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ボルベール<帰郷>

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

ライムンダがある日帰宅すると、15歳の娘パウラが、関係を迫ってきた父親を包丁で刺し殺してしまったと告白した。ひとまず隣にあるクローズ中のレストランの冷蔵庫に死体を隠し、成り行きからそのレストランで料理を提供するようになる。一人暮らしの伯母が亡くなり、姉ソーレと隣人アグスティナに葬儀を任せるが、4年前に火事で死んだはずの母イレネの幽霊が現れたという噂が流れていた。

思ったこと

Volver01_2熱い血と肉を体内に満たした女たちが、鮮やかな原色のオーラをまといながら、傷つきながらも骨太にどっしりと地を踏みしめて生きている・・・そんな圧倒的な印象を与える映画。
花いっぱいに飾られた墓を掃除するオープニングから、女たちの力強さが伝わってくる。
まるで男は子供を作るときにさえいれば世界は回っていくって感じだな〜。

4年前に火事で死んだ母イレネの姿が近所で目撃されているという噂話をする女たちが、「よくあることよ」「そうね」とこともなげに言う。
そ、そーなのか!?
スペインのラ・マンチャという土地では、神秘が生活の中に溶け込んでいて何が起こってもおかしくない・・・という気分にすっかり私も支配されてしまったので、本当の幽霊が現れたと信じて疑わなかったよ!
言葉が通じないロシア女のふりをしながら、いそいそとシャンプーを手伝うおちゃめな幽霊・・・。

「ママがまるでここにいて、おならをしたみたい」というライムンダの言葉。
母と不仲だったというライムンダだが、愛情がないわけじゃないんだ・・・ということを感じさせて、ユーモラスながら胸が熱くなるシーンだ。
ライムンダがレストランで「ボルベール」を歌うのを、離れた車の中で聞くイレネ。
できすぎなシチュエーションだけど、歌声にあふれる情感もあいまって、イレネとともに涙があふれ出る。

ペネロペ・クルス演じるライムンダは、かなりゴーイング・マイ・ウェイな人。
死体の始末にしても、レストランを巡る顛末にしても・・・すげーなー。
夫の死体を片付けていて付いた血を、隣人に「怪我でもしたの?」と指摘され、「女にはいろいろあるのよ」とさらりと返す肝の太さ。
かと思えば、イレネに胸のうちを吐き出したあとは、子供に戻ったかのように心細そうに胸にもたれて甘える二面性。
そばにいたらパワーに圧倒されそうだけど、どうにも憎めない感じでもある。
体温や匂いを感じさせるような身体、何があっても生き抜きそうな生命力、大切な人を守る根性と愛情をたっぷり持っている・・・妖精的なはかなさとは対極なわけだが、この力強さこそが究極的な女の魅力なのかも。

ところで、ライムンダの顔は濃い〜が、姉ソーレはわりと平面的で日本人にもいそうな顔と思った。
娘パウラはまた全然雰囲気違うし。
スペイン人の平均的な顔ってどんなんだろ?

ボルベール<帰郷>
Volver

(2006年 スペイン)
監督・脚本/ペドロ・アルモドバル
出演/ペネロペ・クルス(ライムンダ)
   カルメン・マウラ(イレネ)
   ロラ・ドゥエニャス(ソーレ)
   ブランカ・ポルティージョ(アグスティナ)
   ヨアンナ・コバ(パウラ)
   アントニオ・デ・ラ・トレ(パコ)
   チュス・ランブレアヴェ(パウラ伯母)
公式サイト

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