マルタのやさしい刺繍

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

夫を亡くして無気力になっていた80才のマルタは、若い頃の夢を思い出し、パリのように素敵なランジェリーショップを開きたいと一念発起する。リージは応援してくれるが、友人のフリーダやハンニ、息子ヴァルターら、保守的な村の面々からは「みっともない!」「村の伝統を壊す」と非難されてしまう。

思ったこと

田舎のムラ社会は、日本もスイスも同じなんだね〜。
世間体を気にして目立つことをしないよう生きていくのを求められる・・・。

夫の死から立ち直れないままでいるマルタをなんとか元気づけようとしている友人たちの気持ちがあたたかい。
でも、そんな友達から「その年で」「昔の夢を今さら」「腕が鈍ったのよ」「恥ずかしくないの」「笑いものになるわよ」などとたたみかけるように言われると、ほんとヘコむ。
そういった言葉に従うことが、いわゆる“空気を読む”なんだろうな〜。
周りからの圧力に屈さないでいるには、強い意志の力がいるし、せめてひとりは分かってくれる仲間が必要だよね。
一緒になって夢をみてくれるリージの存在がすごくありがたい。
そんなリージも、恋人を追って渡米したという武勇伝が口癖の“アメリカかぶれ”だし、村ではちょっと浮いていたんだろうな〜。

しかし、マルタを非難する友人たちも、それぞれ何かに抑圧されているから、自由に生きようとしている人のことをなかなか認められないのかな・・・と思う。
元社長夫人でプライドの高いフリーダは、今では老人ホームに入っており、なじむことができないでいる。
大きな農場経営をしている家のハンニは、脚の不自由な夫の世話に苦労し、実の息子から「施設に入れろ」と言われている。
そんなフリーダやハンニが、それぞれ新しい道を見出し、マルタと一緒になって目覚めていく様子は本当に気持ちよいです。
生き生きと元気で明るいお婆ちゃんたち、カワイイ!

対して、男の登場人物たちが頭の固いやつらばっかりだったのは、監督が女性だからか?
そんななか、老人ホームのマネージャー(?)の若い男性は一服の清涼剤でした。

新しいお店を開く過程というのは、ワクワクさせるものがあるよね。
私も手芸が好きなので、ベルンの手芸店を久々に訪れたマルタが、美しい布やレースの数々にうっとりしてしまうのに感情移入〜!
ランジェリーをひとつひとつ手で作るのって、すごく時間がかかるだろうに、よくお店が開けるほどまでになったよ。
目は大丈夫なのかな・・・って心配しちゃったり。
パンツやスリップはいいとして、ブラのサイズ展開とかどうしていたんだろ?

まるで絵本の中のような村の風景がカワイイ!
むくつけき男たちもこんなかわいい家に住んでいると思うとなんか不思議。
そして、田舎だからハエが飛んでいる・・・。
ランジェリーや若くてかわいい女の子の頭にもハエがとまっていたよ!
ナチュラルすぎておもしろい。
撮影のときはきっともっといっぱいいて、一生懸命追い払ったりしてたんだろうなー。
あと、村のコーラス隊がびっくりするくらい下手だったのもおもしろかった。
合唱祭に向けてだんだん上手くなるのが地味にカタルシス。

マルタのやさしい刺繍
Die Herbstzeitlosen/Late Bloomers

(2006年 スイス)
監督/ベティナ・オベルリ
出演/シュテファニー・グラーザー(マルタ・ヨースト)
   アンネマリー・デューリンガー(フリーダ・エッゲンシュワイラー)
   ハイジ=マリア・グレスナー(リージ・ビーグラー)
   モニカ・グブサー(ハンニ・ビエリ)
   ハンスペーター・ミュラー=ドロサート(ヴァルター・ヨースト)
   リリアン・ネーフ(フレニ・ヨースト)
   マンフレート・リヒティ(フリッツ・ビエリ)
   ペーター・ヴィスブロート(エルンスト・ビエリ)
   モニカ・ニッゲラー(シャーリー・ビーグラー)
公式サイト

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僕のピアノコンチェルト

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

ヴィトスは高い知能指数と素晴らしいピアノの才能をもつ神童。喜んだ両親は良い環境を与えようとするが、好きになったピアノの先生やベビーシッターのイザベルと別れさせられ、飛び級した学校では生意気な態度で嫌われる。そんなヴィトスが心安らげるのは、家具職人のお祖父ちゃんのもとで過ごす週末だけだった。

思ったこと

天才少年ヴィトスのユニークな生き様。
たった12歳で、随分いろいろ経験しちゃってるね!
その天才ぶりはちょっとマンガちっくだけど、ハートウォーミングでいい気持ちになれる映画でした。
主人公のヴィトス役の子は、なんと本物の神童で、既にピアニストとしてコンサート活動をしているそうな。
超絶演奏を披露するだけでなく、ちゃんと演技もしてたよ!
忙しいだろうに映画にまで出ちゃって、それこそ“普通”からかけ離れた生活なんだろうな・・・。

自分の子供が神童だったら嬉しいもんかなーやっぱ?
天才ゆえに苦悩する・・・という映画をいろいろ観てきているためか(『シャイン』とか)、幸せになれなさそうな気がしちゃうんだよねー。
他の人を見下すような子になってもイヤだし・・・。
心が開放され、持っている才能をのびのびと使うことができたなら、確かに気持ちよさそうなんだが。

