レッド・クリフ part II −未来への最終決戦−

お気に入り度 ★★☆☆☆

こんな話

赤壁で対峙する魏・曹操の軍vs呉・孫権と蜀・劉備の同盟軍。敵陣をスパイする尚香。魏の軍で疫病が流行り、死体が送りつけられてきて、連合軍にも疫病が蔓延した。戦意を失った劉備軍は撤退する。孔明は残って10万本の矢を調達し、風の動きを読む。周瑜は敵の武将を謀殺する。そして決戦のときが近づいた。

思ったこと

未来って最終決戦って・・・だってこれって1800年も昔で、多くの人が成り行きを知ってる話なんでしょ?
それに冒頭、「この不況の時代、一人ひとりが勇気をもって未来を作ろう! byジョン・ウー」的なメッセージが入っていたが、ウッセーなんであんたにわざわざそんなことを言われなきゃなんないんだよ!と思った。

元気な尚香ちゃんはかわいくて好きなのだが、男だらけの敵陣に入り込んで気付かれないなんてことがあるのだろうか?
蹴鞠が得意な叔材と仲良くなる尚香ちゃん・・・これって友情? それともラブのエピソード?
姫の相手としては不足だな・・・。
スパイ活動を手伝わせ、窮地を助けてもらい、あげくは「きっと帰ってくる」とか適当なこと言って〜!
次に会うときは殺し合わなきゃいけない敵同士だというのは自明なのに、そんなことは考えてもいなそう。
友情にしてもラブにしてもぬるいから、まったくもって感情移入できません。
スパイから戻ってきて、腹に巻いた布をくるくる回りながら披露する、ヘソ出し尚香ちゃん。
何だそりゃ〜(笑)。
しかし、上着をそっとかけてあげるお兄ちゃんには、ちょっとグッときた。

冬至のお団子のシーン。
小学生の頃、給食でフルーツポンチ(白玉団子入り)が大人気で、男子が配膳係をやると自分らの仲間にばかり白玉団子をたくさん入れてイヤだった〜、ひとり3つずつです!・・・という思い出がよみがえったよ。
皆からお団子を分けてもらう周瑜・・・尚香ちゃんや孫権からも分けてもらう周瑜・・・お団子大好きな人なの?

周瑜の嫁、小喬は美女だとは思うが、なんかウザイ。
病人を看病しながらそっと涙ぐむところなんか、これ見よがしな感じで〜。
「あなたの心を乱さないためにお腹に子がいることを黙っていた」と言うならずっと黙っていればいいのに、最高に心を乱させるタイミングでの告白・行動。
そんなに重要人物なのか〜? その女。

今回、曹操がけっこうアホっぽくてかわいかった。
「処刑しろっ!」「(やっぱり)待てっ!」って・・・ちょっと笑っちゃうんですけど。
「華陀を呼べっ!」って言うからてっきり毒でも盛られたかと思ったが、なんだったの?
あと「劉備!?」って声が裏返っちゃうところもおもろい。
「一杯のお茶のせいで戦いの機を逃した」って本気で言ってるのかな・・・?

劉備たちの動きは「え?」という感じで、どうせなら、なんかもっと効果的な演出があったんじゃなかろうか。
ドッカンドッカンと爆発・炎上が見どころなのかもしれないが、派手なばかりで私はあんまり盛り上がれない〜。
周瑜と趙運はめちゃ強いな! こういうのがもっと見たいんだけど。
しかし大将とか将軍がそんな最前線に出ちゃっていいわけ〜?
赤壁の戦いの間、孔明はひとりお留守番をしていたのだろうか?

なんか・・・ずっと思っていたんだけど、周瑜と孔明がふたりで話すとき、顔を近づけすぎだよね・・・それは恋人たちの距離だよ! 周りには静かな空間が広がっているのに!
アップだとトニー・レオンのお肌がちょっと荒れてるのが気になるんだよナー。

レッド・クリフ part II −未来への最終決戦−
赤壁/Red Cliff

(2008年 アメリカ/中国/日本/台湾/韓国)
監督/ジョン・ウー
出演/トニー・レオン(周瑜)
   チャン・チェン(孫権)
   ヴィッキー・チャオ(孫尚香)
   中村獅童(甘興)
   リン・チーリン(小喬)
   ホウ・ヨン(魯粛)
   金城武(孔明)
   ヨウ・ヨン(劉備)
   フー・ジュン(趙雲)
   バーサンジャブ(関羽)
   ザン・ジンシェン(張飛)
   チャン・フォンイー(曹操)
   ソン・ジア(驪姫)
   シェ・ガン(華陀)
   トン・ダーウェイ(叔材)
公式サイト

