冷たい雨に撃て、約束の銃弾を

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

マカオで家族4人が何物かに襲われた。かろうじて生き残ったアイリーンを訪ねて、フランスから父コステロがやってくる。夫と息子ふたりを失ったアイリーンのためにコステロは復讐を誓い、現地の殺し屋クワイ、チュウ、フェイロクの3人を雇う。

思ったこと

主人公はフランス人か〜。
かなりの部分をつたない英語で会話しているのが残念・・・どうしても内容が単純になるし、広東語がもっと聞きたいのに。
それにラスボスがなんだか小物だから、終盤でちょっと退屈してしまった。
とはいえ、やっぱりかっこいいシーンが満載!

ホテルの部屋のチェーンを外し、チュウが振り返り、ぐるりと回り込むカメラワーク。
コステロと3人が対峙するホテルの廊下。
そして地下道での会話。
なんでこんなに緊迫感があってかっこいいんだろう〜。
ターゲットを見つけ、夜の森での銃撃戦に至るまでの抜き差しならない空気にもどきどきした。
私的にはここがクライマックスだったな〜。
「家族が見ているから」というセリフにしびれる。
敵の3人は極めてフツーっぽい男たちなんだけど、その立ち姿、その眼差しが、なんだかかっこよく見える。
コステロ、クワイ、チュウ、フェイロクの4人が並んで立っているだけでもかっこよく見える。
役者それぞれの素材のおかげというわけでもないのに、いったいどういう仕組み? これが監督の手腕ってやつ?

一方で、思わず吹き出してしまうユーモラスさもあり、そのバランスが絶妙。
4人が銃弾で自転車を走らせるとことか、大きいサイコロ状のゴミをごろごろと運動会?みたいなとことか、ほんと、独創的だよね〜。
私もああいう状況に陥ったらくわえ煙草で余裕な顔して臨みたい・・・すごい胆力いりそうだけど。

食事シーンも見逃せない。
コステロの作ったパスタはとってもおいしそうだった〜!
夜の森でのバーベキュー、ビーチでの粗末かもしれないけど愛情に満ちたご飯、どちらもその場に参加したい感じ。
オープンエアでの食事は、普通より倍くらいおいしそうに見える!
私だったらとりあえず食べてから次のことを考えるけど〜。

それにしても、復讐の記憶が失われてしまった場合、どこに向かって行動すればいいのか。
この不思議な設定が、奇妙な味わいを生んでいた。
コステロが祈りを捧げているとき、アイリーンが現れたのにはビックリしたけど!
死んじゃったということ〜? それとも生き霊!?

冷たい雨に撃て、約束の銃弾を
復仇/Vengeance

(2009年 香港/フランス)
監督/ジョニー・トー
出演/ジョニー・アリディ(フランシス・コステロ)
   アンソニー・ウォン(クワイ)
   ラム・カートン(チュウ)
   ラム・シュ(フェイロク)
   サイモン・ヤム(ジョージ・ファン)
   シルヴィー・テステュー(アイリーン・トンプソン)
   ミシェル・イェ(ビッグ・ママ)
   フォン・ツイファン(トニー)
公式サイト

| | コメント (2) | トラックバック (0)

コネクテッド

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

天才ロボット設計者グレイスは何者かに誘拐された。閉じ込められた小屋の中で、壊れた電話機を修理してつながったのが、借金取り立て屋アボンの携帯電話。最初は半信半疑だったアボンだが、必死に助けを求めるグレイスのために奔走する。

思ったこと

見知らぬ赤の他人の死にそうな用事か、身内の死にそうにないけど大事な用事か、どっちを優先させるべきか究極の選択を迫られるストーリー。
最初から最後までドキドキする〜!!
いろいろな局面で携帯電話が重要な役割を果たすのが、現代ならではの展開でおもしろい。

何度も危機一髪の目に合うことになるアボンは、平凡で気の弱そうな男で、のび太ちっくな外見。
たまたま電話がつながっただけのグレイスのために奔走することになるのだけど、だんだんとのっぴきならない状況に巻き込まれていく様に、アドレナリンが噴出する!
頑張ったあげく「間に合わなかった」ということが多いのは笑えるんだけど。
道路逆走のカーチェイスは、すでにここで死人が出ているんじゃないか〜?という激しさ。
車が縦転して銃を手にしたところからアボンがふっきれる!!

