美しすぎる母

お気に入り度 ★★☆☆☆

こんな話

プラスティックの基となる合成樹脂ベークライトを発明したことで大富豪となったベークランド家。上流階級のつきあいに溶け込めなかったバーバラを捨て、ブルックスは息子アントニーのガールフレンドと一緒に家を出る。残された母と息子が偏った愛情の果てに迎えた、実際の事件を映画化。

思ったこと

最初から最後までよく意味が分かんない映画だったぁ〜。
早く終わんないかなぁ〜ともぞもぞと耐えた時間は長かった。
そもそもタイトルからして謎だったしな・・・チラシで見たジュリアン・ムーアは“美しすぎる”というより“ちょっと怖い”って感じだから。

全編アントニーの声によるナレーションで説明されるのだが、冒頭で「母は温かくて明るく」「天性の社交家だった」と言うわりに、その後に人格破綻してる感じのエピソードが連なり、全然そういう風には見えないんですけど。
バーバラは最初からちょっとおかしなところのある人だったのか?
それが息子の目からは良く見えていたのか?
仲直りかと思いきや殺伐とした夫婦のベッドシーンがコワイ。
夫と若い女とを空港で見つけたとき、まあショックを受けたとはいえ、その罵りっぷりは醜悪。

アントニーがまだ14歳くらいのとき、母と息子ふたりで優雅に公園を散歩しながら、「私たちは恵まれている。私も昔は働いたことがあるけど、今は好きなことだけしていればいい身分になった」というようなことを話す。
お金が十分たくさんあって、セレブな社交を楽しんで、世界のあちこちに移り住む。
一見うらやましい環境だけど、もしもっとやらなきゃいけないことがあったり、生活のために頑張ったりしなきゃならなかったら、バーバラもアントニーもここまで追いつめられず、悲劇に至らなかったのではないかな〜と考えてしまった。

登場人物たち、タバコ吸い過ぎ。
誰が誰に気があるんだか、ゲイなのかバイなのか、節操ない人ばっかり。
エディ・レッドメインの顔やジュリアン・ムーアの腕はそばかすがいっぱいで、白人は日に当たると大変だな〜と思った。

美しすぎる母
Savage Grace

(2007年 スペイン/フランス/アメリカ)
監督/トム・ケイリン
出演/ジュリアン・ムーア(バーバラ・ベークランド)
   エディ・レッドメイン(アントニー・ベークランド)
   スティーヴン・ディレイン(ブルックス・ベークランド)
   エレナ・アナヤ(ブランカ)
   ウナクス・ウガルデ(ブラック・ジェイク)
   ヒュー・ダンシー(サム・グリーン)
公式サイト

| | コメント (0) | トラックバック (0)

パンズ・ラビリンス

お気に入り度 ★★★★★

こんな話

1944年スペインでは、軍事政権と抵抗ゲリラの攻防が続いていた。少女オフェリアは身重の母と共に、新しい父となるヴィダル大尉の駐屯地へと身を寄せるが、冷酷な大尉になじむことができない。森の中に謎めいた迷宮を見つけたオフェリアは、妖精の導きによって半神半獣のパンと出会い、「あなたは地底王国のプリンセスの生まれ変わり。王国へ戻るには3つの試練を乗り越えなければならない」と告げられる。

思ったこと

これは辛すぎる現実に耐えることができなかった少女が作り出した夢・・・?
悲しすぎる・・・。
悲しいけれど、グロテスクで美しい世界。
子守唄が耳について離れないよ。

とにかく映画でこんな怖い思いをしたのは久しぶり!!
オフェリアに襲いかかる恐怖のままに呼吸が荒くなり、ごくりと唾を飲み込む。
私は普段あんまり怖がらない性質なんだけど・・・今回ばかりは、帰りの夜道の木陰さえ怖ろしかったり、寝る前に布団の中で怪物に追われる幻影を見たりしました。
はぁー怖さを堪能・・・。

虫から姿を変える妖精、月明かりに浮かぶパンの姿、お化けガエルだけでも相当気味が悪いのだが、出色はふたつめの試練に出てくる怪物。
なっ、何これー・・・っ!?
白々とした肌色も、垂れ下がった皮膚も、鼻の穴が目立つ顔も怖いが、壁に描かれた子供を喰ってる絵!
ひぃーーーオフェリアちゃん、もっと怖がれよ!
怪物の前に置かれた皿を手に取ってしげしげ見たりして、すごい心臓だな・・・。
あげくにあんなにしつこく言われていた禁を犯すし・・・。
回廊のシーンはほんと、怖くて寿命が縮んだ。
子供の頃に見ていたらトラウマとなっていたことでしょう(ちなみに、私の子供のときのトラウマは楳図かずおとブラックジャック、近年克服)。