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レッド・クリフ part I

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

208年、中国・後漢王朝の末期。北部を制圧した魏の曹操は、80万の兵を率いて南部へと出陣する。多くの民を連れた劉備軍は、長坂において大敗を喫した。孔明は呉の孫権のもとへ赴き、共に曹操と戦おうと説く。呉の軍師・周瑜の賛助を得て両軍は同盟し、赤壁の地にて曹操の兵を迎え討つ。

思ったこと

最初に基本的な国の勢力図と登場人物の説明があります。
また、主要キャラが出てくると名前が添えられるので、分かりやすいです。
なんだかな〜、ゲームの解説みたいっつーか、連続ドラマの続きみたいっつーか。
でもおかげで、三国志についてほとんど知識のない私でも全然大丈夫。
派手で迫力ある映像満載で、2時間半飽きさせないが、それほど盛り上がりはしなかったな・・・。
タイトルは『赤壁』のほうが重厚でいいのに〜と思っていたが、結果的には『レッド・クリフ』がお似合いな雰囲気であった。
武将たちが、それぞれ超人的な戦い方をするのはおもしろい。
“鏡でまぶしい作戦”すごい必殺技っぽくて笑った。
周瑜と孔明が琴セッションで会話してて笑った。
風光明媚な川に曹操軍の船が延々と連なっている光景は、ファンタジー映画のように幻想的。
“八卦の陣”って、巨大マスゲームみたい。
これ、本当に人で作ったんかな・・・すげーな。

キャラとして気に入ったのは関羽!
眉ひとつ髭ひとつ動かさず、踊るように敵をなぎ倒す! 槍ぶんぶんと!!
旗を拾って掲げたところもカッコイイ〜ッ。

私はトニーさまファンだけど、今回の髪型はあんまり似合ってないように思った。
生まれた仔馬の名前は萌萌(モンモン)、というところで思わず吹き出す。
・・・けど、ここ笑うとこじゃなかったかな? 他に笑ってる人いなかった・・・。
周瑜の妻、小喬が絶世の美女だか何か知らないが、いちゃいちゃ仲むつまじいシーン、かなりどうでもいい〜。
トニーさまのベッドシーンはもうおなかいっぱいだよ!(『ラスト、コーション』で)
それよりも戦の話をしようよ!
「1本のワラはすぐちぎれるが、何本も束ねてわらじにしたら丈夫になる」
日本では毛利元就の3本の矢が有名だが、実はチンギス・ハーンも子供たちに5本の矢に例えた話をしたとかで、これはもっと昔ってこと?
私もいつか年をとってエラくなったら、ここぞというときに、若者たちに向かって言ってみた〜い。

金城くんは・・・美形だし好きなんだけど〜、きらきらした瞳とにやっとしがちな口元、あまり知略に富むタイプに見えない・・・。
トニーさまが孔明役のほうが似合ったんじゃないかな〜。
でも周瑜のほうが活躍する役だしね・・・。

なんだか総じて、キャラを見る映画だったという感じ。
もっともっと活躍してほしい人:関羽
たぶん大食いなんだろうな〜と思わせる人:張飛
結婚したら頼りになりそうな人:趙雲
言われるほど役に立っていないように見える人:孔明
悩みを聞いてあげたい人:孫権
存在を忘れてしまいがちな人:劉備
友達いないと何回も言われてちょっと同情しちゃう人:曹操
日本人(倭寇?)でも中国で強く生きていけることを見せてほしい人:甘興

じゃじゃ馬の尚香ちゃんはかわいかったな。
将来、劉備と結婚・・・しないという展開でもいいんじゃないかな!

レッド・クリフ part I
赤壁/Red Cliff

(2008年 アメリカ/中国/日本/台湾/韓国)
監督/ジョン・ウー
出演/トニー・レオン(周瑜)
   チャン・チェン(孫権)
   ヴィッキー・チャオ(孫尚香)
   中村獅童(甘興)
   リン・チーリン(小喬)
   ホウ・ヨン(魯粛)
   金城武(孔明)
   ヨウ・ヨン(劉備)
   フー・ジュン(趙雲)
   バーサンジャブ(関羽)
   ザン・ジンシェン(張飛)
   チャン・フォンイー(曹操)
   ソン・ジア(驪姫)
   シェ・ガン(華陀)
   ワン・ニン(献帝)
公式サイト

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墨攻

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

紀元前370年頃、春秋戦国時代の中国。趙と燕の境にある小国・梁は、10万人の趙軍に攻められる危機に瀕していた。墨家に援軍を頼んでいたが、やってきたのはみすぼらしい身なりの革離一人のみ。梁王から兵に関する全権を与えられ、城を守るために奮闘する。