携帯電話のバッテリが切れそうになるのも重大な危機だ。
のんびりしたショップ店員の質問に、だんだん目が据わっていくアボン。
ここのやりとりはかなり可笑しい!
他にも、「君を一生守るよ」と愛を語っていたカップルの男がまっさきに逃げていくところとか、細かい部分がよくできてるわ〜。

一番手に汗握るのは、山を転げ落ちていくところ。
ほんと、死ぬかと思った。
崖の上に立って携帯電話で交渉するアボンは、冒頭の姿とは打って変わってかっこいいわ〜。

まあ、なんで誘拐犯たちはグレイスを自由に動ける状態でひとり放置しておくのかとは思いますが。
黒づくめの集団が動き回るのも、いかにも目立って怪しいし〜。
誘拐犯のリーダーは、10年前は『山の郵便配達』で朴訥な息子だったリウ・イエ。
まあ〜こんなに悪く成長しちゃって・・・。

あと、北京語と広東語の使い分けがひとつのポイントになっているんだけど、これは、外国人にはさっぱりわからないよねぇ〜。
グレイスとアボンのやりとりで聞き間違いがやけに多いのは、携帯電話だし焦っているせいかと思ったのだけど、後から考えたらそういう理由もあったのかなぁ。

ラストシーンで思い出した言葉が、『スピード』でサンドラ・ブロックが言っていた「異常な状況で結ばれたカップルは長続きしない」(これ名言だよな〜)。
だってこのふたりが食事をしたとして、何の会話をするのか想像つかないもんね。
子供のこととか?

コネクテッド
保持通話/Connected

(2008年 香港/中国)
監督/ベニー・チャン
出演/ルイス・クー(アボン)
   バービー・スー(グレイス)
   リウ・イエ(アトン)
   ニック・チョン(ファイ警察官)
   チョン・シウファイ(チョン刑事)
   ウォン・チョーラム(携帯電話ショップの店員)
公式サイト

| | コメント (0) | トラックバック (0)

エグザイル/絆

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

中国返還間近のマカオ。母親と赤ちゃんのいるアパートに4人の男たちが訪ねてきた。ブレイズとファットはウーを殺すために、タイとキャットはウーを守るために・・・。ウーが帰宅すると、激しい銃撃戦が始まる。5人はかつての仲間だった。

思ったこと

全編を貫く緊張感。
そして、男たちが一丸となって戦う様にしびれる。
私は本来銃撃戦は好きではないんだけど、3すくみ、6すくみ、無数すくみ(?)の状態から、激しく銃弾が飛びかう空間にドアが舞う! カーテンが舞う! 空き缶が舞う!
多くを語らずともちょっとした動きや視線で仲間の考えを察知して動けるところがカッコイイ。
足手まといはひとりもいない・・・。
やってることはチョー人殺しなんですけどね。
途中で出てくるマカオ軍警察のチュンも、銃の腕前が抜群で、死線をくぐって生き残ったというだけでカッコよく見える・・・。
それから、皆さん40代くらいと推察するが、ときに子供か?というくらいはしゃいでじゃれあったりするところも微笑ましくてイイですな。
互いの腕も性格も知り尽くしている昔からの仲間なんだね。
顔が好みなのはタイ♡
ファットってやっぱデブだからその名前なの?
ただ素朴に不思議に思うのは、黒づくめの男どもが入り乱れる中で、誰を撃つべきで誰を守るべきかよく瞬時に判断できるな〜ということ。
私がこの中にいたらきっと間違えてそう・・・(ゴメンじゃ済まないよな)。

なごやかな音楽が流れるなか強面の男たちが家事をしているシーンは、その意味不明の唐突さに呆然としつつ、ギャップがおもしろくて目が釘付けに。
さっき鋭くナイフを投げたタイが、慣れた手つきで中華鍋をあおっている!
皆で箸をつつき合う大皿料理が妙においしそう・・・(中はよく見えなかったけど)。
料理が上手い男っていうのもポイント高いよ!