具合の悪いお母さんを助けるため、パンからもらったマンドレイクを牛乳風呂に浸し、新鮮な血をたらして、ベッドの下に隠すオフェリアちゃん。
ひー、人に見られたら、魔女として裁判にかけられてしまいそうな所行。
しかしこのマンドレイク、まるで赤ん坊のような声をたてながらうねうねと動いて、不気味ながらもちょっとカワイイ。
シュヴァンクマイエルの『オテサーネク』を彷彿とさせる。
でも本当はマンドレイクの泣き声を聞いたら死んじゃうはずだよね。

現実世界でも目を背けたくなるようなことが次々と起こる。
怪我が悪化して脚を切断しなくてはならなくなったゲリラの仲間。
ウサギ狩りをしていただけで惨殺された農民。
楽しんでいるかのように行われる拷問。
普段は温厚な(?)私ですが、メルセデスが反撃したときには「やっちまえ!とどめをさせ!」とためらいなく応援してしまいました。
それにしても、口の傷を自分で縫う大尉の胆力には脱帽です。

オフェリア役の少女は哀感をたたえた瞳が印象的だった。
悲しみも苦しみもない世界は、この地上では見つけられないのか・・・。
弟を守ったことで魂の誇りも守られたことが、一縷の救いといえるのかもしれない。

パンズ・ラビリンス
El Laberinto del Fauno/Pan's Labyrinth

(2006年 スペイン/メキシコ)
監督/ギレルモ・デル・トロ
出演/イヴァナ・バケロ(オフェリア)
   ダグ・ジョーンズ(パン)
   セルジ・ロペス(ヴィダル大尉)
   アリアドナ・ヒル(カルメン)
   マリベル・ヴェルドゥ(メルセデス)
   アレックス・アングロ(フェレイロ医師)
   マノロ・サロ(ガルセス)
   ロジェール・カサマジョール(ペドロ)
公式サイト

| | コメント (0) | トラックバック (1)

トーク・トゥ・ハー

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

看護士ベニグノは、事故に遭って4年間ずっと昏睡状態のバレリーナ、アリシアを献身的に介護しながら語りかける。女闘牛士リディアも競技中の事故で大怪我をし、目覚めることのない眠りについた。絶望しながら付き添うジャーナリストのマルコは、ベニグノと出会い、次第に友情を感じていく。

思ったこと

目覚めることのないアリシアの全身をていねいに洗い清め、マッサージでもみほぐし、髪を切り、ペディキュアや化粧を施し、献身的に世話をするベニグノ。
「あ、生理が始まっている」で引いた・・・スタッフとして当然の光景なんだろうけど〜。
わざわざそんな場面を見せるということは、こちらが引くかもしれないのを想定してるんだよね、監督は?
回復の見込みもない昏睡状態の患者を、くる日もくる日も愛情をもって大切に扱い、車椅子に乗せて散歩させ、何の反応もないのにひたすら明るく語りかけるなんて、ベニグノは介護士の鑑のような人物・・・でもどうしても嫌悪感がぬぐえないのは、まるでお気に入りの人形を偏執的に大事にしているように見えるから。
きっと生身のアリシアとはまともな関係を結べなかったであろう・・・元々ストーカーじみてたしな。
いくら大きな愛をもっていてもね、イヤなもんはイヤなんだよ〜〜〜。
心からの愛でも、いつか必ず伝わるとは限らないんだよ〜〜〜。
たとえ結果として良いことが起こったとしても、許されないものはやはり許されないんだよ〜〜〜。
自分の青春を母親の世話に捧げた青年の、まともな人間関係の能力を育てることができなかった、歪んだ人生ということなんだろうか。
どこまでも孤独なベニグノは確かに哀れだ・・・。

恋人リディアが昏睡状態になってしまった失意のマルコが、ベニグノと親しくなって、最後まで「無実だ」と擁護していたのは、自分もできることならベニグノのようにただひたすら目覚めない恋人を愛したかったという思い故だろうか。

リディアはすらりと筋肉質で無駄な肉がまったくついていない身体つきが美しい。
演じているロサリオ・フローレスは女優兼歌手だということだが、なんでこんなに女闘牛士として説得力あるボディなんだろう!?
ギュッギュッと身体を締め付けるようなコスチュームを試合前に身につける様子が、びりびりとした緊張感を伝えてきて、全身から生命力の美しさが立ち上る。
厳しい表情も、本当にかっこいい!
それでいて、ドレスを着たらすごく女っぽいんだもんね。
こういうタイプ、日本人には絶対いなさそうだよなぁ。

