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マンダレイ

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

父親や仲間のギャングたちと旅を続けていたグレースは、マンダレイ大農園に通りがかる。そこでは、70年以上も前に廃止されたはずの黒人奴隷制度が存続していた。使命感に燃えたグレースは農園に残り、女主人ママから奴隷たちを解放し、彼らに人権や民主主義について教育しようとする。

思ったこと

奇才ラース・フォン・トリアーによる“アメリカ三部作”の2作目。
次は『ワシントン』というタイトルらしい。
この監督、“ヨーロッパ三部作”とか“黄金の心三部作”とか、3つずつ作るのが好きなのね・・・。

前作『ドッグヴィル』と同様、大道具小道具は最低限で、床に白線が引かれただけの殺風景なセットのなか、パントマイムで建物に出入りしたりする。
風景や小物を見るのも映画の楽しみのひとつなので、それだけじゃ退屈してしまわないかな〜と心配にもなるが、一度世界に入ってしまえば、むしろ集中できる感じ。
またトリアー監督は、手持ちカメラしか使ってはならない、殺人や表面的なアクションは禁止、などの十戒が定められた“ドグマ95”の提唱者としても知られている。
そんな七面倒くさい決まりごとに従っていたり、テーマが容赦なく重苦しかったりと、小難しい映画かぁ〜と観る前から憂鬱な気分になりそうだが、毎度毎度、映画としてきっちりおもしろいというか、引き込まれて時間があっという間に過ぎるからスゴイ。
この人だけにしか作れない世界・・・相当な変人というウワサだけど・・・。

さて、覚悟をして臨んだが、衝撃というほどのこともなかったかな。
グレースは、自分の考えに自信満々で、説教くさくて、何様よって感じなのだが、これはあからさまにアメリカ様なのね・・・。
あまりにあからさま過ぎて、ちょっと冷めた気分になります。
黒人奴隷側に立って白人の罪をつぐなおうとしているのだが、どうしようもなくウザイのは、やはりしょせんは自分が教えさとす者として、上に立っているからでしょう。
意外な結末は(と言いつつ、わりと予想どおりだったのだけど)、どうとらえればいいものやら、ちょっと混乱した気持ちになった。
“自由”とは絶対的な正として語られるものだけど、実際、誰もがそれをひたすら謳歌できるかというと、そう単純なわけにもいかない・・・。
現代社会のさまざまな問題も、“自由”を持てあまし、その重さに押しつぶされてしまいそうなところからきている部分もあるのではないか・・・などと考えた。
もちろん、管理されたり虐げられたりしている状態がいいはずは、決してないのだけれど・・・。

ブライス・ダラス・ハワードは特に美人という感じではないが、なんだかピュアな雰囲気を漂わせ、その奥から時折美しさがほの見えるようなところがある。
そういう点で『奇跡の海』のエミリー・ワトソンと共通していて、監督の好みなのかもしれないなーと思った(エミリー・ワトソンのほうが、ずっと強烈だったけどね!)。

マンダレイ
Manderlay

(2005年 デンマーク)
監督/ラース・フォン・トリアー
出演/ブライス・ダラス・ハワード(グレース)
   ダニー・グローヴァー (ウィレルム)
   イザーク・ド・バンコレ(ティモシー)
   ウィレム・デフォー(グレースの父)
   ローレン・バコール(ママ)
公式サイト

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飛行機恐怖症でアメリカに行った事もないという、ラース・フォン・トリアーのアメリカ3部作、『ドッグヴィル』、『マンダレイ』、『ワシントン』のうち、民主主義を扱った2作目。 薄暗く密閉されたスタジオの中で、極端に簡潔な舞... [続きを読む]

受信: 2006/12/29 02:29

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