ぼくのエリ 200歳の少女

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

12才の少年オスカーは学校でいじめられて鬱屈した毎日を送っていたが、隣の部屋に越してきた謎めいた少女エリと心を通わせるようになる。その頃、ストックホルムでは陰惨な殺人事件が起こり始めていた・・・。

思ったこと

「きみもおいでよ。ひとりではさみしすぎる・・・」
これは『ポーの一族』だね!!
成長せずに永いときを過ごしていかねばならないヴァンパイアの孤独と、響き合うように惹かれていく人間の子供・・・。
どことなく野性味と老成した雰囲気を漂わせる少女エリが、エドガー。
金髪で線の細い少年オスカーははかなげで、でもちょっと虚勢を張ったりもして、いかにもアラン。
年季が入った萩尾望都ファンのツボをついてくるなー。

殺人とかいじめとか塩酸とかダークな場面もけっこうあるけど、しんしんと静かに雪が降り積もる北欧の景色の中では、すべてに美しさという紗がかかって見える。
映画の中ではエリが「200歳」とは特に言われていない・・・どっから出てきたタイトル?
それだけの長い時を経てきたとして、ずーっとスウェーデン内だけを見つからずに移動してきたのかな。
スウェーデンの面積は日本よりもちょっと大きいから・・・江戸時代の頃から日本中を転々としながら秘かに生きているヴァンパイアとかって想像してみるとありえるか・・・。

エリの保護者のようでありながらその実隷属している初老の男ハカン。
エリのために血を調達してくる役目のようだが、のさのさした動きで手際が悪くて、一回も成功しないんでやんの!
そんな調子で今までどうやってきたのか。
オスカーの行く末がハカンであるのかもって考えるとせつない。

ところで『ポーの一族』を読んだときも不思議だったんだけど、ヴァンパイアになると空も飛べるようになるんだろうか?
ルービックキューブも簡単にできるようになるんだろうか?
殺人現場や血より、壁を這い上ったりする人外な動きのほうが怖いよ!
プールのシーンは何が起こったのか見えるようで見えない匙加減が圧巻でした。

ぼくのエリ 200歳の少女
Lat den ratte komma in/Let the Right One In

(2008年 スウェーデン)
監督/トーマス・アルフレッドソン
原作/ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト
出演/カーレ・ヘーデブラント(オスカー)
   リーナ・レアンデション(エリ)
   ペール・ラグナル(ハカン)
   ヘンリック・ダール(エリック)
   カーリン・ベリィクイスト(イヴォンヌ)
   ペーテル・カールベリ(ラッケ)
   イーカ・ノード(ヴィルギニア)
   ミカエル・ラーム(ヨッケ)
公式サイト

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やかまし村の子どもたち

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

やかまし村には3つの家があり、全部で7人の子供たちが家族と住んでいる。美しい自然の中で過ごす子どもたちの夏休み。

思ったこと

これといった事件は特に起こらない、スウェーデンの牧歌的な村で子供たちが生きている・・・という、夏休みの絵日記のような映画。
のどかで美しい自然。
おうちもかわいい。
北欧って、やっぱ憧れるわ〜。
仲良しの6人でいつも一緒に遊んで、大人はどっしりと頼りがいがあって、ちょっと偏屈で怖い靴屋のおじさんがいて、たまにはお手伝いもしなきゃならなくて。
塾もTVもゲームもディズニーランドも何もない、けれど毎日がわくわくとした気持ちで彩られている・・・ノスタルジーにすぎないかもしれないけど、私もこの世界の住人になりたい!と、本当にたまらない気持ちになります。
でも蚊はいるのか・・・片足に十数カ所も刺されるほど・・・やだな・・・。

私も田舎っ子なので、「どうして学校から帰ってくるのにそんなに時間がかかるの、とお母さんは言う」という状況がよく分かる〜!
毎日毎日、小学校の通学途中の田んぼや川で道草してたものね〜。
道路に埋め込まれているボタンのようなものを競って踏んだりね〜。
トイレに行きたくなったら途中の知らない人の家で借りたりね〜。

草の上に作った三角屋根の小屋でウサギを飼っているのがカワイイ!
同じスウェーデンの『川のほとりのおもしろ荘』でもウサギを飼っていたので、北欧では普通なのかな。
でも何のためにかと考えると・・・もしかして食・・・。