お祖父ちゃんの作業小屋で過ごすときだけ、ヴィトス少年はいきいきとした子供らしい笑顔でいられる。
パイロットになりたかったお祖父ちゃんと一緒に、ブーメランや飛行機を作って遊んだり、風船に手紙を結びつけて空へ飛ばしたりする。
ふたりがスパゲティを食べている何気ないシーンで、ずっと前に亡くなってしまった自分のお祖父ちゃんのことを急に思い出して泣けてしまった。
別にどこも似てなかったんだけど・・・。
冒頭のエピソードから、そのうちこのお祖父ちゃん死んじゃうじゃないかな・・・と気になってハラハラしっぱなしだったのだが、大げさなお涙ちょうだい演出をしていなかったのは好感度大。

ちょっと文句を言いたいこと。
ホームパーティで流麗にピアノを弾いてみせたヴィトス、さっきまで手づかみでご飯食べてたよね〜!?
ピアノを弾く前には手を洗いなさい!
ウサギを飼っているらしいお祖父ちゃん。
エサをやるシーンがあったが、どうしてかわいいウサギをちゃんと映して見せてくれないのよぉ〜!?
サービス精神が足りないってんだ。

僕のピアノコンチェルト
Vitus

(2006年 スイス)
監督/フレディ・M・ムーラー
出演/テオ・ゲオルギュー(12歳のヴィトス)
   ファブリツィオ・ボルサニ(6歳のヴィトス)
   ブルーノ・ガンツ(祖父)
   ジュリカ・ジェンキンス(母ヘレン)
   ウルス・ユッカー(父レオ)
   タマラ・スカルペリーニ(イザベル)
   クリスティーナ・リコーヴァ(6年前のイザベル)
公式サイト

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厨房で逢いましょう

お気に入り度 ★★☆☆☆

こんな話

天才シェフのグレゴアは、カフェのウェイトレスをしている主婦エデンに思いを寄せていた。エデンの娘レオニーを助けた縁で、グレゴアはレオニーに誕生日ケーキをプレゼントする。その上に載ったプラリネを口にしたエデンはグレゴアの味のとりことなり、夫クサヴァーが留守にする毎週火曜日、グレゴアの厨房を訪ねるようになった。

思ったこと

Chubo01天才シェフが料理に思いを込めるという内容から、さぞやおいしそうな食べ物が見られるんだろうな〜と期待していたんだけど・・・。
なんかダメ。
全然おいしそうに思えない。
フランク・エーラーとやらいう実力派料理人が実際に調理したらしいが、撮影がイマイチなのかなぁ〜、肉や魚は妙に生々しくグロテスク、全体的にヘンな色がかぶっている感じで、食欲をそそらない、つーかむしろ減退。
少年時代のグレゴアは妊娠している母のふくらんだ腹に憧れた・・・というエピソードはおもしろいが、むしゃむしゃ食べているのがチェーン店のピザなのはいただけない。
そんなもの食べて太って将来、天才シェフになれるのかい?
鴨の羽をむしり、頬ずりして「いい子だ、おいしくなあれ〜」などと語りかけているグレゴアは、天才の紙一重的な部分を表現しているのだろうが、単純にキモい、悪趣味と思ってしまう。
食材を噛みちぎったり、ぐちゃりと手でつぶしたり、ガチャガチャと回りにぶつかったりしてるような粗野な動作も、あまり有能な料理人に見えない。
グレゴアの料理に心奪われる人たちも同様で、がつがつとむさぼったり、皿をなめたりという品のない行動が見苦しい。
あまりのおいしさに我を忘れ・・・という好意的解釈をする気になれないのよ。

さらに、エデンの天然っぷりが癇に障る。
いきなり雨に濡れて現れて、グレゴアが迷惑そうにしているのに厨房に入り込み、図々しくも「味見させて」と頼み、グレゴアが席を外している間に鍋の料理まで食べ尽くす。
自分からディナーに招待しておきながら、昼寝してて、「作るつもりだったんだけど・・・」という白々しい言葉をはきつつ、冷蔵庫にはろくな食材が入っていない。
毎週押しかけて一流シェフの料理を当然のような顔をしてタダで食いまくり、グレゴアの気持ちは分かってても良さそうなのに、「私たち仲良しの友達よね!」と無邪気にのたまう。
お礼と称してデカ過ぎる植木をいきなり持ってくる。
厨房に犬を入れて喜ぶ。
純粋、天真爛漫と言えば聞こえはいいが、自分中心の傍迷惑女だよなぁ〜!!
自分は何をやっても許される、愛されると思ってる?
しかし、実のところ愛しちゃってるから、グレゴアの負けなのだ。
人生って理不尽よね〜。
そして、彼女の存在のおかげで、グレゴアの料理は凄みを増す。
人生って割り切れないわぁ〜。
このエデンを巡ってクサヴァーとグレゴアが人生を狂わすのだが、「世界一の美人」などと言われるほどのもんかぁ〜?
クサヴァーの行動がまた唐突に粗暴。
その前に夫婦でちょっと話し合いなさいよ・・・。
確かにエデンにはどこともいえない魅力があるのは認めるが、こんな女と結婚などしたら振り回されて、心安らかに生きていけなさそうだ・・・と思った。

厨房で逢いましょう
Eden

(2006年 ドイツ/スイス)
監督・脚本/ミヒャエル・ホーフマン
出演/ヨーゼフ・オステンドルフ(グレゴア)
   シャルロット・ロシュ(エデン)
   デーヴィト・シュトリーゾフ(クサヴァー)
   マックス・リュートリンガー(ルートヴィヒ)
   レオニー・シュテップ(レオニー)
公式サイト

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