ボスのフェイ、股間を撃たれてすごく痛そうなのが笑えるほどおもしろかった。
絶品の痛がり演技だった。

ところで邦題について。
このタイトルだと「エグザイル」=「絆」って意味に見えてまぎらわしくな〜い?
私は「exile」という単語を知っていたはずなのに、片仮名の「エグザイル」からはなんとなく鎖、ザイルを連想させられたのもあってか、ぼんやりと勘違いしていた・・・ということを、オープニングで原題「放逐」というのが出てきたときに気付いた。
「/」が無ければまだマシだったかも。
ちなみに「exile」は「国外追放、流刑、追放人」という意味です。
「絆」という言葉はぴったりだと思うけど、さらにあてどのない、どこにも行き場のない気分が出ていて欲しかったかな〜って。

エグザイル/絆
放逐/Exiled

(2006年 香港/中国)
監督/ジョニー・トー
出演/アンソニー・ウォン(ブレイズ)
   フランシス・ン(タイ)
   ロイ・チョン(キャット)
   ラム・シュ(ファット)
   ニック・チョン(ウー)
   ジョシー・ホー(ジン)
   サイモン・ヤム(フェイ)
   リッチー・レン(チュン)
   ラム・カートン(キョン)
   エレン・チャン(売春婦)
公式サイト

| | コメント (0) | トラックバック (0)

墨攻

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

紀元前370年頃、春秋戦国時代の中国。趙と燕の境にある小国・梁は、10万人の趙軍に攻められる危機に瀕していた。墨家に援軍を頼んでいたが、やってきたのはみすぼらしい身なりの革離一人のみ。梁王から兵に関する全権を与えられ、城を守るために奮闘する。

思ったこと

紀元前4世紀頃というと日本では弥生時代、日本人がやっと集落を作って稲作に励んでいた頃に、すでに中国ではこんな激しく国盗り合戦やっていたのだね〜。
墨家の思想は“非攻”と“兼愛”ということだが、なんか納得できなかった。
革離は最初からかなり好戦的に見えたし、助けを求められたらどんな相手でも助けるって、つまり先に言ってきたほうを助けるってこと?
群雄割拠する戦国時代での平和って何だろ?
いっそどこかの国に統一されてしまったほうが、世は落ち着くんじゃないか?
革離は自分の作戦で敵が火だるまになっているのを目の当たりにしてショックを受けていたし、決して礼を受け取らないというポリシーをわりとあっさり翻したし、逸悦に特別な想いを抱くようになったし・・・で、もしかして墨者としてはまだ未熟な人なんかな?

城壁に囲まれた梁の国民はたったの4000人。
1回の戦闘だけでも(勝ったのに)、かなり人数が減ってしまったように見える。
その上、梁王は邪魔になった人間や生意気な人間にどんどん謀反の嫌疑をかけて排除していくんだから呆れてものもいえない。
こんなダメな国さっさと滅んじゃえばいいよ!・・・と私が見捨てるまでもなく、2千年以上前に既に滅んでいるから安心だ。
それにしてもストーリーが大ざっぱだなぁ・・・。
東伯というお爺さん兵士が死んで逸悦が嘆くが、そんないきなり出てきた人物には感情移入できませんなぁ。
梁適のあんまりな最期も、牛将軍のたくらみかと思えば、ただのミス? そんなのありですか?
終盤で、趙の名将・巷淹中がとった行動もよく分からないから盛り上がれない・・・。
なんで梁王がおめおめと生き残ってんだよ!?
このストーリーの消化不良感って、原作の小説やマンガを読めば解消されるのかしら・・・。

騎馬隊の紅一点、逸悦ってロマンス要員かな。
けっこう足手まといになっていたようだが・・・。
なぜ手をつないで逃げる(笑)。
ふたりが飛び降りる崖、高すぎて怖〜い、でも景色として非常に美しい!
あっさり逸悦に惹かれてしまう革離、今まで女性に免疫がなかったタイプだろうか。

もしも私が兵士だったら、どの役割がいいか考えた。
最初に突撃するのはやっぱりイヤだな〜。すぐ死んじゃいそうだから。
しかし石を運んで落とすばかりの奴隷もつまんないし・・・。
“高貴の象徴”である騎馬隊には憧れるが、弓矢隊のほうがかっこいい気もする。
信義に厚く寡黙で、狙ったものをはずさない弓の達人・・・(しばし妄想タイム)。
それか、軍略や布陣を考えるための城の模型を作る人でもいいな。

