シェルブールの雨傘

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

港町シェルブールで愛を語り合う若きカップル、傘屋の娘ジュヌヴィエーヴと自動車修理工ギイ。しかし、ギイはアルジェリア紛争に徴兵される。悲しみにくれながらも、出兵前夜、ふたりは結ばれた。母とふたりで営む雨傘店の窮状を助けてくれたのは、宝石商のカサールだった。

思ったこと

オープニング、雨がそぼ降る港町を行き交う色とりどりの雨傘に、すっかり心をつかまれる。
全編を彩る美しい色彩と詩情あふれる音楽。
すべてのセリフが歌でつづられるので、もしかしてちょっと飽きちゃうかもという懸念も杞憂に終わった。
一瞬一瞬が美しい、珠玉の映画でした。
哀切なテーマ曲が耳に残る・・・。

Deneuve02_3カトリーヌ・ドヌーヴが演じるのは、17歳のジュヌヴィエーヴ。
迫力満点の近寄りがたい美人女優さんのイメージだったが、こんなに若くて初々しいときもあった!
つつましい恋に心震わせる、庶民的な傘屋の娘役、いじらしいな〜。
それにしても、恋人ギイが出征したら、けっこうすぐに次の決断しちゃったよね・・・。
10代にとっての2年間って永遠にも等しく感じるのかしら。
今の私には、2年間なんてたいして長くないけど・・・。

ジュヌヴィエーヴの母、エムリー夫人は、若いふたりの結婚に反対する憎まれ役だが、まぁ〜「若すぎる!」と反対する気持ちはちょっと分かるよね。
この人、ずばずばとデリカシーのない発言が多いけど、にくめない。
表情豊かに、傘屋経営の窮状を訴える様はおもしろいし。
実はカサールのことを好もしく思っていたんじゃないの〜?と、ちょっとやきもき。
なんか自分、若いふたりではなくて、すっかりこっち側に来てしまったということを実感・・・。

インテリアやファッションを見るのも楽しい!
ギイと伯母さんの住む部屋は、オリーブ色の壁に赤いカーテン、目の覚めるような空色の壁。
ジュヌヴィエーヴ母子の家は、緑とピンクのストライプ、ピンクが効いてる薔薇や木苺の壁紙と、ピンク基調。
こんなに鮮やかな色をいくつも使っていながら、全体が落ち着いた調和を保っているのは、さすがおしゃれの国フランスと言うべきか。
真似したい〜でも絶対失敗しそうだな・・・。

シェルブールの雨傘
Les Parapluies de Cherbourg/The Umbrellas of Cherbourg

(1964年 フランス/西ドイツ)
監督・脚本/ジャック・ドゥミ
音楽/ミシェル・ルグラン
出演/カトリーヌ・ドヌーヴ(ジュヌヴィエーヴ)
   ニーノ・カステルヌオーヴォ(ギイ)
   アンヌ・ヴェルノン(エムリー夫人)
   マルク・ミシェル(カサール)
   エレン・ファルナー(マドレーヌ)
   ミレイユ・ペレエ(伯母エリーズ)
声/ダニエル・リカーリ(ジュヌヴィエーヴ)
  ジョゼ・バステル(ギイ)
  クリスチャンヌ・ルグラン(エムリー夫人)
  ジョルジュ・グラネス(カサール)
公式サイト

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ロシュフォールの恋人たち

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

ロシュフォールの町に住む美しい双子姉妹、ソランジュとデルフィーヌ。いつかパリに行って成功することことを夢みていた。ふたりの母が切り盛りするカフェに、明日から始まるお祭りのためにやってきた、旅芸人のエチエンヌとビルが訪れる。水兵マクサンスは、まだ見ぬ理想の恋人の絵を描いていた。

思ったこと

オープニングの群舞で、黒いパンツを見せながら真ん中で踊っているミニスカの女の子、これがドヌーヴなのかな〜?と思ってた。
ダンス、びみょ〜。
昔のミュージカルだからかしら・・・。
ファッションもかなり微妙な感じのものが散見される・・・。

Deneuve01そしたら、「私たちは双子座の姉妹♪」と美しい双子姉妹が登場し、歌い踊る。
ミファソラ〜ミ〜レ レミファソソソレド♪
さすがスター女優!な華やかさ。
楽しい〜!!
ばさばさのまつげは本物かしら・・・?
「カトリーヌ・ドヌーヴはミュージカル女優だった!」という触れ込みだったから、てっきり歌もうまいのだとばかり感心していたけど、実は吹き替えだそうです。
ソランジュの最初のピアノと歌は本人かな・・・なんか下手だったんだけど・・・ドレミも間違っていた気がする。

