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カポーティ

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

世界初のノンフィクション小説「冷血」が書かれるまでの物語。売れっ子作家であるトルーマン・カポーティは、カンザスで起こった一家4人殺害事件に興味をもち、友人ネルをアシスタントに連れて独自取材を行う。容疑者のひとりペリー・スミスと接触を重ねるうち、カポーティは奇妙な思い入れを抱いていく。

思ったこと

トルーマン・カポーティは、メモなど取らずに会話の94%を記憶してると言う。
スゴイな。
そして、それをてらいもなく自慢してるのもスゴイ・・・。
カポーティって実際、知能指数がすごく高かったらしいよ。
なんか人並み外れて頭がいいのって、うらやましいとか以前に、生きづらくないのかな〜、人生楽しめてるかな〜とか考えちゃう。

カポーティは自己チューで、基本的に自分を取り繕ったりしないようだ。
なよなよしたトーンの高いしゃべり方と、傲岸な態度が合わさった、奇異なキャラクター。
変わっているということは本人も自覚していて、そのせいで周囲に受け入れられなかったと言っているが、堂々とそのように言えるのは、成功した文筆家としての才能への自信と、世間からの称賛があるからだろう。
実際に身近にいたら、イヤな奴〜、つきあいづらい奴〜などと思いそうだけど、でもね、そこはかとなく共感もするの。
私もどちらかというと似たタイプのような気がするから・・・自分のイヤなところを見てしまう同族嫌悪かもしんない。

そんなカポーティだが、さすがに容疑者のペリー・スミスに対しては、取材という目的よりも親密さを前面に押し出したり、「冷血」というタイトルを隠したりする。
作家として、手ごたえのある事件・人物像に出会い、作品の構想がふくらんで、世間の善悪を越えてワクワクする感じが伝わってくる。
ペリー・スミスと親しくなり心に入り込もうとするのは、少なくとも最初は、純粋な共感や友情などではなく、作品への手段だったと思う。
カポーティは、有能な弁護士を手配し、もっと話を聞き出すため死刑執行の延期を願い、ほどよいタイミングでの死刑の実施を願う。
だけど実際に死刑が行われたときには、すでに相手は単なる観察相手以上となっているため、冷静ではいられない。
作品のためにこそペリー・スミスに感情移入し、その結果起こる、目的と感情の矛盾。
どれが本当の感情で、どれが欺瞞なのかなんて、分からない。
普段の生活でもたまに考えるのだけど、自分・他人問わず、本当に心の底から湧き出た感情なのか、別の目的がひそんでいることを本人さえ気付いていない欺瞞か、こう感じなきゃと思って演じているうちに本当の感情と区別がつかなくなってしまったものか、人間の感情というのは複雑で、はっきりコレと分けることなんてできやしない。
ただ、これほどの矛盾を抱えてしまったカポーティは、「冷血」を最後に絶筆し、アルコールやドラッグにおぼれていったという・・・。
ペリー・スミスもカポーティが純粋な友情だけから助けてくれていたわけじゃないなんてことは気付いていただろうけど、それでも孤独な死刑囚にとって、親身に自分の話を聞き、自分のために奔走してくれた人は心の支えとなっていたのに間違いない。

ちょっと疑問が残ったのが、ペリー・スミスは穏やかな好男子で凶悪なのは相棒のディックだ・・・という風に描写されているけど、実際そのへんどうだったのかということ。
凶悪殺人を起こした闇の深さというものが、いまひとつ迫ってこないのだ。
カポーティが共感したのは、一歩道を踏み外して殺人犯となってしまった人間なのか、自身の凶悪さを巧妙に隠そうとしていた人間なのか。
やっぱり「冷血」も読んでみなきゃ!

カポーティ
Capote

(2005年 アメリカ)
監督/ベネット・ミラー
出演/フィリップ・シーモア・ホフマン(トルーマン・カポーティ)
   キャサリン・キーナー(ネル・ハーパー・リー)
   クリフトン・コリンズ・Jr.(ペリー・スミス)
   クリス・クーパー(アルヴィン・デューイ)
   エミー・ライアン(マリー・デューイ)
   ブルース・グリーンウッド(ジャック・ダンフィー)
   マーク・ペルグリノ(ディック・ヒコック)
   ボブ・バラバン(ウィリアム・ショーン)
公式サイト

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コメント

こんにちは☆コメント&TBありがとうございました!

ほんと、ペリー・スミスの人間像が曖昧でしたよね。私も原作未読なので(しかもかなり難しいみたい)疑問ばかりでいまいち深く考えることが出来ずでした。
それでもカポーティの存在感、キャラの濃さ(苦笑)には圧倒されましたけど☆

投稿: ももも | 2007/04/04 10:14

もももさん、こんにちは!

「冷血」を読めば、映画内のカポーティが、何を書いたうえでああいう態度をとっていたのか、分かるかなと。
難しいのか・・・でも、かなりおもしろいとも聞きますよ!
とりあえず、まだ買ってないけど・・・そのうち・・・。

投稿: チヒルカ | 2007/04/06 02:50

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» カポーティ [○o。1日いっぽん映画三昧。o ○]
ずっと見たかった「カポーティ」です。 作家トルーマン・カポーティが描いた最高傑作「冷血」の真相。 カポーティが「ティフ [続きを読む]

受信: 2007/04/04 10:08

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