墨攻
墨攻/A Battle of Wits

(2006年 中国/日本/香港/韓国)
監督/ジェイコブ・チャン
原作/酒見賢一、森秀樹、久保田千太郎
出演/アンディ・ラウ(革離)
   ワン・チーウェン(梁王)
   チェ・シウォン(梁適)
   ファン・ビンビン(逸悦)
   ウー・チーロン(子団)
   チン・シウホウ(牛子張)
   アン・ソンギ(巷淹中)
公式サイト

| | コメント (0) | トラックバック (0)

剣客之恋

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

北宋の都・開封。高潔な包拯判官のもと治安が落ち着いていた。武芸に秀でた護衛官・展昭は義賊・白玉堂と出会い、義兄弟の契りを結ぶ。展昭は皇帝から“御猫”の称号を賜り、はじめ官僚を敵視していた白玉堂も皇帝の臣下となった。実は女だった白玉堂は展昭に惹かれていくが、展昭は月華と婚約する。

思ったこと

Kenkaku01セピア色がかった昔風の色調のなか、いきなりポップな音楽が流れたりするヘンなノリ、ストーリーはどうということもないが、ところどころおもしろい。
エンドクレジットで流れるNGカットで笑いの絶えない仲良さそうな撮影風景を見るにつけ、楽しい現場だったんだろうなぁと微笑ましい。
香港でヒットしたお正月映画ということで、まあそういう感じの軽いコメディです。
『三侠五義』という中国の古典小説が元ネタになっており、あちらの人たちにとってはおなじみのキャラが活躍するパロディという感じらしい。

アンディ・ラウ演じる展昭は剣の達人、セシリア・チャン演じる白玉堂は名を知られた義賊。
ふたりが互いの正体を知って、剣を交えるシーンはなかなか楽しい。
正体と言っても、展昭は白玉堂が男だと露とも疑っていないんだけどね・・・。
こちらは、美女の髭ファッション?と怪訝な気持ちで見ているのに、女と気付いていないなんて逆にびっくりだよ。
白玉堂のそばにはいつも数人の女の子がはべっていて、服を切られてしまったときにさっと隠すのはお約束か。
ここで女だとバレるかと思っていたら、展昭はまだ気付いていない・・・。
この女の子たち、日本の着物みたいなの(裾はミニ丈)を着てたりするのもヘンでおもろい。
月華ちゃん役のリー・ビンビンも、清楚な感じでかわいかったなー。

展昭は皇帝の前で剣技を披露したことから“御猫”の称号を頂いたため、「皇帝の猫め!」「猫ちゃん」などと呼ばれたりするのがユーモラス。
アンディ・ラウとアンソニー・ウォンの裸のつきあいシーンもなんかなごむ〜。

敵のアジトに仕掛けられた罠で、大きな石がゴロゴロ転がってきて追い詰められた展昭と白玉堂は、否応なく抱き合う格好に。
白玉堂「ちょっと、その手!」
展昭「何だ!」
白玉堂「やさしくして」
展昭「こう?」
・・・このやりとりに萌えたー!
白玉堂ってばツンデレ。

剣客之恋
老鼠愛上猫/Cat and Mouse

(2003年 香港)
監督/ゴードン・チャン
出演/アンディ・ラウ(展昭/ジン・ジャオ)
   セシリア・チャン(白玉堂/パイ・ユータン)
   アンソニー・ウォン(包拯/パオ・ジン)
   リー・ビンビン(月華/ユエホァ)
   チョン・ダッメン(皇帝)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ラスト、コーション

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

1942年、日本軍の占領下にある上海。傀儡政府のもと、特務機関の幹部を務めるイーは、4年前に香港で出会ったマイ夫人と再会し、激しく惹かれあった。実は、マイ夫人とはワン・チアチーが学生仲間とともに作り上げた架空の人物で、抗日組織のスパイとしてイー暗殺を狙って近づいたのだ。

思ったこと

はーどきどきしたぁー・・・いろんな意味で。
学生たちが思いつきのように企てるイー暗殺計画なんて穴だらけだし、田舎から出てきて間もないワン・チアチーが上流夫人を自然に演じられるわけないしで、絶対バレてるに違いない・・・バレてる、バレてるよ〜と気が気でなかった。
そんなんで騙そうとするのは無理あるってー。
しかし、イーは頭がよく鋭い人物として描かれてはいたが、よっぽどマイ夫人の魅力に惑わされていたということですかな・・・。

