« パフューム ある人殺しの物語 | トップページ | ローズ・イン・タイドランド »

家の鍵

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

恋人が出産で死んだという事実に耐えられず、生まれた子供にも会わず生きてきたジャンニ。15年経って初めて、障害を持った息子パオロに会い、ベルリンのリハビリ施設へ送り届けることになった。実の父子とはいえぎこちない道中。施設では、重い障害を抱えた娘の世話をするニコールと出会う。

思ったこと

実の息子を亡き恋人の姉夫婦に任せたまま放っておいたジャンニは、甘い顔立ちでナイーヴでやさしい性格。
今まで会わなかったのも、冷たかったからというより、現実を受けとめられない弱い性格だったせいなのだな・・・と想像できる。
心身に障害を抱えた15歳のパオロと一緒に過ごすうちに、だんだんパオロのことを愛しく思ってきて、たぶん罪悪感も入り混じって、「一緒に暮らそう」などと言い出す。
それは感動的なシーンなのかもしれないが、私にはなんだか信用ならないと感じられてしょうがなかった。
その気持ちがウソだとは言わないけど・・・。
だって、一緒に行動したのは、たったの数日じゃない〜?
感情で動くセンチメンタルなジャンニ。
リハビリの邪魔をしたり、施設から連れ出してしまったり、それって本当にパオロのためになっていることなのかなぁ〜。
家に戻ったら、現在の奥さんと子供もいるわけだし。
それに、今まで苦労を重ねつつパオロを育ててきた伯父伯母の気持ちはどーなる。

対照的なのが、やさしげな風情でありながら、積んできた苦労の重みを感じさせるニコール。
「イタリアに留学した頃は、将来の夢がいろいろあったわ」と言うニコールが、「今は何の仕事をしているの?」とジャンニに問われて、「何も」「何もしてない。娘が生まれてから・・・」と答える。
才能のある女性が、思い描いていた将来の可能性を捨てなければならないという状況。
もちろんそういうことは男女問わずあるとは思うけど、子育てとか介護問題とか、やはり圧倒的に女性が引き受けなければならない場合が多いよね。
そういう現実を考えると、女のほうが一般的にリアリストにならざるを得ないのは必然かもしれない。
貴い仕事だというのはひとつの真実だし、身をささげる姿は美しいとは思うけど、心のうちにうずまくであろう葛藤を思うとツライ。
ニコールだって聖女じゃないから、娘を疎ましく思ってしまう時もある。
普通の子育てだってそういうことはあるだろうのに、ましてやニコールの娘は、ずっと手が離れない永遠の子供なのだから。
周りの人間は、せめてその思いを汲んであげるくらいしかできないのかな・・・。

家の鍵
Le Chiavi di Casa/The Keys to the House

(2004年 イタリア)
監督・脚本/ジャンニ・アメリオ
出演/キム・ロッシ・スチュアート(ジャンニ)
   アンドレア・ロッシ(パオロ)
   シャーロット・ランプリング(ニコール)
公式サイト

|

« パフューム ある人殺しの物語 | トップページ | ローズ・イン・タイドランド »

イタリア映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/23401/4787935

この記事へのトラックバック一覧です: 家の鍵:

« パフューム ある人殺しの物語 | トップページ | ローズ・イン・タイドランド »