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グラン・トリノ

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

偏屈な老人ウォルトは、妻に先立たれ、息子ふたりの家族とも折り合いが悪く、近所に増えてきた東洋人たちを苦々しく思いつつ、独りで暮らしていた。隣の家の、ベトナム戦争後に亡命してきたモン族の一家の少年タオは、悪い仲間にそそのかされてウォルト自慢のヴィンテージカー、グラン・トリノを盗みに入るが失敗する。

思ったこと

イーストウッドの、ムッとして顔の筋肉がひくひくしている表情が最高!
頑固で口が悪いじいさんだが、だんだんとかわいく見えてくる・・・。
人を怒らせるようなことをわざわざ言ったり、皆が行くようなところ(教会)に行かなかったり、何かといえば戦争体験を持ち出してきたりと、今は亡き祖父を思い出してしまってちょっとウルウル(あんなにかっこよくはないけど!)。
冒頭では、亡くなった妻はさぞや苦労したんだろうという雰囲気を漂わせるが、実はすごくいいコンビだったんだろうな〜。

・人生に迷っている少年と、頑迷なじいさんが出会い、一緒に何かやってそれぞれに良い変化が起こる。
・咳き込んで血を吐き、難病を予見させる。
・ヒロイックで自己犠牲的な行動。
と、特に目新しくない要素ばかりだし、演出やカメラワークもごくオーソドックスなんだけど、まったく陳腐に感じさせない。
“ラストは号泣”という触れ込みだったが、それよりも、ウォルトが隣家との交流を深めていくユーモラスなやりとりにくすくす笑いながら、気付けばふと涙ぐんでいる・・・という感じでした。
ウォルトが愛すべき存在となっているのは、頑固だけれど人としての筋が通っているところ、見下していたはずの東洋人たちとも対話を始める柔軟性を持ち合わせているからだろう。
そして、現代ではなかなかお目にかかれない、古き良き父性の体現。
皆がさんざんほめているのに改めて言うのもなんだけど、クリント・イーストウッドって、俳優としても監督としてもスゴイねー!
思えば私、今までほとんど観てきてなかったから、よく知らなかったよ・・・唯一よく覚えているのが『マディソン郡の橋』だから、あまりかっこいいイメージじゃなかったよ。

でも、やっぱアメリカって恐いな〜。
一般市民の生活で、そんな簡単に銃を見るなんて・・・。
スーが黒人にからまれた状況とかだって、自分が実際に遭遇したら本当にビクってしまいそう。
しかしスーは気が強い。
え、もうちょっと穏便に収めようよ・・・と言いたくもなっちゃうけど、媚びずにきっぱり言い放つキャラは、見ていて気分いい。
また、とっつきにくい老人であるウォルトに、物怖じせずに何度も話しかけて、垣根を崩していく様子も痛快。
ルックスは平凡な感じなんだけど、キャラの良さでだんだんと輝いて見えてくる。
こんなに好きになっちゃったからこそ、後半の展開のつらさに感情移入してしまうのだ。

ところで、東洋人をバカにするのに、「米喰い虫」とか「国に帰って米でも作ってろ」とか、やけに米を強調する人が多いんだけど、お米を食べるのがそんなにおもしろいんか!?
また、ウォルトはポーランド系、隣家はモン族、行きつけの散髪屋はイタリア系というほか、メキシコ人、黒人、アイルランド人など、それぞれの出自にすごくこだわっているというのも興味深かった。

ウォルトの家の階段に置かれた料理がとてもうらやましかったので、帰り道は中国料理店に寄ってしまいました。

グラン・トリノ
Gran Torino

(2008年 アメリカ)
監督・出演/クリント・イーストウッド(ウォルト・コワルスキー)
出演/ビー・ヴァン(タオ)
   アーニー・ハー(スー)
   クリストファー・カーリー(ヤノヴィッチ神父)
   ブライアン・ヘイリー(ミッチ・コワルスキー)
   ブライアン・ホウ(スティーヴ・コワルスキー)
   ジェラルディン・ヒューズ(カレン・コワルスキー)
   ドリーマ・ウォーカー(アシュリー・コワルスキー)
   ジョン・キャロル・リンチ(マーティン)
公式サイト

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