思ったこと

紀元前4世紀頃というと日本では弥生時代、日本人がやっと集落を作って稲作に励んでいた頃に、すでに中国ではこんな激しく国盗り合戦やっていたのだね〜。
墨家の思想は“非攻”と“兼愛”ということだが、なんか納得できなかった。
革離は最初からかなり好戦的に見えたし、助けを求められたらどんな相手でも助けるって、つまり先に言ってきたほうを助けるってこと?
群雄割拠する戦国時代での平和って何だろ?
いっそどこかの国に統一されてしまったほうが、世は落ち着くんじゃないか?
革離は自分の作戦で敵が火だるまになっているのを目の当たりにしてショックを受けていたし、決して礼を受け取らないというポリシーをわりとあっさり翻したし、逸悦に特別な想いを抱くようになったし・・・で、もしかして墨者としてはまだ未熟な人なんかな?

城壁に囲まれた梁の国民はたったの4000人。
1回の戦闘だけでも(勝ったのに)、かなり人数が減ってしまったように見える。
その上、梁王は邪魔になった人間や生意気な人間にどんどん謀反の嫌疑をかけて排除していくんだから呆れてものもいえない。
こんなダメな国さっさと滅んじゃえばいいよ!・・・と私が見捨てるまでもなく、2千年以上前に既に滅んでいるから安心だ。
それにしてもストーリーが大ざっぱだなぁ・・・。
東伯というお爺さん兵士が死んで逸悦が嘆くが、そんないきなり出てきた人物には感情移入できませんなぁ。
梁適のあんまりな最期も、牛将軍のたくらみかと思えば、ただのミス? そんなのありですか?
終盤で、趙の名将・巷淹中がとった行動もよく分からないから盛り上がれない・・・。
なんで梁王がおめおめと生き残ってんだよ!?
このストーリーの消化不良感って、原作の小説やマンガを読めば解消されるのかしら・・・。

騎馬隊の紅一点、逸悦ってロマンス要員かな。
けっこう足手まといになっていたようだが・・・。
なぜ手をつないで逃げる(笑)。
ふたりが飛び降りる崖、高すぎて怖〜い、でも景色として非常に美しい!
あっさり逸悦に惹かれてしまう革離、今まで女性に免疫がなかったタイプだろうか。

もしも私が兵士だったら、どの役割がいいか考えた。
最初に突撃するのはやっぱりイヤだな〜。すぐ死んじゃいそうだから。
しかし石を運んで落とすばかりの奴隷もつまんないし・・・。
“高貴の象徴”である騎馬隊には憧れるが、弓矢隊のほうがかっこいい気もする。
信義に厚く寡黙で、狙ったものをはずさない弓の達人・・・(しばし妄想タイム)。
それか、軍略や布陣を考えるための城の模型を作る人でもいいな。

墨攻
墨攻/A Battle of Wits

(2006年 中国/日本/香港/韓国)
監督/ジェイコブ・チャン
原作/酒見賢一、森秀樹、久保田千太郎
出演/アンディ・ラウ(革離)
   ワン・チーウェン(梁王)
   チェ・シウォン(梁適)
   ファン・ビンビン(逸悦)
   ウー・チーロン(子団)
   チン・シウホウ(牛子張)
   アン・ソンギ(巷淹中)
公式サイト

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インビジブル・ウェーブ

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

香港のレストランでコックとして働くキョウジは、ボスの妻セイコと不倫関係にある。キョウジはボスから命じられて彼女を殺害し、プーケットへと逃亡する船上で、赤ちゃんを連れた魅力的な女性ノイと親しくなった。

思ったこと

同じ監督・脚本・撮影・主演の前作『地球で最後のふたり』がかなり良かったので、期待して観に行った、けど、ちょっと不発だったね・・・。
前作で素晴らしいと思った、異国にいることの“リアル”、その感触は本作にもしっかり存在したのだけれども。
ノンネイティブ同士の英会話は、アメリカやイギリスの映画と違って完璧に聞きとれる。
あのボキャブラリー少なめで訥々とした喋り方、登場人物の演劇的ではないたたずまい、そして何が何だか分からないまま巻き込まれるトラブルが、自分が旅しているときの気分を強烈に想起させるんだよねー。
また、はっきりとした展開のない中を浮遊している感じ、脈絡のないエピソードは、悪い夢を見てるっぽいとも言える。
私はこういう気分をもっと欲しているんだけど、どうして日本映画では得られないんだろう?

