ドゥーニャとデイジー

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

アムステルダムに住むモロッコ人のドゥーニャと、自由奔放なオランダ人のデイジーは、性格はまったく違うけど親友同士。ドゥーニャは親の決めた結婚相手と会うためにモロッコへ旅立ち、そこに実の父親を探すデイジーもやってきて・・・。

思ったこと

いかにも女の子という感じのデコラティブな小物やモチーフを映すオープニングクレジット、かわいい!
これ、元はオランダで人気のTVドラマだったんだね。
どこの国でも女の子って変わらない・・・という部分と、やっぱり日本とは違う民族とか宗教とかの事情がないまぜになって、テンポよくストーリーが進む。
 
ドゥーニャ役の子はめちゃくちゃかわいいな!
いつも何か思いにふけっているようなまなざし、はにかんだ微笑みが印象に残る。
18才の誕生日に親戚がたくさん集まって、結婚相手も相談で決められてしまい、とまどいを告げると母親に「あなたは誰!? こんな子は私の娘ではない」と責められる(きっつ~!)。
ドゥーニャが旅の果てに目にした、世界遺産にも登録されているというアイト・ベン・ハッドゥの光景はとても美しかった!
これは誕生日プレゼントにもらってビミョーな気持ちになっていたジグソーパズルのモチーフ。
自分のルーツの価値に気づくということは、自分の尊厳をも改めて大事にできるということ。
親の言うとおりの伝統的な生き方はできないかもしれないけど、ドゥーニャの中にはモロッコ人であることがしっかり刻まれていくのだろう。

対するデイジーも美人だし、すごくスタイルいいけど、ちょっとこれ見よがし。
手のつけられない自由奔放な性格だしな〜。
ムスリムの国でも平気で露出過多の格好で歩き回って顰蹙なんだが、旅の途中で、トラックの運転手とドゥーニャが祈りを捧げているとき、後ろのほうで一緒になって小っちゃく祈っているところがかわいい、憎めない。
18歳ってもう大人のような顔をしてるけど、「私を生んで良かった」と親に言ってもらうことが重要な、まだまだ子供の気持ちをもっているんだな〜ということがなんか新鮮だった。
そういうのってすごく昔に通り過ぎてしまったので、すっかり忘れていたよ・・・。

ドゥーニャの婚約者ナビルが登場した途端、思わず吹き出してしまったんだけど、同様に笑っていた女性観客がちらほら。
人を見た目で判断しちゃいけないんだけど〜(笑)。
ここが笑うシーンだということは、世界共通なんでしょうか。

ドゥーニャとデイジー
Dunya & Desie

(2008年 オランダ/ベルギー)
監督/ダナ・ネクスタン
出演/マリアム・ハッソーニ(ドゥーニャ)
   エヴァ・ヴァンダー・ウェイデーヴァン(デイジー)
   クリスティン・バン・ストラーレン(デイジーの母)
   テーオ・マーセン(ジェフ)
   ラチダ・イアッララ(ドゥーニャの母)
   イリアス・アダップ(ドゥーニャの弟)
公式サイト

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地上5センチの恋心

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

夫を10年前に亡くしたオデットは、デパートのコスメ売り場で働き、夜は羽根飾りの内職をして、ふたりの子供を育て上げた。心の支えは流行作家バルタザール・バルザン。待ちに待ったサイン会では緊張してうまくしゃべれず落ち込む。想いのたけを綴ったファンレターを渡したところ、作品を酷評され妻にも裏切られ傷ついたバルザンの心に響き、家出したバルザンがオデットの家に転がり込んできた。

思ったこと

主人公オデット、好きだな〜。
いつでも夢みる瞳で、気持ちの高まりとともにふわふわ宙に浮いてしまう、永遠の乙女キャラ!
大きな子がふたりもいるとはビックリだ。
夢みがちだからといって、脳天気で幸せいっぱいにばかり生きてるわけじゃない。
傷つきやすい心を抱えながら、仕事や子育てを真摯にこなし、つらい思いをいろいろ乗り越えてきているからこそ、他人を心から思いやることができる。
未成熟なだけのふわふわキャラとは一線を画しているのだ。
ピンクの服、ごてごてと飾られた部屋、ひらひらのネグリジェはご愛嬌。
カリブの島への憧れをかきたてるようなジョセフィン・ベイカーの歌が流れてくると踊り出さずにはいられない姿もほほえましい。
こういう人には本当に幸せになって欲しいな〜と思う。

