キック・アス

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

さえない高校生デイヴはスーパーヒーローに憧れて、通販で手に入れたスーツを着て“キックアス”と名乗り、スーパーヒーロー活動を始める。ヒット・ガール&ビッグ・ダディ親子とともに、フランク・ダミコ率いるマフィアに狙われるが・・・。

思ったこと

お・も・し・ろ・い!
スカッとするわ〜。
暴力表現はかなり過激だけど、なんか明るい。

デイヴはパッとしないオタク高校生で、やはりさえない高校生を体現しているような友達と、3人揃って放課後マンガ喫茶みたいなとこに行ったりするのがいかにもモテなさそう感満点で、そこだけでもちょっと笑える。
いい人材、揃えたね。
安っぽいコスチュームを身につけたデイヴ、鏡の前でポーズを取ったりするのが、「バカだ・・・」という感じでおもしろい。
そしてまあいろいろあって、人前での初ファイトでぼこぼこにされるのだが、そこでなんだかちょっと泣けてしまった・・・。
「暴力を周りで見ているだけの人たち。僕にはそれが許せない!」という純粋な気持ちに心打たれた(笑)。
「フーアーユー?」と問われて「アイム・キックアス!」と答えるのは、さぞや気持ちよかったでしょうね~。

なんといっても強かったのは11才の女の子、ヒット・ガール!
こりゃ・・・萌えますなー。
人気が出るのもいたしかたなかろう・・・主人公はキック・アスなのに、映画ロゴとか宣伝とかでほとんど前面に出てきてるもんね。
普通の格好だといかにも普通っぽい子なのに、紫のコスチュームが映える映える。
チェックのミニスカートはなんだか日本の女子中高生を彷彿。
唇をゆがめるような表情も子供らしくなくていい!
ポップな音楽にのってのアクションシーンが痛快! 空中で銃の装填をしてたよね!? も一回見たい・・・。
インタビューで、アクションの9割は自分でやってると言ってたけど本当かしら・・・と疑ってしまうほどすごい。
しかし容赦なくバッタバッタと敵を殺していくからびっくり。
いいのか〜これ? 子供が真似したらヤバくない〜?(いかにも真似したくなるような感じなんだよ)
でも、小さな子供がたくさんの悪い大人をやっつけるのは爽快だが、もし逆に、大人がたくさんの悪い子供をやっつけてたらきっとイヤな気分になるんだろうな〜。
自分も大人側なんだけどね・・・。

もうひとつ、も一回見たいシーンは、ニコラス・ケイジの「オーマイゴーッシュ! カートに入れなさい」のとこ。
なんかツボった。

敵ボス役のマーク・ストロング、『シャーロック・ホームズ』、『ロビン・フッド』に続いて、端正な悪役顔が印象に残る。

そして、いかにも後に続きそうな終わり方。
続編製作の話は既にあるらしいし〜楽しみ!!

キック・アス
Kick-Ass

(2010年 アメリカ/イギリス)
監督/マシュー・ヴォーン
出演/アーロン・ジョンソン(デイヴ・リゼウスキ)
   ニコラス・ケイジ(デーモン・マクレディ)
   クロエ・グレース・モレッツ(ミンディ・マクレディ)
   マーク・ストロング(フランク・ダミコ)
   クリストファー・ミンツ=プラッセ(クリス・ダミコ)
   リンジー・フォンセカ(ケイティ)
公式サイト

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ウディ・アレンの夢と犯罪

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

父のレストランを手伝いながら投資事業の成功を夢みるイアンと、自動車修理工として働くギャンブル好きのテリーの兄弟は、共同で小型クルーザーを購入する。もっと金が必要になった二人は、金持ちの伯父ハワードに相談を持ちかけたが、ある条件を提示された。

思ったこと

ダメな香りがぷんぷん漂う、でも憎めない性格のグッドルッキングな兄弟・・・この二人がどんどんダメの深みにハマっていくんだろうな〜というのは最初から想像できて、実際にストーリーはそれほど珍しいものではないのだが、脚本と俳優がいいと面白いドラマになる・・・という良い例だと思う。
なんとなく地味な印象の映画だけど(このところ常連のスカーレット・ヨハンソンも出てないし)、ウッディ・アレン、さすがに巧いね!
ロンドン三部作の中では一番好みかも。

