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イノセント・ボイス 12歳の戦場

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

1980年代の中米エルサルバドルでは、政府軍と反政府ゲリラの激しい内戦が起こっていた。日常的に銃撃戦が繰り広げられる小さな町に、11歳のチャバは家族と住んでいる。チャバや仲間たちは、誕生日が来るのを恐れていた。なぜなら12歳になると政府軍に徴兵されてしまうからだ・・・。

思ったこと

「この物語の語り手は、フィトやクリスティナ・マリアだったかもしれない。
でも、僕になった」
原作者オスカー・トレスが13歳でアメリカへ亡命するまでの実体験を基に作られた映画だということをふまえると、この言葉がしみてくる。
生き延びられたのは、ただ運が良かったから・・・。
同じ状況のなか、むなしく死んでいった友が何人もいるということを思うと、胸ふたがれる。
オスカー・トレスは「あの頃何もできなかった幼い自分に対する罪の意識と向き合わなくてはならなかった」と発言している。
年端もいかぬ子供が必死で生きてきた、それだけなのに、こんな罪悪感を抱かなくてはならないなんて・・・。
現在も、世界では30万人を超える子供たちが兵士にされているという。
ああ、私って、何にも知らないんだなぁ・・・って愕然とする。

チャバは母、姉、小さな弟と4人でつましく暮らしている。
内戦のまっただ中で、銃弾が部屋の中にまで激しく撃ち込まれ、生きた心地がしない。
近所の女の子が流れ弾に当たって死んだとき、母ケラはゲリラに身を投じている弟のベトに「ゲリラの打った弾だったかもしれない」となじる。
民衆の側であるはずのゲリラだって、死をもたらす存在という次元では同じなのだ。

チャバの仲間のアントニオが政府軍に連れられていったしばらくあとに、立派な少年兵となって戻ってくる。
銃を誇示して、かつての友人たちに威圧的に接するアントニオ。
虚勢を張って、自分を変えなければ、耐えていけないのかもしれない・・・と、いたいたしかった。

それでも、こんな悲惨に思える境遇のなかでも、涙や恐れにゆがんだ顔ばかりじゃない。
思い合う家族、友達と遊ぶ笑顔、幼い恋心・・・そんな何気ない光景がきらきらして、なんだか胸を打たれた。
うん、こういうものを大切にしなければいけないんだ。

それにしても、一人アメリカに渡って戻ってこない父親、いったい何をやっているんだ!?
かわいい子供たちや、けなげなお母さんを放っておかないで〜!

イノセント・ボイス 12歳の戦場
Voces Inocentes/Innocent Voices

(2004年 メキシコ)
監督/ルイス・マンドーキ
原作/オスカー・トレス
出演/カルロス・パディジャ(チャバ)
   レオノラ・ヴァレラ(母ケラ)
   ホセ・マリア・ヤスビク(叔父ベト)
   ダニエル・ヒメネス=カチョ(司祭)
   グスタボ・ムニオス(アンチャ)
   オフェリア・メディナ(祖母ママトーヤ)
公式サイト

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