ワン・チアチー役のタン・ウェイがかわい過ぎて目が離せない。
農村時代のあどけなさ、抗日芝居を成功させた熱狂、理想と目的のためには手段を選ばない純粋さ、年月を重ねて愁いをおびた表情、歌い踊る姿、すらりとした肢体を際立たせるチャイナドレス・・・。
今回のトニー・レオンは、同胞の抗日運動を弾圧するコワイ男、イーを堂々と演じている。
仕立屋で、チアチーが美しい青のチャイナドレスを試着したとき、「そのままで」というイーの言葉にどきっ。
倒すべき敵である人物なのに、私はトニーさまファンなもんだから、ついつい最初から意識して見ちゃいます〜。
冷徹で厳しい態度をとりながらも、ふとこぼれるように見せる心の断片が、たまりません。

その後もどきどきは続く。
愛人になるしかないと覚悟を決めたチアチー、そこまでやるかー!? そして皆もさせるのかー!?
イーの言動一つひとつにびくびくしてしまい、私だったら泰然としているの、絶対ムリ・・・と思う。
人力車に乗って走るチアチー、いったいこの次の瞬間にどうなるのか、息が止まりそうな気分。

ベッドシーン、過激だと噂には聞いていたが、びっくりしたー。
トニーさま、そんな人だったとは思わなかったっ!
近年、ベッドシーンを赤裸々に描く映画が多いと思うけど、私としては正直、そこまで映してくれなくてもいいんですケド・・・って感じ。
なんかストーリー本筋から気がそれるし・・・身体やわらかいな〜とかそういう方向に感心しちゃったりして。

それにしても、女のスパイは信用ならないねっ!
色仕掛けで敵の要人に近づく作戦は、失敗することが多いんじゃないかという気がする・・・いろいろ映画を観ている限り。
最後の指令を出す、イーの暗い瞳が忘れられない。
そして、イー夫人がどこまで気付いていたのかも気になる。

上海の街の雑踏、麻雀卓を囲む夫人たち、夜の道を走る2階建ての路面電車、インド人の宝石商など、昔の中国を感じさせる雰囲気も十分に味わいました。

ラスト、コーション
色・戒/Lust, Caution

(2007年 アメリカ/中国/台湾/香港)
監督/アン・リー
出演/トニー・レオン(イー)
   タン・ウェイ(ワン・チアチー/マイ夫人)
   ワン・リーホン(クァン・ユイミン)
   ジョアン・チェン(イー夫人)
公式サイト

| | コメント (0) | トラックバック (1)

マイ・ブルーベリー・ナイツ

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

失恋したエリザベスは、元彼の部屋の向かいにあるジェレミーのカフェで、売れ残ったブルーベリーパイを食べる。毎夜のように訪れて、ジェレミーとの会話に慰められるエリザベス。しかし失恋から立ち直れないエリザベスは、アメリカを横断する旅に出る。

思ったこと

さすがウォン・カーウァイ、ゆらゆらざらざらとおしゃれな映像。
うーむポエミー。
舞台がアメリカになって、俳優が欧米人になって、言葉が英語になっても、受ける感触が同じですなー。
ただ今回は、撮影がクリストファー・ドイルじゃなかった。

どうでもいいことだが、私はアップルよりブルーベリー派だな、パイは。
なんでブルーベリーパイがいつも売れ残っちゃうんだろ?
でももし洋梨が並んでいたら、そっちを選んでしまうかも。
アイスはたっぷりと、生クリームは添えないでね。
やっぱその前にチーズケーキもいいかな・・・。
ジェレミーが食べていた、売れ残りのもっさりとした茶色いケーキも気になった。
心が弱っているときは甘いものをがっつり食べるのがいいよね・・・それにしても毎夜はヤバイんじゃ!? ダイエット的に。

ジュードのような店主がいるカフェが近所にあって、夜中にケーキを食べながらふたりでおしゃべりできるんだったら、私だって毎日通っちゃう。
そんでそんで、クリームつけたまま眠っちゃったりして・・・! なんちてなんちて。
ま、フツーに考えて、口の周りにクリームついたままの大人の女性がいたら引きますが。
キスシーンもジュードじゃなかったら、ドン引きですが。
逆に言うと、引かせなかったふたりはスゴイ。