「美人だね」「皆そう言うわ」
この返し! 言ってみてぇ〜!
「ウソで固めた薄情なあなたとはお別れよ♪」と、すごいアグレッシブに恋人に別れの言葉を歌うのも、なんかカッコイイ。

カトリーヌ・ドヌーヴの実の姉だというフランソワーズ・ドルレアックのことはあまり知らなかったが、お揃いの服を来た双子としてドヌーヴと並ぶと、肌色の濃さやそばかすが目立ち、ちょっと険のある顔つきが甘〜いドヌーヴとはまた異なった魅力。
この映画の直後に急逝したのだそう・・・こんなに若くてきれいなのに(合掌)。

若い水兵マクサンスは、まだ見ぬ理想の恋人を追い求め、美女の絵を描き、彼女のことなら朝まで語れると言う。
そういう男、秋葉原とかにいっぱいいそう〜(笑)。
でも、金髪の美青年が言うとキモくない〜(笑)。

ソランジュが地面に落ちた鞄の中身を拾おうとしたとき、手伝ってくれたピンクのポロシャツの男。
なんか運命の出会いっぽい演出なんだけど、にやけた中年男イヤ〜ンと思っていたら、タップダンスを踊り始めて俄然輝き出す。
ちょっと眠くなっていたけど、ぱっちり目が覚めたよ!
後から、かの有名なジーン・ケリーだと知って納得。

お話自体はどってことない恋のすれ違いで、あの人とあの人、この人とこの人、その人とその人が最後にくっついてハッピーエンドなんだろうなぁ〜と丸分かりで、その通りに展開する。
途中でちょっと中だるみ。
こんな他愛ない内容だったら、127分も使わないで、90分くらいにまとめてくれてたら良かったんじゃないかな〜。
バラバラ殺人のエピソードとか必要か?

ロシュフォールの恋人たち
Les Demoiselles de Rochefort/The Young Girls of Rochefort

(1967年 フランス/アメリカ)
監督・脚本/ジャック・ドゥミ
音楽/ミシェル・ルグラン
出演/カトリーヌ・ドヌーヴ(デルフィーヌ)
   フランソワーズ・ドルレアック(ソランジュ)
   ジーン・ケリー(アンディ・ミラー)
   ジョージ・チャキリス(エチエンヌ)
   グローヴァー・デイル(ビル)
   ジャック・ペラン(マクサンス)
   ダニエル・ダリュー(イヴォンヌ)
   ミシェル・ピコリ(シモン・ダム)
   ジャック・リベロール(ギヨーム)
公式サイト

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バシールとワルツを

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

アリ・フォルマンは、20年前にレバノン戦争に従軍していたときの記憶がほとんどなかったが、当時のことを悪夢にみるというボアズの話をきっかけに、フラッシュバックを体験した。ベイルートで虐殺事件が起きたとき自分は何をしていたのか・・・当時の仲間らを訪ねて話を聞き、だんだんと記憶を取り戻していく。

思ったこと

い、犬! 犬コワ〜イ!
目が爛々と光り全身に怒りをたぎらせた26匹の犬たちが、あらゆるものを蹴立てて、こちらに向かって走ってくる!
チワワにさえびくびくしてしまう私は恐怖にひきつると同時に、アニメーションの躍動感にがっちりと捕らえられてしまったオープニングだ。
そして、なぜ“26匹”なのか、という理由に強いインパクトを与えられたときから、主人公の心の迷宮へと一緒に出発することになる。

リアルで細密な背景のなか、彩色した木版画みたいな質感の人物が動き喋るアニメーション。
実在らしき人物が次々と出てくるし、内容としてはシリアスなドキュメンタリーなのだけど、何故アニメという表現方法なのか・・・昔の戦場を回想していく方式で、心の中に存在しているものまで含んだ映像を描き出すこと、凄惨な光景を一歩引いて冷静に見られるようにすること、が目的なのかな〜と思った。
冒頭の犬をはじめとし、幻想シーンは怖く美しく、アニメ的な快楽も十分味わえる。
タイトルの元にもなっているシーンは圧巻だ!

