ホテル・ルワンダ

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

1994年、アフリカのルワンダで、長くくすぶっていた民族間の扮装が激化。フツ族によるツチ族の虐殺は、100日間で100万人にも上った。にもかかわらず、国連は平和維持軍の撤退を決める。高級ホテル、ミル・コリンの支配人を勤めるポール・ルセサバギナは、ツチ族である妻と子供たちを守るために奔走し、行き場をなくした難民たちをホテルに受け入れていく。

思ったこと

良くも悪くも、ハリウッド的な造りの映画だなーと思った。
非道な敵に対して一人で立ち上がり、家族や同胞を守り抜く、勇気あるヒーロー・・・。
実話が基だとはいえ、ちゃんと映画としてエンターテインメントになっている。

19世紀後半のルワンダでは、ツチ族の王のもと、ツチ族が強い力をもっていた。
第1次世界大戦後、ルワンダはベルギーの支配に置かれることとなり、統治を円滑に進めるためにツチ族があらゆる面で優遇され、人種間の差異をあおった。
1950年代に入ると、ベルギーはひるがえってフツ族の反乱を後押しし、政権をとったフツ族が圧制をしく。
1990年にツチ族を中心にルワンダ愛国戦線(RPF)が結成され、内線が勃発する。
・・・というような歴史的経緯は、公式サイトの歴史ページを読んで、初めてよく分かった。
映画では、「フツ・パワーでツチ族のゴキブリどもを皆殺しにしろ!」とラジオ放送で叫んでいるフツ族が、ただ凶悪な人たちに見える。
狂ったように鉈を振り回すフツ族の民兵は、震えるほど恐ろしいし。
だから、ポールとその家族にすっかり感情移入してしまったあとでは、彼らを追うフツ族がRPFの銃弾に倒れると、「やった!」と爽快にさえ感じてしまうのだ。
内戦というからには、ツチ族がフツ族を殺している現場だってあるだろうのに・・・。
私たちは「フツ族って恐い」「ポールえらい」という単純な印象をもってしまうのを警戒しなくてはならないと思う。
これだから、情報って恐ろしい。

ポール・ルセサバギナは、ルワンダ人のなかではかなりのエリート。
最初は家族を守ることだけを考えていて、隣人が襲われているのを、見て見ぬふりする。
卑怯にも見えるシーンだけど、現実的だと思った。
力もないのに「オレがすべての人間を救うんだーっ!」とやみくもに突進するのは、誇大妄想的ともいえるからね・・・。
皆を救うどころか、家族さえ守れなかったという結末だってありえたんだから・・・。
ポールは、逃げてきた人々をホテルにかくまい、食料を調達するために、必死で自らが持てる資金や人脈を駆使し、媚びるようにして敵を懐柔する。
やっぱり誰かを守れるほどの人間になるには、勇気とか腕力とかだけじゃなくて、知恵、財力、政治力なども必要だよなあ。

私はずっと、他民族の虐殺が起こるのは、相手のことをよく知らないために、理解できない薄気味悪い存在として、同じ人間と感じられなくなってしまうためだと考えていた。
だから世界平和の第一歩は、多様な人々や文化を知り、個別で人間的な関係をひとつひとつ結んでいくことだと漠然と考えていた。
しかし、歴史をひもとけば、このルワンダでの事件しかり、ナチス支配下のポーランドの村でユダヤ人の集団殺人を行ったのはポーランド人だったとか、民族浄化という忌まわしい言葉が使われたユーゴスラヴィア紛争だとか、関東大震災時の朝鮮人暴行とか、昨日までの隣人を虐殺した例はいくらでもある・・・。
答えは簡単に出ないけど・・・いつか重要な局面に向かいあったとき、後悔しないような行動ができる強い人間になりたい。
「世界の人々は虐殺の映像を見て・・・“怖いね”と言うだけでディナーを続ける」
ジャーナリスト、ダグリッシュの言葉を聞いたときの、我が身を振り返ってすくんでしまうような感覚を忘れないでいたい。

ホテル・ルワンダ
Hotel Rwanda

(2004年 南アフリカ/イギリス/イタリア)
監督・脚本/テリー・ジョージ
出演/ドン・チードル(ポール・ルセサバギナ)
   ソフィー・オコネドー(タチアナ・ルセサバギナ)
   ニック・ノルティ(オリバー大佐)
   ホアキン・フェニックス(ジャック・ダグリッシュ)
公式サイト

| | コメント (0) | トラックバック (1)