「1日目、ニューヨーク州コニー・アイランド」
「57日目、ニューヨークから1120マイル、メンフィス」
「251日目、ニューヨークから5603マイル、ラスベガス」
・・・と、エリザベスのあてどない彷徨は続く。
離婚した妻のスー・リンが忘れられずアルコール依存症になったアーニー、人間不信をあらわにするギャンブラーのレスリー、それぞれの地でのエピソードはしんみりさせる。
だけど、エリザベスはすっかり脇役になって埋没してしまってる感じで、なんだか全体にブツ切れ感。
ナタリー・ポートマンは美しいが、不良少女っぽい役はあまり似合わない気がするなぁ〜。

エリザベスから葉書を受け取り、手当たり次第にメンフィスのバーに電話をかけまくって、ようやく見つけたエリザベスに(人違いだったんだが)すごくうれしそうに話しかけるジェレミーにキュンとした♡
これってエリザベスには知ることのできない場面・・・もったいない!

マイ・ブルーベリー・ナイツ
My Blueberry Nights

(2007年 フランス/香港)
監督/ウォン・カーウァイ
音楽/ライ・クーダー
出演/ノラ・ジョーンズ(エリザベス)
   ジュード・ロウ(ジェレミー)
   デヴィッド・ストラザーン(アーニー)
   レイチェル・ワイズ(スー・リン)
   ナタリー・ポートマン(レスリー)
公式サイト

| | コメント (0) | トラックバック (0)

變臉 この櫂に手をそえて

お気に入り度 ★★★★★

こんな話

貧しい大道芸人のワンは、仮面を早変わりする“變臉(変面)”の名人で、変面王と呼ばれていた。後継者を切望し、人買いから8歳の子供クーワーを買うが、男の子のふりをしていた女の子ということが分かる。怒って捨てようとするものの、「捨てないで」とすがりつくクーワーを振り切れず、使用人としてそばに置くことにした。

思ったこと

Henmen01泣かされた・・・。
最初から最後まで、ほぼずっと泣かされた・・・。
いかにもな話だと言われればそのとおりなんだけど、皆がいい表情してるんだ。
けなげな老人と子供と動物には勝てませんな。

泣きポイント1:出会い
遠い昔に妻は去り、大事にしていた一人息子も病で失って孤独なワン老人は、門外不出の芸を伝えるべき男の孫を欲している。
幼いのに今までに7回も売られ、虐待も受けていたクーワーは、落ち着ける居場所と温かさを求めている。
出会うべくして出会ったような二人。
巨大石仏のところで「ヤーヤー!ヤーヤー!(おじいちゃん)」とうれしそうに叫ぶクーワーの声、目を細めるワン老人の表情が胸を突きます。

泣きポイント2:女という運命
理想的な孫として皆に自慢していたクーワーが、実は男のふりをしていた女の子だったということが分かる。
何故そんな騙すようなことをしたかというと、女の子だと捨てられちゃうから・・・。
喜びが大きかった分、ワン老人の失望は深い。
でも、女に生まれたというだけで、存在を否定されてしまうクーワーも哀れ・・・。
孫から使用人になって、ワン老人を「ご主人様」と呼び、かいがいしく世話をやくクーワーの姿がけなげすぎ。
一時の怒りが収まって、「おまえが男だったらな・・・」としみじみ言うワン老人には確実に愛情が芽生えているのだが、住処である小舟の火事が穏やかな時間を終わらせる。

泣きポイント3:覚悟
誘拐罪の疑いで警察につかまり、拷問のすえ処刑されてしまうことになったワン老人を助けるため、クーワーは身を捨てるほどの覚悟を見せる。
これまでワン老人にすがって役に立とうと必死だったのは、自分が生き抜くためのしたたかさという面も強かったと思うけど、ここまでくると完全に自己犠牲。
こんな小さな子がね・・・既に2回も捨てられてるのにね・・・。
逆に、無実の罪に問われたのはクーワーのせいだともいえるのだが、ワン老人は「おまえには芸を仕込んだ。それで強く生きていけ。将軍(サルの名前)のことは頼む」と、芸を絶やしてしまう絶望のなか、決してクーワーを憎むわけではない。

泣きポイント4:大団円
良かったね・・・良かったね・・・。
映画が始まる前に「文部省推薦」という文字がでかでかと出たので、ひどいラストにはならないだろうと予想してたとはいえ、いやー、やきもきさせられました。

“變臉(変面)”とは、奇怪な絵の面を顔に貼り付け、手をさっと振っただけで早変わりさせていくという芸。
ほんと不思議、おもしろい。
これを見るだけでも価値があると思います。

クーワー役の女の子は、現実に親元を離れて雑技団に入れられていた子とのこと。
その姿、発する言葉が胸を打ってしょうがないのは、本物の感情に裏付けられているためか。
とはいえ、卑屈な感じはまったくなく、登場時から目を引きつける生命力にあふれた面構え、放っておけないけなげさは、天性のものだと思わせる。
大道芸として見せる柔軟技もサスガだよ!