ブラジル人歌手、カエターノ・ヴェローゾのギター弾き語り「ククルクク・パロマ」はすごい良かった!
ククルクク〜♪
しかしマルコはよく感動して泣く男だね。
男くさいルックスとのギャップが、なかなか魅力的だと思う。

トーク・トゥ・ハー
Hable Con Ella/Talk To Her

(2002年 スペイン)
監督・脚本/ペドロ・アルモドバル
出演/ハビエル・カマラ(ベニグノ)
   レオノール・ワトリング(アリシア)
   ダリオ・グランディネッティ(マルコ)
   ロサリオ・フローレス(リディア)
   ジェラルディン・チャップリン(カタリナ)
公式サイト

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ボルベール<帰郷>

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

ライムンダがある日帰宅すると、15歳の娘パウラが、関係を迫ってきた父親を包丁で刺し殺してしまったと告白した。ひとまず隣にあるクローズ中のレストランの冷蔵庫に死体を隠し、成り行きからそのレストランで料理を提供するようになる。一人暮らしの伯母が亡くなり、姉ソーレと隣人アグスティナに葬儀を任せるが、4年前に火事で死んだはずの母イレネの幽霊が現れたという噂が流れていた。

思ったこと

Volver01_2熱い血と肉を体内に満たした女たちが、鮮やかな原色のオーラをまといながら、傷つきながらも骨太にどっしりと地を踏みしめて生きている・・・そんな圧倒的な印象を与える映画。
花いっぱいに飾られた墓を掃除するオープニングから、女たちの力強さが伝わってくる。
まるで男は子供を作るときにさえいれば世界は回っていくって感じだな〜。

4年前に火事で死んだ母イレネの姿が近所で目撃されているという噂話をする女たちが、「よくあることよ」「そうね」とこともなげに言う。
そ、そーなのか!?
スペインのラ・マンチャという土地では、神秘が生活の中に溶け込んでいて何が起こってもおかしくない・・・という気分にすっかり私も支配されてしまったので、本当の幽霊が現れたと信じて疑わなかったよ!
言葉が通じないロシア女のふりをしながら、いそいそとシャンプーを手伝うおちゃめな幽霊・・・。

「ママがまるでここにいて、おならをしたみたい」というライムンダの言葉。
母と不仲だったというライムンダだが、愛情がないわけじゃないんだ・・・ということを感じさせて、ユーモラスながら胸が熱くなるシーンだ。
ライムンダがレストランで「ボルベール」を歌うのを、離れた車の中で聞くイレネ。
できすぎなシチュエーションだけど、歌声にあふれる情感もあいまって、イレネとともに涙があふれ出る。

ペネロペ・クルス演じるライムンダは、かなりゴーイング・マイ・ウェイな人。
死体の始末にしても、レストランを巡る顛末にしても・・・すげーなー。
夫の死体を片付けていて付いた血を、隣人に「怪我でもしたの?」と指摘され、「女にはいろいろあるのよ」とさらりと返す肝の太さ。
かと思えば、イレネに胸のうちを吐き出したあとは、子供に戻ったかのように心細そうに胸にもたれて甘える二面性。
そばにいたらパワーに圧倒されそうだけど、どうにも憎めない感じでもある。
体温や匂いを感じさせるような身体、何があっても生き抜きそうな生命力、大切な人を守る根性と愛情をたっぷり持っている・・・妖精的なはかなさとは対極なわけだが、この力強さこそが究極的な女の魅力なのかも。

ところで、ライムンダの顔は濃い〜が、姉ソーレはわりと平面的で日本人にもいそうな顔と思った。
娘パウラはまた全然雰囲気違うし。
スペイン人の平均的な顔ってどんなんだろ?