ユアン・マクレガー演じる兄イアンは、なけなしの資金をかき集めてカリフォルニアのホテルへの投資を計画し、借り物の高級車で虚勢を張りつつ女優アンジェラとのデートを重ねる。
コリン・ファレル演じる弟テリーは、恋人ケイトと一緒に住むために家を購入し、ポーカー勝負で一攫千金しようとする。
どっちも浅はかまるだしだな〜。
でも、二人の仲の良さ、素敵な将来を夢みている様子はほほえましくもある。
ドツボにはまって焦るイアン、八の字眉で泣きそうなテリー。
平凡に穏やかな人生を歩んでいてもおかしくなかっただろうに、道を一歩それてしまうと、どうしようもなく悲惨な結末もあり得る。
それを見つめる監督の視線はクールだ。

イアンが夢中になる女優役のヘイリー・アトウェルは美人かもしんないけど、あんまり印象に残らなかったなぁ〜。

ウディ・アレンの夢と犯罪
Cassandra's Dream

(2007年 イギリス)
監督・脚本/ウディ・アレン
出演/ユアン・マクレガー(イアン)
   コリン・ファレル(テリー)
   ヘイリー・アトウェル(アンジェラ)
   サリー・ホーキンス(ケイト)
   トム・ウィルキンソン(ハワード)
   フィル・デイヴィス(マーティン・バーンズ)
   ジョン・ベンフィールド(イアンとテリーの父)
   クレア・ヒギンズ(イアンとテリーの母)
公式サイト

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スラムドッグ$ミリオネア

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

インド・ムンバイにあるスラム出身の青年ジャマール・マリクは、人気TV番組「クイズ$ミリオネア」で勝ち進み、史上最高の2000万ルピアの問題に到達した。しかし、スラム育ちの孤児が問題に正解するのは不正を働いたからに違いないと、警察に逮捕されてしまう。厳しい取り調べを受けたジャマールは、スラムの暮らしで正解を知った過程を語っていく。

思ったこと

非常にテンポよく、貧しくつらい境遇ながらも生命力はじける子供たちの様子が活写される。
スラム街での追っかけっこは、音楽の効果も良くて、楽しかった!
厳しすぎる理不尽な尋問、母の死、物乞いとして目をつぶされる少年、売春窟など、重苦しいエピソードも盛り込まれているのだけど、登場人物たちの瞳が淀んでないから、胸ふたがれることなく観ていられる。
鉄道に無賃乗車したり、機転をきかせてタージ・マハルで商売するところなんか、実に小気味いいよ。

でも、わりとご都合主義の純愛物語だった〜。
警官のセリフで「人生に失敗する原因は金と女」というのが出てくるが、結局“金と女”を手に入れたら幸せ〜という話だよね。
ジャマールが問題の答えを知っていった理由を語ると、そのまま生い立ちのストーリーに重なっていく・・・という脚本はおもしろいけど、うまくできすぎだろ〜。
初恋の少女にこだわり続けるのも、美しいのは間違いないけど、なんか視野が狭く思い込みが強い感じでちょっと引くかも・・・。

とはいえ、貧しい暮らしの人々がTVの前に集まってジャマールを応援するところは、その感情のうねりに胸が熱くなった。
最後の問題、答えを教えてあげたくてウズウズ・・・。
子供の頃『アニメ三銃士』観てたからバッチリよ!

ラティカ役の女の子は、どの年代もかわいい子を揃えておるな〜。
特に幼少期の、やせっぽちで目がこぼれ落ちそうに大っきい子!
それから、少女期のサリーとインド舞踊も眼福だ。

エンドロールが始まって・・・唖然。
これがいわゆるボリウッドスタイルってやつ!?
ダンスに挟まれて、ジャマール、サリーム、ラティカ、それぞれの年代を演じた俳優たちが、折り重なるように紹介されるとこなんかはかっこいい出来で、飽きさせない。
しかし余韻も何もないよね・・・ある意味、それが狙いなんだろーけど。

ところで、私は普段ほとんどまったくTVを見ないのだが(みのもんたが司会をしているという「クイズ$ミリオネア」も知らない〜)、アカデミー賞の発表の日はたまたま旅行中で、『おくりびと』受賞のニュースをビジネスホテルのTVで見てた。
そんで本作の、作品賞ほか8部門受賞というのも知った。
内容の紹介があったのだが、あらすじとハイライトシーンをつらつら見せすぎで、なんだかすっかり分かったような気にさせる説明過剰さ。
興醒めだから、あまりよく見ないでおいたけど。
その他の主演男優・女優賞、助演男優・女優賞などが知りたくて、ガマンしつつ待っていたのに・・・とうとう『おくりびと』と『スラムドッグ$ミリオネア』の話題だけで終わった!
おかしくない!? ニュース番組でしょ!?
良い内容のTV番組もきっと存在するとは思うけど、私がたまたま見かけるときはいつもつまんないので、やっぱり今後も見なくていいや〜という結論になるのだった。