1982年、イスラエル軍はレバノンに侵攻してPLO(パレスチナ解放機構)と戦った。
そしてベイルートのサブラ・シャティーラ難民キャンプで、ファランヘ党により民間人を含む大量虐殺事件が起こる。
バシールとは、親イスラエルだが暗殺されてしまったレバノンのバシール・ジェマイエル大統領のことだ。
私は歴史背景を全然分かってないまま観たのだが、ところどころ理解が追いつかないところがあっても、全体的にはグッと集中力をつかまれたままだった。

語り手で監督でもあるアリ・フォルマンは、自分の記憶が消えている謎を探っていく。
そこから何が出てくるのか・・・とてつもなく怖ろしいものが隠れているのではないか・・・でも知らないままではいられないミステリーだ。
人間の記憶って本当に不思議。

断片的に語られていくエピソードが、戦場体験がそれぞれの心に刻印したものをうかがわせる。
家族連れが乗ったベンツを蜂の巣にした男の話。
自分だけが生き残ってしまったことに罪悪感を抱き続ける男の話。
周りの光景に対して映画を見ているかのように距離を置き自己防衛していたカメラマンが、あるとき悲惨な状況にある馬たちを目にして、いきなりすべてが現実として迫ってきたという話・・・。

戦争という異常な場では、強者に見えるほうもひどい恐怖と混乱に陥っている。
被害者になるのももちろんイヤだけど、自分がいつ加害者側に回るかも分からない、直接の加害者にならなくとも傍観者や幇助者になっているかもしれない・・・という恐ろしさをひしひしと感じた。
イスラエルって、女性にも徴兵があるんだよねぇ・・・。
こんなことは感じたくない、だから、だから戦争のない世界をひたすら願うしかない。

バシールとワルツを
Vals im Bashir/Waltz with Bashir

(2008年 イスラエル/フランス/ドイツ)
監督・声/アリ・フォルマン
声/ロン・ベニ・イシャイ
  ロニー・ダヤグ
  ドロール・ハラジ
  イェヘズケル・ラザロフ(カルミ)
  ミッキー・レオン(ボアズ)
公式サイト

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ぼくの大切なともだち

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

骨董商のフランソワは、自分の誕生日のディナーで、友人と思っていた人々から「おまえの葬式には誰も行かない」「あなたには友達がいない」と言われ、ショックを受ける。手に入れたばかりの高価なギリシャの壷を賭けて、10日以内に「親友がいる」ことを証明しなければならない。焦ったフランソワは、たまたま出会ったタクシー運転手ブリュノに、どうすれば友達が作れるか習うことに。

思ったこと

フランス人、しかもけっこう年輩の大人たちが、友達がいるかどうかをこんなに云々するとは意外だった。
恋人や家族がいれば平然としている人たちなんだとばかり思ってた〜。

皆がフランソワを「友達いない」と責めるから、「いいじゃん!友達いなくっても!」とキレたくなる。
そんなん人それぞれでしょ(私自身はけっこう気にするが・・・)。
だいたいさー、誕生日パーティで本人に言うことか〜?
そっちのほうが性格悪いよ!
それに、初対面の人と気軽に雑談できるのと、心からの友人を作るのとは、まったく別の話だと思うんですけど・・・。

ブリュノは雑学王で、何かといえば知識を披露する。
夢はTVのクイズ番組に出ること。
『最高の人生の見つけ方』でのモーガン・フリーマンもそういうキャラだったが、この共通点には何か意味があるんだろうか?
正直ウザイ・・・と私は思うのだが、感じがよくて友達が多いキャラとして扱われていたのが腑に落ちない・・・。
それにブリュノは親離れできていないと見た(本人は「両親が子離れしていないんだ」などと言っていたが)。
フランソワがやったことは確かにヒドイけど、諾々と従うブリュノもブリュノだ。
どちらにも感情移入しづらいな・・・。

「クイズ・ミリオネア」というTV番組は世界あちこちにあるんだね。
私は見たことなかったのだけど、ふ〜ん、これがみのもんたか・・・(←違う)。
こんなルールで大金がもらえるんだ〜。
番組中の、フランソワとブリュノのシリアスな会話は、緊張感があって可笑しかったです。

