やわらかい手

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

未亡人マギーの悩みは、難病で入院している孫オリーのこと。メルボルンまで行って手術を受ければ助かるかもしれないと医師に告げられるが、マギーにも、息子夫婦のトムとサラにもそんなお金はない。困ったマギーが見つけた仕事は、セックスショップで手を使って男をイカせるというものだった。

思ったこと

人間っていろんな可能性が残っているんだなー。
今まで仕事をしたことがなく、一般的にはリタイアするような年のマギーに、こんな才能があったなんて!
なんだか夢を感じる!?
最初はフツーのおばさんという風に見えていたマギーだが、とまどいつつも奮闘していくうちに、だんだんかわいらしく思えてくる。
「年増?さえない?そんな女は雇っていない」というミキの言葉が男前!

このシステム、ミキは「東京で見たのを真似した」と言うがホント!?
こんなん、あるの!?
最初は抵抗感いっぱいで逃げ出すマギーだが、決死の覚悟で頑張ることにし、だんだん慣れていったら平然と雑誌片手にできるくらいのルーティンに。
なんだか指圧マッサージとかと同じようなもんだと思えてきたよ!
壁の向こうに立つ男たちはコインを入れているが、それってけっこう安いということだよねぇ。
殺風景な仕事部屋に好きな絵や花を飾ったりするのが、“女の適応力”という感じで微笑ましい。
親切に仕事を教えてくれた同僚ルイザとは、年は離れているけど、心を開くことのできる友達に。
だのに、マギーが“イリーナ・パーム”として大人気となり、ルイザの仕事を奪ってしまったことで関係は壊れてしまう。
ここで安易な解決や仲直りができなかったことは、リアルな感じ・・・大人になってからの友情って、お金とか仕事、利害、そういうことにも左右されてしまう・・・悲しいけど。

息子トムの奥さんであるサラは背が高い美人だけど、マギーがオリーへのおみやげに持ってきたぬいぐるみを「困るわ」と取り上げたり、医者が手術のことを話すと「誰がお金を払うの!?」とすごんだり、いくらショックを受けているといえマギーと別れ際に挨拶しないどころか見もしなかったり、すんごく感じ悪い。
単に性格がキツイ人なのか、その理由はよく分からないんだけど、もしかしてトムがマザコンのせい?
トムがマギーの秘密を知って、あんなに激昂してしまうのは、マザコンだからなんだろうなー。
オリーのために大金が必要なのは確かで、既にそれはありがたくもらっているのに、母親が汚れた仕事をしているという思いに耐えられないのは、理屈じゃないんだろうなー。
お母さんにボーイフレンドができたと知ったとき、また怒って泣いちゃうんじゃないかと心配・・・。

やわらかい手
Irina Palm

(2006年 イギリス/フランス/ドイツ/ベルギー/ルクセンブルク)
監督/サム・ガルバルスキ
出演/マリアンヌ・フェイスフル(マギー)
   ミキ・マノイロヴィッチ (ミキ)
   ケヴィン・ビショップ(トム)
   シボーン・ヒューレット(サラ)
   ドルカ・グリルシュ(ルイザ)
   ジェニー・アガター(ジェーン)
公式サイト

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マッチポイント

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

元テニスプレイヤーのクリスは会員制テニスクラブのコーチとして働き始め、イギリス上流階級のトムと親しくなる。妹のクロエに気に入られて交際を始めるが、トムの婚約者、アメリカから来た女優志望のノラに惹かれる。クリスはクロエと結婚して上流の職と生活を手に入れるが、トムと別れたノラに再会し・・・。

思ったこと

欲望に揺らいで、いいとこどりしようとするクリスの腹の据わってなさ。
行動が行き当たりばったりなので、絶対そのうちボロが出るに違いない、と思ってたのに・・・。
結局運のいい人がいい目を見るって話?
でもクリス、上流階級の暮らしにそこまで幸せ感じてるようにも見えなかったんだけど。