スラムドッグ$ミリオネア
Slumdog Millionaire

(2008年 イギリス)
監督/ダニー・ボイル
原作/ヴィカス・スワラップ
脚本/サイモン・ビューフォイ
出演/デヴ・パテル(ジャマール・マリク)
   マドゥル・ミッタル(サリーム・マリク)
   フリーダ・ピント(ラティカ)
   アニル・カプール(プレーム)
   イルファン・カーン(警部)
   アーユッシュ・マヘーシュ・ケーデカール(幼少期のジャマール)
   アズルディン・モハメド・イスマイル(幼少期のサリーム)
   ルビーナ・アリ(幼少期のラティカ)
公式サイト

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あの日の指輪を待つきみへ

お気に入り度 ★☆☆☆☆

こんな話

夫の葬式で淡々とした態度をとり、娘マリーに「私の人生は21歳で終わった」と言うエセル・アン。マリーは両親の親友であるジャックに昔のことを聞こうとするが、彼は何も話してくれない。そんなとき突然、アイルランドから「エセルとテディ」の名前が刻まれた指輪が見つかったという電話があった。

思ったこと

始まってから終わるまで、いろいろな点で癇に障ってしょうがない映画だった。
全っ然感情移入できないしイライラするので途中で出ちゃおうかなとも思ったけど、真ん中あたりの座席に座っており右にも左にも人がいたので断念。
終わるまでひたすら忍耐・・・という映画も久しぶりだな〜。
以下、どこがイヤだったか文句ばかり書き連ねます。

●舞台が切り替わりすぎ。
1991年のアメリカ・ブラナガン、1940年代のブラナガン、1991年の北アイルランド・ベルファスト、1940年代のベルファストの場面が次々と切り替わる。
そして説明調のシーンやセリフが続く。
わずらわしい・・・同じ年代の中でも出来事が前後したりするし。

●主人公のエセル・アンに感情移入できない。
シャーリー・マクレーン演じる老エセル・アンはひたすらイヤな女だった。
長年連れ添った夫の葬式で、悲しめないのはまあ仕方ないにしても、「なんで私が悲しまなきゃならないのよ」とばかりに不満そうな態度を見せつけてるのが感じ悪い。
ジャックにとっては生涯の親友を亡くした、娘にとっては最愛の父を亡くした、ということが思いやれない。
さらに、「私の人生は21歳で終わった」と娘の存在自体を否定するようなことを言い、私の家なんだから出ていけと怒鳴る。
マリーはこんな母親放っといてさっさと出ていったほうがいいと思う。
いくら悲しい過去を抱えているのだとしても、その後の50年、人生に対して恨みだけを持って過ごしてきた人のことなんて好きになれないし、そんな人の話も聞きたくない。
若いときのエセル・アン(ミーシャ・バートン)はかわいかったけどねー。

●エセル・アンばかりがモテますなー。
「もし僕が死んだらエセル・アンを頼む」って、どっちも同じように戦場に行くのに?
裏を返せば「もし僕が死ななかったらエセル・アンは僕だけのもの」なんだよね?
想いを抑えてきた親友に対して無神経ではないですか?
そういうのが男の友情なの?
エセル・アンと男3人のやりとりばかりで話が進み、なんか世界が狭く感じる。
それから、仲間の写真やハガキを飾っている壁に、「JAPS ATTACK PEARL HARBOR」という見出しの新聞記事をでかでかと貼っておく感覚が理解できない。

●老ジャック(クリストファー・プラマー)の演技が大げさ。
うんうんわかったから、お爺ちゃん・・・と言いたくなった。

●ジミー・ライリーがうざい。
にこにこといかにも善良そうな顔をして空気を読まずに引っかき回すタイプ。

●IRAを出す必要はあったのか。
ベルファストの話はどれもこれも不自然過ぎ。
ストーリーに爆弾を使いたかったからIRAを出したんだろうね。
歴史背景の説明が少なくて、IRAは目的不明の無差別テロリストというだけの扱いだ。

俳優陣は豪華なのにな・・・。
この映画で泣いた人って本当にいるのかな?
と思って、「あの日の指輪を待つきみへ」&「泣けた」でGoogle検索してみたら・・・けっこういるな・・・私ってやっぱ文句が多い人間なのかも。

