光のほうへ

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

アル中の母親から育児放棄された幼い弟を世話する兄弟ふたり。しかし赤ちゃんはある朝突然死んでしまった・・・。大人になったニックは刑務所から出てシェルター施設で無為に暮らしている。母親の葬式で久しぶりに会った弟は、妻を亡くしひとりで息子マーティンを育てていた。

思ったこと

デンマークって“幸福度No.1”の国ではなかったっけ・・・。
映画界では近年、ラース・フォン・トリアーやスサンネ・ビアといった監督が活躍しているが、どれを観ても重苦しい感じ・・・。
その国のイメージをほとんど映画から得ている私としては、デンマークをかなり暗い国と認定した。

全編、色素が抜かれたような、グレーとセピアがかった色調で、北欧の薄い光を思わせる。
少年たちはミルクを万引きし、たばこを吸いながら赤ちゃんをあやし、電話帳を繰って弟につける名前を選ぶ。
シーツをかぶって洗礼式の真似をするシーンは、白く輝く光に包まれて、ひどい環境にいる少年たちにとって赤ちゃんが唯一の喜びであることを感じさせる。
この少年時代の兄ニックを演じてる子がすごく印象的なんだよね・・・。
なんだか少年マンガとか少女マンガとかに出てきそうな感じ! 欧米人にはこういうルックスが実在するんだなー。
触れれば切れそうなほどとんがってるんだけど意志の強そうな瞳をもち、赤ちゃんのことをこの上なく大切に思っていて、反面アル中の母親を憎んでいて頬を張られてもびくとも揺らがない。
冷たくなった赤ちゃんを見つけたときの絶望の叫びが胸に突き刺さる。

大人になった兄ニックは、やはり恵まれた状況にはいなかった。
抱えている過去の重さをにじませる無表情。
大人になってからのニックもハンサムだなー。
隣人たちにイライラと乱暴な応対をし、酒を飲んで、身体を鍛えることにだけ没頭する。
でもね、コワモテだけど情が濃くて、まともな心情も持っている人なんだよね・・・。
刑務所に入ったのは元恋人アナとの経緯があったためだし、アナの兄であるダメダメなイヴァンも気にかけるし、弟のこと、弟の子供マーティンのこと、ソフィーのこと、ソフィーの子供のこと・・・それぞれへの思いがちゃんとある。
なのに、何もかもがうまくいかない、負の連鎖の人生・・・。
心がもっと冷たければそこまで苦しまなくて済むかもしれないのに・・・。
元恋人のアナが赤ちゃんを抱いている様子を遠くから見て、黙って立ち去っていったときの気持ちを想像するとやりきれない。

しかし、ニックのつらい人生に思いを馳せる以前に、イヴァンが危ないヤツすぎるのに圧倒されて、なんか気が散った。
だらしなく肥満して、女性経験がなくて、変質者ぎりぎり(っていうか既に変質者かね)。
可哀想な気もするけど、こいつにはちょっと感情移入できないな・・・。

そしてニックの弟も弱いヤツだった。
「自分にはマーティンだけだ」と思っていて、本当に愛してもいるんだろうけど、薬物中毒から抜け出せず、冷蔵庫は空っぽ。
生活保護を受け取ったりする生活のわりには、なかなかきれいな家に住めているのは福祉国家だからか?

たくさんのものを失ってきたニックだけど、人生は完全に損なわれてしまったわけじゃない、これからもまだ光が見えるかもしれないという一抹の、本当に一抹だけど希望が感じられるラストは美しい。

光のほうへ
Submarino

(2010年 デンマーク)
監督・脚本/トマス・ヴィンターベア
出演/ヤコブ・セーダーグレン(ニック)
   ペーター・プラウボー(ニックの弟)
   パトリシア・シューマン(ソフィー)
   モーテン・ローセ(イヴァン)
   グスタウ・フィッシャー・ケアウルフ(マーティン)
   セバスチャン・ブル・サーニング(少年時代のニック)
   マッス・ブロー(少年時代のニックの弟)
   ヘレーネ・ラインゴード・ノイマン(アナ)
公式サイト

