ドラゴン・キングダム

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

サウスボストンに住むカンフーおたくのジェイソンは、いじめっ子たちに脅され、チャイナタウンにある質屋襲撃の手引きをさせられる。銃弾に倒れた店主から金色の棒を託されたジェイソンは、逃げた末にビルの屋上から落ちてしまった。目を覚ましたらそこは古代中国のような不思議な世界、キングダム。出会ったルー・ヤンから、“導かれし者”が、封じ込められた孫悟空に如意棒を返し、悪のジェイド将軍を倒すという伝説を聞かされる。

思ったこと

ストーリーも美術も、全体的にチープさ満点。
だけどジャッキー・チェンとジェット・リーのアクションが存分に見れるだけでもう満足!
だいたい製作国がアメリカだし、マヌケ面のアメリカ坊やが主人公だというし、その他の仲間や敵キャラはたいしたことなさそうだしで、アクションは添え物程度かも・・・と心配していたが、ジャッキーとジェットの見せ場はたっぷりあった!
それに、みずみずしい緑の山や田園風景、広大な砂漠など、中国でロケされた風景もきれい。

孫悟空の花果山での飛翔や、ルー・ヤンの酔拳もおもしろいが、なんといっても興奮するのはルー・ヤン(ジャッキー)と黙僧(ジェット)の、如意棒奪取バトル。
呼吸をするのも忘れそうなスピード感と迫力。
ジェイソンはおたくのくせに、世紀のバトルを最初から見れなくて残念でした〜。
カマキリ拳の構えで胸が高なる(なぜか)。
ジェット・リーのこと、別に・・・と思っていたはずだけど、いつの間にか好きになっちゃってるのかも・・・。
凛とした話し方もいい感じ。
出演作を今まであまりマジメに観てきてなかったが、DVDチェックしよっかな。

不思議の世界に迷い込んだジェイソンは、ルー・ヤンと黙僧のふたりから特訓を受ける。
なんて贅沢な! あんたなんかあんたなんかただのカンフーおたくのいじめられっ子のアメリカ人のくせにぃぃ!!
と、激しく嫉妬を感じたが、その後に続く特訓が本当につらそうだったので、あ、私には無理、とあっさり投げ出す。

白髪魔女って・・・ヘンなファッションのアイドル歌手とかにいそうな感じ。
ルー・ヤンが最後に戦うのがあんただなんて、相手にとって不足過ぎ!
ゴールデン・スパロウは、復讐を果たすのに何故呼び止める?
女性陣が全然強そうじゃなかったのは不満だな・・・。

画面のいろいろを見るのも忙しいのに、伝説についての語りなど、漢字多めの字幕をいっぱい読まなくてはならなくて、ちょっと気が焦った〜。
ま、全然理解するのが大変なような話ではないんですけどね。
なんで中国の神仙の世界の登場人物が英語話してんだよ〜と違和感は禁じ得ないが、『ベルサイユのばら』で何故フランス人が日本語をしゃべっているのか・・・と文句をつけるようなものであって、気にしなければいいのだ。
でも英語で言われるとガクッとくるような言葉がいろいろあるなぁ。
孫悟空→モンキー・キング
如意棒→ただのスタッフ
花果山→マウンテン・オブ・フラワー・アンド・フルーツ(花も果実も見当たらないが・・・)
ルー・ヤンがいつも飲んでるひょうたんの酒→ワイン
ジェイド将軍と翡翠帝→ジェイド=翡翠(字幕では書き分け)
ルー・ヤンが「Don't think, just do !」と叫ぶところは、ブルース・リーの有名なセリフを彷彿とさせてかっこいいが、“考えずに動く”って場合によっては傍迷惑だよね・・・。

孫悟空は困った暴れん坊という存在だったかと思うが、いつの間に正義側みたいになったんでしょうね?
何も殺さなくても・・・(ちょっと後味悪い)。
ジェイソンは楽しい夢をみられて良かったね。
私も夢でカンフーをマスターしたい。

ドラゴン・キングダム
The Forbidden Kingdom

(2008年 アメリカ)
監督/ロブ・ミンコフ
アクション監督/ユエン・ウーピン
出演/マイケル・アンガラノ(ジェイソン)
   ジャッキー・チェン(質屋店主/ルー・ヤン)
   ジェット・リー(孫悟空/黙僧)
   リュウ・イーフェイ(ゴールデン・スパロウ)
   コリン・チョウ(ジェイド将軍)
   リー・ビンビン(白髪魔女)
   モーガン・ブノワ(ルポ)
公式サイト

| | コメント (0) | トラックバック (1)