あの日の指輪を待つきみへ
Closing the Ring

(2007年 イギリス/カナダ/アメリカ)
監督/リチャード・アッテンボロー
出演/シャーリー・マクレーン(エセル・アン)
   クリストファー・プラマー(ジャック)
   ネーヴ・キャンベル(マリー)
   ミーシャ・バートン(若き日のエセル・アン)
   グレゴリー・スミス(若き日のジャック)
   ステファン・アメル(テディ・ゴードン)
   デヴィッド・アルペイ(チャック)
   ピート・ポスルスウェイト(マイケル・クィンラン)
   ジョン・トラヴァース(若き日のマイケル・クィンラン)
   マーティン・マッキャン(ジミー・ライリー)
   ブレンダ・フリッカー(エレノア・ライリー)
公式サイト

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ペネロピ

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

名家ウィルハーン家の一人娘ペネロピは、先祖にかけられた呪いによって、ブタの耳と鼻をもって生まれた。呪いを解く方法は、“仲間”の誰かが娘に永遠の愛を誓うこと。両親はペネロピを閉じ込めて世間から隠し、良家の子息とお見合いをさせるが、ペネロピの顔を見た者はすべて逃げ出してしまう。“豚人間”を世間に信じさせたいエドワードと新聞記者レモンは、落ちぶれ貴族マックスを金で雇ってペネロピに近付かせスクープを狙う。

思ったこと

まるで開いた絵本から立ち上がってきたような世界。
ヴィヴィッドだけど落ち着いた印象の色合い。
ウィルハーン家の重厚な屋敷もおもちゃ箱をひっくり返したようなペネロピの部屋も見ているだけで楽しいし、ロンドンの街並みは幻想世界と地続きになっている。
カメラワークも凝っていて、軽やかにおとぎの世界に連れていってくれる。

クリスティーナ・リッチは異形感あるルックスというか、キッチュな感じがするというか、もともとファンタジー世界の住人のような雰囲気があったから、この世界にはまりすぎるほどばっちりはまってる。
まるで丁寧に作られて息を吹き込まれたドールのようなかわいらしさ・・・お肌すべすべだし、大きな目でくるくると変わる表情から目が話せない。
本当にまあ痩せちゃって、『バッファロー'66』『スリーピー・ホロウ』のときのむっちり感がウソみたいだなー(あの肉感もマニアックな良さがあったのに・・・)。
なんかこの人ってちょっと成長が遅い感じ?
撮影時27歳くらいのはずだけど、20歳前後のかわいさに見える。
ブタの鼻はまあ最初はびっくりするけど、見慣れたらこれはこれで似合っててラブリーでくせになりそうな感じだ。
普通の鼻なんかぁ〜インパクトに欠けるっていうかぁ〜。

落ちぶれて借金まみれの貴族だというマックスは、そのしょぼさ、クタビレ感、こういうジャンルもなかなかそそりますな〜。
どっかで見た慕わしい顔だ・・・と思ったら、ナルニア国のタムナスさんか!

女の子だったら誰でも(いや、人間だったら誰でも、か)自分のどこかにコンプレックスを抱いて悩む気持ちに覚えがあるだろう。
ブタの顔に生まれてしまった諦念を抱えつつ、でももしかしたら運命の恋人が現れたかも・・・と期待が生まれ、やはり傷つくことを怖れてしまうペネロピの心の揺れ動きに同調して、泣きたくなってしまう。
でも、家の中でじっと待ってないで、未来は自分で外へ探しに行くんだ!

本当の私の価値を見つけて救ってくれるのは王子様じゃない、というのはいかにも現代的。
しかし、だったら、魔法は解けなくたっていいんじゃ〜ん?(ケチをつけたいわけじゃないけど)
そのへん『美女と野獣』を観たとき感じたのと同じ消化不良感が残る。
逆に、気に入ったときにそれがなくなるという嫌がらせの呪いだったりして!?

