ミケランジェロの暗号

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

1938年のウィーン。ユダヤ人画商のカウフマンは、400年前に盗まれたという幻のミケランジェロの絵を密かに所有していた。画商の息子ヴィクトルの親友ルディはナチス将校となり、絵の存在を密告する。絵をムッソリーニとの取引材料にしたいドイツは強制的に手に入れるが、それは贋作だった。強制収容所に入れられていたヴィクトルから本物の在りかを聞き出そうとするが・・・。

思ったこと

不穏な空気が高まる第二次世界大戦前夜のヨーロッパ。
裕福なユダヤ人画商一家の運命、使用人の息子の思惑、三角関係、ミケランジェロの絵の行方・・・とスリリングでドラマティックな要素たっぷり。
親友同士だったヴィクトルとルディの関係が、戦争開始とともに、ユダヤ人とナチス将校となる。
なんだか手塚治虫の『アドルフに告ぐ』を思い出したよ〜。
あっちにも確かカウフマンって姓が出てきたよね?

ストーリーはとてもテンポよく進んでわかりやすいけど、サクサク展開しすぎてちょっと軽い感じかな。
案外コミカルなところも多いし・・・。
強制収容所の話には過敏な私だが、収容所での描写がほとんどなかったこと、ヴィクトルがあまりやつれて見えなかったことから、まったく重苦しい気持ちにならないで済んだ。
とはいえ、ヴィクトルが父の死を聞くところではその気持ちに同調して涙がにじんだが、サクサクと次に進むので余韻がない。
気楽に見れていいといえばいいんだけど、ちょっと物足りない気がするなー。
大事なのではないかと思われる父の最期の言葉もうっかり聞き流してなんだったか忘れてしまった・・・あれがきっと後で効いてくるはず・・・と思っていたのにあれれ? 別段なくてもよかったんでは・・・?

ドイツとイタリアの代表が、ヒトラーとムッソリーニの会見について打ち合わせしていて、どっちが先に車を出るか、バックミュージックをつけるかどうかで言い争っているのが笑えた。
ヴィクトルとルディの入れ替わり劇もかなりコメディ調。
「ハイル・ヒットラー!」がだんだん板についてくるヴィクトル。
アーリア人とユダヤ人の違いといっても、しょせん制服次第でわからなくなる程度のもの・・・という風刺だよね。
恋人レナは最初見たとき、そんなにきれいな人じゃないなーと思ったんだけど、その後制服で出てきたらすごい似合っていてびっくり。
レナの再登場シーンはハラハラし、盛り上がった! そーこなくちゃ!

ミケランジェロの暗号
Mein Bester Feind/My Best Enemy

(2010年 オーストリア)
監督/ウォルフガング・ムルンベルガー
脚本・脚本/ポール・ヘンゲ
出演/モーリッツ・ブライプトロイ(ヴィクトル・カウフマン)
   ゲオルク・フリードリヒ(ルディ・スメカル)
   ウルズラ・シュトラウス(レナ)
   マルト・ケラー(ハンナ・カウフマン)
   ウド・ザメル(ヤーコプ・カウフマン)
公式サイト

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いのちの食べかた

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

私たちが毎日食べている野菜、果物、肉、魚・・・これらの食料が生産されている現場の映像を、淡々と積み重ねていくドキュメンタリー。

思ったこと

普段口にしているさまざまな食料がどのように作られているか、その現実の様子を見る機会ってそうそうない。
せいぜい、近所にある小さな畑とか家庭菜園、観光牧場や工場見学、おいしい食材を紹介する雑誌やTVなどの風光明媚な田んぼや畑の景色・・・。
だけど、当然のごとく、現代の食料生産の現場はもっと効率的でシビア。
既に知っている当たり前のことのようでいて、“生産工場”と表現するのがぴったりの光景をたたみかけるように見せられると、食欲が失せていき、あれがおいしいこれがおいしいとか言いつのる現代日本のグルメ全盛ぶりが本当にばからしいことのように感じられてくる。
やっぱ単に知識として頭で分かっているのと目で見るのとは違うなぁ(本当は直に見られるともっといいんだろうけど!)。
決して楽しい気分にはならないが、この世界に生きる一人として、観ておく価値があると思います。
時折挿入される、ごく普通の人々の決して豪華ではない食事風景・・・食事って本来こういう淡々としたものなんだよね。

ヒヨコって、とーってもカワイイ。
小さくて黄色いフワフワの姿もピヨピヨの鳴き声も奇跡のようにカワイイ存在。
そんなヒヨコも、チキンや卵産みマシーンになるために生まれ、モノのように扱われてベルトコンベアーで運ばれていく。
小さな檻や暗い部屋の中にひしめきあっているニワトリたち。
もちろんブロイラーや鶏卵が素敵な環境で生産されていないということくらい知識としてあるんだけど、なんとなくつい絵本や食品パッケージに描かれるような牧歌的な農村風景のイメージを頭に思い浮かべがちだった私はバカじゃなかろうか。

パプリカやトマト、リンゴ、レタス・・・きっかり規格を揃えられた農作物がハウスにぎっしりと並ぶ。
でも収穫は人の手でやんなきゃいけないのね。
ニュージーランドを旅行したとき、ワーキングホリデーでフルーツピッキングをしている人がたくさんいたのを思い出した。
一瞬楽しそうな感じがするけど、低賃金の単純作業だからけっこう大変なんだよな。

広大な畑に、金属の長い腕が伸びて散水する様子は、巨大ロボットを連想させた。
大きな魚を正確な動きでさばいていく機械も、まるでそれ自体が意思を持っているかのよう。

雄牛から精子を採取する様子はなんかショッキング。
台に固定されている雌牛に誘導されて乗っかかっていく雄牛・・・なんかレイプみたいで直視できない感じ。
しかし横に控えてタイミングをうかがっている人にサッと精子を採られてしまって哀れなのだった。
それから、牛の横腹を切り開いて赤ちゃんを取り出している様子にもビックリ!
な、内臓が出てる〜!
母牛は平然と立っているように見えるんだけど・・・麻酔が効いているんだよね??

公式サイトに書いてあったけど、日本は食糧自給率が低いくせに、世界で最も多く残飯を出しているんだって。
私はもともとモッタイナイ精神にとらわれている人間なので、そういうこと聞くと非常に憂える気持ちがあふれてきてしまうんだけど、具体的に何をすればいいんでしょうね?
おいしいものはもちろん好きなんだけど、毎日おいしくなくてもいいから、もっと世界全体にバランスよくなるといいなぁと思います。
ひとまず、肉は、食べるのなるべくやめることにしよっと・・・。

いのちの食べかた
Our Daily Bread

(2006年 ドイツ/オーストリア)
監督/ニコラウス・ゲイハルター
公式サイト

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