そんなわけで、全体的に釈然としないストーリーだった。
でもけっこう楽しんだ。
不器用なおじさんたちの右往左往っぷりがおもしろいのかな。

ブリュノが大切にしている言葉として、『星の王子さま』の一節が引用される。
「君にとって僕は沢山いるキツネの1匹。
 でも互いになじめば大事な存在となる。
 君は僕のたった1人の人。
 僕は君のたった1匹のキツネ。」
おおー、改めて聞くと、いいね。
あと『星の王子さま』では、「どこかの星で君が笑っていると思えば、星を見上げたとき、すべての星が笑っているように見えるよ」(ウロ覚え)というところに、胸をキュッとつかまれるような、温かいような、もの寂しくて泣きたいような気持ちになる。
似た感じを引き起こす歌に、『天空の城ラピュタ』の「あの〜どれかひとつに〜きみがいるから〜♪」とか、谷山浩子の「それは〜どこか〜宇宙の果ての〜知らない星からの長距離電話〜♪」とか。
銀河の果てで、まだ会ったことのない親友が待っているような気がする・・・。
あ、いやいや、遠い星にじゃなくて、フランソワとブリュノのように身近なところで友達を見つけなきゃ。

ぼくの大切なともだち
Mon Meilleur Ami/My Best Friend

(2006年 フランス)
監督/パトリス・ルコント
出演/ダニエル・オートゥイユ(フランソワ・コスト)
   ダニー・ブーン(ブリュノ・ブーレー)
   ジュリー・ガイエ(カトリーヌ)
   ジュリー・デュラン(ルイーズ)
   エリザベート・ブールジーヌ(ジュリア)
   ジャック・マトゥー(ブリュノの父)
   マリー・ピレ(ブリュノの母)
   アンリ・ガルサン(ドゥラモット)
   ジャン=ピエール・フーコー(クイズ司会者)
公式サイト

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美しすぎる母

お気に入り度 ★★☆☆☆

こんな話

プラスティックの基となる合成樹脂ベークライトを発明したことで大富豪となったベークランド家。上流階級のつきあいに溶け込めなかったバーバラを捨て、ブルックスは息子アントニーのガールフレンドと一緒に家を出る。残された母と息子が偏った愛情の果てに迎えた、実際の事件を映画化。

思ったこと

最初から最後までよく意味が分かんない映画だったぁ〜。
早く終わんないかなぁ〜ともぞもぞと耐えた時間は長かった。
そもそもタイトルからして謎だったしな・・・チラシで見たジュリアン・ムーアは“美しすぎる”というより“ちょっと怖い”って感じだから。

全編アントニーの声によるナレーションで説明されるのだが、冒頭で「母は温かくて明るく」「天性の社交家だった」と言うわりに、その後に人格破綻してる感じのエピソードが連なり、全然そういう風には見えないんですけど。
バーバラは最初からちょっとおかしなところのある人だったのか?
それが息子の目からは良く見えていたのか?
仲直りかと思いきや殺伐とした夫婦のベッドシーンがコワイ。
夫と若い女とを空港で見つけたとき、まあショックを受けたとはいえ、その罵りっぷりは醜悪。

アントニーがまだ14歳くらいのとき、母と息子ふたりで優雅に公園を散歩しながら、「私たちは恵まれている。私も昔は働いたことがあるけど、今は好きなことだけしていればいい身分になった」というようなことを話す。
お金が十分たくさんあって、セレブな社交を楽しんで、世界のあちこちに移り住む。
一見うらやましい環境だけど、もしもっとやらなきゃいけないことがあったり、生活のために頑張ったりしなきゃならなかったら、バーバラもアントニーもここまで追いつめられず、悲劇に至らなかったのではないかな〜と考えてしまった。

登場人物たち、タバコ吸い過ぎ。
誰が誰に気があるんだか、ゲイなのかバイなのか、節操ない人ばっかり。
エディ・レッドメインの顔やジュリアン・ムーアの腕はそばかすがいっぱいで、白人は日に当たると大変だな〜と思った。

美しすぎる母
Savage Grace

(2007年 スペイン/フランス/アメリカ)
監督/トム・ケイリン
出演/ジュリアン・ムーア(バーバラ・ベークランド)
   エディ・レッドメイン(アントニー・ベークランド)
   スティーヴン・ディレイン(ブルックス・ベークランド)
   エレナ・アナヤ(ブランカ)
   ウナクス・ウガルデ(ブラック・ジェイク)
   ヒュー・ダンシー(サム・グリーン)
公式サイト

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地上5センチの恋心

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

夫を10年前に亡くしたオデットは、デパートのコスメ売り場で働き、夜は羽根飾りの内職をして、ふたりの子供を育て上げた。心の支えは流行作家バルタザール・バルザン。待ちに待ったサイン会では緊張してうまくしゃべれず落ち込む。想いのたけを綴ったファンレターを渡したところ、作品を酷評され妻にも裏切られ傷ついたバルザンの心に響き、家出したバルザンがオデットの家に転がり込んできた。