ペネロピ
Penelope

(2006年 イギリス)
監督/マーク・パランスキー
出演/クリスティーナ・リッチ(ペネロピ)
   ジェームズ・マカヴォイ(マックス)
   キャサリン・オハラ(ジェシカ・ウィルハーン)
   リチャード・E・グラント(フランクリン・ウィルハート)
   ピーター・ディンクレイジ(レモン)
   サイモン・ウッズ(エドワード・ヴァンダーマン・Jr.)
   リース・ウィザースプーン(アニー)
公式サイト

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アース

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

およそ50億年前、小惑星が地球にぶつかったために地軸が23.5度傾き、地球上には四季の変化ができた。氷に閉ざされた北極の冬から、乾期のアフリカ、熱帯から南極の海まで、大自然と多様な野生動物たちの姿を最新の撮影技術でとらえたドキュメンタリー。

思ったこと

驚愕の映像美!
ダイナミックに、そして精細に、地球の大自然が写し取られていて、ポカーンと口を開けて観ているうち、あっという間に時間が過ぎていった。
もっとずっと観ていたかった〜。
いったいどのように撮影されたのか想像を絶する。
空中から、海中から、まるでカメラや撮影者が透明であるかのように野生動物がすぐ間近に。
季節が移り変わるにつれ、桜や広大な森がさーっと色づいていく様なんてアニメーションかと疑ったくらい。
画面がぶれない安定感を保ったまま、コマ落としで時の流れをとらえながら、アングルが変わっていくなんて、まるで神の視点のよう。

北極の長い冬が明けるところから始まり、雪の中の穴からホッキョクグマの母子が出てくる。
仔グマのかわいらしさに悶絶・・・!
ああー子供ってどうしてこんなにかわいいんだろう・・・どんな生物でも小さいときは愛らしいのか・・・と一瞬考えたけど、虫の子供はまったくもってかわいくないな。
確か子供を無条件にかわいく感じる要素として、「丸っこい」「目が大きい」「頭が大きい」等々があったかと思うけど、虫の子供はこれらに当てはまっていても、ぜーんぜんかわいく思えないな(映画に虫はほとんど出てこないが、何故かそんなこと考えつつ観てた・・・)。

オシドリの雛たちの初飛行。
先に外に出た親が励ますなか、高い木の上にある巣から、雛たちが不器用な仕草で次々と飛び出てくる。
これが実に感動的でした。
目頭が熱くなった。
だってね、飛行というより、落ちてくるんだよ・・・!

ニューギニアの極楽鳥はヘン過ぎる!
神経質に掃除したり、奇妙な求愛ダンスを踊ったりする様子には、笑かしてもらいました。
雌にアピールする決めポーズがエイリアンちっく、鳥に見えない・・・世界はまだまだ知らないことだらけだと謙虚な気持ちになりました。

トナカイを追いかけるオオカミ、ゾウを狙うライオン、セイウチに襲いかかるホッキョクグマ、トムソンガゼルを捕らえるチーター・・・。
野生動物の食うか食われるかの場面では、どちらに感情移入するかで、随分気持ちが変わる。
逃げてっ!と思うか、腹減った、絶対食ってやるっ!と思うか。
追いつめられたトナカイやトムソンガゼルの、悟ったような表情が心に残る・・・(まあ人間の勝手な思い入れなんでしょうけど)。
その点、オットセイがイワシの群れに突っ込むのは、よーしどんどん食べろ!と安心して応援できるな。
ホオジロザメのジャンプも圧巻だ。

なかでも、水場に集うゾウの群れとライオンの群れの駆け引きにはドキドキした。
それぞれの目がアップで映され、「ゾウは人間と同じ程度にしか、暗闇でものが見えていない」「しかし、ライオンにはすべて見えている」・・・なんという緊迫感!

最後に地球温暖化の話などが語られるのだけど、エコのことをあまり考えると、破滅的な暗い考えにハマってしまうの。
再生紙とかエコバッグとかで「地球にやさしい」なんて満足してるのもアホくさいしな〜(せっせとやってますがね・・・)。
やっぱさー、地球環境をこれ以上壊さないためには、私たちは生活レベルを下げるしかないんじゃないでしょうか。

アース
Earth

(2007年 ドイツ/イギリス)
監督/アラステア・フォザーギル、マーク・リンフィールド
音楽/ジョージ・フェントン、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
声/渡辺謙(ナレーション)
公式サイト

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やわらかい手

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

未亡人マギーの悩みは、難病で入院している孫オリーのこと。メルボルンまで行って手術を受ければ助かるかもしれないと医師に告げられるが、マギーにも、息子夫婦のトムとサラにもそんなお金はない。困ったマギーが見つけた仕事は、セックスショップで手を使って男をイカせるというものだった。

思ったこと

人間っていろんな可能性が残っているんだなー。
今まで仕事をしたことがなく、一般的にはリタイアするような年のマギーに、こんな才能があったなんて!
なんだか夢を感じる!?
最初はフツーのおばさんという風に見えていたマギーだが、とまどいつつも奮闘していくうちに、だんだんかわいらしく思えてくる。
「年増?さえない?そんな女は雇っていない」というミキの言葉が男前!

