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浮き雲

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

路面電車の運転手だったがリストラのため解雇されてしまったラウリ。名門レストラン「ドゥブロブニク」の給仕長を務めていたが、レストランが閉店してしまったイロナ。夫婦そろって同時期に失業してしまい、新しい仕事を探すもののなかなかうまくいかない。

思ったこと

Ukigumo01フィンランドといえばサンタクロースとムーミンが住むおとぎの国♡・・・程度のイメージしかもってなかったのだが・・・せ、世知辛ぇ〜!
なんせ“敗者3部作”の1作目だそうですから。
当時のフィンランドの失業率は22%で、国民を励ます意図もあって作られた映画だとのこと。
主人公夫婦が不運続きの目に遭って、重苦しい空気に満ちているのかと思いきや、わりとそうでもないところがおもしろい。

愛想というものに縁がなさそうなイロナ&ラウリ。
だけど、どんな困った状況に陥ってても、互いを責めたり、苛々をぶつけたりしない。
こんなふうにさりげなく支え合えられるのなら、夫婦もいいなぁと思う。
「新しい仕事が決まった」と素朴な花束を手に帰ってくるラウリってばラブリー♡
しかし、失業手当をもらうのはプライドが許さない・・・そんな価値観があるのか!
日本だったらさっさともらいに行くよね〜?

インテリアやファッションは質素だけれど、きれいな色がふんだんに使われているのが目に楽しい。
フィンランドってこういう感じなのかな。
夫婦のキッチンは、空色の壁に、赤いケトルや赤いブレッドケースが映える。
イロナが着ている赤いコートに、長めの緑色マフラーも素敵!

イロナは40代かと思っていたら、途中で38歳ということが分かる。
ちょっと老けて見えるわね・・・。
しかも面接先で「年をとりすぎている。いつ死ぬか分からない」とまで言われてしまう。
ひ、ひでー。
そして「あなたこそ」と言い返し、ぷはーと煙草を吸うイロナ。
おわっ、ぶ、文化違うなー。

アル中シェフのラユネンが出てくるシーンは、すべて笑える。
あまりのダメっぷりに、新レストラン計画にあたって私だったらラユネンには声かけないな〜悪いけど、などと考えていたら、浮浪者状態のラユネンをちゃんと拾って更正させてた。
無骨な顔つきだけど、あったかい人たちなのね。
ラユネン、これで立ち直ってくれればいいが・・・。

私も普段しょっちゅう、仕事が行き詰まっているときなどに、レストランやカフェを開店する妄想をしているので、イロナたちが集まって新しいレストランの計画を実現させていく過程にはワクワクした。
初日になかなか客が入ってこないときには、チラシ配ったらいいのにとか、オープン記念で割引とかプチギフトとか用意しておいたらどうかとか、誰もいないレストランは入りにくいからとにかく友達をサクラに呼ぼうとか、物欲しげな顔でずらりと並ぶのはやめたほうがいいんじゃないかとか、かなりスタッフの一員気分で考えちゃったよ。

映画の冒頭で「ドゥブロブニク」に流れていたのはちょっともの悲しいメロディで、レストランの行く末を暗示しているようだった。
ラストで夫婦が飼い犬を抱いて空を見上げるシーンで聞こえてくるのは、恋が始まるウキウキした気分の歌。
みんな、頑張って生きていこうね!と言いたくなる気持ち。

浮き雲
Kauas Pilvet Karkaavat/Drifting Clouds

(1996年 フィンランド)
監督・脚本/アキ・カウリスマキ
出演/カティ・オウティネン(イロナ・コポネン)
   カリ・ヴァーナネン(ラウリ・コポネン)
   エリナ・サロ(ヒョホルム)
   サカリ・クオスマネン(メラルティン)
   マルック・ペルトラ(ラユネン)
   マッティ・オニスマ(フォルストロム)

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