。落ちぶれたロッカーである父とともに、かつて祖母が住んでいた荒野の一軒家に引っ越してきた。父はドラッグの世界へ旅に出たまま戻ってこない。親友である人形たちとともに幻想の世界にたゆたうジェライザ=ローズは、近所に住む奇妙な姉弟と知り合う。

思ったこと

Rose01少女が不思議の世界に迷い込むファンタジー映画だとばかり勝手に思い込んでいたので、不思議シーンが思いのほか少なかったことにちょっとがっかりしてしまった。
まともな両親や環境を持たない少女ジェライザ=ローズが、幻想の世界に生きている・・・というお話。
私もひとり遊び上手な人間なので、わりと共鳴はするんだけど。
こういう子供が何にも邪魔されずにこのまま育っていったら、どんな大人になっちゃうんだろう・・・?

出てくる大人たちも変人ばかり。
魔女みたいなデルに、子供のまま時が止まってしまったディケンズ。
ジェライザ=ローズの父ノアの行く末には唖然。
これもひとつの愛の形・・・?

ジョデル・フェルランドちゃんの力量にはいたく感心した。
最初から最後までほとんど出ずっぱりで、ひとりでジェライザ=ローズの世界を表現しなければならない、しかもストーリーで引っ張っていくような話じゃないし、よほど力がないと目も当てられない感じになりかねなかったと思う。
非常に愛くるしい外見だが、それを上回るほど、すごみのある才能を感じさせる。
もう本当にジェライザ=ローズにしか見えないんだもの。
天衣無縫で汚れのない子供のイメージそのものなんだけど、ディケンズとのからみではミニ・女って感じのコケティッシュさ。
4体のバービー人形(の頭)たちの声も、全部ひとりであてているとか。
カナダでの子役キャリアは長いらしいが、今後いっそうの活躍が楽しみです。

ローズ・イン・タイドランド
Tideland

(2005年 イギリス/カナダ)
監督/テリー・ギリアム
出演/ジョデル・フェルランド(ジェライザ=ローズ)
   ジェフ・ブリッジス(父ノア)
   ジェニファー・ティリー(母)
   ジャネット・マクティア(デル)
   ブレンダン・フレッチャー(ディケンズ)
公式サイト

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リトル・ランナー

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

カトリックの私立校に通う14歳のラルフは、校則破りの常習犯で、問題児扱いされている。父は戦死、優しい母は病気で入院中。ある日、母が昏睡状態に陥ってしまい、「奇跡でも起きない限り目覚めない」と宣告される。ラルフは、「ボストンマラソンで優勝する」という奇跡を実現させれば母も目覚めると信じ、猛練習を始める。

思ったこと

Runner01_2ちょっととぼけた雰囲気って、カナダ映画の持ち味なのかな?
ラルフは、なんていうか、つかみどころのない思考回路の少年。
不良扱いされてるけど、そんなワルイ感じでもなくて、好き勝手やってるだけって感じ。
恥ずかしい事件を起こしても特に悪びれず、ひょうひょうとしてるし。
「どーして普通にできないんだ!」と説教する校長に対して、「ぼくって大物ですから」と答えるラルフ。
ほんと、あんた、オーモノって感じよ・・・。

そもそも「奇跡を起こそう」などと考え始めたのは、サンタクロース姿の神の啓示があったため。
このサンタは何を意味しているんだろう。
もしかして死んだお父さんの声なのかな・・・と想像していたのだが、映画内ではっきりと明かされることはなかった。
神の啓示なんて、少年の妄想でしかないとも言えるわけだけど、愚直に信じようとする姿は周りの人々も巻き込み、世界を変える。
奇跡を実際に目の当たりにするときって、こんなふうにうさんくさく感じるものなのかもね。
「何言ってんの、コイツ・・・」と迫害されても信じるのをやめないからこそ、奇跡が起こる。

