レジェンド・オブ・フィスト−怒りの鉄拳−

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

1925年の上海。日本軍へのレジスタンス活動をするチェン・ジェンは、フランスで戦死した仲間になりすまし、ナイトクラブ「カサブランカ」を経営する有力者リウに近づく。一方で“仮面の戦士”に扮し、反日中国人を処刑しようと計画する日本軍に対抗するが・・・。

思ったこと

チェン・ジェンという主人公がなんか過去を抱えた特別な人っぽいけどなんだろう?と思っていたら、『ドラゴン怒りの鉄拳』の続編という位置づけだったのかー。
そういえば最後らへんで、いわゆる怪鳥音を発していたな・・・。
ブルース・リーの演じた伝説のヒーローかー。
ずっと昔に観た気がするけどまったく内容思い出せないわ~。

冒頭、第一次世界大戦では中国人労働者たちがヨーロッパ戦線で過酷な労働をさせられていた・・・という重い歴史が語られるので、そっか、大変だ・・・と思っていたら、ドニー・イェンがいきなり銃を持った兵士たちをカンフーで倒し始めたから「えっ(笑)」とびっくりした。
“仮面の戦士”の衣装でポーズを決めるドニー・イェンにも笑みを誘われる。
アクションシーンは確かにかっこいいんですけどね、いろいろ突っ込みどころが多すぎて、闘いのストーリーに乗っていけないんだよね〜。
日本軍がひどい悪役なんだけど、リアルな感じがしないから、心が痛くならない。

ヤマグチ・ユミが日本人だというのも無理があるなー。
日本語をしゃべっているって最初分かんなかった・・・なんで中国語なのに字幕出ないんだろうと思ったくらい・・・。
それから「クモコ」という名前も出てきたようだけど・・・雲子? 蜘蛛子?

道場で力石大佐が「みんな出ていけ!」と怒鳴ったら、今やられたばっかりの部下たちが起き上がってわらわらと出て行ったのにはプッと吹き出してしまった。
元気なんじゃーん。
一応シリアスなクライマックスのはずなんだけど・・・。

それにしてもアンドリュー・ラウ監督は『インファナル・アフェア』の1と2がすごい傑作だったので、その後毎回期待しつつ観るわけだが、なんだかいつもイマイチだな〜・・・。
あのときだけのマグレなの??

レジェンド・オブ・フィスト−怒りの鉄拳−
精武風雲・陳真/Legend of the Fist:Return of Chen Zhen

(2010年 中国)
監督/アンドリュー・ラウ
出演/ドニー・イェン(チェン・ジェン)
   スー・チー(キキ)
   アンソニー・ウォン(リウ・ユティエン)
   木幡竜(力石大佐)
   ホアン・ボー(ホアン警部)
   ショーン・ユー(曾将軍)
   AKIRA(日本軍人・佐々木)
公式サイト

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コネクテッド

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

天才ロボット設計者グレイスは何者かに誘拐された。閉じ込められた小屋の中で、壊れた電話機を修理してつながったのが、借金取り立て屋アボンの携帯電話。最初は半信半疑だったアボンだが、必死に助けを求めるグレイスのために奔走する。

思ったこと

見知らぬ赤の他人の死にそうな用事か、身内の死にそうにないけど大事な用事か、どっちを優先させるべきか究極の選択を迫られるストーリー。
最初から最後までドキドキする〜!!
いろいろな局面で携帯電話が重要な役割を果たすのが、現代ならではの展開でおもしろい。

何度も危機一髪の目に合うことになるアボンは、平凡で気の弱そうな男で、のび太ちっくな外見。
たまたま電話がつながっただけのグレイスのために奔走することになるのだけど、だんだんとのっぴきならない状況に巻き込まれていく様に、アドレナリンが噴出する!
頑張ったあげく「間に合わなかった」ということが多いのは笑えるんだけど。
道路逆走のカーチェイスは、すでにここで死人が出ているんじゃないか〜?という激しさ。
車が縦転して銃を手にしたところからアボンがふっきれる!!