思ったこと

主人公オデット、好きだな〜。
いつでも夢みる瞳で、気持ちの高まりとともにふわふわ宙に浮いてしまう、永遠の乙女キャラ!
大きな子がふたりもいるとはビックリだ。
夢みがちだからといって、脳天気で幸せいっぱいにばかり生きてるわけじゃない。
傷つきやすい心を抱えながら、仕事や子育てを真摯にこなし、つらい思いをいろいろ乗り越えてきているからこそ、他人を心から思いやることができる。
未成熟なだけのふわふわキャラとは一線を画しているのだ。
ピンクの服、ごてごてと飾られた部屋、ひらひらのネグリジェはご愛嬌。
カリブの島への憧れをかきたてるようなジョセフィン・ベイカーの歌が流れてくると踊り出さずにはいられない姿もほほえましい。
こういう人には本当に幸せになって欲しいな〜と思う。

上の息子(ゲイ)のルディ、明るくて優しくていい奴〜。
つれてくるボーイフレンドも感じいいし。
19才ということだが、美容師として楽しそうに働き、好みの男について屈託なく話し、母の相談にも親身になってくれるところがカワイイ!
そしてバナナの腰ミノには目がくぎづけだ!
下の娘、スー=エレンは反抗期かな?
いつも不機嫌で悪態をついている。
仕事がなかなか決まらないようだから同情の余地はあるが・・・。
きっとボーイフレンドも悪かったんだよね。
それにしても、ブラ売り場の売り子はガンになるって・・・なんじゃそりゃ!?
ここん家は開放的というか、息子や娘の恋人、母の恋人(?)とその息子などが出たり入ったりして、普通のことのように一緒に過ごしてるのがおもしろい。

バルザンをけなした文芸評論家、「中身が空っぽの本を好む人種がいるのです。安っぽい人形を集め、夕焼けを好む連中。アパートの管理人、レジ係、美容師など・・・」って、すんごい差別発言!
流行作家がファンの手紙に感動して会いに来て気持ちが通じ合う・・・って、あまりにありえないシチュエーションだが、それが心地いいのかもしんない。
私としては、憧れの作家やアーティストの生身を知って幻滅したくないから、一ファンとして遠くから見つめているだけでいいや〜って腰が引けちゃうけど。

地上5センチの恋心
Odette Toulemonde

(2006年 フランス/ベルギー)
監督・脚本/エリック=エマニュエル・シュミット
出演/カトリーヌ・フロ(オデット・トゥールモンド)
   アルベール・デュポンテル(バルタザール・バルザン)
   ファブリス・ミュルジア(ルディ)
   ニナ・ドレック(スー=エレン)
   カミーユ・ジャピィ(ナディーン)
   ジャック・ヴェベール(オラフ・ピムス)
   ローランス・ダムリオ(イザベル)
   アラン・ドゥテー(発行人)
公式サイト

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マイ・ブルーベリー・ナイツ

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

失恋したエリザベスは、元彼の部屋の向かいにあるジェレミーのカフェで、売れ残ったブルーベリーパイを食べる。毎夜のように訪れて、ジェレミーとの会話に慰められるエリザベス。しかし失恋から立ち直れないエリザベスは、アメリカを横断する旅に出る。

思ったこと

さすがウォン・カーウァイ、ゆらゆらざらざらとおしゃれな映像。
うーむポエミー。
舞台がアメリカになって、俳優が欧米人になって、言葉が英語になっても、受ける感触が同じですなー。
ただ今回は、撮影がクリストファー・ドイルじゃなかった。

どうでもいいことだが、私はアップルよりブルーベリー派だな、パイは。
なんでブルーベリーパイがいつも売れ残っちゃうんだろ?
でももし洋梨が並んでいたら、そっちを選んでしまうかも。
アイスはたっぷりと、生クリームは添えないでね。
やっぱその前にチーズケーキもいいかな・・・。
ジェレミーが食べていた、売れ残りのもっさりとした茶色いケーキも気になった。
心が弱っているときは甘いものをがっつり食べるのがいいよね・・・それにしても毎夜はヤバイんじゃ!? ダイエット的に。

ジュードのような店主がいるカフェが近所にあって、夜中にケーキを食べながらふたりでおしゃべりできるんだったら、私だって毎日通っちゃう。
そんでそんで、クリームつけたまま眠っちゃったりして・・・! なんちてなんちて。
ま、フツーに考えて、口の周りにクリームついたままの大人の女性がいたら引きますが。
キスシーンもジュードじゃなかったら、ドン引きですが。
逆に言うと、引かせなかったふたりはスゴイ。