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ミケランジェロの暗号

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

1938年のウィーン。ユダヤ人画商のカウフマンは、400年前に盗まれたという幻のミケランジェロの絵を密かに所有していた。画商の息子ヴィクトルの親友ルディはナチス将校となり、絵の存在を密告する。絵をムッソリーニとの取引材料にしたいドイツは強制的に手に入れるが、それは贋作だった。強制収容所に入れられていたヴィクトルから本物の在りかを聞き出そうとするが・・・。

思ったこと

不穏な空気が高まる第二次世界大戦前夜のヨーロッパ。
裕福なユダヤ人画商一家の運命、使用人の息子の思惑、三角関係、ミケランジェロの絵の行方・・・とスリリングでドラマティックな要素たっぷり。
親友同士だったヴィクトルとルディの関係が、戦争開始とともに、ユダヤ人とナチス将校となる。
なんだか手塚治虫の『アドルフに告ぐ』を思い出したよ〜。
あっちにも確かカウフマンって姓が出てきたよね?

ストーリーはとてもテンポよく進んでわかりやすいけど、サクサク展開しすぎてちょっと軽い感じかな。
案外コミカルなところも多いし・・・。
強制収容所の話には過敏な私だが、収容所での描写がほとんどなかったこと、ヴィクトルがあまりやつれて見えなかったことから、まったく重苦しい気持ちにならないで済んだ。
とはいえ、ヴィクトルが父の死を聞くところではその気持ちに同調して涙がにじんだが、サクサクと次に進むので余韻がない。
気楽に見れていいといえばいいんだけど、ちょっと物足りない気がするなー。
大事なのではないかと思われる父の最期の言葉もうっかり聞き流してなんだったか忘れてしまった・・・あれがきっと後で効いてくるはず・・・と思っていたのにあれれ? 別段なくてもよかったんでは・・・?

ドイツとイタリアの代表が、ヒトラーとムッソリーニの会見について打ち合わせしていて、どっちが先に車を出るか、バックミュージックをつけるかどうかで言い争っているのが笑えた。
ヴィクトルとルディの入れ替わり劇もかなりコメディ調。
「ハイル・ヒットラー!」がだんだん板についてくるヴィクトル。
アーリア人とユダヤ人の違いといっても、しょせん制服次第でわからなくなる程度のもの・・・という風刺だよね。
恋人レナは最初見たとき、そんなにきれいな人じゃないなーと思ったんだけど、その後制服で出てきたらすごい似合っていてびっくり。
レナの再登場シーンはハラハラし、盛り上がった! そーこなくちゃ!

ミケランジェロの暗号
Mein Bester Feind/My Best Enemy

(2010年 オーストリア)
監督/ウォルフガング・ムルンベルガー
脚本・脚本/ポール・ヘンゲ
出演/モーリッツ・ブライプトロイ(ヴィクトル・カウフマン)
   ゲオルク・フリードリヒ(ルディ・スメカル)
   ウルズラ・シュトラウス(レナ)
   マルト・ケラー(ハンナ・カウフマン)
   ウド・ザメル(ヤーコプ・カウフマン)
公式サイト

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一命

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

名門大名・井伊家を一人の浪人が訪れて「切腹するのに庭先を貸してほしい」と願い出た。流行の狂言切腹だと判じた家老・斎藤勧解由は、同じように2カ月前に現れた千々岩求女の顛末を語り始める。

思ったこと

引き込まれた! すごい緊迫感!!
陰影の濃い屋敷の中でこれから何が語られ、何が起きるのか、固唾を呑んだ。
瑛太・・・トラウマになってもうたよ!
沢潟のいけずっ!
あの痛さは『127時間』を軽く超えた。
見終わって、家に帰ってからも、ふと思い出しては不安感に襲われる・・・。
あれは映画の中の出来事だから、本当じゃないから・・・と自分に言い聞かせてる・・・。
私の中の恐ろしすぎる最期ランキングで、『紅いコーリャン』のルオハンに並んだ。