携帯電話のバッテリが切れそうになるのも重大な危機だ。
のんびりしたショップ店員の質問に、だんだん目が据わっていくアボン。
ここのやりとりはかなり可笑しい!
他にも、「君を一生守るよ」と愛を語っていたカップルの男がまっさきに逃げていくところとか、細かい部分がよくできてるわ〜。

一番手に汗握るのは、山を転げ落ちていくところ。
ほんと、死ぬかと思った。
崖の上に立って携帯電話で交渉するアボンは、冒頭の姿とは打って変わってかっこいいわ〜。

まあ、なんで誘拐犯たちはグレイスを自由に動ける状態でひとり放置しておくのかとは思いますが。
黒づくめの集団が動き回るのも、いかにも目立って怪しいし〜。
誘拐犯のリーダーは、10年前は『山の郵便配達』で朴訥な息子だったリウ・イエ。
まあ〜こんなに悪く成長しちゃって・・・。

あと、北京語と広東語の使い分けがひとつのポイントになっているんだけど、これは、外国人にはさっぱりわからないよねぇ〜。
グレイスとアボンのやりとりで聞き間違いがやけに多いのは、携帯電話だし焦っているせいかと思ったのだけど、後から考えたらそういう理由もあったのかなぁ。

ラストシーンで思い出した言葉が、『スピード』でサンドラ・ブロックが言っていた「異常な状況で結ばれたカップルは長続きしない」(これ名言だよな〜)。
だってこのふたりが食事をしたとして、何の会話をするのか想像つかないもんね。
子供のこととか?

コネクテッド
保持通話/Connected

(2008年 香港/中国)
監督/ベニー・チャン
出演/ルイス・クー(アボン)
   バービー・スー(グレイス)
   リウ・イエ(アトン)
   ニック・チョン(ファイ警察官)
   チョン・シウファイ(チョン刑事)
   ウォン・チョーラム(携帯電話ショップの店員)
公式サイト

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レッド・クリフ part II −未来への最終決戦−

お気に入り度 ★★☆☆☆

こんな話

赤壁で対峙する魏・曹操の軍vs呉・孫権と蜀・劉備の同盟軍。敵陣をスパイする尚香。魏の軍で疫病が流行り、死体が送りつけられてきて、連合軍にも疫病が蔓延した。戦意を失った劉備軍は撤退する。孔明は残って10万本の矢を調達し、風の動きを読む。周瑜は敵の武将を謀殺する。そして決戦のときが近づいた。

思ったこと

未来って最終決戦って・・・だってこれって1800年も昔で、多くの人が成り行きを知ってる話なんでしょ?
それに冒頭、「この不況の時代、一人ひとりが勇気をもって未来を作ろう! byジョン・ウー」的なメッセージが入っていたが、ウッセーなんであんたにわざわざそんなことを言われなきゃなんないんだよ!と思った。

元気な尚香ちゃんはかわいくて好きなのだが、男だらけの敵陣に入り込んで気付かれないなんてことがあるのだろうか?
蹴鞠が得意な叔材と仲良くなる尚香ちゃん・・・これって友情? それともラブのエピソード?
姫の相手としては不足だな・・・。
スパイ活動を手伝わせ、窮地を助けてもらい、あげくは「きっと帰ってくる」とか適当なこと言って〜!
次に会うときは殺し合わなきゃいけない敵同士だというのは自明なのに、そんなことは考えてもいなそう。
友情にしてもラブにしてもぬるいから、まったくもって感情移入できません。
スパイから戻ってきて、腹に巻いた布をくるくる回りながら披露する、ヘソ出し尚香ちゃん。
何だそりゃ〜(笑)。
しかし、上着をそっとかけてあげるお兄ちゃんには、ちょっとグッときた。

冬至のお団子のシーン。
小学生の頃、給食でフルーツポンチ(白玉団子入り)が大人気で、男子が配膳係をやると自分らの仲間にばかり白玉団子をたくさん入れてイヤだった〜、ひとり3つずつです!・・・という思い出がよみがえったよ。
皆からお団子を分けてもらう周瑜・・・尚香ちゃんや孫権からも分けてもらう周瑜・・・お団子大好きな人なの?

周瑜の嫁、小喬は美女だとは思うが、なんかウザイ。
病人を看病しながらそっと涙ぐむところなんか、これ見よがしな感じで〜。
「あなたの心を乱さないためにお腹に子がいることを黙っていた」と言うならずっと黙っていればいいのに、最高に心を乱させるタイミングでの告白・行動。
そんなに重要人物なのか〜? その女。

今回、曹操がけっこうアホっぽくてかわいかった。
「処刑しろっ!」「(やっぱり)待てっ!」って・・・ちょっと笑っちゃうんですけど。
「華陀を呼べっ!」って言うからてっきり毒でも盛られたかと思ったが、なんだったの?
あと「劉備!?」って声が裏返っちゃうところもおもろい。
「一杯のお茶のせいで戦いの機を逃した」って本気で言ってるのかな・・・?

