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死者の書

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

平城京の大貴族の姫である藤原南家の郎女は、「称讃浄土経」千部写経の途中、二上山の上に光輝く荘厳な姿を見た。最後の文字を書き終えたとき、郎女は憑かれたように雨の中を西へ向かい當麻寺にたどり着く。50年前に謀反を疑われて処刑された大津皇子の魂がよみがえり、執心する美女の面影を重ね、郎女を求めていたのだ。

思ったこと

Shisya01_2人形アニメの巨匠、川本喜八郎が描き出した幽玄世界。
月並みな表現で恐縮ですが、まるで人形が命を持っているかのようだった。
一心不乱に写経にいそしんでやつれた郎女、寺にたどり着き微笑みを浮かべながら舞う郎女、大津皇子の亡霊に心惹かれ、その魂の安寧を祈る郎女・・・。
顔の表情を実際に変えているわけではないのに、人形の繊細な演技で、心情が伝わってくる。
そして、川本喜八郎による人形たちはえらく官能的なのだ。

心の清らかさ、仏の教えを信じるひたむきさ、ものごとの本質を見極める聡明さを兼ね備えた、見目美しい姫は、この世ならぬものに魅入られてしまう運命なのだね。
凡人である身からすると、憧れるような、そう生まれなくてホッとするような・・・(だって、大変そうだもん)。

地中からよみがえった大津皇子は、悲しげな表情をたたえた美丈夫で、郎女が惹かれるのも無理ない感じ。
郎女の想いによって仏と一体化できたのは、本人がもともと持っていた高潔さの故でもあるのだろうか。
謀反の咎をきせられて処刑されたことはあまり覚えていないようで、死の直前にちらりと見た美女のことばかり追い求めていたけど・・・。

宮沢りえは、美人声、姫声だった。
デビュー当時、TVで見ていたときに「声がイマイチ」と思った記憶あり。
後年、こんなにしっとりと麗しい姫声を聞かせてくれるとは想像できなかったな〜。

凄みのある大津皇子を演じた観世銕之丞とはどういう人だろう・・・?とネット検索してみたら、能の世界では有名な人のようだ(全然知らんかった)。
でも、顔写真は・・・見ないほうが良かったかも・・・(ゴメンナサイ)。

ところで、本編の前に、TVの教育番組みたいな土地や時代の解説が上映されて、確かにためになったし理解を助けてくれたとは思うけれど、必要なのかな・・・?
芸術作品としての映画は、それ自体で完結すべき存在なのでは?

死者の書
(2005年 日本)
監督・脚本/川本喜八郎
原作/折口信夫
声/宮沢りえ(藤原南家の郎女)
  観世銕之丞(大津皇子)
  榎木孝明(大伴家持)
  江守徹(恵美押勝)
  黒柳徹子(當麻の語り部の媼)
  新道乃里子(身狭乳母)
  三谷昇(魂乞をする村人の長老)
  岸田今日子(ナレーション)
公式サイト

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川本喜八郎川本 喜八郎(かわもと きはちろう、1925年1月11日 - )は、アニメーション作家,人形作家。東京都出身。旧制横浜高工建築学科(現横浜国立大学工学部)を卒業後、東宝撮影所美術部に勤務。フリーの作家となった後、数々の人形アニメーションの制作を手がけている。1982年、日本放送協会|NHK...... [続きを読む]

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