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春のめざめ

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

19世紀末、帝政時代のロシア。16歳の貴族の子弟アントンは、住み込みで家事を手伝う少女パーシャと惹かれ合う。そんなとき、隣の家に住む年上の令嬢セラフィーマに出会い、その美しさに憧れを抱く。ふたりの女性の間で揺れ動くアントン。

思ったこと

油絵が動く!
予告編を見たときから、その美しさ不思議さに興味をひかれた。
モネやルノワールなど印象派絵画を彷彿とさせる。
重厚感と透明感の同居。
現実と空想の区別が曖昧になって、溶け合い広がっていく表現にぴったりだ。
ぼわ〜んとした、夢見がちな近視の人が見た世界とも言えるかも・・・。
27分という上映時間は、観る前には「短いな〜」と思ったけど、とにかく映像が濃いぃので、かなり満足感が得られます。

このアニメーションは、“ガラス絵手法”という作り方だそう。
指に付けた油絵の具でアクリル板の上に絵を描き撮影し、ちょこっと消して次の動きを描き足して撮影し・・・という、果てしなく気の遠くなりそうな作業。
画面の隅々の細かいところまで生き生きと動いているし、全体が大胆にメタモルフォーゼしていくところなんて、非常に緻密な計算のもとに行われたんだろうな〜と感嘆しきり。
ぱーっと光が射したり、火事の炎が迫ってきたりする様子は、絵画ではなく映像だからこその効果が出ていると思った。
スズメやヒヨコがかわいかったのもお気に入り。

セラフィーマは確かに魅力的。
こちらを振り向いて、天使のような姿に変化していく様は圧倒的だ。
「女神!
 君は稲妻。僕を貫いた。
 君は天井の花。」
・・・などと詩をしたため、恋の熱に浮かされているアントン。
でも、セラフィーマを賛美する一方で、身近にいる優しく温かいパーシャのことも好き。
本人の中ではまったく矛盾していないのね・・・。
こんなに真っ直ぐ気持ちをほとばしらせることができるなんて、ちょっぴりうらやましいような。
とどまるところを知らない妄想の爆発も、思春期らしくてほほえましい。

裕福で美人でとりまきの男性もいっぱいいそうなセラフィーマが、なんでこんな貧弱そうなアントンを相手にするんだろう・・・と思わないでもなかったが、セラフィーマにもいろいろと屈託があって、アントンみたいなピュアな少年に癒されるのかもしれないなー。
しかし、セラフィーマは「年を取りすぎてしまった・・・もう25歳だから」と言うが、25歳でそんなことを言われちゃったら、私はどうすればいいのっ!
もしもかわいい少年に「君は女神・・・」みたいなポエム手紙をもらったら・・・ものすごく爆笑してしまいそうな私は、シリアスな恋愛劇の主人公にはなれません。

春のめざめ
Моя любовь/My Love

(2006年 ロシア)
監督・脚本/アレクサンドル・ペトロフ
原作/イワン・シメリョフ
音楽/ノーマン・ロジェ
公式サイト

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