このシステム、ミキは「東京で見たのを真似した」と言うがホント!?
こんなん、あるの!?
最初は抵抗感いっぱいで逃げ出すマギーだが、決死の覚悟で頑張ることにし、だんだん慣れていったら平然と雑誌片手にできるくらいのルーティンに。
なんだか指圧マッサージとかと同じようなもんだと思えてきたよ!
壁の向こうに立つ男たちはコインを入れているが、それってけっこう安いということだよねぇ。
殺風景な仕事部屋に好きな絵や花を飾ったりするのが、“女の適応力”という感じで微笑ましい。
親切に仕事を教えてくれた同僚ルイザとは、年は離れているけど、心を開くことのできる友達に。
だのに、マギーが“イリーナ・パーム”として大人気となり、ルイザの仕事を奪ってしまったことで関係は壊れてしまう。
ここで安易な解決や仲直りができなかったことは、リアルな感じ・・・大人になってからの友情って、お金とか仕事、利害、そういうことにも左右されてしまう・・・悲しいけど。

息子トムの奥さんであるサラは背が高い美人だけど、マギーがオリーへのおみやげに持ってきたぬいぐるみを「困るわ」と取り上げたり、医者が手術のことを話すと「誰がお金を払うの!?」とすごんだり、いくらショックを受けているといえマギーと別れ際に挨拶しないどころか見もしなかったり、すんごく感じ悪い。
単に性格がキツイ人なのか、その理由はよく分からないんだけど、もしかしてトムがマザコンのせい?
トムがマギーの秘密を知って、あんなに激昂してしまうのは、マザコンだからなんだろうなー。
オリーのために大金が必要なのは確かで、既にそれはありがたくもらっているのに、母親が汚れた仕事をしているという思いに耐えられないのは、理屈じゃないんだろうなー。
お母さんにボーイフレンドができたと知ったとき、また怒って泣いちゃうんじゃないかと心配・・・。

やわらかい手
Irina Palm

(2006年 イギリス/フランス/ドイツ/ベルギー/ルクセンブルク)
監督/サム・ガルバルスキ
出演/マリアンヌ・フェイスフル(マギー)
   ミキ・マノイロヴィッチ (ミキ)
   ケヴィン・ビショップ(トム)
   シボーン・ヒューレット(サラ)
   ドルカ・グリルシュ(ルイザ)
   ジェニー・アガター(ジェーン)
公式サイト

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エンジェル

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

イギリスのいなか町で小さな食料品店を営む母親と2人暮らしのエンジェルは、近隣の邸宅パラダイスハウスに憧れていた。奔放な想像力のままペンを走らせて書いた小説は、ロンドンで出版されるやいなや多大な人気を得る。エンジェルは憧れの暮らしを手に入れ、売れない画家エスメに恋をした。

思ったこと

エンジェル、エキセントリックな女〜!
エンジェルは未熟で傍若無人な自分全開のまま、あれよあれよという間に成功の階段をのぼっていく。
なんだこいつは・・・と半ば呆れながら観ていたのに、ふと気付いたら、エンジェルの興奮の渦に巻き込まれていた。
とくに「レディ・イレニア」の舞台が終わったときの観客全員のスタンディングオベーション。
くらくらするほどの快感だろう・・・ばんばん投げキッスしちゃう。
それから、作品と自分自身を理解・崇拝し、献身的に仕えてくれる同姓の友・・・。
飽くなき上昇志向に支えられ欲しいものすべてを手に入れていくエンジェル。
もし現代日本に生まれていたら、大ヒット少女マンガ家になっていたようなタイプかな。

子供じみた誇大妄想のようなエンジェルの願望がどんどん実現していくので、これは夢と欲が強く、ありのままの自分が賞賛されたいと願っている少女のみている夢・・・?
肉親の無理解も、母の死も、不良っぽくハンサムで思い通りにならない恋の相手も、すべてがエンジェルを中心に回るドラマティックな人生のための味付けにすぎなく思える。
だからすべてのことに距離感があって、喜びも悲しみも他人事のよう。
「目が、目が見えない・・・!」なーんて。
ごてごてしてるばかりで趣味が悪い服や内装は、エンジェルの脳内があふれ出してきたもの。
あからさまに合成な旅行シーンや、過剰にゴージャスで美しい映像など、昔の大河ドラマ映画のパロディであるかと思うが、ますます“これはエンジェルの妄想”という感触が強められていくようだ。
エンジェルを演じるロモーラ・ガモイは、角度によって美人に見えたり不美人に見えたりする不思議な容貌。
年を重ね、失意を知ったエンジェルは、だんだんと魔女のような形相を呈してくる。
アンジェリカとの邂逅は圧巻だ。