一応日本人なので切腹とか武士の心構えとかについては既にある程度知っているわけだけど、やっぱりどうしても心から信じられないというか、毎回びっくりする。
もし何も知らずに突然「切腹するのが名誉。髷を切られたらアウト」というルールを説明されたとしたら、納得するのは難しいよねぇ。

非常に凄まじい話ではあるが、現代にも通じるところもあるなぁといろいろ考えてしまった。
仕事がうまくいっている人が、いっていない人に誇りとか努力とかを語るときに、感じさせることがある違和感とかね・・・。
あと、アメリカの政治家で軍隊経験のある人ほど戦争開始には慎重だという話も思い出した。

それにしても今さらな発言だとは思うけど、海老蔵さんて、すごい迫力あるね〜。
「父上」って、あなたたちそんな年変わんないでしょ・・・と思うけど、顔見ると確かに若いんだけど、なんか違和感なかったわ〜。
自分より年下だというのが信じられないな・・・。

後半が津雲半四郎の回想による語りだとすると、「お食い初めのときの孫はとってもかわいくて鯛を口に入れたら食べたように見えた。生卵をすする求女は哀れだった。蚊帳の中で慰め合う夫婦はけなげだった・・・」とかって詳しく描写したのかな〜と想像してちょっぴりほほえましい。
赤ちゃんが病気になって真っ赤な顔で苦しんでいるのは可哀想だが、極貧のわりにはぷくぷくと肉付きのよいほっぺただね〜と思ってしまった。

チャンバラシーンは映画的には見せ場なのかもしれないけど、ここでちょっと気持ちが冷めた。
いくらなんでも津雲半四郎、鬼神のように強すぎるでしょー。
できれば心理的な緊張感を最後まで維持してほしかったな・・・。

ところで、私は内容をまったく知らずに観に行ったんだけど、後から公式サイトで予告編を見てみたら、これってすごいネタバレじゃ〜ん。
どーなるのどーなるの、この人は何か関係あるの・・・!?という緊迫感は、あんなの見てたら得られなかったことでしょう。
まさかあの年の近さでそういう関係だとは驚きだからな・・・。
ラッキーだった! 何も知らないままで臨めて〜。

一命
(2011年 日本)
監督/三池崇史
出演/市川海老蔵(津雲半四郎)
   瑛太(千々岩求女)
   満島ひかり(美穂)
   中村梅雀(千々岩甚内)
   役所広司(斎藤勧解由)
   竹中直人(田尻)
   青木崇高(沢潟彦九郎)
   新井浩文(松崎隼人正)
   波岡一喜(川辺右馬助)
   天野義久(佐々木)
   笹野高史(宗祐)
公式サイト

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レジェンド・オブ・フィスト−怒りの鉄拳−

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

1925年の上海。日本軍へのレジスタンス活動をするチェン・ジェンは、フランスで戦死した仲間になりすまし、ナイトクラブ「カサブランカ」を経営する有力者リウに近づく。一方で“仮面の戦士”に扮し、反日中国人を処刑しようと計画する日本軍に対抗するが・・・。

思ったこと

チェン・ジェンという主人公がなんか過去を抱えた特別な人っぽいけどなんだろう?と思っていたら、『ドラゴン怒りの鉄拳』の続編という位置づけだったのかー。
そういえば最後らへんで、いわゆる怪鳥音を発していたな・・・。
ブルース・リーの演じた伝説のヒーローかー。
ずっと昔に観た気がするけどまったく内容思い出せないわ~。

冒頭、第一次世界大戦では中国人労働者たちがヨーロッパ戦線で過酷な労働をさせられていた・・・という重い歴史が語られるので、そっか、大変だ・・・と思っていたら、ドニー・イェンがいきなり銃を持った兵士たちをカンフーで倒し始めたから「えっ(笑)」とびっくりした。
“仮面の戦士”の衣装でポーズを決めるドニー・イェンにも笑みを誘われる。
アクションシーンは確かにかっこいいんですけどね、いろいろ突っ込みどころが多すぎて、闘いのストーリーに乗っていけないんだよね〜。
日本軍がひどい悪役なんだけど、リアルな感じがしないから、心が痛くならない。

ヤマグチ・ユミが日本人だというのも無理があるなー。
日本語をしゃべっているって最初分かんなかった・・・なんで中国語なのに字幕出ないんだろうと思ったくらい・・・。
それから「クモコ」という名前も出てきたようだけど・・・雲子? 蜘蛛子?