「1日目、ニューヨーク州コニー・アイランド」
「57日目、ニューヨークから1120マイル、メンフィス」
「251日目、ニューヨークから5603マイル、ラスベガス」
・・・と、エリザベスのあてどない彷徨は続く。
離婚した妻のスー・リンが忘れられずアルコール依存症になったアーニー、人間不信をあらわにするギャンブラーのレスリー、それぞれの地でのエピソードはしんみりさせる。
だけど、エリザベスはすっかり脇役になって埋没してしまってる感じで、なんだか全体にブツ切れ感。
ナタリー・ポートマンは美しいが、不良少女っぽい役はあまり似合わない気がするなぁ〜。

エリザベスから葉書を受け取り、手当たり次第にメンフィスのバーに電話をかけまくって、ようやく見つけたエリザベスに(人違いだったんだが)すごくうれしそうに話しかけるジェレミーにキュンとした♡
これってエリザベスには知ることのできない場面・・・もったいない!

マイ・ブルーベリー・ナイツ
My Blueberry Nights

(2007年 フランス/香港)
監督/ウォン・カーウァイ
音楽/ライ・クーダー
出演/ノラ・ジョーンズ(エリザベス)
   ジュード・ロウ(ジェレミー)
   デヴィッド・ストラザーン(アーニー)
   レイチェル・ワイズ(スー・リン)
   ナタリー・ポートマン(レスリー)
公式サイト

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プライスレス 素敵な恋の見つけ方

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

高級ホテルでウェイターとして働くジャンは、ある夜バーで出会った美女イレーヌに金持ちの滞在客と勘違いされ、夢のような一夜を過ごす。しかししがないウェイターであることがばれ、玉の輿狙いのイレーヌから見切りをつけられた。あきらめきれないジャンは、イレーヌを追ってコートダジュールまで行く。

思ったこと

玉の輿を狙って金持ち男にぶら下がる、若くてきれいなイレーヌ。
そんな物欲が強くて計算高い女が、金持ち恋人に見つかる危険を冒して、たまたま出会った素性も定かでない男と逢引きするかなぁ。
マヌケ過ぎる勘違いだし・・・。
まあ最初の夜は酔ったはずみの間違いだとしても・・・。
「お金持ちが好き」という価値観は否定しないが、そういうツメの甘さがちょっとね。
男に買わせたブランド品を身につけ、男の金で高級ホテルや高級レストランに出入りするイレーヌはあんまりかわいいと思えなくって、それにオドレイ・トトゥにはこういう役は似合っていない気がして、なかなかお話にノレなかった。

ところが、イレーヌに貢がせられたあげく冷たく放り出されたジャンが、金持ちマダムのマドレーヌに愛人として拾われたあたりから俄然おもしろくなり。
うーん、さすがフランス、一筋縄ではいかないわ・・・。
ダサダサの天然男ジャンに、意外にも備わっていたジゴロの才能!?
効果的な会話や貢がせ方をジャンに指導するイレーヌはとても生き生きしていて、今までになく親密な雰囲気に満足そうにも見えるジャン。
なんか方向間違っているよー(笑)。
ジャン役のガド・エルマレはフランスで人気のコメディアンらしいが、別にかっこいいわけでもないのに、邪険に追い払ってもひたすら後をついてくる小犬のように、いつしか愛しく思えてくるのだった。

金持ちマダムのマドレーヌはすごい貫禄。
もし私がなるなら、この立ち位置がいいわー。
なんだか自由でいられる気がするから。
豊潤に持っている自分のお金で気に入った男をペットにして教育、すべて分かってる上で見たくないものは見ないふりもし、ちょっぴり寂しい思いをしたとしても次を見つければいいの。

オドレイ・トトゥはすんごい痩せてて、布の少ない服だとちょっと貧相に見えるくらい・・・。
なのに胸だけはちゃんとあるのは、いったいどういう仕組み?

