« パブリック・エネミーズ | トップページ | カールじいさんの空飛ぶ家 »

湖のほとりで

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

北イタリアの小さな村。美しい湖のほとりで、少女アンナが全裸で死んでいるのが見つかった。アンナはいったい何故、誰に殺されたのか。村に着任したばかりのサンツィオ刑事の捜査が始まると、次第に人々の抱えている問題や秘密があらわになっていく。

思ったこと

怪しすぎる太った男マリオの車に乗るかわいい小さな女の子、その女の子を必死で探す大人たち・・・静かな映像ながら、いったい何が起こるのか起こったのか心配でドキドキさせる秀逸なオープニングだ。

「湖に住む蛇を見ると永遠の眠りにつく」・・・幻想的な伝説が似つかわしい、緑に囲まれた美しい湖。
皆から好かれている若い女性の死体が見つかったという痛ましい事件の舞台なのに、横たわるアンナも含めて、不謹慎に思えるくらい美しすぎる。
警察の人々が亡霊のように現れてくる映像も凝っていてきれい。
さらに、おじさんふたりがたたずんでいるだけでも、絵になりすぎるほど絵になる。
こんなにきれいな自然に囲まれて牧歌的に見える村でも、人々の人生はそれぞれに重い。

捜査が進むうちに少しずつあらわになっていく、村の人々の隠された思い。
知能がおぼつかない青年マリオは、かわいがっているでぶウサギのマチステを父親が食べてしまうのを恐れている。
脚の悪いマリオの父は、まるでこの世のすべてを憎んでいるようだ。
娘を溺愛しすぎているアンナの父、そこから逃げ出すアンナの義姉。
仕事を怠けがちなアンナの恋人ロベルト。
とても感じがいいふたりだが、子供の死をきっかけに離婚してしまったカナーリ夫妻。
最初はいろんな人が怪しく思えるが、調査が進むうちにだんだんと、あぁこういうことがあったのかも・・・とうすうす分かってきて、その真相は悲しすぎて、明らかになってほしくないような気持ちになる。
いくら近くにいて親しいと思っていても、人の心の中って分からない。
「この気持ち、あなたには分からない」とは簡単に口に出してしまいがちな言葉だけれど、自分が知らないことがあるのを分かっていない、相手がどんな思いを持っているか斟酌しない、想像力に欠けた言葉なのだなぁと改めて感じさせられた。
中心となって捜査を進めるサンツィオ刑事、なぜかこんな田舎に赴任してきて、堅物っぽくて、難しい年頃の娘とのコミュニケーションもうまくいってなくて・・・事件とは別に、彼にも抱えているものがあった。
胸のうちの苦悩を表に出さずに呑み込んでいる表情が映画に深みをもたらしている。

ラストシーン、ああ、また悲しい思いがひとつ積み重なると涙がにじんできたとき、気難しい父親であるサンツィオが放ったひと言で見える景色が変わる。
なんというか、希望というほどではないけど、あらゆる思いを呑み込んで、それでも人生を前に進んでいける・・・というような肯定的なものを感じる。

湖のほとりで
La Ragazza del Lago/The Girl by the Lake

(2007年 イタリア)
監督/アンドレア・モライヨーリ
出演/トニ・セルヴィッロ(サンツィオ刑事)
   ネッロ・マーシャ(アルフレード)
   ファウスト・マリア・シャラッパ(シボルディ)
   アレッシア・ピオヴァン(アンナ・ナダル)
   マルコ・バリアーニ(ダヴィデ・ナダル)
   デニス・ファゾーロ(ロベルト)
   サラ・ダマリオ(ジャーニ検察官)
   ジュリア・ミケリーニ(フランチェスカ)
   アンナ・ボナイウート(サンツィオの妻)
   ファブリツィオ・ジフーニ(コッラード・カナーリ)
   ヴァレリア・ゴリーノ(キアラ・カナーリ)
   フランコ・ラヴェーラ(マリオ)
   オメロ・アントヌッティ(マリオの父)
公式サイト

|

« パブリック・エネミーズ | トップページ | カールじいさんの空飛ぶ家 »

イタリア映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/23401/38601270

この記事へのトラックバック一覧です: 湖のほとりで:

« パブリック・エネミーズ | トップページ | カールじいさんの空飛ぶ家 »