道場で力石大佐が「みんな出ていけ!」と怒鳴ったら、今やられたばっかりの部下たちが起き上がってわらわらと出て行ったのにはプッと吹き出してしまった。
元気なんじゃーん。
一応シリアスなクライマックスのはずなんだけど・・・。

それにしてもアンドリュー・ラウ監督は『インファナル・アフェア』の1と2がすごい傑作だったので、その後毎回期待しつつ観るわけだが、なんだかいつもイマイチだな〜・・・。
あのときだけのマグレなの??

レジェンド・オブ・フィスト−怒りの鉄拳−
精武風雲・陳真/Legend of the Fist:Return of Chen Zhen

(2010年 中国)
監督/アンドリュー・ラウ
出演/ドニー・イェン(チェン・ジェン)
   スー・チー(キキ)
   アンソニー・ウォン(リウ・ユティエン)
   木幡竜(力石大佐)
   ホアン・ボー(ホアン警部)
   ショーン・ユー(曾将軍)
   AKIRA(日本軍人・佐々木)
公式サイト

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ジュリエットからの手紙

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

ニューヨークで働くソフィーは、恋人のヴィクターとプレハネムーンでイタリアのヴェローナにやってきた。一人“ジュリエットの家”を訪れたソフィーは、恋の悩み相談の手紙に返事をする“ジュリエットの秘書”たちと知り合う。壁の中から50年前の手紙を見つけたソフィーは、その差出人、イギリスのクレアに返事を書く。それをきっかけに、クレアと孫チャーリーと共に昔の恋人ロレンツォを探す旅が始まった。

思ったこと

ヴェローナには本当に“ジュリエットの家”があって、世界中の女の子たちが手紙を書いているんだってね。
ジュリエットってロミオと出会って5日で結婚・仮死・誤解・自害を経験しちゃったすごいローティーンなわけだが、そういう人に恋愛相談しちゃって大丈夫なのか?と思った。

ソフィーの婚約者としてガエルが出てきて、知らなかったのでうれしいびっくり♡
イタリアンレストランをオープンしようとしているシェフで、予告編には1ミリも写ってなかったからチョイ役なんだろうな〜と知れたけど、「完璧なパスタができた!」とか「トスカーナイエローと注文したのにこれじゃただのレモン色だよ!」とか、明るく饒舌な姿がやっぱりチャーミング♡
ソフィーに「イタリア人ぶってる」なんて言われるまで今回はイタリア系の役なんだと思っていたんだけど、実際は何人の設定なんだろ? やっぱメキシコなの? そのへん区別がつかないんだけど〜。
おいしいものにもイタリア料理にもたいして興味がなさそうなソフィーとははなから合ってなさそう・・・私のほうが合ってると思います!!
ソフィーも何か題材を得て文章を書きたいのだったら、本場のワインやチーズ、トリュフの生産現場をもっと積極的に見ればいいのに・・・。
レストランオープンだって内側から関わったらエキサイティングなテーマだと思うんだけど。

50年前の失われたラブストーリーをたどるロマンチックさにも、ソフィーのキャラクターにも、最初はそりが合わないソフィーとチャーリーの仲の行方にもたいして興味が持てないため、展開にあんまし乗っていけない・・・。
ソフィーが手紙を書いて、すぐ翌日にはクレア&チャーリーがヴェローナにやってきたように見えたけど驚きのスピードだよね!
ヒマとお金が十分にある恵まれた人たちなのかな。
若いときに熱烈に恋した相手が、50年後に会ってもやっぱり素敵な運命の相手で、それまでの連れ合いや経済的な問題とかもなさそうってご都合主義だよね〜と思ってしまう私はネガティブすぎるのでしょうか。

