« リトル・イタリーの恋 | トップページ | THE有頂天ホテル »

クラッシュ

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

白人夫婦リックとジーンは、町で黒人の若者二人組に車を奪われた。ペルシャ系雑貨店主は自衛のために銃を購入するが、イラク人と間違われてケンカになる。黒人TVディレクターのキャメロンと妻のクリスティンは、人種差別主義者であるライアン巡査に言いがかりをつけられ、辱めを受ける。それに嫌悪を見せる若きハンセン巡査。人種のるつぼロサンゼルスで、さまざまな人々の生き様が錯綜する。

思ったこと

緊張の糸が張りつめられたまま事件が次から次へと起こり、人々は激しく感情を爆発させ、舌鋒鋭く他人を攻撃する。
ロサンゼルス恐い・・・人種差別に満ちた国だ・・・って気分に。
こんなにピリピリした時間がずっと続いていたら、どうにかなってしまいそう。
こういっためまぐるしく場面が展開する群像劇では、誰がどうなってどう関係するのか混乱してしまうことも多いのだが、本作は比較的分かりやすく、ストーリーに集中することができた。
きっと構成とか編集とかがうまくできてるのでしょう。

“善人”も“悪人”もいない・・・。
「自分には差別意識はない」なんて思っていても、明日何をしてしまっているか分からない、という恐さを感じた。
映画で描かれているのはさまざまな人種間の軋轢がうずまくロサンゼルスだけれど、これだからアメリカはどーのこーのというのでなく、根底にあるテーマはどんな人にも共通する“人間性”だと思う。

ライアン巡査は本当にイヤな奴。
だが、瀕死のクリスティンを助けようとして「この男はイヤ! 来ないで!」と抵抗されたとき、本人もさぞやショックを感じたことだろう・・・。
ライアン巡査だって別に、楽しくてレイシストになったわけじゃない。
「差別はよくないよ」と正論を言ってみたところで、何も解決されない難しさがある。

サンドラ・ブロックは、今まで見たことのある役柄からサバサバと性格のいい姉御イメージだったので、今回のジーンにはびっくり。
美人だけれど、きついのなんの。
この人も、明日からいきなり改心するってわけにはいかないだろう。
でも、ちょっとずつ何かを変えていくのは可能なのだ・・・。

“妖精がくれた透明マント”のエピソードは泣かせる。
銃が発砲されたときは心が震えた。
透明マントは本当にあったんだと思える・・・現代のおとぎばなしだね。
この子が銃におびえることなく、他人に蔑まれることなく、また他人を蔑むことなく生きていけるような社会を作っていきたいと素直に思いましたよ。
だからじゃあ私に何ができるかって話なんだけど・・・でも考える機会をもつということは悪くないよね。

関係ないけど、盗難に遭ったファハドの店に来た東洋系の保険会社員、村上春樹ってこんなじゃないかな〜と思わせる顔だった。
東洋人といえば、ロサンゼルスには日本人もたくさん住んでいるはずだが、登場しなかったな。
日本人だけでなく、感情移入できるような主要な役に東洋人はいない。
中国人は、アンソニーとピーターが車で轢いてしまったり、グラハム刑事が車をぶつけた相手として登場するが、なんだか何を考えているのかよく分からない存在。
東洋人に対する感情や差別をもっと盛り込んであれば、日本に住んでいる日本人である私たちも、より自らに引きつけて考えることができたかもしれない。

クラッシュ
Crash

(2005年 アメリカ)
監督/ポール・ハギス
出演/ブレンダン・フレイザー(検事リック)
   サンドラ・ブロック(リックの妻、ジーン)
   クリス“リュダクリス”ブリッジス(アンソニー)
   ラレンツ・テイト(ピーター)
   ドン・チードル(刑事グラハム)
   ジェニファー・エスポジト(グラハムの恋人、リア)
   マット・ディロン(ライアン巡査)
   ライアン・フィリップ(ハンセン巡査)
   テレンス・ハワード(TVディレクター、キャメロン)
   サンディ・ニュートン(キャメロンの妻、クリスティン)
   ショーン・トープ(雑貨店主、ファハド)
   バハー・スーメク(ファハドの娘、ドリ)
   マイケル・ペニャ(鍵屋ダニエル)
   ロレッタ・ディヴァイン(病院受付シャニクア)
公式サイト

|

« リトル・イタリーの恋 | トップページ | THE有頂天ホテル »

アメリカ映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/23401/3701733

この記事へのトラックバック一覧です: クラッシュ:

» 殺伐とした行為にいささか食傷で、我もクラッシュ! [この広い空のどこかで今日もいい日旅立ち]
こんな街には住みたくもなし、行きたくもなし、冤罪も横行しそうで命がいくつあっても足りないだろう、そんな感想以上はない。これをロスで上映しているのだろうか。 [続きを読む]

受信: 2007/03/07 19:14

« リトル・イタリーの恋 | トップページ | THE有頂天ホテル »