上の息子(ゲイ)のルディ、明るくて優しくていい奴〜。
つれてくるボーイフレンドも感じいいし。
19才ということだが、美容師として楽しそうに働き、好みの男について屈託なく話し、母の相談にも親身になってくれるところがカワイイ!
そしてバナナの腰ミノには目がくぎづけだ!
下の娘、スー=エレンは反抗期かな?
いつも不機嫌で悪態をついている。
仕事がなかなか決まらないようだから同情の余地はあるが・・・。
きっとボーイフレンドも悪かったんだよね。
それにしても、ブラ売り場の売り子はガンになるって・・・なんじゃそりゃ!?
ここん家は開放的というか、息子や娘の恋人、母の恋人(?)とその息子などが出たり入ったりして、普通のことのように一緒に過ごしてるのがおもしろい。

バルザンをけなした文芸評論家、「中身が空っぽの本を好む人種がいるのです。安っぽい人形を集め、夕焼けを好む連中。アパートの管理人、レジ係、美容師など・・・」って、すんごい差別発言!
流行作家がファンの手紙に感動して会いに来て気持ちが通じ合う・・・って、あまりにありえないシチュエーションだが、それが心地いいのかもしんない。
私としては、憧れの作家やアーティストの生身を知って幻滅したくないから、一ファンとして遠くから見つめているだけでいいや〜って腰が引けちゃうけど。

地上5センチの恋心
Odette Toulemonde

(2006年 フランス/ベルギー)
監督・脚本/エリック=エマニュエル・シュミット
出演/カトリーヌ・フロ(オデット・トゥールモンド)
   アルベール・デュポンテル(バルタザール・バルザン)
   ファブリス・ミュルジア(ルディ)
   ニナ・ドレック(スー=エレン)
   カミーユ・ジャピィ(ナディーン)
   ジャック・ヴェベール(オラフ・ピムス)
   ローランス・ダムリオ(イザベル)
   アラン・ドゥテー(発行人)
公式サイト

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やわらかい手

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

未亡人マギーの悩みは、難病で入院している孫オリーのこと。メルボルンまで行って手術を受ければ助かるかもしれないと医師に告げられるが、マギーにも、息子夫婦のトムとサラにもそんなお金はない。困ったマギーが見つけた仕事は、セックスショップで手を使って男をイカせるというものだった。

思ったこと

人間っていろんな可能性が残っているんだなー。
今まで仕事をしたことがなく、一般的にはリタイアするような年のマギーに、こんな才能があったなんて!
なんだか夢を感じる!?
最初はフツーのおばさんという風に見えていたマギーだが、とまどいつつも奮闘していくうちに、だんだんかわいらしく思えてくる。
「年増?さえない?そんな女は雇っていない」というミキの言葉が男前!

このシステム、ミキは「東京で見たのを真似した」と言うがホント!?
こんなん、あるの!?
最初は抵抗感いっぱいで逃げ出すマギーだが、決死の覚悟で頑張ることにし、だんだん慣れていったら平然と雑誌片手にできるくらいのルーティンに。
なんだか指圧マッサージとかと同じようなもんだと思えてきたよ!
壁の向こうに立つ男たちはコインを入れているが、それってけっこう安いということだよねぇ。
殺風景な仕事部屋に好きな絵や花を飾ったりするのが、“女の適応力”という感じで微笑ましい。
親切に仕事を教えてくれた同僚ルイザとは、年は離れているけど、心を開くことのできる友達に。
だのに、マギーが“イリーナ・パーム”として大人気となり、ルイザの仕事を奪ってしまったことで関係は壊れてしまう。
ここで安易な解決や仲直りができなかったことは、リアルな感じ・・・大人になってからの友情って、お金とか仕事、利害、そういうことにも左右されてしまう・・・悲しいけど。

息子トムの奥さんであるサラは背が高い美人だけど、マギーがオリーへのおみやげに持ってきたぬいぐるみを「困るわ」と取り上げたり、医者が手術のことを話すと「誰がお金を払うの!?」とすごんだり、いくらショックを受けているといえマギーと別れ際に挨拶しないどころか見もしなかったり、すんごく感じ悪い。
単に性格がキツイ人なのか、その理由はよく分からないんだけど、もしかしてトムがマザコンのせい?
トムがマギーの秘密を知って、あんなに激昂してしまうのは、マザコンだからなんだろうなー。
オリーのために大金が必要なのは確かで、既にそれはありがたくもらっているのに、母親が汚れた仕事をしているという思いに耐えられないのは、理屈じゃないんだろうなー。
お母さんにボーイフレンドができたと知ったとき、また怒って泣いちゃうんじゃないかと心配・・・。