ヴェローナやシエナの景色を満喫し、イタリアに行きたい気持ちになります。
ぶどう畑での野外の食事はとってもおいしそう。
いくつになっても恋愛を楽しむイタリア人、といういかにもな描き方も笑える。
それに、70を越えたヴァネッサ・レッドグレイヴの品と知性を感じさせる魅力はさすがでした。

ジュリエットからの手紙
Letters to Juliet

(2010年 アメリカ)
監督/ゲイリー・ウィニック
出演/アマンダ・セイフライド(ソフィー)
   ヴァネッサ・レッドグレイヴ(クレア)
   クリストファー・イーガン(チャーリー)
   ガエル・ガルシア・ベルナル(ヴィクター)
   フランコ・ネロ(ロレンツォ・バルトリーニ)
   オリヴァー・プラット(編集長)
公式サイト

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津軽百年食堂

お気に入り度 ★★☆☆☆

こんな話

東京でバルーンアートの仕事をしている大森陽一は、ひょんなことからカメラマンの筒井七海とルームシェアを始める。ふたりはどちらも弘前出身だった。弘前で100年続く「大森食堂」の四代目である陽一は、父が交通事故で入院したと連絡を受けて帰省する。久しぶりにそばを作って店を開ける陽一だが・・・。

思ったこと

あーあー弘前の観光映画ね・・・。
地元起こし系の映画って最近よく見かけるけど、日本以外の国でもあるものかしら?
エンドクレジットに発起人として政治家の名前がずらずらと出てきたが、そういうところが映画がつまんなくなる理由なのかなぁ〜。
何度も画面に映し出される津軽富士(岩木山)、弘前公園の“さくらまつり”、今年運転が始まったエメラルドグリーンの新幹線E6系。
どうせならもう少しわざとらしくなくやってほしい。
そんななか、ちょっと行ってみたくなったのは、ウミネコがいっぱい飛び交う神社のある島。
でも調べてみると、これは八戸市にある蕪島らしい。えっ、弘前じゃないのー!?

大森食堂の初代を描く明治時代のシーンは特に津軽弁だらけで、聞き取りのニガテな私にはほとんど何を言っているのか分からず・・・でもたいして変わったことは言ってなさそうな感じだったのでまあいっか。
イワシの焼き干しを行商しているトヨはすごい昔っぽい顔立ちだなぁ〜・・・でも演じている早織を画像検索してみると普通にかわいいな。あの髪型がよくないのかな?

陽一と七海の関係がストーリーの中心であるようだが、なんでルームシェアすることになるのか意味が分からず、いったいいつの間に惹かれ合うようになったんだか気付かず、まあはっきり言ってどうでもよかったです。
「何があったのか分からないけど、きっと七海の考えていることで正しいよ」
という陽一のセリフで、こいつはダメだ、と思った。
そもそも七海の話を聞いてなかったということ、分からないのに肯定するというのはつまりどうでもいいと思っているのと同じだということが露呈してる。
まあ七海は「うん、ありがと」と答えているので、お似合いなのかもね・・・。

でも津軽そばは食べてみたくなったよ。
劇中で何杯も皆が「おいしいおいしい」と食べているものだからサブリミナル効果。

津軽百年食堂
(2010年 日本)
監督/大森一樹
原作/森沢明夫
出演/藤森慎吾(大森陽一)
   福田沙紀(筒井七海)
   伊武雅刀(大森哲夫)
   藤吉久美子(大森明子)
   秋本博子(大森フキ)
   春日井静奈(大森桃子)
   ちすん(藤川美月)
   永岡佑(門田政宗)
   大杉漣(浅尾大介)
   かとうかず子(浅尾美音子)
   手塚理美(筒井有里子)
   野村宏伸(青木真一)
   中田敦彦(大森賢治)
   早織(トヨ)
   前田倫良(門田宗八)
公式サイト

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雨に唄えば

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

1920年代のハリウッド。大人気映画スターのドンとリナは熱愛中というウワサだが、ドンはリナに興味がなく、かけだし女優キャシーと出会って恋に落ちる。時代はサイレントからトーキーに移行しようとし、悪声のリナに代わってキャシーがセリフと歌を吹き替えることになるが・・・。