“人観音”と呼ばれる京劇のトップ女形、リャン・スーランも興味深い人物だ。
付き人が脇でコートを持って控えているような完全なセレブなのに、浮浪者のようなワン老人に敬服し、「兄弟としてつきあおう」と言われても「私のような半分女のような人間に、もったいない・・・」と卑下する。
1920年代という時代のためか、男女差別がすごくはっきりしているのにもびっくりでした。
もちろん、現代の映画だから、それだけじゃ終わらないけどね。

あと、忘れちゃならないのが、サルの演技がすごいこと!
本当に言葉や気持ちが通じてるみたいなんだよ〜。

變臉 この櫂に手をそえて
變臉/The King of Masks

(1996年 中国/香港)
監督/ウー・ティエンミン
出演/チュウ・シュイ(ワン)
   チョウ・レンイン(クーワー)
   チャオ・チーカン(リャン・スーラン)
   チャン・ルイヤン(ティエンシー)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

傷だらけの男たち

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

3年前に恋人が自殺したショックから立ち直れず、ポンは刑事を辞職して私立探偵になり、酒に溺れる毎日。かつてのポンの上司で今は親友としてつきあっているヘイは、億万長者の娘スクツァンと結婚し幸せな生活を送っていた。ある日スクツァンの父チャウと執事マンが強盗に殺されてしまう。警察の見解に納得できないスクツァンは、ポンに事件の捜査を依頼する。

思ったこと

トニー・レオンと金城武は『恋する惑星』の頃から何本もの映画で観てきているが、昔は特にどうとも思ってなかったのよね。
しかし、『インファナル・アフェア』でトニー、『LOVERS』で金城くんの魅力にいきなり目覚めてしまったの・・・!!
どちらも若いときよりずっとステキになったと思う〜!!
その二人が共演、しかも監督は『インファナル・アフェア』の人と聞いたら、期待しないでおられましょうか。
・・・と盛り上がっていたものの、映画全体としてはそれほどでもなかったかな・・・。
映像と音楽はかっこよかったし、影のある香港の風景も味わいがあるが、なんか物足りない。
最初から犯人は分かっているので謎解きの引っ張り感がないし、動機もそんなところだと思ってたよって感じの予想範囲内。
でもまあ、トニーと金城くんをたっぷり見られたので満足ですじゃ。

ポンのような状況で恋人を失ったら、さぞやつらいだろうな〜と思う。
「彼女とは合わないことが分かった」と関係に悩んでいたときだから余計に。
自殺した彼女、ヒドイ。
ポンは酒びたりで、社会から外れて、フォンに対する態度なんかも最初のうちはダメな感じなんだけど、助けたいという気持ちをくすぐられる。
ま、金城くんだからな・・・。

エリート刑事のヘイ役、メガネをかけたトニー・レオンはクールだなー。
スクツァンに対する気持ちに気付くシーンは切ない。
違う人生も選べたかもしれないのに・・・。

傷を抱えた二人の男が選んだ対照的な道。
復讐は生き抜く原動力となりうるだろうけど、思いを遂げた後に残るのは虚しさのみ。
それが分かった上でやらないではいられなかったのかもしれないが。

展開や人物が入り組んでてちょっと分かりづらかったのも、観後感がスッキリしない要因だ。
ニット帽の男って何だったのかな?
ヘイがスクツァンに薬を飲ませていた理由がイマイチ?
復讐すべき相手はチャウとマン以外にもいたんじゃ?
それに中国系の名前って、チャウとかチャンとかチョイとか、まぎらわしいっ。
話が佳境に入ったときに混乱したじゃんか。

ところでこの映画もディカプリオ主演でリメイクが決まっているんだってね。
いいかげんにしろよな〜って感じ、ハリウッド・・・。

傷だらけの男たち
傷城/Confession of Pain

(2006年 香港)
監督/アンドリュー・ラウ、アラン・マック
出演/トニー・レオン(ラウ・チンヘイ)
   金城武(ポン)
   シュー・ジンレイ(スクツァン)
   スー・チー(フォン)
   チャップマン・トウ(チョイ)
公式サイト

| | コメント (0) | トラックバック (0)

