« ALWAYS三丁目の夕日 | トップページ | アメリカ、家族のいる風景 »

ヒストリー・オブ・バイオレンス

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

小さなダイナーを経営するトムは、弁護士の妻エディ、子供たちと仲良く暮らしていた。ある夜、二人組の強盗がダイナーを襲い、トムは間一髪で銃を奪って反撃する。ヒーローとしてもてはやされ、TVにも取材されるトム。そんななか、トムを“ジョーイ”と呼ぶ男たちが現れ、一家につきまとう。エディは、自分の知らない夫の過去について不安を感じ始める・・・。

思ったこと

人間は生まれ変われるのか?
過去の行動を洗い流して、心を入れ替えて、まっさらの状態から始めることができるのか?
そんなことを、ずーっと考えてしまった。
「いくつになったってやり直せる」と信じたいけれど、実際の行動や関係をなかったことにはできないし、なかったことにしないで乗り越えるのはとっても難しい。

“家族を守る強いお父さん”って、その言葉だけ聞いたら理想像だが、“家族を守る力”も相手から見たら暴力には違いないわけで・・・。
力を制御する理性を持っている人なんてそういないわけだし、そもそも世の中には完璧に正しい正義というものがあるわけではないし・・・。
“ヒーロー”ってどちらにも転ぶ可能性がある諸刃の剣だ。

最初、冒頭で子供に銃を向けた男が、若き日のジョーイなのかと思い違いをしていた。
もしこんな映像を見せられてたら、いくらなんでも感情移入はできない。
描かれていない、知らされていないだけで、ジョーイが実際には何をしてきたのか分からない・・・。
この疑わしい気持ちが、妻エディの感じる疑惑と重なって、不安感をかきたてる。

過去を忘れてやり直したいというトムの苦悩も、信じたいけど不安がつのるエディの苦悩も、どちらも心に迫ってくる。
愛があっても、当然、すべてが受け容れられるわけじゃない。
家族を大事にし、町の人と触れ合って、まっとうに生きてきたこの数年のトムも真実だと思う。
だけど、だけど、ここまで血塗られた過去がよみがえってしまったら、もう今までどおり生きていくことはできないのではないか・・・。
だって一度よみがえったということは、再びよみがえることがあるかもしれない、ということだもの。
それでも、手についた血を直視しながら、新たな関係を作っていくことはできる。
ラストに漂う希望の空気は、そういうことかもしれないと思った。

ヒストリー・オブ・バイオレンス
A History of Violence

(2005年 アメリカ)
監督/デイヴィッド・クローネンバーグ
出演/ヴィゴ・モーテンセン(トム・ストール)
   マリア・ベロ (エディ・ストール)
   アシュトン・ホームズ(ジャック・ストール)
   ハイディ・ヘイズ(サラ・ストール)
   エド・ハリス(カール・フォガティ)
   ウィリアム・ハート(リッチー・キューザック)
公式サイト

|

« ALWAYS三丁目の夕日 | トップページ | アメリカ、家族のいる風景 »

アメリカ映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/23401/3678981

この記事へのトラックバック一覧です: ヒストリー・オブ・バイオレンス:

« ALWAYS三丁目の夕日 | トップページ | アメリカ、家族のいる風景 »