思ったこと

かつて高校生のときにビデオで観たことがある1本。
今観ても楽しめるかな〜どうだろう〜と思いながら観に行ったが、すごい良かった!
音楽、ダンス、コメディ、ロマンス、すべてがテンポよく詰まっていて、アメリカに素直に憧れられた時代を感じる〜。
星条旗をアレンジしたコスチュームを、単純にかわいいね〜と言えるような・・・。

私がこの映画の中で一番好きなナンバーは、有名な雨の中の「Singin' in the Rain」ではなくて、ドンの家でキャシーとコズモの3人が「Good morning, Good morning, It's great to stay up late♪」と歌い踊るもの。
「夜更かしステキ♪」という気分にすごく共感できるし、仲良し3人で楽しくワイワイやってる感じが好き〜。
私はやっぱりロマンス部分よりも、気の合う友達同士が仲良さそうにしてるのに盛り上がる〜。
「モーゼのトーゼがローゼでどーのこーの♪」という言葉遊びの歌も、ドンとコズモがふざけて遊んでいる雰囲気がいい!
この映画が観ててすごく気持ちがいいのは、主人公のドンが、名声を得て自信に満ちた大スター様なのに、昔からの仲間のコズモと変わらず楽しく過ごしていて、そこに迷いがなく、仲間と一緒に成功していくところだと思う。
「いつも威厳を」と父に教わったと言う割には、威厳とかに興味なさそうというか、違う次元で生きてる感じ。
ジーン・ケリーはいつもにやっと笑っているような表情、見事なタップダンスに安定感があっていい!
コズモ役のドナルド・オコナーは顔も身体もコマ落としみたいにチャカチャカ動いて愉快だが、でも、実際にこういう人がそばでチャカチャカしてたらちょっとウザイかもね・・・。

ところで終盤、ミュージカルの構想として出てくる、ブロードウェイで謎の美女と出会ってバレエっぽいダンスを踊るシーン。
「なんだこれ〜」と思ったんだけど、高校生のときにも「なんだこれ〜」となったのを思い出した。
まったく思い返したこともなかったこういう記憶って、脳のどのへんに入っていたんでしょうね?
きれいはきれいなんだけど、けっこう長くて、ストーリーの流れをさえぎってしまっているような気がする。
この映画自体が既存の曲に合わせて作られたそうだから、仕方ないのかな〜。

俳優もスタッフも初めて挑戦するトーキー映画は、演技の質を変えなくてはならなかったり、セリフがうまく拾えなかったり、雑音だらけになったり、映像と音声がずれたりとトラブル続き。
もちろんおもしろおかしく誇張しているんだろうけど、実際に試行錯誤があったのを想像させる。
100年も経たないうちに、映画の技術はものすごく進歩したんだな〜・・・。
新しいものを作り出すワクワク感は、かなり成熟してしまった現代よりずっとヴィヴィッドだったのだろう。
そして、技術の面では大きく変わっても、映画のおもしろさ、観たときの感動や充実感というのは変わらないものなのだというのを改めて思った。

雨に唄えば
Singin' in the Rain

(1952年 アメリカ)
監督/ジーン・ケリー、スタンリー・ドーネン
出演/ジーン・ケリー(ドン・ロックウッド)
   デビー・レイノルズ(キャシー・セルデン)
   ドナルド・オコナー(コズモ)
   ジーン・ヘイゲン(リナ・ラモント)
   ミラード・ミッチェル(映画会社の社長シンプソン)
   リタ・モレノ(ゼルダ)
   シド・チャリシー(ミュージカルの中の女)

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SOMEWHERE

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

ハリウッドの映画スター、ジョニー・マルコは、ホテル「シャトー・マーモント」で寝起きしながらパーティや女三昧の華やかで空虚な生活を送っていた。そんなある日、前妻レイラとの間の娘、11才のクレオをしばらく預かることになる。