劉備たちの動きは「え?」という感じで、どうせなら、なんかもっと効果的な演出があったんじゃなかろうか。
ドッカンドッカンと爆発・炎上が見どころなのかもしれないが、派手なばかりで私はあんまり盛り上がれない〜。
周瑜と趙運はめちゃ強いな! こういうのがもっと見たいんだけど。
しかし大将とか将軍がそんな最前線に出ちゃっていいわけ〜?
赤壁の戦いの間、孔明はひとりお留守番をしていたのだろうか?

なんか・・・ずっと思っていたんだけど、周瑜と孔明がふたりで話すとき、顔を近づけすぎだよね・・・それは恋人たちの距離だよ! 周りには静かな空間が広がっているのに!
アップだとトニー・レオンのお肌がちょっと荒れてるのが気になるんだよナー。

レッド・クリフ part II −未来への最終決戦−
赤壁/Red Cliff

(2008年 アメリカ/中国/日本/台湾/韓国)
監督/ジョン・ウー
出演/トニー・レオン(周瑜)
   チャン・チェン(孫権)
   ヴィッキー・チャオ(孫尚香)
   中村獅童(甘興)
   リン・チーリン(小喬)
   ホウ・ヨン(魯粛)
   金城武(孔明)
   ヨウ・ヨン(劉備)
   フー・ジュン(趙雲)
   バーサンジャブ(関羽)
   ザン・ジンシェン(張飛)
   チャン・フォンイー(曹操)
   ソン・ジア(驪姫)
   シェ・ガン(華陀)
   トン・ダーウェイ(叔材)
公式サイト

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レッド・クリフ part I

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

208年、中国・後漢王朝の末期。北部を制圧した魏の曹操は、80万の兵を率いて南部へと出陣する。多くの民を連れた劉備軍は、長坂において大敗を喫した。孔明は呉の孫権のもとへ赴き、共に曹操と戦おうと説く。呉の軍師・周瑜の賛助を得て両軍は同盟し、赤壁の地にて曹操の兵を迎え討つ。

思ったこと

最初に基本的な国の勢力図と登場人物の説明があります。
また、主要キャラが出てくると名前が添えられるので、分かりやすいです。
なんだかな〜、ゲームの解説みたいっつーか、連続ドラマの続きみたいっつーか。
でもおかげで、三国志についてほとんど知識のない私でも全然大丈夫。
派手で迫力ある映像満載で、2時間半飽きさせないが、それほど盛り上がりはしなかったな・・・。
タイトルは『赤壁』のほうが重厚でいいのに〜と思っていたが、結果的には『レッド・クリフ』がお似合いな雰囲気であった。
武将たちが、それぞれ超人的な戦い方をするのはおもしろい。
“鏡でまぶしい作戦”すごい必殺技っぽくて笑った。
周瑜と孔明が琴セッションで会話してて笑った。
風光明媚な川に曹操軍の船が延々と連なっている光景は、ファンタジー映画のように幻想的。
“八卦の陣”って、巨大マスゲームみたい。
これ、本当に人で作ったんかな・・・すげーな。

キャラとして気に入ったのは関羽!
眉ひとつ髭ひとつ動かさず、踊るように敵をなぎ倒す! 槍ぶんぶんと!!
旗を拾って掲げたところもカッコイイ〜ッ。

私はトニーさまファンだけど、今回の髪型はあんまり似合ってないように思った。
生まれた仔馬の名前は萌萌(モンモン)、というところで思わず吹き出す。
・・・けど、ここ笑うとこじゃなかったかな? 他に笑ってる人いなかった・・・。
周瑜の妻、小喬が絶世の美女だか何か知らないが、いちゃいちゃ仲むつまじいシーン、かなりどうでもいい〜。
トニーさまのベッドシーンはもうおなかいっぱいだよ!(『ラスト、コーション』で)
それよりも戦の話をしようよ!
「1本のワラはすぐちぎれるが、何本も束ねてわらじにしたら丈夫になる」
日本では毛利元就の3本の矢が有名だが、実はチンギス・ハーンも子供たちに5本の矢に例えた話をしたとかで、これはもっと昔ってこと?
私もいつか年をとってエラくなったら、ここぞというときに、若者たちに向かって言ってみた〜い。

金城くんは・・・美形だし好きなんだけど〜、きらきらした瞳とにやっとしがちな口元、あまり知略に富むタイプに見えない・・・。
トニーさまが孔明役のほうが似合ったんじゃないかな〜。
でも周瑜のほうが活躍する役だしね・・・。

なんだか総じて、キャラを見る映画だったという感じ。
もっともっと活躍してほしい人:関羽
たぶん大食いなんだろうな〜と思わせる人:張飛
結婚したら頼りになりそうな人:趙雲
言われるほど役に立っていないように見える人:孔明
悩みを聞いてあげたい人:孫権
存在を忘れてしまいがちな人:劉備
友達いないと何回も言われてちょっと同情しちゃう人:曹操
日本人(倭寇?)でも中国で強く生きていけることを見せてほしい人:甘興

じゃじゃ馬の尚香ちゃんはかわいかったな。
将来、劉備と結婚・・・しないという展開でもいいんじゃないかな!