やわらかい手
Irina Palm

(2006年 イギリス/フランス/ドイツ/ベルギー/ルクセンブルク)
監督/サム・ガルバルスキ
出演/マリアンヌ・フェイスフル(マギー)
   ミキ・マノイロヴィッチ (ミキ)
   ケヴィン・ビショップ(トム)
   シボーン・ヒューレット(サラ)
   ドルカ・グリルシュ(ルイザ)
   ジェニー・アガター(ジェーン)
公式サイト

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エンジェル

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

イギリスのいなか町で小さな食料品店を営む母親と2人暮らしのエンジェルは、近隣の邸宅パラダイスハウスに憧れていた。奔放な想像力のままペンを走らせて書いた小説は、ロンドンで出版されるやいなや多大な人気を得る。エンジェルは憧れの暮らしを手に入れ、売れない画家エスメに恋をした。

思ったこと

エンジェル、エキセントリックな女〜!
エンジェルは未熟で傍若無人な自分全開のまま、あれよあれよという間に成功の階段をのぼっていく。
なんだこいつは・・・と半ば呆れながら観ていたのに、ふと気付いたら、エンジェルの興奮の渦に巻き込まれていた。
とくに「レディ・イレニア」の舞台が終わったときの観客全員のスタンディングオベーション。
くらくらするほどの快感だろう・・・ばんばん投げキッスしちゃう。
それから、作品と自分自身を理解・崇拝し、献身的に仕えてくれる同姓の友・・・。
飽くなき上昇志向に支えられ欲しいものすべてを手に入れていくエンジェル。
もし現代日本に生まれていたら、大ヒット少女マンガ家になっていたようなタイプかな。

子供じみた誇大妄想のようなエンジェルの願望がどんどん実現していくので、これは夢と欲が強く、ありのままの自分が賞賛されたいと願っている少女のみている夢・・・?
肉親の無理解も、母の死も、不良っぽくハンサムで思い通りにならない恋の相手も、すべてがエンジェルを中心に回るドラマティックな人生のための味付けにすぎなく思える。
だからすべてのことに距離感があって、喜びも悲しみも他人事のよう。
「目が、目が見えない・・・!」なーんて。
ごてごてしてるばかりで趣味が悪い服や内装は、エンジェルの脳内があふれ出してきたもの。
あからさまに合成な旅行シーンや、過剰にゴージャスで美しい映像など、昔の大河ドラマ映画のパロディであるかと思うが、ますます“これはエンジェルの妄想”という感触が強められていくようだ。
エンジェルを演じるロモーラ・ガモイは、角度によって美人に見えたり不美人に見えたりする不思議な容貌。
年を重ね、失意を知ったエンジェルは、だんだんと魔女のような形相を呈してくる。
アンジェリカとの邂逅は圧巻だ。

エンジェルをとりまく人々は、きちんと現実に生きている大人ばかり(エスメを除く)。
発行人セオ・ギルブライトは良識ある紳士ながら、世間にウケるエンジェルの才能を見出した。
真面目なおじさんだからこそ、勝手気儘な不思議っ子に魅かれたのか〜?
その妻であるハーマイオニーは、エンジェルの軽薄さ、無礼さに眉をひそめながらも、「たいした女である」と敬意を払っていた。
シャーロット・ランプリングの品のあるたたずまい、いいね〜。
秘書であり忠実な友であったノラ・・・私もこんな人にぴったりそばにいて欲しい〜。
犬のエピソードだけはちょっと引いちゃったけど。
この賢く誠実な人が、最後までエンジェルのことを尊敬したままでいられたのか、というのが謎。

エンジェル
Angel

(2007年 ベルギー/イギリス/フランス)
監督/フランソワ・オゾン
原作/エリザベス・テイラー
出演/ロモーラ・ガライ(エンジェル・デヴェレル)
   サム・ニール(セオ・ギルブライト)
   シャーロット・ランプリング(ハーマイオニー・ギルブライト)
   ルーシー・ラッセル(ノラ・ハウ=ネヴィンソン)
   マイケル・ファスベンダー(エスメ・ハウ=ネヴィンソン)
   ジャクリーン・トン(エンジェルの母)
   ジャニーン・デュビツキ(エンジェルの伯母)
   ジェマ・パウエル(アンジェリカ)
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ブラックブック