スカーレット・ヨハンソンは、今まで観た出演作のなかでは(そんなに多くは観てないけど)、最も魅力的だった!
やっぱりいい女然としてるより、普通っぽい女の子役の方がハマってると思うなー。
出会ったばかりのノラは、つるりとした顔にふっくらした唇、若々しいボディがどうにもセクシー。
クロエは知的で性格のいいお嬢様で、十分ステキな人だと思うけど、同席したノラのほうにチラチラ目が行ってしまう気持ちがすごくよく分かる。
雨の中を泣いて歩いていたら、追いかけたくなるよね、なるよね。
それが一転して、不倫関係の深みに落ち込んでからの、ぎゃーぎゃー喚くうるささ、しょっちゅう電話してくるしつこさ、これも見事。
最初あんなに魅惑的に見えたのに、同じ女なのに、あーもうウザい!と辟易したであろうクリスの気持ちを一緒に感じられるようでした。
いや、ノラは悪くないんだけどね・・・クリスがちゃんと誠実だったら、ノラももっと落ち着いていられただろうに。
ノラの“ミスコンにも出たクラシックな美人の姉”というのが気になる(設定上だけの人だけど)。

テムズ川にビッグベン、ロイヤル・オペラ・ハウス、サーチギャラリーにテートモダンなど、ロンドン観光案内的な要素も多く、旅行気分になれてちょっと楽しい。
カントリーハウスで乗馬やハンティングを楽しむ週末、テムズ河を見下ろす豪華マンションなど、上流階級の暮らしも見どころ。

マッチポイント
Match Point

(2005年 イギリス/アメリカ/ルクセンブルク)
監督・脚本/ウディ・アレン
出演/ジョナサン・リース・マイヤーズ(クリス・ウィルトン)
   スカーレット・ヨハンソン(ノラ・ライス)
   マシュー・グード(トム・ヒューイット)
   エミリー・モーティマー(クロエ・ヒューイット)
   ブライアン・コックス(アレックス・ヒューイット)
   ペネロープ・ウィルトン(エレノア・ヒューイット)
公式サイト

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ヴェニスの商人

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

16世紀のヴェニスでは、ユダヤ人はゲットーに隔離され迫害されていた。貿易商人アントーニオは、若き親友バッサーニオが美しき女相続人ポーシャに求婚するための資金を、自らが保証人となってユダヤ人シャイロックから借りる。「期限内に返せない場合は、アントーニオの肉1ポンドを引き替えとする」という条件は、アントーニオの船がすべて難破したために、実行されることになったが・・・。

思ったこと

個人的な思い出になるが、私が始めて『ヴェニスの商人』を知ったのは、小学校低学年のときの学芸会で、6年生のお兄さんお姉さんたちによるお芝居だった。
なんておもしろいんだ!!と感動し、これが後の演劇好きの端緒となった気がする。

とにかく、お話としておもしろい。
でも、映画自体は淡々と進んで、なんだかあまり感情的な揺れ動きを感じなかった。
もう少し盛り上げてほしかったな・・・。
窮地に陥ったアントーニオを、颯爽と現れた男装のポーシャが助け、やったー!と爽快な気分になれるかと思いきや、観終わった後に残る気持ちは、ただただユダヤ人の悲哀。
哀れ・・・哀れなり、シャイロック・・・。

不思議なのだけれど、“金貸しはキリスト教に反する”“高い利子を取るなんて”と怒って蔑むくらいなら、お金を借りなきゃいいんだと思うのよね・・・。
そんなに言うなら、困っている人はキリスト教の仲間が無利子で助けてあげればいいのではないの・・・。
別にユダヤ人金貸しも、無理矢理貸し付けているわけではなかろうに。
“強欲で血も涙もない”の代名詞になっているかのようなシャイロックだが、とにかく痛めつけられているので、ヒネてしまうのも無理なかろう・・・と同情してしまった。
こうもシャイロックに肩入れさせるのって、アル・パチーノの力量か。
それとも演出の意図かな?