崖の上のポニョ

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

崖の上の家に住む5才の宗介は、海辺でビンにはまって困っている小さくてヘンな魚を助け、ポニョと名付けた。ポニョと宗介はお互いが好きになるが、父フジモトによってポニョは海に連れ戻されてしまう。「人間になりたい!」と強く願ったポニョは、魔法の力で逃げ出し、宗介のもとへと向かう。

思ったこと

「ポーニョポニョポニョさかなのこ〜♪」
予告編を観たときに衝撃を受けたのは、うねうねとしたポニョの動きがまるで赤ちゃんそのもの。
駿さん、とうとうそんな幼いところまで対象年齢を広げたの・・・!
うう〜柔らかそうでかわいい〜。
脳内に否応なく浸透してくる魔法の歌に導かれて観てきたよ、いそいそと。

宗介は海辺でポニョを拾うと、ぎゅーぎゅー引っ張ったり、ガラスを石で割ったり・・・んな乱暴な!
「死んじゃったかな」って、死ぬってー!
そして家に持って帰って、水道水ジャーッと入れたバケツにぶっこむ。
「死んじゃったかな」って、死ぬってー!
この夏、日本全国で、「ポニョ、ぼくが守ってあげるからね」とかなんとか言いながら、海や川の生きものを手づかみにして水道水で飼おうとするガk、いや、お子さまどもが続出するであろうことを憂慮する・・・。
お父さんお母さんがた、せめて正しい水の用意の仕方について教えてあげてね。
あと、子供だけで一晩過ごしたり、マッチやろうそくを使ったり、船に乗ったりすると危ないから、気をつけようね。
宗介の母リサはわりと好きなタイプの女性だが、あの無謀な運転は許容できないな・・・。
小さな子供がいるのに、スリルを求めてやっているとしか思えない。

多様な生きものでいっぱいの海の中は、いつまでも眺めていたい、いい気持ち。
色鉛筆で描いたような陸の風景も、まるで絵本の世界のようで素敵。
宗介の家の隣、「売地」となっていたけど、いくらくらいかな・・・私ここに住みたいんだけど。

Ponyo01_3しかし「手ぇ出たー! 足出たー!」って、オタマジャクシかよ!
そしてあの顔、カエルというかオオサンショウウオというか・・・。
圧巻はポニョが嵐を呼んで荒れ狂う波の上を疾走する場面!
あまりに気分が高揚して泣けた。
もうこれは理屈じゃないね。
アニメーションにしかできない表現だと思う。

いきなり現れたポニョを宗介とリサは屈託なく歓迎していたが、理屈の通じない人外のものが家に入り込んできた気味悪さをひしひしと感じてしまった。
もし私だったら、理性で差別してはいけないと優しく接しても、ふとした瞬間にビクッと手を引っ込めたりなんかしちゃって、ポニョに嫌われそう・・・。
相反する感情として、大切なものがどんどん変容してしまって手に負えなくなりそうな不安も胸に迫ってくる。
最初ポニョの子供かと思って焦った、わらわらと小さな妹たちも、カワイイがキモイ、キモイがカワイイ。
なんだかこの子たちのほうがポニョより知性がありそうに見えるのが不思議・・・。

フジモトはハウルのなれのはてかね。
なんか一生懸命っぽいのに、皆から疑われ軽んじられていて哀れ・・・。
後半になるとフジモトまで「ポニョ」と呼んでいて笑っちゃう。
「ブリュンヒルデ」じゃなかったのか〜?
奥さん(?)とのサイズ、存在感の差からは、小さなオスが大きなメスに寄生するチョウチンアンコウを連想した。
んで、カンブリア爆発の再現は結局成功したのかな?
この世界の数年後では、両生類顔の子供たちがそこらにはびこってるんじゃないかと想像して・・・コ、コワ〜!

さて、ここでちょっと駿アニメについて振り返ってみた。
改めて、自分自身の成長過程に食い込んできてるなぁ〜と思う。

『ルパン三世 カリオストロの城』★★★
あんまりよく覚えてない。テレビでしか観てないし。
『風の谷のナウシカ』★★★
「そのもの蒼き衣をまといて・・・」のシーンは強烈インパクトだったが、ハマッたのはマンガのほう。テレビでしか観てないし。
『天空の城ラピュタ』★★★★★
最高! 大好き! しかし何回も観てるのに、細かい内容を忘れてしまうので、数年ごとに新鮮な気持ちで楽しめる。忘れっぽいってお得。
『となりのトトロ』★★★★★
ここまで深く心に刷り込まれているのなら、トトロは実在するも同然。
『魔女の宅急便』★★★★
あがいている思春期の自分にオーバーラップしたのだろう。観るたびラストで号泣。
『紅の豚』★★★
ふ〜ん・・・という感じ。
『もののけ姫』★★★
あんまり覚えてないな・・・。しかし、アシタカが「カヤのことは忘れない」と言ったくせ、あっさり忘れてしまったことだけは忘れられない。
『千と千尋の神隠し』★★★★★
あらゆる意味で画期的な傑作だと思う。
『ハウルの動く城』★★
ストーリーには文句いっぱい。しかし、城の動きとか、居心地よさそうな室内とかはさすが。