深夜になっても薄暗いだけの白夜の光景も見られる。
子供たちは夜になると幽霊を怖がるんだけど、真っ暗にならなくても怖いもんなのか〜。

柵に上って摘んできた花を枕の下に入れて寝れば将来の結婚相手を夢にみることができると聞いた女の子たち。
でもリサは「見る前から分かってる。私はオッレと結婚する。ブリッタはラッセと、アンナはボッセと」と独白する。
なぜなら、ずっとやかまし村に住んでいたいから!
うわ〜素朴な世界観!
近い将来、その組み合わせについてのモメで1つの映画ができそう。
そして、オッレの小さな妹シャスティンが余るのが気になる・・・。
結局3人とも何の夢もみなかったのだけど、1986年に撮られた映画ということは、子供たちはだいたい私と同世代ということだから、今頃はどうなっているんだろう?
案外みんな独身のままだったりしてね〜ははは。

やかまし村の子どもたち
Alla vi barn i Bullerbyn/The Children of Noisy Village

(1986年 スウェーデン)
監督/ラッセ・ハルストレム
原作・脚本/アストリッド・リンドグレーン
出演/リンダ・ベリーストレム(リサ)
   クリスピン・ディクソン・ヴェンデニウス(ラッセ)
   ヘンリク・ラーソン(ボッセ)
   エレン・デメルス(ブリッタ)
   アンナ・サリーン(アンナ)
   ハラルト・ロンブロ(オッレ)

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川のほとりのおもしろ荘

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

おもしろ荘にやさしい両親と住む、マディケンとリサベット姉妹の楽しい毎日。春のお祭り、夏の川遊び、町長夫人の舞踏会、そしてクリスマスには新しい赤ちゃんが仲間に加わる。

思ったこと

なごんだ〜、かわいい姪っこたちのことを思い出して。
マディケンみたいに利発な長女、リサベットみたいにやんちゃで変顔が得意な次女、生まれたばっかりの三女という、よく似た姪っこたちがいるのだ。
北欧の美しい自然いっぱいの中、生き生きと動き回る少女たち。
観ている間、小さい子の気持ちに同化しきってた。
ああ〜私も北欧の少女に生まれて、かわいいお家に住みたかった・・・。
姉妹のおそろいの服もとっても素敵!

寝室でふざけて走り回りながら寝間着を脱ぎ捨てるふたり。
な、なんでパンツをはいてないの〜?
そのまま座って靴下を履いたりするものだから、いいの、これ!?・・・とヒヤヒヤした気分に。
スウェーデンだし、昔の映画だし、そのへん大らかなんかな〜。

買ってもらったばかりの赤い靴を「泥だらけになるからお祭りに履いてっちゃダメ」とお母さんに言われるマディケン。
ぐずぐず拗ねていたけど、両親が出かけてしまったら、「履いてっちゃお」とちゃっかりしてるところがカワイイ。
お隣のアッベのことが好きっぽいのもカワイイ・・・。
仔ウサギを抱っこするのもカワイイ!!
(ウサギが出てくるのはいい映画、私にとって)

マディケンの宿敵である同級生ミイアは、家が貧しいため、いつも粗末な服にぼさぼさ頭、お弁当も持ってこれない。
意地を張り合って屋根歩き競争をするところから、事件が起こるんだけど・・・。
ミイアのしたことは悪いけど、そこに至るまでのミイアの気持ちを考えると胸が痛い・・・。
皆の前で高圧的に叱る校長がヤな感じ!
ふてくされて横を向いているミイアが、いかにも子供らしくてカワイイ。
そして「おしっこツボ!」と全然へこたれていないところもイイ。
「おしっこツボ」って悪態なんかな・・・謎な感じでおもろい。
マディケンの頭にしらみが見つかったとき、「しらみ!?」と目を輝かせるのだけど、なぜかというとミイア姉妹を家に呼んで一緒に駆除してもらうのだ。
頭に薬をかけて、タオルを巻いて、川ではしゃぎ回る子供たち・・・。
川で遊ぶのは気持ちよくて、一緒に食べるミートボールはおいしくて、じんわりと心が温かくなる、最も好きなシーンでした。

