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モーツァルトとクジラ

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

アスペルガー症候群(知的障害のない自閉症)であるドナルドは、日常生活に困難を抱えながらも、同じような障害を持つ仲間を集めてサポートグループを運営していた。新顔のイザベルと惹かれ合い交際を始めるが、相手の気持ちを読みとることが苦手なふたりは衝突やすれ違いばかり。

思ったこと

実際に自閉症という問題を抱えた人を知る機会がなく、どういう性質のものなのかよく実感できないでいたが、以前ドナ・ウィリアムズ著『自閉症だったわたしへ』を読んだときは衝撃だった。
不思議な内面世界を持ち、通常の人間関係の延長で良かれと思ってすることが通じない。
本人にとっては、他の人たちと感情世界を共有できないことで恐怖、焦燥、疎外感を覚えなければならない。
その苦労を想像すると同時に、程度の差こそあれ、通常の人間関係でも同じようなことは起きているともいえると感じた。
自閉症でなくても、他人の内面世界なんて想像を超えているもんね。

この映画を観たときも、似た感想を持った。
ドナルドは数学に才能と執着心を持っていて、パニックになったときは数字を眺めて計算して心を落ち着かせる。
イザベルは音楽や美術に才能を発揮するが、言葉をそのままの意味に受け取って突拍子もない反応をしたりする。
最初こそ彼らや仲間たちの奇異な言動に好奇心を持ちつつ、アスペルガー症候群というのがどういうことか知ろうという気持ちで観ていたのだが、だんだんその特殊性を超えて、ふたりの関係がどうなるかドキドキしながら見守るという感じになる。
だって、心がうまく通じないというのは、誰もが経験する普遍的な悩みだもんね。
最近“空気が読めない”って言葉が流布しているけど、自閉症の人はまさに空気が読めない人。
空気を読むのは重要な社交術であると同時に、空気を読むことに困難がある人に対して理解の姿勢も持たなきゃなーとも思ったことでした。
自分だって読めてないこと多いんだろうし!

一緒に暮らし始めたドナルドとイザベルが大きなケンカをする原因となった、上司を招いたディナーの一件。
家を出がけに「感じよくしてくれ」とイザベルに言うドナルド。
最初これって、以前ドナルドの部屋を勝手に掃除したイザベルに怒ったことをふまえ、もう自分は大丈夫だから部屋をきれいにしてくれ、という意味だと思ったのよね。
だって今まで、家をフツーに感じよくできてなかったのは、断然ドナルドのほうじゃん・・・。
だからしばらくなんでイザベルが腹を立てているのかよく分からなかったのだけど、つまりドナルドは上司の手前、自分はフツーにちゃんと暮らしてますと見栄を張りたかったということ。
確かに、「ありのままの言動はヘン、恥ずかしい」「フツーにしてろ」と言われたとしたら、イザベルじゃなくてもすごく傷つくよなぁ。

ドナルドはインコを数羽、イザベルはインコやウサギ、イグアナを飼っている。
ウサギのボンゴがかわいい〜!
特に、人間の赤ちゃんみたいにスリングで前抱っこされてるところ!
イザベルの勤め先の美容院でも、リードをつけられておとなしくしてる。
うちのウサは暴れん坊だから無理だな・・・。
ボンゴが死んじゃったところでは涙、涙・・・でもニンジンを並べたお墓がアーティスティックなところに感心した。

モーツァルトとクジラ
Mozart and the Whale

(2004年 アメリカ)
監督/ペッター・ネス
脚本/ロナルド・バス
出演/ジョシュ・ハートネット(ドナルド)
   ラダ・ミッチェル(イザベル)
   ゲイリー・コール(ウォレス)
   ジョン・キャロル・リンチ(グレゴリー)
   シーラ・ケリー(ジャニス)
   ラスティ・シュウィマー(グレイシー)
   エリカ・リーセン(ブロンウィン)
   ロバート・ウィズダム(ブルーム)
公式サイト

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