黒猫・白猫

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こんな話

ドナウ川のほとりに暮らす博打好きのマトゥコは、ヤクザのダダンを誘って貨物列車強盗を計画するが、ダダンに騙されて失敗。借金のかたに息子ザーレと、ダダンの嫁き遅れの妹アフロディタとの結婚を約束させられてしまう。ザーレの恋人イダ、祖父ザーリェ、“ゴッドファーザー”グルガ、そして動物たちが入り乱れての大騒ぎが始まる。

思ったこと

常軌を逸しているハチャメチャなハイテンション・コメディ。
登場するのはロマの人々ばかりで、ほとんどが素人俳優なのだという。
枠に収まりきらない空気は、そういうところからもきてるのかも。

廃車をぼりぼりと食べる豚、樹にくくりつけられて演奏するミュージシャンたち、おしりで釘を抜く歌手、ひまわり畑で追いかけ合う恋人たち・・・一つひとつのイメージが独特で愛おしい。
前半のザーレは子供っぽくて頼りない男の子って感じだけど、イダとカップルになって、強引な結婚式やお祖父ちゃんの死にまつわる騒動を乗り越え、きりりと力強くなっていく。
イダのパンツを頭にかぶってにやける姿も、少年だとさわやか・・・ってこともないか!?

入院しているお祖父ちゃんザーリェを迎えに、ザーレがミュージシャンたちを連れて行く。
病室でいきなり演奏が始まり、「ムジカ!」と目を覚ますザーリェ。
なんて粋な贈りものだろう!
そのまま退院してしまう道中で、「人生は素晴らしい!」と叫ぶザーリェ。
しかし同じザーリェが、外の世界に出ていく孫の背中を押し「ここには太陽がない」と言う。
あまりに陽気なコメディ映画なので、浮世離れした人々が脳天気でお気楽に暮らしているのかと思ってしまったけど、厳しい現実が裏に隠れているということだろうか。

『ムトゥ踊るマハラジャ』を彷彿とさせるダダン。
顔も動きも異様なハイテンションもおもしろすぎるんですけどー!
アヒルで身体を拭くシーンは最高!
ダダンの末の妹アフロディタは背がすごく小さくて、渾名が“テントウムシ”。
むっちりとした体型で、顔はそばかすだらけ、癇癪を起こして暴れると手がつけられない。
井戸につけるってひどすぎ・・・拷問?
しかしこの子が妙にかわいらしいんだなー。
切り株の中に隠れて逃げるシーン、見つかって声をたてるシーン、コミカルでいて「良かったね良かったね」と心がほわっとします。

動物がいっぱい出てきて賑やかなのも楽しい!
タイトルにもなっている黒猫、白猫はもとより、アヒルの群れ、犬、ヤギ、豚などなど、動物たちが画面を縦横無尽に駆け回る。
“ゴッドファーザー”グルガの家の庭にもアヒルがグァグァ群れていてやけに牧歌的だし。
イダと結婚するために神父を銃で脅すザーレが、左手にはかわいいヒヨコを持っているのも、意味わかんないけどおもしろい!

それから、この映画の魅力の大きな部分を担っているのが、いきいきとしたジプシーミュージック。
あまりに心騒がせる音楽なので、サントラも手に入れちゃいました。

黒猫・白猫
Crna Macka, Beli Macor/Black Cat, White Cat

(1998年 フランス/ドイツ/ユーゴスラヴィア)
監督/エミール・クストリッツァ
出演/バイラム・セヴェルジャン(マトゥコ)
   フロリアン・アイディーニ(ザーレ)
   ブランカ・カティッチ(イダ)
   ザビット・メメドフ(ザーリェ)
   サブリー・スレイマーニ(グルガ)
   スルジャン・トドロヴィッチ(ダダン)
   サリア・イブライモヴァ(アフロディタ/テントウムシ)
   ヤサル・デスターニ(グルガの孫)

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