例によって何の予習もせずに観始めたところ、話の流れがよく理解できなかった。
たぶんそういう作りの映画なんだろう、後半でいろいろ分かるのだろう・・・と思っていたのに、結局最後まで納得できないままの部分が多かった。
まず私は、殺人は誰の意図によるものなのだろう?それとも事故?ボスには隠してるのかな?キョウジはこういうことに慣れてる裏社会の人?プーケット行きは仕事の続き?でもその仕事の依頼者は誰?ということをずっと考えていたんだよね。
後半の成り行きにとまどいながら、観終わって映画解説とか監督インタビューに目を通したら、ストーリーが自明のことのように書いてあるじゃん。
そんなん、分かんなかったよ・・・。
あらすじとか事前に読んでないと把握できないのって、映画としては失敗だと思うのだけど(それとも私の理解力不足!?)。
そういうわけで、浅野忠信演じるキョウジの心情をおしはかることができず、謎の人にしか見えなかった。
ボスと対峙してても緊迫感ないし・・・(スープを放っておけないコックっぷりには笑っちゃったけど)。
それにしても、キョウジとノイの出会いにはどういう意味が?
まさか偶然ってことはないよねぇ〜。

浅野忠信の顔がアップで映された瞬間、少なからぬ衝撃が!
なぜなら、うちの叔父を彷彿とさせたから・・・。
ええ〜、浅野くんてもっとカッコよくなかったっけ〜? 生え際がぁ〜。
でも、胸から膝までを切り取ったように映したシーンが幾度かあり、身体の線にちょっぴり萌え♡
浅野忠信は、どんな映画に出ていても、本人素のままという雰囲気がある。
作品によっては「またか」って思ってしまうこともあるのだけど、今作では合ってたと思う。
「よちよち〜」みたいな感じで赤ちゃんに話しかける浅野くん、微笑ましい♡

頭に包帯を巻いた僧侶が後ろ姿で登場したとき、これって、この声って、『インファナル・アフェア』のサムおやじだ〜!!
と声だけで気付くなんて、私にしては珍しい。
と思って、エリック・ツァンの出演作をちょっと調べてみたら、『君さえいれば 金枝玉葉』『ラブソング』『不夜城』などけっこう観てるのに、全然覚えてなかったことが分かった・・・。

カン・ヘジョンの存在には期待したけど、この映画ではかわいいだけだったな〜。

カラオケ好きのリザードが着ていた、惑星柄のアロハシャツ、欲し〜。

インビジブル・ウェーブ
Invisible Waves

(2006年 タイ/オランダ/香港/韓国)
監督/ペンエーグ・ラッタナルアーン
脚本/プラープダー・ユン
撮影/クリストファー・ドイル
出演/浅野忠信(キョウジ)
   カン・ヘジョン(ノイ)
   エリック・ツァン(僧侶)
   光石研(リザード)
   トゥーン・ヒランヤサップ(ウィワット)
   久我朋乃(セイコ)
   マリア・コルデーロ(マリア)
公式サイト

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お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

洋上に浮かぶ船の上で暮らす老人と少女。10年前に老人がどこかから連れてきて、慈しみ育ててきた少女が17才になる日、ふたりは結婚式を挙げることになっている。しかし、釣り客として訪れた青年に少女が淡い想いを抱いたときから、信頼と愛情で結ばれていたふたりの関係に変化が現れる。

思ったこと

きゃー! これって、拉致監禁の犯罪ストーリー・・・。
これを“真実の愛”などと美しく言ってしまっちゃいけないような気がするんだけど・・・。

Yumi01さらわれてきた少女は10年間、船から出たことがない。
訪れる釣り客たちが好奇の目を向けて、少女にちょっかいを出そうとすると、老人が矢を放って威嚇する。
ブランコを漕ぐ少女をかすめて船体にささる矢で、占いをする。
すべてが現実離れしていて、なんだかおとぎ話を聞いてるよう。
裸の少女をやさしく洗ってやったり、ベッドの中で手を握ったり、婚礼衣装を少しずつ揃えていったり、結ばれる日を待ちわびてカレンダーにしるしをつけたり・・・この、このエロジジイ!!
老人の行動ひとつひとつが私には気持ち悪く、嫌悪感が湧き上がってくるのだけど、老人の慈愛に満ちた表情と少女の無垢な微笑みを見ていると、ふたりの関係はふたりにしか分からないという無力感に似た気持ちにとらわれる。
ふたりともセリフが一切なくて、表情やたたずまいだけで心情を強く伝えてくる。
気が付くと、私もこの少女のことをかけがえのない宝物と思い、いつまでもこの船の世界に閉じこもっていたいと必死になる気持ちに同化しそうになっていた。
占いの結果を老人の耳にささやく少女の姿、なんてエロティック!