「肉1ポンドを切り取る」シーン。
胸を剥き出しにイスに縛られたアントーニオが、恐怖に顔をひきつらせ、肌には汗が浮かぶ。
シャイロックがナイフを手に近づく。
実際に目にすると、ぞくぞくと緊張感が高まる。
次にどうなるか知っているにもかかわらず、恐ろしかった・・・。
でも、このオチって、なんか“一休さん”ぽいよね。

ゴンドラが運河を行き交い、人々は優雅なローブやドレスを身にまとい、仮面をかぶった男女が視線を交わす、16世紀ヴェニスの情景はなんとも魅力的。
イタリア旅行したいなー!という気持ちが募ったけれど、いくら観光旅行しても、実際にこういう雰囲気に身をひたせるわけではないんだよね。
今や、どこへ行っても観光客の姿があるのだろうし(自分も含めて)。
だから私は世界各国の映画を観て、そこに入り込んでいる気分を味わうのだ・・・と再確認した。

ヴェニスの商人
The Merchant of Venice

(2004年 アメリカ/イタリア/イギリス/ルクセンブルク)
監督/マイケル・ラドフォード
原作/ウィリアム・シェイクスピア
出演/アル・パチーノ(シャイロック)
   ジェレミー・アイアンズ(アントーニオ)
   ジョセフ・ファインズ(バッサーニオ)
   リン・コリンズ(ポーシャ)
   クリス・マーシャル(グラシアーノ)
   ヘザー・ゴールデンハーシュ(ネリッサ)
   ズレイカ・ロビンソン(ジェシカ)
   チャーリー・コックス(ロレンゾー)
公式サイト

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理想の女

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

ニューヨーク社交界の華、新婚1年目で幸せいっぱいのウィンダミア夫妻が、南イタリアのアマルフィにバカンスにやってきた。メグはブティックで、男性に対する奔放なふるまいで評判の悪いアーリン夫人と出会う。そのうち、メグは、夫とアーリン夫人が密会していることを知ってしまう。

思ったこと

1930年代のヨーロッパ社交界。
服装や一挙一動が常に周囲から観察され噂されて、上流階級の人たちも大変だな。
金持ちのじーさんばーさんたちの会話が、機知に富んでて楽しい。
これが、“ウィットやユーモア”ってやつですか?
当時のファッションや、高級ホテルの装飾なども見ごたえがある。
こういう一部の富める人たちのおかげで、美しいものが作られ残されてきたのだなあ。
しかしこの時期のすぐあと第二次世界大戦だよね。
みんな、どうなっちゃったかな・・・。

ヘレン・ハントは、湿ったベルベットのような声がセクシー。
おでこにさざなみのようにシワがよるのが、なんだか優雅に見える。
男から金をしぼりとって生きる女だけれど、過去についての弁明は結局されないけど、やっぱり魅力的で、許してしまってもいいかな〜という気にさせられる。
(コムスメに勝つ!とか言うまでもなく、当たり前のよーに勝ってる。)

Goodwoman01_1スカーレット・ヨハンソンは『ゴーストワールド』で見たとき、顔だちはきれいだけど、あまりパッとした印象が残らない女優・・・と思った覚えあり。
最近は躍進いちじるしいようだね。
ハリウッドでモテモテらしいが、ちょっとスキのあるような感じがそそるのかしら。
今作は1930年代の話であるのに、なんだか現代っ子風の雰囲気が漂う。
若くて純真で貞淑で、それゆえにふらふらしてしまうコムスメという役どころは、似合っていたともいえる。

初対面からメグに甘い言葉をささやき続けるダーリントン卿は、どこを叩いても誠実さのかけらも出てこないような男だけど、私はけっこうこういう人物好き。
友達にいたらよさそう。
金離れいいし、楽しいこといろいろ知ってそうだし。

印象に残ったセリフ
「噂されるよりもっと悪いのは、噂されないことだ」
「私は若くも美しくもなく太っているけれど、金持ちという取り柄がある」
「涙は醜い女の逃げ道。悲しいとき、美しい女はショッピングをするのよ」

理想の女
A Good Woman

(2004年 スペイン/イタリア/イギリス/ルクセンブルク/アメリカ)
監督/マイク・パーカー
原作/オスカー・ワイルド
出演/スカーレット・ヨハンソン(メグ・ウィンダミア)
   ヘレン・ハント(ステラ・アーリン)
   マーク・アンバース(ロバート・ウィンダミア)
   スティーブン・キャンベル=モア(ダーリントン卿)
   トム・ウィルキンソン(タピィ)
公式サイト

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