思ったこと

主人公のジョニーはけっこう成功している映画スターらしい。
・・・というのにしばらく気付かなかったほど、冒頭の彼は普通のそこらの男っぽくて、セレブな生活なのにあんまり楽しくもなさそうだった。
寄ってくる女に不自由しなくてとっかえひっかえしてるけど、恨みがましい非難のメールがちょくちょく届く。
それにも慣れてて無感覚になってる感じ。
携帯式ポールを持ったポールダンサーが部屋にやって来て踊るというセクシーな出前サービスがあるのにはびっくりだが、たいして喜んでる風でもない。
新作の記者会見や授賞式ではろくなことを言えなくて、仕事に対する熱意も感じられない。
成功者だからって毎日がハッピー!というわけにいかないのね。
ジョニーのただれた生活がしばらく淡々と続き、早くかわいいエル・ファニングを出せや〜!と待ちどおしいことこのうえなかった。

エル・ファニングはとにかくかわいいな!
細い身体でフィギュアスケートする様子は、なんだかけなげで、保護欲がかきたてられる。
プールに潜ってお茶を飲むジェスチャーをしたり、夜中にベッドの中でアイスを食べたり、卓球したり、Wiiに興じたり、素敵な朝食を作ってくれたり、読んでる本の話をしたり(たぶんトワイライト?)、表情、仕草、服装、すべてがキラキラしとる!
お父さんの女関係のだらしなさにも気付いているんだろうけど、まだ両親が大事な年頃。
たまに会う父親として、ジョニーはいいところだけ満喫したんでない?
これから思春期に入っていろいろ難しくなっていくだろうに、ジョニーの気付きが遅すぎなきゃいいけどね!

全体的に長回しが多く、なんかボンヤリした感じの構成。
ソフィア・コッポラ監督には一定のファンがついているようだけど、いつも私はあんまりノレないな〜。
映画業界のオモテウラをよく知っているのであろうから、空虚ですさんだセレブの生態、家族とのつながりを大事にしなきゃというフツーすぎる結論にも現実味があんのかな?

SOMEWHERE
Somewhere

(2010年 アメリカ)
監督・脚本/ソフィア・コッポラ
出演/スティーヴン・ドーフ(ジョニー・マルコ)
   エル・ファニング(クレオ)
   クリス・ポンティアス(サミー)
   ミシェル・モナハン(レベッカ)
   ララ・スロートマン(レイラ)
公式サイト

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バーレスク

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

アイオワからロサンゼルスに出てきたアリは、ショーパブ「バーレスク」の華やかな舞台に魅せられ、ウェイトレスとして働き始める。女性経営者テスに認められて舞台に上がったアリは、持ち前の歌唱力でスターへの道を上っていく。しかし、「バーレスク」は多額の借金を抱えていた・・・。

思ったこと

ストーリーは単純すぎるほど単純で、あらすじ以上のことは起こらない。
絢爛豪華な「バーレスク」のショータイムは楽しい。
それだけかな・・・映画というよりレビューショーを観たみたい。
すごいな〜とは思うけど、ミュージカルらしいおもしろさは感じられないし、音楽や演出があまり私の好みではないな〜。
普段のアリはどちらかというとあどけない雰囲気で、田舎でウェイトレスをやっていたというのがぴったりな感じなのだが、衣装とメイクをばっちり決めて舞台に上がるとさすがに輝く。
「おぉお〜♪」と歌いだしたときはゾクゾクしたよ!
いろいろな趣向でたくさんの曲を歌い踊るアリ。
なんでそんないきなりスター級の技を持ってるの?
なんでそれが隠されてたの?・・・とかの疑問は無粋なんでしょうね。

そして、職場の同僚と常連客という手近な男ふたりを転がすアリ。
この恋愛模様もけっこうどうでもいいな・・・。
アリとジャックの心が通った夜は、ジャックのおふざけがくどくて、もぉ〜どうせ一緒に寝るんでしょ、さっさとしなはれ、と思ってしまった。

シェールの存在感もさすが。
スタンリー・トゥッチはまだ50歳なのに(ジョニデ、ブラピより3歳だけ上)、シェールとかメリル・ストリープとか迫力ある60代の相方としてすごくしっくりくるよね・・・。
ゲイ役というのもしっくりきすぎ!
しかし、クラブ「バーレスク」はけっこう流行っているふうだったのに、なんでそんな借金があったんだろう?
なんか根本的な問題があるんじゃないの・・・今だけ急場をしのいでも先が危ぶまれると思ってしまうのだった。