レッド・クリフ part I
赤壁/Red Cliff

(2008年 アメリカ/中国/日本/台湾/韓国)
監督/ジョン・ウー
出演/トニー・レオン(周瑜)
   チャン・チェン(孫権)
   ヴィッキー・チャオ(孫尚香)
   中村獅童(甘興)
   リン・チーリン(小喬)
   ホウ・ヨン(魯粛)
   金城武(孔明)
   ヨウ・ヨン(劉備)
   フー・ジュン(趙雲)
   バーサンジャブ(関羽)
   ザン・ジンシェン(張飛)
   チャン・フォンイー(曹操)
   ソン・ジア(驪姫)
   シェ・ガン(華陀)
   ワン・ニン(献帝)
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雲南の少女 ルオマの初恋

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

中国雲南州の山間部に暮らすハニ族の少女、17才のルオマ。町で焼きトウモロコシを売っているときに、写真館を営む青年アミンと出会う。アミンに誘われて、外国人観光客の記念写真に一緒に写ってお金をもらう仕事をするルオマ。だんだんとアミンに惹かれてゆくが、都会に住むアミンの恋人リリが現れた。

思ったこと

Ruoma01みずみずしい緑の山間に棚田が折り重なり、眼下に雲が漂う様はまるでファンタジー世界のよう。
今この時にも、こんな美しい村が実在するなんて・・・。
水牛を引くお爺さん、仔牛に着せてやる服、あぜ道を行くルオマ、すがすがしい山の空気。
ああ〜心洗われる〜。
ルオマがアミンに借りたカセットプレーヤーからエンヤの楽曲が流れると、この世のものとは思われないほど幻想的だ。
ところで、棚田の風景は懐かしい何かを思い出させる・・・なんだっけ?と考えたところ、等高線で切った厚紙を積み重ねて貼る地図の模型だった。
小学生のとき、あれ作るの、けっこう好きだったな〜。

タイトルに“ルオマの初恋”とあるから、この純朴でかわいらしいルオマの初恋の相手は誰だ?こいつか?それともこいつ?と厳しい目で観ていたのだが・・・うーん、アミン・・・この都会出身の長髪でお金のないアーティストくずれかぁ〜。
あとはもう、ルオマだまされないで、あまりひどく傷つけられないで・・・と一心に祈るような気持ち。
ルオマの初恋が成就しないと決めつけてしまってるようで悪いけど、でも難しいよなぁ・・・。
アミンも悪いやつではなさそうだが、ルオマがあまりにかわいいものだから心配で心配で・・・。

都会帰りのルオシアから聞いた“エレベーター”というものに憧れを募らせているルオマ。
「エレベーターに乗せてやるよ」
!!!
アミンは何気なく約束したのだろうけど、ルオマにとってそのセリフが意味するのは・・・。

ルオマ役のリー・ミンは、今作がデビューとなるハニ族の高校生だそう。
無垢な少女のみずみずしさと透明感は正真正銘の本物だ!
そして、ただ役柄と近いだけの素人ではない証拠に、ルオマとしての気持ちをじんじんと感じさせてくれる。
はにかんでうつむく笑顔・・・現代日本ではもはやお目にかかれない初々しさ!
喜びのあまり叫びながらあぜ道を走る姿は愛しくてたまらない!
そして田んぼで泣く姿・・・。

ハニ族の風習も興味深い。
カラフルな民族衣装はなんといっても美しいし。
「麗しき乙女たちよ、嫁いできておくれ」「たくましい若衆よ、娶っておくれ」と若い男女が歌い交わし、その後は泥かけ祭り!
このとき、好きな相手にはいちばん先に泥玉をぶつけるんだそう・・・。
ルオマ・・・ルオマ・・・必ず幸せになってほしいと祈らずにはいられない(架空の人物だけど)。

雲南の少女 ルオマの初恋
女若瑪的十七歳/When Ruoma Was Seventeen

(2002年 中国)
監督/チアン・チアルイ
出演/リー・ミン(ルオマ)
   ヤン・チーカン(アミン)
   シュー・リンユエン(ルオシア)
   リー・ツイ(ルオマの祖母)