ラスト、老人が想いをとげた(とげたと言えるよね???)シーンは、このうえもなく衝撃的!
このときちょっと眠くなっていたんだけど、ばっちり目が醒めた。
怖ろしすぎる・・・。
自分や身近な人がこの少女のような立場になったらと考えるととてもじゃないけど許せないし、少女が現実世界に戻ってからいったいどう生きることができるのか、人生を完全に狂わせたのには間違いない。
だけど、なんだか、深く清い愛を体験したことに至上の価値があるような感覚に陥ってしまうのは、映画マジックでしょうか・・・。
いや、でも、だめ、ありえないありえない・・・。

弓は射られるだけでなく、弦を張り直して楽器にもなり、メロディが奏でられる。
ヘグム(韓国二胡)という楽器だそうで、きれいな音なんだけど、きれいすぎてBGMになりきっているのが私はちょっと残念だったというか、もっと生っぽい音が聴きたかった。

キム・ギドク監督の作品は『春夏秋冬そして春』『サマリア』『コースト・ガード』『魚と寝る女』と観てきて、これで5本目。
好きかどうかと訊かれると、別に好きじゃないって言っちゃう。
だいたいイヤ〜な気分にさせられるし。
でも、妙に気になるというか、チェックしとかなきゃと思わせる存在なのです。
とんでもない出来事と美しい描写を奇妙に融合させる、独特な表現者だと思う。


The Bow

(2005年 韓国)
監督/キム・ギドク
出演/チョン・ソンファン(老人)
   ハン・ヨルム(少女)
   ソ・ジソク(青年)

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トンマッコルへようこそ

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

1950年代の朝鮮戦争下。人里離れた山奥のトンマッコル村に、連合軍パイロットのスミス、リ・スファら北朝鮮人民軍の兵士3人、ピョ・ヒョンチョルら韓国軍兵士2人が迷い込んだ。敵対する兵士たちの間で緊張感が走るものの、戦争のことなど何も知らずほがらかな村に滞在するうち、だんだん打ち解けていくが・・・。

思ったこと

Dongmakgol01ファンタジー仕立ての戦争映画。
なんだかね、要所要所で宮崎アニメを彷彿とさせるのです。
うっそうとした森に光が射し込む様は『風の谷のナウシカ』、トンマッコル村への入口は『千と千尋の神隠し』、巨大な猪は『もののけ姫』、苔むした戦闘機は『天空の城ラピュタ』。
音楽は久石譲・・・そのせいもあるか?
と思ったら、監督は熱烈な宮崎駿ファンらしいですよ!
韓国映画が宮崎アニメの影響を・・・そういうこともあるのか。

銃を向け合う兵士たちの緊張感と、のんびりした村人との対比。
ポップコーンが舞い降るシーンでは、その幻想性になんだか涙がにじみました。

猪が突進してくるとこ、かなり可笑しい。
大仰な音楽に、マンガチックなスローモーションが、長々と続く。
何? その連携プレー・・・(笑)。

浮世離れした村の生活で、兵士たちがだんだんと心を開いていく様子が、実にユーモラスに描かれる。
イノセントなヨイルは、本当に楽しそう。
中盤から暗い予感が濃厚で、最後まで見届けたくないというか、途中のこの幸せ気分のまま観るのをやめてしまうのもありかなぁ〜と思いつつ・・・。

兵士として戦場にいるときは、敵を倒すことが至上の命題なのだが、冷静に人間ひとりに立ち返ったときに、そうそう憎んだり殺したりできない。
戦争で勝つためには犠牲者を出すことを厭っていられないが、目の前にいる罪もない民間人を殺すなんて、平常の神経でできるわけない。
その間で揺らぐことを余儀なくされるのが戦争時・・・。
この物語は血に染まりつつも、ヒロイックなおとぎ話のように終わるけど・・・。

でも、トンマッコルの村は本当にあったのかな?という気持ちにもなる。
もしかして、既に死んだ人たちが、楽しく平和に暮らしている異界の村だったのでは・・・。
蝶が飛んでいるのも、何故か村人は猪の肉を食べないっていうエピソードも、なんかそれっぽいな。

それにしても、南側の韓国軍・連合軍がヒドイ〜!って感じなのに、なんで韓国で興行成績が良かったんだろう?と思ってたが、あれは韓国軍ではなくて連合軍が行ったこと、という解釈なのか。
兵士たち6人の中で最もかっこいいのは北朝鮮のリ・スファ中隊長だし。
その辺の政治事情にはまったく疎いので、ちょっとよく分かってないところがあるかも。
ちなみに、スミスはいかにも“外人”といった風情で、映画の中でちょっと浮いている。
普通に皆と意志疎通しているようだったが、誰が英語をしゃべれたんだ?