エンジェルをとりまく人々は、きちんと現実に生きている大人ばかり(エスメを除く)。
発行人セオ・ギルブライトは良識ある紳士ながら、世間にウケるエンジェルの才能を見出した。
真面目なおじさんだからこそ、勝手気儘な不思議っ子に魅かれたのか〜?
その妻であるハーマイオニーは、エンジェルの軽薄さ、無礼さに眉をひそめながらも、「たいした女である」と敬意を払っていた。
シャーロット・ランプリングの品のあるたたずまい、いいね〜。
秘書であり忠実な友であったノラ・・・私もこんな人にぴったりそばにいて欲しい〜。
犬のエピソードだけはちょっと引いちゃったけど。
この賢く誠実な人が、最後までエンジェルのことを尊敬したままでいられたのか、というのが謎。

エンジェル
Angel

(2007年 ベルギー/イギリス/フランス)
監督/フランソワ・オゾン
原作/エリザベス・テイラー
出演/ロモーラ・ガライ(エンジェル・デヴェレル)
   サム・ニール(セオ・ギルブライト)
   シャーロット・ランプリング(ハーマイオニー・ギルブライト)
   ルーシー・ラッセル(ノラ・ハウ=ネヴィンソン)
   マイケル・ファスベンダー(エスメ・ハウ=ネヴィンソン)
   ジャクリーン・トン(エンジェルの母)
   ジャニーン・デュビツキ(エンジェルの伯母)
   ジェマ・パウエル(アンジェリカ)
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クィーン

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

チャールズ皇太子と離婚したダイアナ元妃は、1997年8月30日、恋人とともに乗った車がパパラッチに激しく追われて大破し、帰らぬ人となる。その連絡を受けたエリザベス2世は、公式な声明を発することもなく、生家を尊重して内輪の葬儀で済ませると言う。元妃の死を悲しみ、冷たい対応の王室に反感を抱く国民感情を鑑み、首相になったばかりのブレアは女王に再三の提言をする。

思ったこと

とにかくこんな映画が撮られているということにビックリだ。
たった10年前に起きた有名な事件の、当事者の微妙な心理を扱ったフィクション。
登場人物にはまだこの世で要職についている人がいっぱいいるというのに・・・。
これが本当に起こったことだと信じてしまいそうになるけど、いいんかな・・・。
現実ってこんなストーリー仕立てに進んでいるわけなくて、もっと混乱して多層的なものであるだろうのに、「こういうことがありました」「こういうふうに思ってました」と決めちゃってるみたいで、観てて落ち着かない。
ブレア首相が、この映画でのヒーロー?
女王とブレアとの関係が美しく描かれすぎという印象。
その他の実在の人々が皮肉な描かれ方をしているのも気になる。
本当にこういう人たちなのかなー。
ファーストレディであるシェリー・ブレアは、どんくさい所作でエレガンスからほど遠く、王室に対する尊敬を持ち合わせない。
エディンバラ公フィリップは、鹿狩りのことばかり気にしてる。
チャールズ皇太子は、元妻のダイアナを「良き母だった」と持ち上げて死を悼む一方、保身に走ってブレアにすりよる。
本当のフィクションだと割り切って観られれば、もっとちゃんと女王とかに感情移入できたと思うんだけど。

ダイアナ妃といえば、“世紀の結婚”として子供の頃にTV特番を観たのがすごく印象に残っている。
『小公女セーラ』みたいな絵で、チャールズ皇太子とのロマンスがアニメで描かれてた。
その後は興味が薄れてニュースをなぞる程度で、特に思い入れもなかった。
しかしダイアナがパパラッチに追われる場面、一人の人間として、そんな状況にさらされるという状況にゾッとしますね。

女王であるということの重圧には考えさせられる。
世論にバッシングを受ける日・・・「その日はやってきます。ある日、突然、予告もなく」。
ブレアに語るエリザベス女王の言葉が重い。
「自分のことは二番。いつも国民のことを第一に考えてきた」という女王と国民の関係は、そのまま、親と子供たちとして置き換えられそう。
日本の皇室のことを考えてみても、高貴な方々って本当に不自由だし重荷を抱えていて、そこから逃れることもできなくて大変そうだ。