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白い馬の季節

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

砂漠化していく内モンゴルの草原で、毎日のように羊が飢えて死んでいく。かつての放牧地は草原保護のために鉄条網で囲われ、小学生の息子フフーの学費を払うことさえできず、あとは馬を売って町へ出ていくしかないと妻インジドマーが訴えるが、ウルゲンはどうしても遊牧民としての誇りと生活を捨てることができない。

思ったこと

Shiroiuma01哀切な・・・実に哀切な、胸がしめつけられるような気持ち。
何世代にもわたって羊を放牧してきたモンゴルの草原が、今失われようとしている。
その原因は干魃や強風、羊の過放牧、人口増加や農地の拡大などがからみ合っているらしい。
もう今までのような暮らしは続けていけない、ウルゲンも頭では本当は分かっているのだと思う、ただ身体が拒否してしまうのだろう。
草原で馬や羊とともに暮らすのが、モンゴル民族としてのアイデンティティだから・・・。
貧しさのために学校に行けなくて泣いているフフーは可哀想だし、草原の暮らしを捨てて他の皆のように町へ行こうというインジドマーの提案は現実的だ。
しかし、ウルゲンはいくら頭が古いと言われようと、そのようにしか生きられない。
適応力のある人や、次世代の子供たちは、難なく町の人間になっていくのかもしれない。
時代の流れなのだからしょうがないと思いつつも、どうしようもない哀しみで胸がいっぱいになる。
警察に連れて行かれたウルゲンが、壁のカレンダーを眺めるうちに夢見た、緑の草原を駆け抜ける馬たちの勇壮な姿が涙でくもる。

映画はモンゴルの話だけど、厳しい変化にさらされている現代社会では、あちこちで似たようなことが起きているんだろうなぁ〜などと考えた。
自分自身を柔軟に変化させていくのが生き延びる道・・・だけど、そんなふうにできない、不器用な人だってたくさんいるんだ。
“時代遅れ”なのかもしれないけど、苦労するだろうけど、器用な人が早々に手放してしまった貴いものもそこには残っている(画家ビリグが最後に言っていたのはそういうことだろう)。

インジドマーのいるゲルに、羊の皮を買いに来た商売人のトゴー。
「普通なら1枚10元だが、奥さんになら1枚11元でいいよ」と言う。
私は相場も何も知らないが、こいつ絶対に間で暴利をとっている!と確信して、やきもきやきもき。
でも素朴なインジドマーは「値段なんて見当もつかないわ」と喜んで全部売ってしまうのだ。

トゴーに「トラック運転手にヨーグルトでも売ったほうが余程金になる」と言われたインジドマーは、牛にがらがらと台車を引かせて、街道沿いにたたずむ。
通り過ぎるトラックに手を振って「止まってー!」「新鮮なヨーグルトがありますー」と必死に叫ぶが、売れようはずもない。
私が映画の中に入っていって、「おいしいヨーグルト」などと書いたのぼりか何かを作ってあげたくてたまんなかったー!!
そのうち、顔見知りの酒造会社の男が通りかかり、やっとヨーグルトを買ってくれるのだが、ここでもやはり「いくらか決めてください。値段なんて分からないから」。
そ、素朴過ぎるー・・・涙が出ちゃうくらい。

インジドマーは芯の強い美しい女性だった。
酒造会社の男に言う、「偶然出会ったすべての馬に乗ろうなんてダメよ」というセリフにはハッとさせられた。
町に移り住むことで、ウルゲンもインドジマーもまた変わっていくんだろうなぁ・・・。
彼らの将来に幸あることを願ってやまない。

白い馬の季節
季風中的馬/Season of the Horse

(2005年  中国)
監督・脚本・出演/ニンツァイ(ウルゲン)
出演/ナーレンホア(インジドマー)
   チャン・ランティエン(ツァオ)
公式サイト

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雲南の花嫁

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

幼なじみのアーロンとフォンメイの結婚式が行われた。しかし、イ族のしきたりでは結婚しても3年間は別々に暮らし、その間は結ばれてはならない。アーロンは全国大会を目指す娘龍舞隊の監督となり、フォンメイはアーロン恋しさのあまり、しきたりに反して娘龍舞隊に入ろうとする。

思ったこと

「3年間別々に暮らすこと」って謎のしきたりだな〜と思ったが、婚約時代を3年間過ごすこと、という感覚みたい。
折々に婚家に通って、家事などを覚えてるようだし。
アーロンは、成功したビジネスマンのアーツォンにフォンメイを取られることを心配しているので、そういうトラブルもけっこう起こり得るのかな〜と思われる。

