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プルートで朝食を

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

生まれてすぐに教会の前に捨てられたパトリック。 成長するにつれ、女性的なおしゃれに興味を持ち始めて自らを“キトゥン”と名乗り、養子先の家や学校で問題児扱いされる。パトリックは家出し、さらに自分を捨てた母親を探すためロンドンへ行き、さまざまな人々と出会う。

思ったこと

Pluto01_1ポスターやチラシに写っているキトゥン=パトリックは美人女優かと思うほどなのに、冒頭で登場するところでは、見るからに「あ、オカマちゃんっ!」。
高校生を演じるにはちょっと年を感じさせるなぁ・・・というのもあって、しばらく違和感があったのだけれど、けなげな生き方を追ううちに次第に美しく見えてきます、ホント。
キリアン・マーフィーの線の細い肢体と繊細な表情が、キャラクターにマッチ。
よく考えてみたら悲惨な出来事がいくつも起こるストーリーなのに、全然暗く重苦しい雰囲気にならないのは、キトゥンの懲りない性格とポップな演出のおかげ。
70年代ファッション・ウォッチングも楽しい。
高校生キトゥンが制服セーターに自分で工夫して付けたと思しき、ボタンの飾りがかわいい〜、真似しよっかな。
ぴっちりした黒のエナメルスーツで身を包んだ諜報員キトゥンが、IRA本部に乗り込み香水スプレーでテロリストたちを倒していく空想には、かなり笑わせてもらった。

Pluto002「シリアスなんて嫌い」と言うキトゥンは、深くものごとを考えずいつもふざけているようにも見え、一方で常に大まじめで一生懸命のようにも見え、ちょっととらえどころのない雰囲気がある。
生まれや育ちは決して恵まれたものではないし、悲惨な体験や暴力にも遭遇しているのに、キトゥンは汚れない・・・拗ねない、自分を哀れまない、人を責めたりしない、生きる希望を失わない。
かといって何も感じていないのかというと、そんなわけはなくって、「笑顔だけがたったひとつの耐える方法」なのです。
妖精のような子だね・・・。
チャーリーが中絶しようかと悩んでいるとき、「私のように最悪になったら可哀想」と言ったのには、キトゥンは自分を最悪と思っていたんだ、とハッとした。
世間の規格からは外れているけれど、からかわれたりすることも多いけれど、キトゥンがキトゥンであるからこそ、幸せにすることができた人が何人もいるのだよ・・・。
「星々を訪ねて、火星に向かい、そしてプルート(冥王星)で朝食を」
折々にプルートへの憧れを口にするのは、ここではないどこか遠くに自分のいるべき場所があるのではないかという気持ちなのでしょうか。
次々とキトゥンを“お嬢さん”扱いする男性が現れるのは、なんだかキトゥンの目を通して夢をまぶされた世界なのかな、とも思わせる。

親友チャーリー役の女の子がかわいかった!
いつでも自分を受け入れてくれる、こんな幼なじみがいるなんて、かけがえのない財産だよね。
章が変わるごとに流れる、70年代前後のものらしい音楽を聴くのも楽しいな(何ていう曲なのか、有名なのかどうか、私には分からないのだけど)。

プルートで朝食を
Breakfast on Pluto

(2005年 イギリス)
監督/ニール・ジョーダン
出演/キリアン・マーフィー(キトゥン/パトリック・ブレイデン)
   リーアム・ニーソン(リーアム神父)
   エヴァ・ヴァーシッスル(アイリー・バーギン)
   ルース・ネッガ(チャーリー)
   ローレンス・キンラン(アーウィン)
   ギャヴィン・フライデー(ビリー・ハチェット)
   スティーヴン・レイ(パーティ・ヴォーン)
   ブレンダン・グリーソン(ジョン・ジョー・ケニー)
   イアン・ハート(PCウォリス)
   ブライアン・フェリー(シルキー・ストリング)
公式サイト

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