プライスレス 素敵な恋の見つけ方
Hors de Prix/Priceless

(2006年 フランス)
監督/ピエール・サルヴァドーリ
出演/オドレイ・トトゥ(イレーヌ)
   ガド・エルマレ(ジャン)
   マリー=クリスティーヌ・アダム(マドレーヌ)
   ヴァーノン・ドブチェフ(ジャック)
   ジャック・スピエセル(ジル)
   アネリーズ・エスム(アニエス)
公式サイト

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潜水服は蝶の夢を見る

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

『ELLE』誌の編集長で、人生を謳歌していた42歳のジャン=ドー(ジャン=ドミニク・ボビー)は、ある日突然脳梗塞で倒れた。3週間の昏睡から目覚めると、意識はしっかりしているのに、身体がまったく動かないロックトインシンドロームという状態に陥っていた。唯一動く左目のまばたきで意思を伝え自伝を書き上げた実話の映画化。

思ったこと

たまに、肉体が消えて精神だけの存在となり、ふわふわと空中に漂っていろいろ傍観していたい・・・などと想像することがあるのだけど、実際にそんなことになったら・・・相手に何も伝えられない、反応できない、働きかけられないって、やっぱりものすごくつらいことだ。
ジャン=ドーの陥ったとてつもない絶望。
カメラはジャン=ドーの目になりきって、ぼやけたりゆがんだりきょろきょろしたりする。
ゆらゆらはためくカーテンの向こうから射し込む光、絵や写真が飾られた青緑色の壁、部屋の中にいる人々、女性の胸元やスカートの裾に視点が動くのがおもしろい。
ジャン=ドーと同じものを見、聞くことで、その境遇に同調していく。
動かない右目を針と糸で縫いつけられるのは怖ろしかった・・・息が詰まった・・・縫わなきゃいけないの!?
それ以上に、いやだとかやめてほしいとか、自分の気持ちや意見を一切表現できないのが本当に怖ろしい。

「僕の人生は小さな失敗の連続だったように思える」
「愛せなかった女たち、つかめなかったチャンス・・・」
氷山ががらがらと崩れ落ちる心象風景。
倒れる前のジャン=ドーは、『ELLE』誌の編集長として仕事上の成功を得、最先端のファッションや車で生活を楽しみ、幾人もの女性とつき合うチャーミングな美男子で、かわいい3人の子供もいる、男ぶりのいい42歳。
こんなすべてを得ていたかのような人でも「失敗の連続」などと思ってしまうのかぁ・・・もちろん精神的に弱っているときだからなんだけど・・・。

そんな、身体が動かないジャン=ドーに残されたただふたつの自由なもの、想像力と記憶を自在に駆使して、精神が蝶となってはばたき時空を越えて飛び回る。
自分を哀れむことから抜け出し、絶望からの飛翔は実に感動的だ。
観る前には想像もつかなかった、この詩的で美しいタイトルが含む意味・・・語り手ジャン・ドーの置かれた心象風景をとてもよく表していて秀逸。

それにしてもつくづく思うのは、ジャン=ドーには親身になって世話をしてくれる病院のスタッフ、元恋人(子供たちの母親)セリーヌ、訪ねてきてくれる友達がたくさんいて良かったよねぇ。
90歳を過ぎて歩けなくなっている父親が病室のジャン=ドーに電話をかけるシーンには涙がとまらない。
もし独りでは、決して絶望から抜け出すことはできなかったろう。
特にセリーヌは献身的だが、ジャン=ドーの心は新しい恋人イネスにある。
若い女であるらしいイネスは見舞いに現れず、電話で「愛している。でも元通りのあなたでなくちゃいやなの」と自分の寂しさを訴え、ちょっと身勝手な感じ。
それでもジャン=ドーはイネスに会いたくて、それをセリーヌに伝えさせるという残酷さ。
どんなになっても、人の心は思うようにならない・・・。

ジャン=ドーをとりまく女性たちは皆きれいだが、金髪で似たタイプばかりに見える。
これってジャン=ドーを通した映像なわけだし、もしかして彼の願望が反映された姿なのかしら。
夢想のなかで、牡蛎を食べさせ合った女はクロード? 病院にいた青い昔風ドレスの女はアンリエット? 区別がつかないな・・・。
高級レストランで皿が次々と運ばれ、牡蛎を互いの口に入れて食べさせ合うのは、なんともエロティックで楽しそうでした・・・私は苦手ですが、牡蛎。

あんまり関係ないけど、セリーヌの手紙の開け方がイヤだった!
封筒をびりびりに破くの。
もしこんなの目の前でされたら、自分か手紙の差出人へのいやがらせなのかと疑ってしまうが、フランス人ではこのくらい普通なのかな〜?