フォンメイがとてつもなくかわいい!
愛くるしい顔立ちながら、しきたりや世間体なんか気にしない、手のつけられないおてんば娘。
3年間は一緒に暮らしてはならないとされてるのに、結婚式の夜にいきなりアーロンのベッドにしのびこんだ“恥知らず”(でもふたりともただ酔いつぶれていただけ)。
汁麺をガツ食う顔はヒロインにあるまじき姿だ。
町までの競走では当然のように1着をとり、得意そうにきゅうりを丸かじりする様が男前(それに対して後方で息があがっていたアーロン・・・)。
木や天井からぶら下がったり、窓から出入りしたり、渾名はきっと“山猿”だね。
隣村の男と半裸(金太郎の前かけみたいな下着姿)で相撲をとっては投げ飛ばすし。
自分の感情に正直で、かつ仲間を思いやる気持ちが強く、はつらつと生命力あふれる魅力が炸裂してる。

アーロンは結婚式ではお酒を飲んでぶっ倒れ、娘龍舞隊の少女たちからはナメられ、ちょっぴり頼りない感じ。
家族に「甲斐性なし」「役立たず」とか言われちゃって、アーツォンにコンプレックスも感じちゃって、しきたりや伝統を守る心配もしなくてはならず、男の子も男の子で大変だな〜と思った。
毅然としようとしても、根がやさしいわフォンメイに参ってるわで、けっきょく言いなりになっちゃう。
ただ、心にいろいろとプレッシャーを抱えているから、フォンメイの真っすぐな気持ちを受けとめきれなかったところがあるんだろうね。
この村でも「近頃の若者はしきたりも守らず、自分勝手で軟弱だ」とか言われてるんだろうな〜。
でもでも屋根の上での舞いはかっこよかったよ!
(中国人ってなんかよく屋根の上に乗ってるよねぇ・・・映画の中だけ?)

ここで描かれる少数民族の生活はまるでユートピアだ。
日常から身につけているイ族の民族衣装は、赤を基調として刺繍がたっぷり施されており、実にきれい。
水と緑いっぱいの農村風景はみずみずしい。
伝統芸能の龍舞も壮観だ。
それから、ケンカも仲直りも即興の歌でやりとりする様がおもしろーい!(でも内容は村じゅうに筒抜け?)

娘龍舞隊の面々もかわいくて良かった。
夜中、チーメイとフォンメイが涙を浮かべながら励まし合うシーンは実に美しい。
都会帰りのイーマーは、フォンメイのライバルキャラとしてもっと活躍してくれるのかと思ったが、凛とした美しさのいいヤツでした。
婚約者を嫌っているアーユイのエピソードも、さりげないけどかわいかったな。

雲南の花嫁
花腰新娘/Huayao Bride in Shangri-La

(2005年 中国)
監督/チアン・チアルイ
出演/チャン・チンチュー(フォンメイ)
   イン・シャオティエン(アーロン)
   ツイ・チュウミン(アーツォン)
   ワン・イーリン(アーユイ)
   ハー・ウェンチャオ(チーメイ)
公式サイト

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エグザイル/絆

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

中国返還間近のマカオ。母親と赤ちゃんのいるアパートに4人の男たちが訪ねてきた。ブレイズとファットはウーを殺すために、タイとキャットはウーを守るために・・・。ウーが帰宅すると、激しい銃撃戦が始まる。5人はかつての仲間だった。

思ったこと

全編を貫く緊張感。
そして、男たちが一丸となって戦う様にしびれる。
私は本来銃撃戦は好きではないんだけど、3すくみ、6すくみ、無数すくみ(?)の状態から、激しく銃弾が飛びかう空間にドアが舞う! カーテンが舞う! 空き缶が舞う!
多くを語らずともちょっとした動きや視線で仲間の考えを察知して動けるところがカッコイイ。
足手まといはひとりもいない・・・。
やってることはチョー人殺しなんですけどね。
途中で出てくるマカオ軍警察のチュンも、銃の腕前が抜群で、死線をくぐって生き残ったというだけでカッコよく見える・・・。
それから、皆さん40代くらいと推察するが、ときに子供か?というくらいはしゃいでじゃれあったりするところも微笑ましくてイイですな。
互いの腕も性格も知り尽くしている昔からの仲間なんだね。
顔が好みなのはタイ♡
ファットってやっぱデブだからその名前なの?
ただ素朴に不思議に思うのは、黒づくめの男どもが入り乱れる中で、誰を撃つべきで誰を守るべきかよく瞬時に判断できるな〜ということ。
私がこの中にいたらきっと間違えてそう・・・(ゴメンじゃ済まないよな)。

なごやかな音楽が流れるなか強面の男たちが家事をしているシーンは、その意味不明の唐突さに呆然としつつ、ギャップがおもしろくて目が釘付けに。
さっき鋭くナイフを投げたタイが、慣れた手つきで中華鍋をあおっている!
皆で箸をつつき合う大皿料理が妙においしそう・・・(中はよく見えなかったけど)。
料理が上手い男っていうのもポイント高いよ!

