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告発のとき

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

2004年11月1日、退役軍人ハンク・ディアフィールドのもとに、軍から連絡があった。イラクへ従軍していた息子のマイクが、帰還後に姿を消したというのだ。ハンクは息子を探しに基地のあるフォート・ラッドへ向かい、地元警察の刑事エミリーの助力を得て真実を探っていく。

思ったこと

主人公のハンクは老境にさしかかってから、今までの信念ががらがらと音を立てて崩れるような出来事に遭遇する。
軍人警官としての職務をまっとうし、ふたりの息子も軍人だということに誇りをもって生きてきたのであろうに。
息子に手をかけた犯人を捜して、既に引退した身ながら独自に捜査を強行する姿。
その強引な態度に辟易させられつつ手を貸してしまうエミリーも、その迫力を無視できなかったのだろう。
とくにオーティスを追い詰めたあとの鬼気迫る表情!
そしてすべてが判明したあと、しわに刻まれた哀切の深さ・・・。

エミリー宅で夕食をふるまわれたハンクは、幼いデヴィッドの寝物語に、巨人ゴリアテに立ち向かったイスラエルの少年ダビデという旧約聖書のなかの話をする。
原題の「エラの谷」というのは、この挿話の舞台だ。
「デヴィッドという名前の由来は、勇敢な少年ダビデなんだ」と語るハンク。
真っ暗闇が怖くて、いつもママにドアを開けてもらっていたデヴィッドは、このとき怖れに立ち向かう気持ちが芽生える。
シングルマザーのエミリーがいくら気丈に育てているとはいえ、やはり少年の成長には、力強い大人の男の存在が必要なんだな・・・と思わせられる。

その気持ちが、後々こんな苦い味わいを持つことになるなんて・・・。
「国民を守るために戦ってきたんだ!感謝しろ!」という帰還兵の言葉がやりきれない・・・。
何が起こったのか分かったとき、それ自体の恐ろしさにも震えてしまうが、異常な人間が起こした異常な事件と言い切れないところ・・・そんな状況になったら自分だって同じような精神状態に陥るのかもしれないという感触に心底ゾッとする。

スーザン・サランドンの出番はあまり多くないが、「一人くらい残してくれたって・・・」と悲痛に声を震わせるところで、案の定泣かされてしまった。
シャーリーズ・セロン、すごい美人女優なのに、いい意味でそれを感じさせないというか、懸命に生きている人間の存在感がある。

アメリカって、おかしなところがいっぱいあるし、私はあまり好きになれないけれども、自国の暗闇を厳しい目で見つめた作品が作られ、ちゃんと興行にものって評価されるという点はやはりスゴイというか、幅の厚さがある国だなぁと思います。

国旗を逆さまに掲揚するのは、「もうどうにもならない、助けてくれ」という意味の国際的な救難信号だという。
心の中に悲鳴が響いてくるような掲揚のシーン。
でも、日の丸はいったいどうすりゃいいんだ・・・?

告発のとき
In the Valley of Elah

(2007年 アメリカ)
監督・脚本/ポール・ハギス
出演/トミー・リー・ジョーンズ(ハンク・ディアフィールド)
   シャーリーズ・セロン(エミリー・サンダース)
   スーザン・サランドン(ジョアン・ディアフィールド)
   ジョナサン・タッカー(マイク・ディアフィールド)
   ジェームズ・フランコ(カーネリー大佐)
   ジョシュ・ブローリン(ブシュワルド所長)
   ジェイソン・パトリック(カークランダー警部補)
   フランシス・フィッシャー(エヴィ)
   ヴェス・チャサム(ペニング)
   ジェイク・マクラフリン(ボナー)
   メカッド・ブルックス(ロング)
   ヴィクトール・ウルフ(オーティス)
公式サイト

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