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ブラックブック

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

1944年、ナチス・ドイツ占領下のオランダに隠れ住むユダヤ人のラヘルは、家族とともに南部へ逃げようとするが、見つかって皆が殺されるなか一人だけ生き延びた。レジスタンス組織に身を寄せたラヘルは金髪に染め、エリスと名前を変えて、ドイツ軍将校ムンツェに近づいてスパイ活動を行うが・・・。

思ったこと

つらい気持ちになるのに、戦争映画を観る意義ってなんだろう。
戦争について詳しく知るためなら本を読むほうがいいし、ストーリー自体のおもしろさを楽しんでしまうことに一抹の違和感を覚えるのに。
考えたのは、映画という感情移入のしやすいメディアで、自分がその立場におかれたときにどう行動できるかという想像力の訓練になるのかなぁ、と。
あくまで私にとってということですが。
自分が迫害されたらどう行動できるか、信頼すべき人を見分けられるか、家族を殺されたときに復讐の鬼にならないでいられるか、拷問を受けて仲間を売らないでいられるか、自分が迫害する側に属しているときに何ができるか、後悔しない正しい道をちゃんと選べるか・・・。

Blackbook01この映画は脚本が上手く作り込まれている。
美人のヒロインがあれよあれよと運命に翻弄される姿を追っていくうちに引き込まれ、完全にストーリーの掌の中で転がされてしまった感じ。
そのときどきの状況で信頼できる相手が変わっていき、緊張感が途切れない。
疑わしいと思っていた人が真実を残し、頼れると思っていた人に裏切られる。
序盤で公証人スマールが「ラヘル、簡単に人のことを信じてはいけないよ」と言うが、後から思い返すと重い言葉だな〜(そして、その重さの質が、私の中で2度変わった)。
ナチスの非道はじっくり描かれるわけだが、それにも増して、解放後にナチ協力者を吊し上げるオランダ市民の醜悪な姿が衝撃的だ。

ドイツ軍将校のムンツェに対して最初は嫌悪感たっぷりで、「このスケベオヤジがぁっ!」「ガッツリたらし込んで利用させてもらうわっ」などと思っていたのが、いつの間にやら情が移り・・・。
家族の話を聞いてしまったのがヤバかったな。
ナチの人間だって、肉親を失う苦しみは同じ・・・。
復讐に復讐を重ねていったら泥沼しかないということが分かっていても、許すことのできないものもある。
でも、許すことで次の段階に進めることもある・・・。
辛すぎる体験をしてきたラヘルだけど、人を愛することを忘れない、芯が強く生命力のある女性でした。

ちょっと気になったこと。
ラヘルはユダヤ人であることを隠すために金髪に染めてるんだけど、伸びてきてバレないのか?
バタバタして余裕がなさそうなときも、いつもきれいな金髪・・・。
映画だからまあいいんだけど、実際にそういう状況だった人は大変だったろうな〜と思ったことでした。

ところで、オランダの女性ってトップレスがフツーで、ビキニの下だけ売れたりすると聞いたことがある(ミッフィーちゃんも海ではパンツだけだね!)。
なんで急にそんなこと思い出したかというと、ハダカに抵抗が少ないのかな〜とびっくりしたシーンがふたつ。
ラヘルが下の毛を金髪に染めているところに平然と入ってくるハンス、「見ないでよ」と平然と言うラヘル・・・。
同じ部屋で平気でトイレを使うロニーとラヘル、そこに全裸で入ってくるフランケン・・・。
もちろん隠すときは隠すし、無理矢理ハダカにさせられるのは屈辱的行為なのだが、その境目がなんかビミョーに違うらしいと思った。

ブラックブック
Zwartboek/Blackbook

(2006年 オランダ/ドイツ/イギリス/ベルギー)
監督/ポール・バーホーベン
出演/カリス・ファン・ハウテン(ラヘル/エリス)
   セバスチャン・コッホ(ムンツェ)
   トム・ホフマン(ハンス・アッカーマン)
   ハリナ・ライン(ロニー)
   ワルデマー・コブス(フランケン)
   デレク・デ・リント(ヘルベン・カイパース)
   クリスチャン・ベルケル(カウトナー将軍)
   ドルフ・デ・フリース(スマール)
   ディアーナ・ドーベルマン(スマール夫人)
   ピーター・ブロック(ファン・ハイン)
   ミヒル・ホイスマン(ロブ)
   ロナルド・アームブラスト(ティム・カイパース)
   サンダー・ストラート(マールテン)
公式サイト

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