バーレスク
Burlesque

(2010年 アメリカ)
監督・脚本/スティーヴ・アンティン
出演/クリスティーナ・アギレラ(アリ)
   シェール(テス)
   クリスティン・ベル(ニッキ)
   キャム・ギガンデット(ジャック)
   スタンリー・トゥッチ(ショーン)
   エリック・デイン(マーカス)
   アラン・カミング(アレクシス)
   ジュリアン・ハフ(ジョージア)
   ピーター・ギャラガー(ヴィンス)
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キック・アス

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

さえない高校生デイヴはスーパーヒーローに憧れて、通販で手に入れたスーツを着て“キックアス”と名乗り、スーパーヒーロー活動を始める。ヒット・ガール&ビッグ・ダディ親子とともに、フランク・ダミコ率いるマフィアに狙われるが・・・。

思ったこと

お・も・し・ろ・い!
スカッとするわ〜。
暴力表現はかなり過激だけど、なんか明るい。

デイヴはパッとしないオタク高校生で、やはりさえない高校生を体現しているような友達と、3人揃って放課後マンガ喫茶みたいなとこに行ったりするのがいかにもモテなさそう感満点で、そこだけでもちょっと笑える。
いい人材、揃えたね。
安っぽいコスチュームを身につけたデイヴ、鏡の前でポーズを取ったりするのが、「バカだ・・・」という感じでおもしろい。
そしてまあいろいろあって、人前での初ファイトでぼこぼこにされるのだが、そこでなんだかちょっと泣けてしまった・・・。
「暴力を周りで見ているだけの人たち。僕にはそれが許せない!」という純粋な気持ちに心打たれた(笑)。
「フーアーユー?」と問われて「アイム・キックアス!」と答えるのは、さぞや気持ちよかったでしょうね~。

なんといっても強かったのは11才の女の子、ヒット・ガール!
こりゃ・・・萌えますなー。
人気が出るのもいたしかたなかろう・・・主人公はキック・アスなのに、映画ロゴとか宣伝とかでほとんど前面に出てきてるもんね。
普通の格好だといかにも普通っぽい子なのに、紫のコスチュームが映える映える。
チェックのミニスカートはなんだか日本の女子中高生を彷彿。
唇をゆがめるような表情も子供らしくなくていい!
ポップな音楽にのってのアクションシーンが痛快! 空中で銃の装填をしてたよね!? も一回見たい・・・。
インタビューで、アクションの9割は自分でやってると言ってたけど本当かしら・・・と疑ってしまうほどすごい。
しかし容赦なくバッタバッタと敵を殺していくからびっくり。
いいのか〜これ? 子供が真似したらヤバくない〜?(いかにも真似したくなるような感じなんだよ)
でも、小さな子供がたくさんの悪い大人をやっつけるのは爽快だが、もし逆に、大人がたくさんの悪い子供をやっつけてたらきっとイヤな気分になるんだろうな〜。
自分も大人側なんだけどね・・・。

もうひとつ、も一回見たいシーンは、ニコラス・ケイジの「オーマイゴーッシュ! カートに入れなさい」のとこ。
なんかツボった。

敵ボス役のマーク・ストロング、『シャーロック・ホームズ』、『ロビン・フッド』に続いて、端正な悪役顔が印象に残る。

そして、いかにも後に続きそうな終わり方。
続編製作の話は既にあるらしいし〜楽しみ!!

キック・アス
Kick-Ass

(2010年 アメリカ/イギリス)
監督/マシュー・ヴォーン
出演/アーロン・ジョンソン(デイヴ・リゼウスキ)
   ニコラス・ケイジ(デーモン・マクレディ)
   クロエ・グレース・モレッツ(ミンディ・マクレディ)
   マーク・ストロング(フランク・ダミコ)
   クリストファー・ミンツ=プラッセ(クリス・ダミコ)
   リンジー・フォンセカ(ケイティ)
公式サイト

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