これは本当の“奇跡”を描いて、“ラルフは聖人になった”という話なのだろうか。
そのあたりが、キリスト教に疎い自分には、はかりかねた。
1953年という時代設定もあるのだと思うけど、皆が“奇跡”について大まじめに語る。
信仰深いガールフレンドのクレアは、将来尼になると言い、「奇跡を起こすには、心の底から信じなきゃダメ」と助言する。
ラルフは最後まで「祈れない」と気にしていたけど、カトリック的な「祈り」ってどういうことなのかもいまひとつ分からない。
キリスト教を前提として見ると、映画のテーマが違って見えてくるのかもしれない。
だって、“神”や“奇跡”を信じているのでなければ、単なる都合のいい夢物語でしかないものね。

雨の中の練習って、なんだか身体に悪そう〜。
マラソンをやる人にとっては普通なの!?
夜の練習で、走っていくうちにどんどん空に上って行ってしまうシーンは、幻想的で良かった。
何かを突き抜けた瞬間だね。
けっこう淡々と観ていたんだけど、ボストンマラソンが始まって、それまでからかったり怒ったりしていた皆が応援し始めると、お約束ながら胸が熱くなります。

「奇跡を追い求めてこそ、人生だ」
ヒバート神父は渋くて素敵だった♡

リトル・ランナー
Saint Ralph

(2004年 カナダ)
監督/マイケル・マッゴーワン
出演/アダム・ブッチャー(ラルフ・ウォーカー)
   キャンベル・スコット(ヒバート神父)
   ゴードン・ビンセント(校長フィッツパトリック神父)
   ジェニファー・ティリー(アリス看護婦)
   ショーナ・マクドナルド(母エマ)
   タマラ・ホープ(クレア)
公式サイト

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大いなる休暇

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

人口わずか125人のサントマリ・ラモデルヌ島は、かつて栄えた漁業が廃れ、住人のほとんどが生活保護に頼る生活。工場誘致を実現させるためには、医者がいなくてはならない! というわけで、都会からやってきた青年医師クリストファーをあの手この手で引き留めようとする。

思ったこと

うっわ〜寂れてる・・・というしかない状態の小さな島。
都会生活に疲れた人が憧れるような、ただのどかであたたかいカントリーライフではないのです。
そういう感じが、なかなかリアル。
島民は楽しくなさそうに生活してる。
若者や美男美女もほとんど出てこない。
(美人郵便局員のエヴは目のサービス的存在? ちょっと浮いているんだよね〜)

それでも島に愛着があるから、なんとかしたい。
網に引っかかった魚(医師クリストファー)を逃すまいと、島民一致でガンバル。
そこまでする!?と言いたくなる“島に恋をさせる”作戦は、確かに笑みを誘う。
無気力だった島の人たち、作戦を遂行しているときは、すごくイキイキしてたもんね。

しかし、どうも、心から応援はできない・・・。
先回りしてあれこれお膳立てされることとか、本当は興味ないくせに無理に話を合わせてくれることとかに対して、私が拒否反応を感じるからでしょうか。
どちらかが自分を装っていると、人間同士の本当のつきあいがいつまでたっても始まらないじゃないか!
医者でありさえすれば、とにかく誰でもいいんだろ!
バカにすんな〜!
なんて、こんなこと言うのって、ヤボなのかな・・・。

おそらく、本当のつきあいは、これから育まれていくのでしょう。
それを予感させる何かを、クリストファーはウソのつきあいの中でも見つけることができたからこそ、留まる決心をしたのでしょう。
島民も反省してたようだしね。
でも、やっぱり、数年後に都会に帰りたくなっていやしないか心配だ。
(そしたらまた別の医者を騙せばいっか)
オープニングとラストの、おとぎ話的な雰囲気は◎。

大いなる休暇
La Grande Seduction

(2003年 カナダ)
監督/ジャン=フランソア・プリオ
出演/レイモン・ブシャール(ジェルマン)
   デイビッド・ブータン(クリストファー)
   ピエール・コラン(イヴォン)
   リュシー・ロリエ(エヴ)
公式サイト

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