ボスのフェイ、股間を撃たれてすごく痛そうなのが笑えるほどおもしろかった。
絶品の痛がり演技だった。

ところで邦題について。
このタイトルだと「エグザイル」=「絆」って意味に見えてまぎらわしくな〜い?
私は「exile」という単語を知っていたはずなのに、片仮名の「エグザイル」からはなんとなく鎖、ザイルを連想させられたのもあってか、ぼんやりと勘違いしていた・・・ということを、オープニングで原題「放逐」というのが出てきたときに気付いた。
「/」が無ければまだマシだったかも。
ちなみに「exile」は「国外追放、流刑、追放人」という意味です。
「絆」という言葉はぴったりだと思うけど、さらにあてどのない、どこにも行き場のない気分が出ていて欲しかったかな〜って。

エグザイル/絆
放逐/Exiled

(2006年 香港/中国)
監督/ジョニー・トー
出演/アンソニー・ウォン(ブレイズ)
   フランシス・ン(タイ)
   ロイ・チョン(キャット)
   ラム・シュ(ファット)
   ニック・チョン(ウー)
   ジョシー・ホー(ジン)
   サイモン・ヤム(フェイ)
   リッチー・レン(チュン)
   ラム・カートン(キョン)
   エレン・チャン(売春婦)
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墨攻

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

紀元前370年頃、春秋戦国時代の中国。趙と燕の境にある小国・梁は、10万人の趙軍に攻められる危機に瀕していた。墨家に援軍を頼んでいたが、やってきたのはみすぼらしい身なりの革離一人のみ。梁王から兵に関する全権を与えられ、城を守るために奮闘する。

思ったこと

紀元前4世紀頃というと日本では弥生時代、日本人がやっと集落を作って稲作に励んでいた頃に、すでに中国ではこんな激しく国盗り合戦やっていたのだね〜。
墨家の思想は“非攻”と“兼愛”ということだが、なんか納得できなかった。
革離は最初からかなり好戦的に見えたし、助けを求められたらどんな相手でも助けるって、つまり先に言ってきたほうを助けるってこと?
群雄割拠する戦国時代での平和って何だろ?
いっそどこかの国に統一されてしまったほうが、世は落ち着くんじゃないか?
革離は自分の作戦で敵が火だるまになっているのを目の当たりにしてショックを受けていたし、決して礼を受け取らないというポリシーをわりとあっさり翻したし、逸悦に特別な想いを抱くようになったし・・・で、もしかして墨者としてはまだ未熟な人なんかな?

城壁に囲まれた梁の国民はたったの4000人。
1回の戦闘だけでも(勝ったのに)、かなり人数が減ってしまったように見える。
その上、梁王は邪魔になった人間や生意気な人間にどんどん謀反の嫌疑をかけて排除していくんだから呆れてものもいえない。
こんなダメな国さっさと滅んじゃえばいいよ!・・・と私が見捨てるまでもなく、2千年以上前に既に滅んでいるから安心だ。
それにしてもストーリーが大ざっぱだなぁ・・・。
東伯というお爺さん兵士が死んで逸悦が嘆くが、そんないきなり出てきた人物には感情移入できませんなぁ。
梁適のあんまりな最期も、牛将軍のたくらみかと思えば、ただのミス? そんなのありですか?
終盤で、趙の名将・巷淹中がとった行動もよく分からないから盛り上がれない・・・。
なんで梁王がおめおめと生き残ってんだよ!?
このストーリーの消化不良感って、原作の小説やマンガを読めば解消されるのかしら・・・。

騎馬隊の紅一点、逸悦ってロマンス要員かな。
けっこう足手まといになっていたようだが・・・。
なぜ手をつないで逃げる(笑)。
ふたりが飛び降りる崖、高すぎて怖〜い、でも景色として非常に美しい!
あっさり逸悦に惹かれてしまう革離、今まで女性に免疫がなかったタイプだろうか。

もしも私が兵士だったら、どの役割がいいか考えた。
最初に突撃するのはやっぱりイヤだな〜。すぐ死んじゃいそうだから。
しかし石を運んで落とすばかりの奴隷もつまんないし・・・。
“高貴の象徴”である騎馬隊には憧れるが、弓矢隊のほうがかっこいい気もする。
信義に厚く寡黙で、狙ったものをはずさない弓の達人・・・(しばし妄想タイム)。
それか、軍略や布陣を考えるための城の模型を作る人でもいいな。