ボルベール<帰郷>
Volver

(2006年 スペイン)
監督・脚本/ペドロ・アルモドバル
出演/ペネロペ・クルス(ライムンダ)
   カルメン・マウラ(イレネ)
   ロラ・ドゥエニャス(ソーレ)
   ブランカ・ポルティージョ(アグスティナ)
   ヨアンナ・コバ(パウラ)
   アントニオ・デ・ラ・トレ(パコ)
   チュス・ランブレアヴェ(パウラ伯母)
公式サイト

| | コメント (0) | トラックバック (0)

あなたになら言える秘密のこと

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

友達を作らず趣味もなく、勤め先の工場で黙々と働き、家とを往復するだけのハンナ。工場長から1カ月休暇をとるように言われ、バスで訪れた見知らぬ町で、事故で重傷を負った男ジョゼフを看病することになる。ヘリコプターで連れてこられた先は、海洋に浮かぶ油田掘削所。ジョゼフを看病し、油田掘削所で働く数人の男たちと過ごすうちに、自分に閉じこもっていたハンナが少しずつ変わっていく。

思ったこと

ほとんど口をきかず、人の言うことも聞いていないみたいで、何を考えているのか全然つかめないハンナは、自閉症とか極度の潔癖性とか、そういう人なのかなぁと最初思った。
まさかあそこまで重い秘密を抱えていたとは・・・。

まるで自分にエサを与えるかのように、リンゴ、ライス、チキン(ナゲット?)だけを口にしていたハンナ。
毎食趣向をこらして皆の故郷の料理を作ろうとする陽気なコックのサイモンと触れ合ううちに、ジョゼフの食事を手伝っていくうちに、味わうということを思い出していく。
“食べる”ということは“生きる”ということに直結しているのだなぁと実感できる。

外界から隔絶された油田掘削所での毎日は淡々と過ぎていって、同僚たちの人となりも断片的な描写しかされず、派手なドラマが起こるわけでもない。
そんななか、たまたま同じ時を過ごすことになった患者ジョゼフと看護士ハンナが、日々のなかで心の奥底に秘めていたものを打ち明けられるようになり、互いに特別な存在となっていく。
ハンナが初めて笑顔を見せたときは、ホッとしたね。
並んでブランコを漕ぐハンナとサイモンは微笑ましいね。
魂の救済って、何かドラマティックな出来事によってパッと行われるわけではなく、ある日いきなりすべてが変わるわけではなく(そういうこともあるかもしれないし、そのほうがより映画的だろうけど)、何気ない積み重ねの中の思いもかけないところに潜んでいるのかもしれない。
そして、どんなにつらい現実があっても、生きている限り、“すべてがおしまい”ということはないのだとも考えさせられる。

ところで、工場や油田掘削所では英語が使われていたので、これってアメリカ?イギリス?それともどこか違う国で英語が共用語となっている場所ということ?と、ちょっととまどった。
というのも、ハンナが最初から外国人と言われてたから。
私にはよく分からなかったけど、言葉の発音あたりにネイティブじゃない感が出てるのかしら?
たぶん、人の外見や雰囲気、町の風景などに、欧米人には分かる微妙な違いってあるんだろうな。
逆にあちらの人々には日本・中国・韓国などの区別がつかないように。

あなたになら言える秘密のこと
The Secret Life of Words

(2005年 スペイン)
監督/イサベル・コイシェ
出演/サラ・ポーリー(ハンナ)
   ティム・ロビンス(ジョゼフ)
   ハビエル・カマラ(サイモン)
   エディ・マーサン(ヴィクター)
   ダニエル・メイズ(マーティン)
   ジュリー・クリスティ(インゲ)
公式サイト

| | コメント (0) | トラックバック (0)

麦の穂をゆらす風

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

1920年、イギリスの弾圧に耐えかねたアイルランドの民は、独立を求めて武装し抵抗を始めていた。デミアンは医師になる夢をあきらめ、兄テディと共に闘う道を選ぶ。激しい戦闘が続いた後、とうとうイギリス軍が撤退し、講和条約が結ばれた。喜びもつかの間、アイルランドに不利な条約の内容をめぐって意見が対立し、かつての仲間が銃を向け合う内戦へと突入する。

思ったこと

緑濃くみずみずしい大地と、苛酷な人間の運命との対比。
アイルランド独立闘争はよく映画に出てくるのでなんとなくは知っていたけれど、どういうふうに始まって、どういうことが起こっていったのか、よく分かり考えさせられる映画だった。

冒頭、17歳のミホールが、「マイケル」と英語名を名乗らなかった、ただそのために、イギリス軍人に暴行を受けて殺されてしまう。
あまりの理不尽さにショックを受ける。
しかし、私たち日本も、かつて他国の人に日本語を強要した歴史があるわけで・・・。
権力をふりかざしてアイルランド人を踏みつけるイギリス軍は醜く、その姿がイギリス人監督によって描かれたということに感銘を受ける。
拷問や焼き討ちのシーンは目をそむけたくなるほどのむごさだ。
ともすれば自虐に陥ってしまいかねない描写だが、アイルランド人には誇りと勇気があって、イギリス人は残虐で横暴などという単純な話ではない。
人は環境や状況によってこんな風にもなりうる・・・歴史を知り、いろいろな立場の人に感情移入し、自分だったらどう行動できるか想像力を養うことに、映画を観るひとつの意味があるのかなと思う。