クィーン
The Queen

(2006年 イギリス/フランス/イタリア)
監督/スティーヴン・フリアーズ
出演/ヘレン・ミレン(エリザベス2世)
   マイケル・シーン(トニー・ブレア首相)
   ジェームズ・クロムウェル(エディンバラ公フィリップ)
   アレックス・ジェニングス(チャールズ皇太子)
   シルヴィア・シムズ(皇太后)
   ヘレン・マックロリー(シェリー・ブレア)
   マーク・ベーズリー(アレステア・キャンベル)
   ロジャー・アラム(ロビン・ジャンブリン)
公式サイト

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華麗なる恋の舞台で

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

1938年のロンドン。人気、実力ともにナンバーワンの舞台女優であるジュリアは、40代半ばにして人生に倦怠感を感じていた。しかし、ジュリアの熱烈なファンだという若者トムと恋に落ちて、毎日が彩りを取り戻す。恋も仕事も家庭生活も順風満帆かに思えたが、トムは若い女優エイヴィスに心変わりし、ジュリアは心乱れる。

思ったこと

映画が始まってからしばらく、アネット・ベニング演じるジュリアのしわっぽい顔が気になってしょうがなかった。
遠くから見たり、ベールをかぶっていたりすると非常に美人なんだけど、アップになるとビミョー。
45歳にしては老けて見えると思う。
ヨーロッパの女は何歳になっても恋愛現役よ!って話かなぁ〜・・・と最初は思ってた。
でも、息子ほどにも若い恋人と戯れて、媚びを含んだ嬌声をあげている姿、決してステキとは言えない・・・。
そして、心変わりしたトムにすがる様子。
“恋愛に年齢は関係ない”という考えでいたいけど、やっぱり年をとるってイヤかな〜、自分が見えなくなっちゃうとみっともないな〜と思わせられる・・・などと考えていたら、新作舞台に上がったジュリアのしたたかな行動!
なんつー爽快感!
イエー!!
ジュリアはいくつになってもジュリア。
強く賢く美しく年をとっていくわよー!
前半がローだった分、加速度的な気分の高揚がたまりません。

女優としての才能あふれるジュリアは、自分で意識している以上に、実生活の言動にお芝居が溶け込んでしまっている。
でも、そういうとこ、多かれ少なかれ誰でもあるよね。
恋愛関係だけじゃなく、仕事上だって、家族間だって、適度な茶番が潤滑油。
離れていこうとする恋人をいつものセリフと最高の所作で引き戻した後の、ジュリアの言葉がふるってる。
「男って単純、と心の底で軽蔑する気持ちに、気付かないわけにはいかないわ」
あはー。
男性が聞いたら「コエー」って感じでしょうが・・・。
それまで本当に恋にのめり込んでいるように見えたジュリアだが、やっぱり年齢相応の冷静な目と賢さも持っていたのだな。

こんなに後味がさわやかなのは、ジュリアが多くの友情関係を手にしているからだと思う。
才能を見出し導いてくれた演出家ジミー・ラングトンは、いつまでもジュリアの心に住んで助言を与え励ましてくれる。
チャールズと交わす男女間の友情は、ジュリアの人間的魅力の裏付けを感じさせる。
付き人のエヴィは、ジュリアのことを誰よりも見て理解し案じていて、ちょっと辛口な意見を言ったりするところもイイ。
賢い息子のロジャーは、母に苦言を呈しながらも、互いに理解しようという歩み寄りがある。
夫のマイケルとの関係から情熱は消え去ってるけど、深い信頼と愛情で結ばれた同志として、かけがえのない存在。
なんていうか、人生で一番大切なものって、やっぱ友情だよな〜との思いを新たにしました。
広い意味の友情・・・恋愛や家族愛にも含まれている・・・相手の人間性自体を慈しみ愛する、という気持ちのことです。

華麗なる恋の舞台で
Being Julia

(2004年 カナダ/アメリカ/ハンガリー/イギリス)
監督/イシュトヴァン・サボー
原作/サマセット・モーム
出演/アネット・ベニング(ジュリア・ランバート)
   ジェレミー・アイアンズ(マイケル・ゴセリン)
   ショーン・エヴァンス(トム・フェネル)
   ブルース・グリーンウッド(チャールズ)
   ミリアム・マーゴリーズ(ドリー)
   ジュリエット・スティーヴンソン(エヴィ)
   トム・スターリッジ(ロジャー)
   ルーシー・パンチ(エイヴィス・クライトン)
   マイケル・ガンボン(ジミー・ラングトン)
公式サイト

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