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ヨコハマメリー

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

かつて横浜にひとりの娼婦がいた。白塗りの顔にくっきりと黒いアイライン、フランス人形のようなドレス。“皇后さま”“キンキラさん”“ハマのメリーさん”などと呼ばれた彼女は1995年に姿を消し、都市伝説のような存在となった。彼女をめぐる人々の話から、その姿を浮き彫りにしていくドキュメンタリー。

思ったこと

メリーさんという人のことは今回初めて知った。
一度見たら忘れられない強烈な外見。
チラシや予告編を見て不思議に思ったのは、娼婦という影の世界の存在で、白塗りにドレスという異様な風体の老婆が、どうして畏怖されるような、尊敬されるような扱いなんだろう?
「横浜の男の人にとって、メリーさんに声をかけられるのは名誉なことなんです」という言葉は、いったい何を表しているんだろう?

横浜には数回行ったことがあるけれど、港が見える丘公園とか外人墓地、中華街など、観光地としての表面しか知らない。
この映画はメリーさんに焦点を当てつつも戦後からの横浜を回想していく作りになっていて、ああ、横浜ってこういうところだったのかー、という生っぽい感触が伝わってくる。
24時間営業で猥雑なエネルギーに満ちていた居酒屋「根岸家」の話など、自分からは全然遠い時代のものなんだけど、その場に存在してみたかったような、知らないのが悔しいような気持ちにさせられる。

メリーさんを偲ぶ人たちが、皆濃くておもしろい。
癌に侵されながら歌い続ける、化粧ばっちりのシャンソン歌手、永登元次郎さん。
以前はドラッグストアを手伝っていた、暗黒舞踊家の大野慶人さん。
さわやかな“テレフォンセックスの女王”、清水節子さん。
昔のちょっといい(?)思い出を語る、風俗ライターの広岡敬一さん。
ほかにも、かつて娼婦だった人とか、かつて愚連隊だった人とか・・・。

メリーさんが声をかける男性の条件は「メガネをかけている(頭がいい)、太っている(お金持ち)、色が黒い(身体が丈夫)」だそうで、ちょっと笑ってしまった。
なんかかわいらしいな・・・。
将校以上しか相手にしなかったとか、帰国する船の前で恋人とひしっと抱き合っていたとか、伝説めいたエピソードの数々は、どれほどの美女だったかと想像をたくましくさせられる。
しかし、特別な存在だったとはいえ、皆が口々に懐かしそうに思い出を語るとはいえ、そこはやっぱり娼婦。
行きつけの美容院から断られたり、ホームレス状態だったりと、年をとってからは特に、決してラクに生きていたわけじゃなかった。
収入なんてほとんどなかったろうに、それでも誇り高くあったメリーさんの内面は、最後まで謎のまま。
昔別れた恋人が戻ってくるのを待っているのだ、なんて、メロドラマのような噂も信じてしまいたくなる。

結局メリーさんは行方不明のミステリアスな存在なのかと思いきや、最後に素顔で登場する。
なんだか心がほっこりするような、うれしい驚き。
いい笑顔の、ごくごく普通のカワイイおばあちゃんに見えた。
しかし現在では、メリーさんも永登元次郎も既に亡くなったとか・・・こうして時代は流れていくのだな・・・合掌。

ヨコハマメリー
(2005年 日本)
監督/中村高寛
出演/永登元次郎
   五代路子
   杉山義法
   清水節子
   広岡敬一
   団鬼六
   山崎洋子
   大野慶人
公式サイト

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