トンマッコルへようこそ
Welcome to Dongmakgol

(2005年 韓国)
監督/パク・クァンヒョン
音楽/久石譲
出演/カン・ヘジョン(ヨイル)
   シン・ハギュン(ピョ・ヒョンチョル)
   チョン・ジェヨン(リ・スファ)
   イム・ハリョン(チャン・ヨンヒ)
   ソ・ジェギョン(ムン・サンサン)
   リュ・ドックァン(ソ・テッキ)
   スティーヴ・テシュラー(スミス)
   チョン・ジェジン(村長)
   チョ・ドッキョン(キム先生)
   クォン・オミン(ドング)
公式サイト

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魚と寝る女

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

昼間は釣り場の管理人をし、夜は釣り人相手に身体を売っている、口をきかない女。殺人を犯し死に場所を求めてやってきた男。ふたりはいつしか惹かれ合う・・・。男を訪ねてきた娼婦への嫉妬や、警察による検問が、物語を思わぬ方向へと導いていく。

思ったこと

Sakana01_1ギョ、ギョエ〜〜〜〜!!!
なんでそんなことを!?
グロや血には割と平気なほうだと思っていたが、思わず目をそむけてしまった・・・ヒィー。
あんたら病院行かなくって大丈夫?
水中って雑菌が多いんだよ・・・。
これってホラー映画なのかと疑ってしまった怖気だつシーンも二つ、三つ・・・。

大きな湖(?)に点々と浮かぶ釣り小屋、朝もやが一面に立ちのぼり水墨画を彷彿させる情景、藍染めのような深い色合いの夜・・・美しい景色と美しくない人間の営みが混じり合う。
釣り場管理人である女は一言も口をきかないが、じっとりと情念がこもった眼差しですごい存在感。
どんな過去を抱えているのか知らないが、この人から好かれるのも憎まれるのも怖ろしいよぉ〜。
ちょっと言葉の通じない感じもあるし。
でもなんか妙にエロいのね。
一度ハマると抜け出せない・・・。
いや、目をつけられたときから、もう抜け出せない運命だったのか・・・。
男のことが気になっていろいろちょっかい出してきたり、ブランコの針金細工をもらってうれしそうにしたりとかはカワイイんだけど。
針金細工といえば、男はいい腕前をしていた。
こんなの目の前で作ってプレゼントされたら、かなりポイント高し。

さて、主筋から外れた部分でギョエ〜なシーンをメモメモ。

釣り針に付けるミミズを歯でちぎる女。
ギョエ〜!
この女優さんは実際にやったのだよね・・・すばらしい女優魂・・・ヌードより尊敬に値するっ!

小鳥に食べさせようとカエルの皮を剥ぐ女。
ギョエ〜!
最初いやがらせかと思ったが、どうも本気くさかった。

愛人を連れた中年男が、釣った鯉の身をそいで刺身にして食べながら、「見てみろ」と水に放つ。
そしたら鯉は骨を見せたまま泳いでいくのね・・・。
ギョエ〜悪趣味!
でも、これってホントにあり得ることなの?

魚と寝る女
The Isle

(2000年 韓国)
監督/キム・ギドク
出演/ソ・ジョン(釣り場の女ヒジン)
   キム・ユソク(自殺したい男ヒョンシク)
   パク・ソンヒ→ソ・ウォン(娼婦ウナ)
   チョ・ジェヒョン(娼館の男マンチ)

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コースト・ガード

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

北朝鮮からのスパイ侵入を防ぐための海岸警戒所。仕切られたエリアに入った人間は射殺されることになっている。カン上等兵はある夜の見張り中、不審な人影を見つけ射殺する。しかしそれは、スリルある情事にふけっていた民間人カップルだった。生き残った女ミヨンは発狂し、カン上等兵もだんだんとおかしくなっていく。