イギリスという敵に向かってひとつになっているときよりも、かつて助け合った仲間同士で争わねばならなくなった内戦時の傷はさらに深い。
求めている理想は同じはずなのに・・・。
人間って、信念のために生きたり死んだり殺したりできるんだな・・・。
皆が幸せになれればいいのに・・・なんて言葉は月並みすぎて、ほとんど意味がないでしょうか。
でも言わずにはおれないけど。

闘いや政治の表舞台に出ているのは男だけど、強く情が深い女たちの姿も印象に残る。
家を焼かれた老婆ペギーが、「私はどこへも行かない。鶏小屋を掃除して寝るよ」と言ってきかない場面が胸を突いた。
シネードの短い髪を包んだスカーフがほどかれて、ダミアンと抱き合うシーンは、数少ないほっとできるひとときだった。
毅然とした裁判官リリーがかっこよかった!

麦の穂をゆらす風
The Wind That Shakes the Barley

(2006年 アイルランド/イギリス/ドイツ/イタリア/スペイン)
監督/ケン・ローチ
出演/キリアン・マーフィー(デミアン)
   ポードリック・ディレーニー(テディ)
   リーアム・カニンガム(ダン)
   オーラ・フィッツジェラルド(シネード)
   メアリー・オリオーダン(ペギー)
公式サイト

| | コメント (0) | トラックバック (0)

理想の女

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

ニューヨーク社交界の華、新婚1年目で幸せいっぱいのウィンダミア夫妻が、南イタリアのアマルフィにバカンスにやってきた。メグはブティックで、男性に対する奔放なふるまいで評判の悪いアーリン夫人と出会う。そのうち、メグは、夫とアーリン夫人が密会していることを知ってしまう。

思ったこと

1930年代のヨーロッパ社交界。
服装や一挙一動が常に周囲から観察され噂されて、上流階級の人たちも大変だな。
金持ちのじーさんばーさんたちの会話が、機知に富んでて楽しい。
これが、“ウィットやユーモア”ってやつですか?
当時のファッションや、高級ホテルの装飾なども見ごたえがある。
こういう一部の富める人たちのおかげで、美しいものが作られ残されてきたのだなあ。
しかしこの時期のすぐあと第二次世界大戦だよね。
みんな、どうなっちゃったかな・・・。

ヘレン・ハントは、湿ったベルベットのような声がセクシー。
おでこにさざなみのようにシワがよるのが、なんだか優雅に見える。
男から金をしぼりとって生きる女だけれど、過去についての弁明は結局されないけど、やっぱり魅力的で、許してしまってもいいかな〜という気にさせられる。
(コムスメに勝つ!とか言うまでもなく、当たり前のよーに勝ってる。)

Goodwoman01_1スカーレット・ヨハンソンは『ゴーストワールド』で見たとき、顔だちはきれいだけど、あまりパッとした印象が残らない女優・・・と思った覚えあり。
最近は躍進いちじるしいようだね。
ハリウッドでモテモテらしいが、ちょっとスキのあるような感じがそそるのかしら。
今作は1930年代の話であるのに、なんだか現代っ子風の雰囲気が漂う。
若くて純真で貞淑で、それゆえにふらふらしてしまうコムスメという役どころは、似合っていたともいえる。

初対面からメグに甘い言葉をささやき続けるダーリントン卿は、どこを叩いても誠実さのかけらも出てこないような男だけど、私はけっこうこういう人物好き。
友達にいたらよさそう。
金離れいいし、楽しいこといろいろ知ってそうだし。

印象に残ったセリフ
「噂されるよりもっと悪いのは、噂されないことだ」
「私は若くも美しくもなく太っているけれど、金持ちという取り柄がある」
「涙は醜い女の逃げ道。悲しいとき、美しい女はショッピングをするのよ」

理想の女
A Good Woman

(2004年 スペイン/イタリア/イギリス/ルクセンブルク/アメリカ)
監督/マイク・パーカー
原作/オスカー・ワイルド
出演/スカーレット・ヨハンソン(メグ・ウィンダミア)
   ヘレン・ハント(ステラ・アーリン)
   マーク・アンバース(ロバート・ウィンダミア)
   スティーブン・キャンベル=モア(ダーリントン卿)
   トム・ウィルキンソン(タピィ)
公式サイト

| | コメント (0) | トラックバック (0)