インビジブル・ウェーブ

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

香港のレストランでコックとして働くキョウジは、ボスの妻セイコと不倫関係にある。キョウジはボスから命じられて彼女を殺害し、プーケットへと逃亡する船上で、赤ちゃんを連れた魅力的な女性ノイと親しくなった。

思ったこと

同じ監督・脚本・撮影・主演の前作『地球で最後のふたり』がかなり良かったので、期待して観に行った、けど、ちょっと不発だったね・・・。
前作で素晴らしいと思った、異国にいることの“リアル”、その感触は本作にもしっかり存在したのだけれども。
ノンネイティブ同士の英会話は、アメリカやイギリスの映画と違って完璧に聞きとれる。
あのボキャブラリー少なめで訥々とした喋り方、登場人物の演劇的ではないたたずまい、そして何が何だか分からないまま巻き込まれるトラブルが、自分が旅しているときの気分を強烈に想起させるんだよねー。
また、はっきりとした展開のない中を浮遊している感じ、脈絡のないエピソードは、悪い夢を見てるっぽいとも言える。
私はこういう気分をもっと欲しているんだけど、どうして日本映画では得られないんだろう?

例によって何の予習もせずに観始めたところ、話の流れがよく理解できなかった。
たぶんそういう作りの映画なんだろう、後半でいろいろ分かるのだろう・・・と思っていたのに、結局最後まで納得できないままの部分が多かった。
まず私は、殺人は誰の意図によるものなのだろう?それとも事故?ボスには隠してるのかな?キョウジはこういうことに慣れてる裏社会の人?プーケット行きは仕事の続き?でもその仕事の依頼者は誰?ということをずっと考えていたんだよね。
後半の成り行きにとまどいながら、観終わって映画解説とか監督インタビューに目を通したら、ストーリーが自明のことのように書いてあるじゃん。
そんなん、分かんなかったよ・・・。
あらすじとか事前に読んでないと把握できないのって、映画としては失敗だと思うのだけど(それとも私の理解力不足!?)。
そういうわけで、浅野忠信演じるキョウジの心情をおしはかることができず、謎の人にしか見えなかった。
ボスと対峙してても緊迫感ないし・・・(スープを放っておけないコックっぷりには笑っちゃったけど)。
それにしても、キョウジとノイの出会いにはどういう意味が?
まさか偶然ってことはないよねぇ〜。

浅野忠信の顔がアップで映された瞬間、少なからぬ衝撃が!
なぜなら、うちの叔父を彷彿とさせたから・・・。
ええ〜、浅野くんてもっとカッコよくなかったっけ〜? 生え際がぁ〜。
でも、胸から膝までを切り取ったように映したシーンが幾度かあり、身体の線にちょっぴり萌え♡
浅野忠信は、どんな映画に出ていても、本人素のままという雰囲気がある。
作品によっては「またか」って思ってしまうこともあるのだけど、今作では合ってたと思う。
「よちよち〜」みたいな感じで赤ちゃんに話しかける浅野くん、微笑ましい♡

頭に包帯を巻いた僧侶が後ろ姿で登場したとき、これって、この声って、『インファナル・アフェア』のサムおやじだ〜!!
と声だけで気付くなんて、私にしては珍しい。
と思って、エリック・ツァンの出演作をちょっと調べてみたら、『君さえいれば 金枝玉葉』『ラブソング』『不夜城』などけっこう観てるのに、全然覚えてなかったことが分かった・・・。

カン・ヘジョンの存在には期待したけど、この映画ではかわいいだけだったな〜。

カラオケ好きのリザードが着ていた、惑星柄のアロハシャツ、欲し〜。

インビジブル・ウェーブ
Invisible Waves

(2006年 タイ/オランダ/香港/韓国)
監督/ペンエーグ・ラッタナルアーン
脚本/プラープダー・ユン
撮影/クリストファー・ドイル
出演/浅野忠信(キョウジ)
   カン・ヘジョン(ノイ)
   エリック・ツァン(僧侶)
   光石研(リザード)
   トゥーン・ヒランヤサップ(ウィワット)
   久我朋乃(セイコ)
   マリア・コルデーロ(マリア)
公式サイト

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