それにしても、自分の家が“おもしろ荘”と呼ばれているってどんな気分でしょうね。
元が児童文学だからなんだろうけど・・・。

川のほとりのおもしろ荘
Du ar inte klock Madicken/You're out of Your Mind, Maggie

(1979年 スウェーデン)
監督/ゴーラン・グラフマン
原作・脚本/アストリッド・リンドグレーン
出演/ヨンナ・リリエンダール(マディケン)
   リブ・アルスタールンド(リサベット)
   モニカ・ノルドクヴィスト(母)
   ビヨルン・グラナート(父)
   リス・ニルヘイム(アルバ)
   ケルスティン・ハンソン(ミイア)
   アラン・エドワール(ニルソンさん)
   セバスチャン・ハッカンソン(アッベ)

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ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

雑誌「ミレニアム」の発行責任者ミカエルは、実業家ヴェンネルストレムの記事で名誉毀損の有罪判決を受けた。そんな彼に、大企業の前会長ヘンリック・ヴァンゲルは、40年前に失踪した最愛の姪が一族の誰かの手にかかったのではないかと調査を依頼する。ミカエルのことを調べていたハッカー、リスベットも協力することに。

思ったこと

息もつかせぬサスペンスに引き込まれた!
原作は全世界で2100万部も売れたベストセラーだそう。ひょえ〜。
そして原作者は三部作を書き上げ、出版される直前に、心筋梗塞で急死してしまったそう。ふゎあ〜。
スウェーデンって、美しい森と湖の国でしょ〜?
こんなにバイオレントでサディスティックな事件がたくさん起こっているなんて、イメージ狂うわ〜。

孤島に住む金持ちの一族から姿を消した美しい娘という大時代的な舞台設定と、コンピュータで何でも調べてしまうハッカーという現代的なキャラクターとの組み合わせが絶妙でおもしろい。
調査の方法も、新聞社のネガや人んちのアルバムを1枚1枚探したり、企業の帳簿を繰ったりというアナログな部分と、写真をコンピュータに取り込んで今まで見えなかったものを見るというデジタルな部分とが同時進行する。
謎に包まれていた過去の光景が立ち現れてくる様子にぞくぞくする〜!!
欲を言えば、金持ち一族の内部の確執とかいやらしさをもっと見たかったが。

黒づくめでピアスだらけのパンクな女リスベットは、全身トゲのようにとんがっているが、決して強くなく、ナイーヴな精神を内に隠している。
ミカエルもだけど、スーパーマン/ウーマンでない人間が、傷つきながら(傷つき方がひどすぎだけど・・・)渾身の力で自分を貫いていくから胸を打つ。
後見人ピュルマンは目をそむけたくなるくらい最低最悪の男! 死んでしまえ〜〜!!
と憎々しく思っていたが、リスベットの報復の苛烈さに呆然・・・。
ただ殺されるよりつらいかもね・・・。

ところで、あんまりというか全然関係ないけど、クリスマスの準備をしているシーンで窓辺に置かれていた、クローブの柄をいっぱい突き刺したオレンジ。
これ、スウェーデン出身のテキスタイルデザイナー、ロッタ・ヤンスドッターのエッセイにも出てきた〜!
とてもいい匂いが想像できるから、今度私もやってみたいな〜。

エンドクレジットが終わって、さぁ〜帰るか〜と席を立とうとしたとき、「特報」の文字で座り直す。
続編『ミレニアム 火と戯れる女』の予告編だった。
リスベットに危機が! おもしろそう〜! COMING SOONだって!!
そういえばリスベットの過去とかちゃんと明かされなかったもんね・・・気になるね・・・。
最後に宣伝を入れられるのは余韻をぶった切られるのであまり好きではないのだけど、これは素直に楽しみだ。
でもタイトルがちょっと安っぽくて損してると思うんだけど・・・なかなかにハードで重厚な作りの映画なのに、もったいない。

ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女
Man Som Hatar Kvinnor/The Girl with the Dragon Tatoo

(2009年 スウェーデン)
監督/ニールス・アルデン・オプレヴ
原作/スティーグ・ラーソン
出演/マイケル・ニクヴィスト(ミカエル・ブルムクヴィスト)
   ノオミ・ラパス(リスベット・サランデル)
   スヴェン=ベルティル・タウベ(ヘンリック・ヴァンゲル)
   エヴァ・フレーリング(ハリエット・ヴァンゲル)
   ペーター・ハーバー(マルティン・ヴァンゲル)
   マーリカ・ラーゲルクランツ(セシリア・ヴァンゲル)
   イングヴァル・ヒルドヴァル(フルーデ弁護士)
   ビヨルン・グラナート(モレル警部)
   レナ・エンドレ(エリカ・ベルジュ)
   ステファン・サウク(ヴェンネルストレム)
   ペーター・アンデ(ビュルマン)
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歓びを歌にのせて