思ったこと

カン上等兵は職務にのめり込んで功を焦っている。
序盤で軍人と地元の若者たちの軽いいさかいが描かれており、カン上等兵の攻撃的な性格が強調されているので、てっきり彼は「スパイじゃないかも、民間人かも」と分かりつつ、規則だからと見せしめのように発砲したのだとばかり思っていた。
違った・・・。
少なくとも最初は、そんな狂った人間じゃなかった・・・。
ショックを受けたカン上等兵は、職務に忠実であったと表彰され、死んだヨンギルの遺族や友人に責め立てられ、同僚たちからは他人事のような態度をとられ、恋人には避けられる。
こういう大変な精神状態におかれた人を放っておいちゃいかんだろー。
誰か早くカウンセリングに連れていけよ・・・と、やきもき。
平穏な日常からは浮いてしまうカン上等兵だけど、非日常の最たる戦時には、こういう人が頼りがいあったり、本当に手柄を立てたりして、生き生きできたんだろうなぁ。
被害者側がつらいのは当然だが、はからずも加害者となってしまった人間の苦悩も底知れない。
特に彼の場合は、職務を真面目に遂行した結果なのだから・・・。

それにしても、韓国には本当にこういうエリアが存在するの?
なんだか簡単に入れるみたいで、危険極まりないように思えるけど・・・。
スパイの脅威に対する、軍隊と民間人の温度差も気になる。

チャン・ドンゴンの強く鋭い目つきは、忠実な軍人である最初から、だんだんと精神のバランスを崩していくところ、得体の知れない脅威の存在となり果てるまで、とにかく恐かった。
チャン・ドンゴンといえば二枚目韓流スターだが、ハンサムだとか、かっこいいとか、まったく感じる暇がなかったよ。
でも、意外とたくまし系なのね・・・。
最後にセパタクロー(足でするバレーボールみたいなスポーツ)のシーンでやっと楽しそうな顔が見れて、その笑顔のかわいさが余計に悲痛な後味を残す。

ミヨンは決して美人という感じじゃないんだけど、おかしくなって海に浸かり戯れる様子は、妙になまめかしく凄まじい印象。
そんなミヨンが、誰かれ構わず恋人に見立ててすりよるのを、いいように遊び相手にする軍人たちは卑劣きわまりない!
そして無理矢理な処置・・・最低!!
終盤はなんだかオカルトっぽい展開になるのだが、ミヨンは単に狂ってしまったのではなく、非人間的な軍隊というものに対する復讐の権化であったということだろうか。

ところで、兵営の入口に掲げられている、ドクロからコウモリの羽が生えているマーク、なんだかふざけてるみたいなんですけど。
また、一斉に床についたあと、指名されたカン上等兵が朗々と歌うシーンも不思議な感じ・・・。

コースト・ガード
The Coast Guard

(2002年 韓国)
監督/キム・ギドク
出演/チャン・ドンゴン(カン上等兵)
   キム・ジョンハク(キム上等兵)
   パク・チア(ミヨン)
   ユ・ヘジン(ミヨンの兄)

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王の男

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

旅芸人一座のチャンセンは、女形コンギルが裕福な客のなぐさみものになろうとしているのを救って逃げ出し、ふたりで漢陽の都へ向かった。時の王ヨンサングンが芸妓だったノクスを愛妾にしているのを風刺した芸で人気を博す。しかし王を愚弄した罪で捕らえられ、死刑を宣告される。チャンセンは「王が笑えば侮辱じゃない」と反論し、王の前で演ずる機会を得、見事気に入られて王宮に迎えられた。

思ったこと

Ounootoko01女形芸人コンギルを演じるイ・ジュンギは“女より美しい男”と言われて大人気らしいが、事前に写真で見たときは、そこまでの美形かぁ〜?と不審に思ってた。
初めて登場したときも、まあきれいだけど、そんな騒ぐほどでもないんじゃない〜?と思ってた。
しかし、ストーリーが進むにつれ、チャンセンのことを信頼していつも後ろにぴったりついてくる様子、はにかむような微笑が、かわいい、かわいいよ、コンギル。
なんか守ってあげたいような気分。
そばにおいて、私のためだけに微笑んでおくれ、という気分。
古風でたおやかなたたずまいが、よっぽど今どきの“女より美しい”というのに納得できました。

最初から最後まで、芸人たちのシーン満載で楽しい。
劇の中身はビミョーっていうか笑えるものではないが(時代とかお国柄とかあるのかも)、綱の上で飛んだり跳ねたりするアクロバットは見応えがある。
圧巻は、チャンセンが矢を避けるシーンね。
あまりなじみのない韓国の衣装も、他では見ないような色の取り合わせがきれい。

最初は絶対笑わなさそうだった王様だが、意外とゆるかった。
ていうか、下ネタがお好きなのね・・・。
ヨンサングンは歴史上の暴君として有名らしいが、部下にいちいち先王と比べて否定されたり、生い立ちが可哀想だったり、好き放題やってるように見えて孤独な内面を抱えていたり、だんだん同情の気持ちが高まってくる・・・かと思うと、やっぱりとんでもなく暴君だったりする。
寵愛を受けたコンギルが、仲間から抜けてでも、助けたい、支えになってあげたいと思う気持ちに共感しつつ、手に負えない王の所行に翻弄される。