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

1944年、ナチス・ドイツ占領下のオランダに隠れ住むユダヤ人のラヘルは、家族とともに南部へ逃げようとするが、見つかって皆が殺されるなか一人だけ生き延びた。レジスタンス組織に身を寄せたラヘルは金髪に染め、エリスと名前を変えて、ドイツ軍将校ムンツェに近づいてスパイ活動を行うが・・・。

思ったこと

つらい気持ちになるのに、戦争映画を観る意義ってなんだろう。
戦争について詳しく知るためなら本を読むほうがいいし、ストーリー自体のおもしろさを楽しんでしまうことに一抹の違和感を覚えるのに。
考えたのは、映画という感情移入のしやすいメディアで、自分がその立場におかれたときにどう行動できるかという想像力の訓練になるのかなぁ、と。
あくまで私にとってということですが。
自分が迫害されたらどう行動できるか、信頼すべき人を見分けられるか、家族を殺されたときに復讐の鬼にならないでいられるか、拷問を受けて仲間を売らないでいられるか、自分が迫害する側に属しているときに何ができるか、後悔しない正しい道をちゃんと選べるか・・・。

Blackbook01この映画は脚本が上手く作り込まれている。
美人のヒロインがあれよあれよと運命に翻弄される姿を追っていくうちに引き込まれ、完全にストーリーの掌の中で転がされてしまった感じ。
そのときどきの状況で信頼できる相手が変わっていき、緊張感が途切れない。
疑わしいと思っていた人が真実を残し、頼れると思っていた人に裏切られる。
序盤で公証人スマールが「ラヘル、簡単に人のことを信じてはいけないよ」と言うが、後から思い返すと重い言葉だな〜(そして、その重さの質が、私の中で2度変わった)。
ナチスの非道はじっくり描かれるわけだが、それにも増して、解放後にナチ協力者を吊し上げるオランダ市民の醜悪な姿が衝撃的だ。

ドイツ軍将校のムンツェに対して最初は嫌悪感たっぷりで、「このスケベオヤジがぁっ!」「ガッツリたらし込んで利用させてもらうわっ」などと思っていたのが、いつの間にやら情が移り・・・。
家族の話を聞いてしまったのがヤバかったな。
ナチの人間だって、肉親を失う苦しみは同じ・・・。
復讐に復讐を重ねていったら泥沼しかないということが分かっていても、許すことのできないものもある。
でも、許すことで次の段階に進めることもある・・・。
辛すぎる体験をしてきたラヘルだけど、人を愛することを忘れない、芯が強く生命力のある女性でした。

ちょっと気になったこと。
ラヘルはユダヤ人であることを隠すために金髪に染めてるんだけど、伸びてきてバレないのか?
バタバタして余裕がなさそうなときも、いつもきれいな金髪・・・。
映画だからまあいいんだけど、実際にそういう状況だった人は大変だったろうな〜と思ったことでした。

ところで、オランダの女性ってトップレスがフツーで、ビキニの下だけ売れたりすると聞いたことがある(ミッフィーちゃんも海ではパンツだけだね!)。
なんで急にそんなこと思い出したかというと、ハダカに抵抗が少ないのかな〜とびっくりしたシーンがふたつ。
ラヘルが下の毛を金髪に染めているところに平然と入ってくるハンス、「見ないでよ」と平然と言うラヘル・・・。
同じ部屋で平気でトイレを使うロニーとラヘル、そこに全裸で入ってくるフランケン・・・。
もちろん隠すときは隠すし、無理矢理ハダカにさせられるのは屈辱的行為なのだが、その境目がなんかビミョーに違うらしいと思った。

ブラックブック
Zwartboek/Blackbook

(2006年 オランダ/ドイツ/イギリス/ベルギー)
監督/ポール・バーホーベン
出演/カリス・ファン・ハウテン(ラヘル/エリス)
   セバスチャン・コッホ(ムンツェ)
   トム・ホフマン(ハンス・アッカーマン)
   ハリナ・ライン(ロニー)
   ワルデマー・コブス(フランケン)
   デレク・デ・リント(ヘルベン・カイパース)
   クリスチャン・ベルケル(カウトナー将軍)
   ドルフ・デ・フリース(スマール)
   ディアーナ・ドーベルマン(スマール夫人)
   ピーター・ブロック(ファン・ハイン)
   ミヒル・ホイスマン(ロブ)
   ロナルド・アームブラスト(ティム・カイパース)
   サンダー・ストラート(マールテン)
公式サイト

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