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エンジェル

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

イギリスのいなか町で小さな食料品店を営む母親と2人暮らしのエンジェルは、近隣の邸宅パラダイスハウスに憧れていた。奔放な想像力のままペンを走らせて書いた小説は、ロンドンで出版されるやいなや多大な人気を得る。エンジェルは憧れの暮らしを手に入れ、売れない画家エスメに恋をした。

思ったこと

エンジェル、エキセントリックな女〜!
エンジェルは未熟で傍若無人な自分全開のまま、あれよあれよという間に成功の階段をのぼっていく。
なんだこいつは・・・と半ば呆れながら観ていたのに、ふと気付いたら、エンジェルの興奮の渦に巻き込まれていた。
とくに「レディ・イレニア」の舞台が終わったときの観客全員のスタンディングオベーション。
くらくらするほどの快感だろう・・・ばんばん投げキッスしちゃう。
それから、作品と自分自身を理解・崇拝し、献身的に仕えてくれる同姓の友・・・。
飽くなき上昇志向に支えられ欲しいものすべてを手に入れていくエンジェル。
もし現代日本に生まれていたら、大ヒット少女マンガ家になっていたようなタイプかな。

子供じみた誇大妄想のようなエンジェルの願望がどんどん実現していくので、これは夢と欲が強く、ありのままの自分が賞賛されたいと願っている少女のみている夢・・・?
肉親の無理解も、母の死も、不良っぽくハンサムで思い通りにならない恋の相手も、すべてがエンジェルを中心に回るドラマティックな人生のための味付けにすぎなく思える。
だからすべてのことに距離感があって、喜びも悲しみも他人事のよう。
「目が、目が見えない・・・!」なーんて。
ごてごてしてるばかりで趣味が悪い服や内装は、エンジェルの脳内があふれ出してきたもの。
あからさまに合成な旅行シーンや、過剰にゴージャスで美しい映像など、昔の大河ドラマ映画のパロディであるかと思うが、ますます“これはエンジェルの妄想”という感触が強められていくようだ。
エンジェルを演じるロモーラ・ガモイは、角度によって美人に見えたり不美人に見えたりする不思議な容貌。
年を重ね、失意を知ったエンジェルは、だんだんと魔女のような形相を呈してくる。
アンジェリカとの邂逅は圧巻だ。

エンジェルをとりまく人々は、きちんと現実に生きている大人ばかり(エスメを除く)。
発行人セオ・ギルブライトは良識ある紳士ながら、世間にウケるエンジェルの才能を見出した。
真面目なおじさんだからこそ、勝手気儘な不思議っ子に魅かれたのか〜?
その妻であるハーマイオニーは、エンジェルの軽薄さ、無礼さに眉をひそめながらも、「たいした女である」と敬意を払っていた。
シャーロット・ランプリングの品のあるたたずまい、いいね〜。
秘書であり忠実な友であったノラ・・・私もこんな人にぴったりそばにいて欲しい〜。
犬のエピソードだけはちょっと引いちゃったけど。
この賢く誠実な人が、最後までエンジェルのことを尊敬したままでいられたのか、というのが謎。

エンジェル
Angel

(2007年 ベルギー/イギリス/フランス)
監督/フランソワ・オゾン
原作/エリザベス・テイラー
出演/ロモーラ・ガライ(エンジェル・デヴェレル)
   サム・ニール(セオ・ギルブライト)
   シャーロット・ランプリング(ハーマイオニー・ギルブライト)
   ルーシー・ラッセル(ノラ・ハウ=ネヴィンソン)
   マイケル・ファスベンダー(エスメ・ハウ=ネヴィンソン)
   ジャクリーン・トン(エンジェルの母)
   ジャニーン・デュビツキ(エンジェルの伯母)
   ジェマ・パウエル(アンジェリカ)
公式サイト

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