コンギルはてっきり男娼なんだと思っていたけど、どうもそういうわけでもないらしい。
しかし役の上だけでの女形というには、普段から女らしすぎる。
とはいえ、はっきりゲイだと描写されるわけでもない。
なんか曖昧なままなんだよね・・・コンギル、あんたはいったいどういう人?
そしてチャンセンとコンギルは、深い友情で結ばれているということらしいが、あからさまに怪しい・・・それだけじゃないだろー?
はっきりしろー。
チャンセンが必死で暴れて、コンギルの身体を売らせまいとするのは、どう見ても嫉妬の感情だよなー。
まあ同性でも異性でも、自分の身を捨てられるほど大事な人がいるというのは、生まれてきた甲斐がある幸せなことだと思う。
たとえどんな結末に終わっても・・・。

王の男
King and the Clown

(2005年 韓国)
監督/イ・ジュンイク
出演/カム・ウソン(チャンセン)
   イ・ジュンギ(コンギル)
   チョン・ジニョン(ヨンサングン)
   カン・ソンヨン(ノクス)
   ユ・ヘジン(ユッカプ)
   チャン・ハンソン(チョソン)
公式サイト

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親切なクムジャさん

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

無実の罪で13年間服役したあと、出所してきたクムジャ。刑務所では、美しくやさしい笑顔と献身的な態度から、皆に“親切なクムジャさん”と慕われていた。クムジャはオーストラリアに養子に出されていた娘との再会を果たし、先に出所した仲間の協力を得て、自分を陥れた英語教師ペクへの復讐計画を実行する。

思ったこと

奇妙な味の観後感。
Kumuja001_3パク・チャヌク監督の“復讐三部作”の3作目にあたるわけだが、前作『オールド・ボーイ』みたいに度肝を抜かれるような疾走感はない。
淡々とした語りで、なんだかおとぎ話の世界のような雰囲気のなか、独特の価値観に律されたクムジャワールドが進んでいく。
正直、どうしてそんな自分をも傷つけるような復讐を?と思ってしまうのだけど(だってクムジャは本当に大事なもの=娘を取り戻せたのだから)。
凄惨なシーンがあっても、なんだか絵空事という感じが強くて、乾いたブラックユーモアを笑いながら楽しむという感じ。
ありえない、予想もつかない展開で、口がぽか〜んと開いてしまった。
でも血が飛び散ったり、誘拐された子供たちが泣き叫ぶ映像が入ったりするので、そもそもそういうのがダメな人は気分が悪くなるかも。

クムジャを演じるイ・ヨンエは1971年生まれということなので、撮影時は30代前半。
大人と若い娘の雰囲気が入り乱れる感じは、まさにこの年代ならでは。
正統派の美人さんで、韓国では“酸素のような女性”というキャッチフレーズがついているとか(酸素のような透明感・・・!?不思議なたとえだなー)。
がちがちの美人が淡々と復讐劇を行っていくからこその、妙なすごみが出ていた。

根っからの悪いやつ、ペク先生を演じたチェ・ミンシクは『オールド・ボーイ』の主演。
もう、両作とも、常軌を逸した怪演なので・・・今後ほかの映画に出ていても、フツーの目で見ることができないかも・・・。

そのほか、刑務所に君臨していてクムジャさんに成敗された“魔女”、「顔が光り輝く女性がいる」と例えられていると思ったら本当に光り輝く演出、オーストラリアのヘンな義父母など、細かい見どころもたくさん。

ゾゾッとしたけど、美しいシーン。
1.雪の平原のなか、人面犬を引きずって歩く。
2.石造りの暗い道で、暴漢に銃を構えながら近づく。

思わず吹き出して笑ってしまったシーン。
1.「クンシクはバカなのかもしれない」クムジャは思った。
2.クンシクが「どうぞ」と身体を差し出した。
3.チェ刑事が遺族にお茶を配っている。
4.チェ刑事が刃物の使い方を指導している。

親切なクムジャさん
Sympathy for Lady Vengeance

(2005年 韓国)
監督/パク・チャヌク
出演/イ・ヨンエ(クムジャ)
   チェ・ミンシク(ペク)
   オ・ダルス(チャン)
   キム・シフ(クンシク)
   キム・ビョンオク(伝道師)
   ナム・イル(チェ刑事)
公式サイト

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