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鬼が来た!

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

1945年の中国、日本軍の支配下にある掛甲台(コアチアタイ)の村。深夜、マー・ターサンの家に見知らぬ男が訪ねてきて、2つの麻袋を無理矢理預けていった。袋の中に入れられていたのは、日本兵の花屋小三郎と通訳のトン・ハンチェン。日本軍に見つかることを恐れながら、ふたりの処置をどうするか、困った村人たちが右往左往する。

思ったこと

小さな村で起こった事件にドタバタする前半は、登場人物たちは生死をかけて真剣そのものにもかかわらず、ほのぼの感が漂い、ユーモアがふんだんにまぶされていて楽しい。
脅威である日本軍も、単なる“悪”ではなく人間らしく描かれているので、安心して観ていることができます。
中国と日本の関係に限らず、戦争中にひどいことが起きているのはまぎれもない事実だと思うけど、敵軍のひどさばかりを強調する描写に接すると、現実に知っている人間と乖離してしまうというか、物語上で設定された“悪”にしか見えなくなり、かえって胸に迫ってこないような気がするの。
“悪”というのは、そこに至る経過、相互の関係性の中で生じてくる定義だと思うから。
しかし、心の隅に不安な気持ちを抱きつつ、なんとか丸く収まるんじゃないかな〜という淡い期待は、案の定というか、無惨に裏切られるわけですが・・・。

花屋が中国語の罵倒する言葉を習って、凄みをきかせながらマーたちに怒鳴る場面、サイコーね。
一刀劉の殺しの舞いも笑える。
最初は日本軍人としていきがっていた花屋だが、だんだんと農民たちと馴れ合っていく。
そして軍に戻ると、軍人な自分を思い出し、農民な自分との間でふらふらする。
その信念に乏しい情けなさが、全然かっこよく生きられない自分とかぶってイタイ。
後半、なんでああいう展開になってしまったのかよく分からなかったんだけど、現実世界だって何がどうなってそうなったのか分からないことだらけだもんね。
かえって戦争という狂気のリアルみたいなものを感じる。

花屋が帰っていく日本軍の小隊長、酒塚猪吉・・・コ、コアイ・・・。
でも、小隊長、ついていきますっ!!
なんなのこの気持ち・・・普段感じたことなんてない、強く頼もしいモノにすがりたいような気持ち。
カリスマってやつ?
戦争中とか追いつめられたときには、たとえ間違ってると思っても、こういう人に追随していっちゃうのかも・・・。

タイトルの鬼子というのは日本軍を指しているのだと思うが、観終わって、“鬼”ってなんだろう・・・という思いにとらわれた。
外からやってくる脅威、内から生じてくる負の感情、どうしようもない行き違い・・・。
普段冷静な人でも、優しい人でも、極限状態では思わぬ行動をとってしまうかもしれない。
心を通じた相手とも、わけのわからない理由で殺し合えるのかもしれない。
ラストでマーの目がとらえた光景、マーの表情、目に焼きついて忘れられない・・・。

香川照之が撮影時の日記をもとに著した『中国魅録 「鬼が来た!」撮影日記』(キネマ旬報社刊)も読んでみた。
すげーおもしろい!
中国映画の途方もない感じって、こういう風に作り出されているのね・・・。
役作りのための軍事訓練をこなすうちに、天皇陛下を強く意識する気持ちが湧き上がってきたというくだりも興味深かったです。

鬼が来た!
鬼子來了/Devils on the Doorstep

(2000年 中国)
監督・出演/チアン・ウェン(マー・ターサン)
出演/香川照之(花屋小三郎)
   チアン・ホンポー(ユイアル)
   ユエン・ティン(トン・ハンチェン)
   ツォン・チーチュン(ウー長老)
   澤田謙也(酒塚猪吉)
   宮路佳具(野々村耕二)
公式サイト

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