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

オーケストラ指揮者ダニエル・ダレウスは、人気絶頂のさなか、心臓を悪くして倒れた。仕事をやめたダニエルは、7歳まで住んでいた小さな村で、独り暮らしを始める。ひょんなことから村の聖歌隊の指導を引き受けることになり、さまざまなトラブルが起こりながらも、皆の声をひとつにまとめ上げていく。

思ったこと

仕事に打ち込んで心身に無理をかけ、完璧を求めるあまりキーッとなってしまう。
倒れて、8年先まで埋まっていたスケジュール表が真っ白になり、自分のことを誰も知らない田舎の村に引きこもる。
一生懸命頑張ってきたけど、子供の頃に描いていた“音楽で人の心を開く”という夢は、実現できていなかった・・・。
なんだか人ごとではないような気がしてしまった・・・都会で仕事中心の生活をしている人には、身につまされるところがあるのではないかしら。
ダニエルは、寒村の閉鎖された小学校に引っ越してきて、シャツと裸足で外に出て、全身に舞い降る雪を受ける。
まったく違う世界で目を開き“生まれ変わる”、新しい生活の幕開けだ。

週に一回、村の老若男女が集まってワイワイと歌の練習をする聖歌隊は、利害のからまない趣味の集まりという感じで、私もちょっと参加したくなりました。
けっこう意見がぶつかり合ったり、ケンカしたりもして、気苦労もありそうだけど。
素人の集まりでしかなかった聖歌隊が、だんだんといいハーモニーを作っていく様はちょっとしたカタルシス。
ダニエルはちょっと好かれすぎだな〜、うまくいきすぎだな〜とは思うが。

あ〜こういう人いそう・・・と思わせるような人物がたくさん出てくる。
感じよさそうだけど実は高圧的な牧師、口うるさくてひがみっぽいハイミスのシヴ、人がいいけど無神経なところのあるアーンなどなど。
でも、スウェーデンって、フリーセックスの国なんではなかったっけ?
都会と田舎ではまた違うのかな?
けっこう堅苦しいことを言う人たちが多いのが意外。
変な邪推をする人は、自分たちが変な方向に想像力を働かせているというのが、見てて恥ずかしいね。

かわいいレナ。
ニコニコと分けへだてなく愛をふりまく、こんな人のところには、周りからの愛も集まってくるんだろうな〜。
湖畔でのムチッと健康的で現実感のあるヌード!
登場シーンで隠れるように泣いていた彼女の、涙の理由はかなり後で明かされるのだが、なにも脳天気でニコニコしていたわけじゃなかったのだね・・・。
心の中に痛みを抱えながらも、ニコニコしていられる・・・私もそういう人になりたいです。

ガブリエラ役のヘレン・ヒョホルムは、歌手としてのキャリアも長いらしい。
確かに、皆で発声練習している最初から、ちょっと目立っていた。
夫から暴力を受けてぼろぼろになったガブリエラが、とまどいながらも発表会で「私は私のために生きる」とソロを歌ったときは、自然に涙が込み上げてきたよ。

あと印象に残ったのが、牧師の妻のインゲ。
20年間、教条主義的な夫の良き妻を演じてきたにしては、なかなかはっちゃけたお方。
決して美人ではないのだが、人間的な魅力をすごく感じさせます。
夫と気持ちをぶつけ合ってベッドインした後、これで今日から何かが変わると思ったのに、結局夫は妻の気持ちを理解していないし変われない・・・そういうのって、なんだかリアル。

ハッピーエンドとは言えないかもしれないが、生きる希望というものを感じさせるラストだった。
レナ、元気を出せよ〜!

歓びを歌にのせて
Sa som i himmelen/As It Is in Heaven

(2004年 スウェーデン)
監督/ケイ・ポラック
出演/ミカエル・ニュクビスト(ダニエル・ダレウス)
   フリーダ・ハルグレン(レナ)
   ヘレン・ヒョホルム(ガブリエラ)
   レナート・ヤーケル(アーン)
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