墨攻
墨攻/A Battle of Wits

(2006年 中国/日本/香港/韓国)
監督/ジェイコブ・チャン
原作/酒見賢一、森秀樹、久保田千太郎
出演/アンディ・ラウ(革離)
   ワン・チーウェン(梁王)
   チェ・シウォン(梁適)
   ファン・ビンビン(逸悦)
   ウー・チーロン(子団)
   チン・シウホウ(牛子張)
   アン・ソンギ(巷淹中)
公式サイト

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トゥヤーの結婚

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

中国内モンゴル自治区で、厳しい自然を相手に生きるトゥヤーの一家。数年前に井戸の事故で下半身が不自由になった夫バータルとふたりの子供を抱え、トゥヤーの負担も限界に。説得され離婚に同意するトゥヤーだが、再婚の条件に挙げたのは、新しい家庭でバータルも一緒に暮らすことだった。

思ったこと

ラクダに乗って羊の群れを追う、スカーフを頭に巻き付けぷくぷくに着ぶくれた、ふたりの子供の母・・・てっきりおばちゃんだと思ったら、これがヒロインのトゥヤーだった!
皮膚は浅黒く厚い感じで、くちびるはぽってり、厳しい表情をたたえ、一家を支えて働く姿は力強い。
しかしスカーフをほどいてみたら、若くてかわいい顔が出てくる。
トゥヤーたちが住んでいるのは、現実に砂漠化が急激に進んでいる地域だそうだ。
家から離れたところにある井戸へ毎日水を汲みにいかなければならないが、年々水の出が悪くなると会話に出てくる。

モンゴルでは羊肉や乳製品が主食でほとんど野菜を食べないと聞いたことがあるけれど、トゥヤーたちの地域では野菜も使っているようで、食卓はけっこう彩り豊か。
幼なじみのボロルが訪ねてきた夜は、なんと羊の丸焼き!
テーブルの中央に焦茶色の羊さんが鎮座ましまし、周囲に座った各々がナイフで肉を削りとって口に運ぶ。
う〜ん・・・ワイルド! これはきっと歓迎の料理なんだろうな・・・食べてみたい。
事故で下半身が不自由になってしまったバータルは仕事もできず家にいるのだが、かつてはモンゴル相撲の覇者だったということがボロルとの会話で分かる。
それまでほぼ無表情だったバータルがこのときばかりは相好を崩す。
そんな強かった男が、今ではトゥヤーに頼り切って生きていかなくてはならないのはつらいだろうな・・・離婚や自殺を考えるほど・・・。
でも、どんなに生活が大変でも、家族として絶対に見捨てない!というトゥヤーの強さに、心が熱くなります。
再婚するのに前の夫も連れていくなんて、あまりにも突飛な発想だけど。
夫婦愛などという一般的な言葉でくくれない、人間の大きさを感じる。

酔っぱらって道で倒れている登場シーンはもとより、妻には逃げられて、仕事も始める前から失敗するんだろうな〜と想像させるダメダメっぷりのセンゲー。
なんかかわいい・・・(けっこう年いってるぽいが)。
もしかしてあなたが白馬の王子様!?
ずいぶんしょぼくれているけど・・・薄汚れた白馬だけど・・・。
もうあんたたち、さっさと結婚しちゃいなYO!とすっかり応援モード。

上の男の子ザヤは、小さいながら家族の仕事を手伝う姿がいじらしい。
拗ねたトゥヤーに「裏切り者!」と言われたとき、「裏切ってないよ、信じて、お母さん」と後を追っていくのがかわいかった〜。
下の女の子ポロは2〜3歳くらいの大きさだと思うけど、ほとんどしゃべらないし、バータルがスプーンを口に運んで食べさせているので、もっと幼いような感じ?
ぷくぷくにふくらんだ頬っぺがか〜わい〜い!
特に、家族が川の字になって寝ているとき、ポロの寝顔はまさに天使! 目が離せなかった〜。

バータルやセンゲーら、トゥヤー以外のキャストはすべて現地で見つけてきた人たちだそうだ。
な、なんと、あなたたちは天然ものであったか・・・!
確かに演技って風じゃなかったよ・・・ただそこにいるって感じだったよ・・・その存在感。

トゥヤーの結婚
図雅的婚事 /Tuya's Marriage

(2006年 中国)
監督/ワン・チュアンアン
出演/ユー・ナン(トゥヤー)
公式サイト

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