潜水服は蝶の夢を見る
Le Scaphandre et le Papillon/The Diving Bell and the Butterfly

(2007年 フランス/アメリカ)
監督/ジュリアン・シュナーベル
原作/ジャン=ドミニク・ボビー
出演/マチュー・アマルリック(ジャン=ドミニク・ボビー)
   エマニュエル・セニエ(セリーヌ)
   マリ=ジョゼ・クローズ(アンリエット)
   オラル・ロペス・ヘルメンディア(マリー)
   アンヌ・コンシニ(クロード)
   マックス・フォン・シドー(ジャン=ドミニク・ボビーの父)
   イザック・ド・バンコレ(ローラン)
   マリナ・ハンズ(ジョゼフィーヌ)
公式サイト

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黒猫・白猫

お気に入り度 ★★★★★

こんな話

ドナウ川のほとりに暮らす博打好きのマトゥコは、ヤクザのダダンを誘って貨物列車強盗を計画するが、ダダンに騙されて失敗。借金のかたに息子ザーレと、ダダンの嫁き遅れの妹アフロディタとの結婚を約束させられてしまう。ザーレの恋人イダ、祖父ザーリェ、“ゴッドファーザー”グルガ、そして動物たちが入り乱れての大騒ぎが始まる。

思ったこと

常軌を逸しているハチャメチャなハイテンション・コメディ。
登場するのはロマの人々ばかりで、ほとんどが素人俳優なのだという。
枠に収まりきらない空気は、そういうところからもきてるのかも。

廃車をぼりぼりと食べる豚、樹にくくりつけられて演奏するミュージシャンたち、おしりで釘を抜く歌手、ひまわり畑で追いかけ合う恋人たち・・・一つひとつのイメージが独特で愛おしい。
前半のザーレは子供っぽくて頼りない男の子って感じだけど、イダとカップルになって、強引な結婚式やお祖父ちゃんの死にまつわる騒動を乗り越え、きりりと力強くなっていく。
イダのパンツを頭にかぶってにやける姿も、少年だとさわやか・・・ってこともないか!?

入院しているお祖父ちゃんザーリェを迎えに、ザーレがミュージシャンたちを連れて行く。
病室でいきなり演奏が始まり、「ムジカ!」と目を覚ますザーリェ。
なんて粋な贈りものだろう!
そのまま退院してしまう道中で、「人生は素晴らしい!」と叫ぶザーリェ。
しかし同じザーリェが、外の世界に出ていく孫の背中を押し「ここには太陽がない」と言う。
あまりに陽気なコメディ映画なので、浮世離れした人々が脳天気でお気楽に暮らしているのかと思ってしまったけど、厳しい現実が裏に隠れているということだろうか。

『ムトゥ踊るマハラジャ』を彷彿とさせるダダン。
顔も動きも異様なハイテンションもおもしろすぎるんですけどー!
アヒルで身体を拭くシーンは最高!
ダダンの末の妹アフロディタは背がすごく小さくて、渾名が“テントウムシ”。
むっちりとした体型で、顔はそばかすだらけ、癇癪を起こして暴れると手がつけられない。
井戸につけるってひどすぎ・・・拷問?
しかしこの子が妙にかわいらしいんだなー。
切り株の中に隠れて逃げるシーン、見つかって声をたてるシーン、コミカルでいて「良かったね良かったね」と心がほわっとします。

動物がいっぱい出てきて賑やかなのも楽しい!
タイトルにもなっている黒猫、白猫はもとより、アヒルの群れ、犬、ヤギ、豚などなど、動物たちが画面を縦横無尽に駆け回る。
“ゴッドファーザー”グルガの家の庭にもアヒルがグァグァ群れていてやけに牧歌的だし。
イダと結婚するために神父を銃で脅すザーレが、左手にはかわいいヒヨコを持っているのも、意味わかんないけどおもしろい!

それから、この映画の魅力の大きな部分を担っているのが、いきいきとしたジプシーミュージック。
あまりに心騒がせる音楽なので、サントラも手に入れちゃいました。

黒猫・白猫
Crna Macka, Beli Macor/Black Cat, White Cat

(1998年 フランス/ドイツ/ユーゴスラヴィア)
監督/エミール・クストリッツァ
出演/バイラム・セヴェルジャン(マトゥコ)
   フロリアン・アイディーニ(ザーレ)
   ブランカ・カティッチ(イダ)
   ザビット・メメドフ(ザーリェ)
   サブリー・スレイマーニ(グルガ)
   スルジャン・トドロヴィッチ(ダダン)
   サリア・イブライモヴァ(アフロディタ/テントウムシ)
   ヤサル・デスターニ(グルガの孫)

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