なんだかんだ言って、駿と同時代に生きられて幸せだ!
もうどんな妄想映画でも構わないので、これからも元気でがんばってください!

崖の上のポニョ
(2008年 日本)
監督・脚本/宮崎駿
音楽/久石譲
声/奈良柚莉愛(ポニョ)
  土井洋輝(宗介)
  山口智子(リサ)
  長嶋一茂(耕一)
  天海祐希(グランマンマーレ)
  所ジョージ(フジモト)
  柊瑠美(赤ちゃんを抱いた婦人)
  矢野顕子(ポニョの妹たち)
  吉行和子(トキ)
  奈良岡朋子(ヨシエ)
公式サイト

| | コメント (2) | トラックバック (1)

百万円と苦虫女

お気に入り度 ★★☆☆☆

こんな話

フリーターの鈴子は、ひょんなことから前科持ちになってしまう。家に居づらくなったため、「100万円貯まったら、この家を出ていきます!」と宣言。以来、行く先々でアルバイトをしながら、100万円貯まる度に新しい土地へ転々とする放浪が始まった。

思ったこと

蒼井優ちゃんは相変わらずかわいかったー♡
暗いっぽい女の子の役が似合うよね。
優ちゃんがいろんなバイト先で地道に働く姿を見るだけで楽しい。
ぼそっとしたさりげないしゃべり方もいい。
普通にそこらにいそうな等身大のファッションもいい。
すごく痩せてて細いのに、パッと見健康的な印象なのもいい。
でも、優ちゃん本来の魅力だけでもっている映画というか、決してそれ以上を引き出せてはいなかったのが残念です・・・。

とにかく脚本がイマイチ。
「女の子が100万円貯めながら、いろいろな場所でアルバイトするとおもしろいかも!」という思いつきがまずあって、頭の中で作り上げた話って感じ。
虚構なら虚構でその世界に連れてってくれればいいんだけど、そんなパワーも感じられず、「ない」「ないない」「ありえない〜」と文句ばかり言いつつ観るハメに。

海の家のバイトで、ひと夏終わる前に100万円は貯まらないだろ。
特別な技能も何もない女の子が、普通のバイトで転々と暮らしていけるほど、現代日本って牧歌的なんでしたっけ?
格差社会をナメんな!って感じ。
家を借りるとき、保証人の欄に保証能力のない人物の名前を勝手に書いて、それが通用するってのもありえなさすぎ。
引っ越すときには、服からカーテンからトランクひとつに収まってしまうマジックに驚嘆。
布団は毎回買ってたのかな?
それから、弟が「受験はしません。皆と一緒の中学に進む」と決心したのがエライことのように描かれてるようだが、なんで?
イジメからは、ある程度逃げてもいいと思うな〜私は。
ドーナツかじりながら大荷物抱えて階段を登るのは相当苦しいだろうから、立ち止まって食べたほうがいいと思うよ!

桃農家のエピソードはまあまあ楽しめた。
桃園の風景と、いかにもな田舎家と、方言ずっぽりの地元の皆さんのおかげ。
なんといっても桃が美味しそうで食べたくなったし!
電話ごしに「おぉ〜」「うぅ〜」とかうなってる、マイペースな村長が特に気に入った。
農家のおばさんの「やれよー!」にも笑っちゃった。
ピエール瀧の「自分たちで・・・」云々というもっともらしい演説は興醒めでしたが。
桃の産地といえばてっきり山梨なのかと条件反射的に思ってしまったけど、「山梨に勝つ」とか言ってるから違ってた・・・これどこだったの?

「好きです」にはプッと吹き出してしまう。
ネギのシーンにもププッと笑ってしまう。
こんなことだから私はダメなんだろうな・・・いろいろと・・・。
中島くんは同級生とかにいたら好感もてそうな雰囲気ではあるが、普通に小っせぇ男〜としか思えない。
何をどう考えてあの行動だったんでしょうね?
大学の心理学で何を勉強してるんだ!?
この一連の体験を経て、鈴子の人生がどう変わったのかもよく分かんなかった。

百万円と苦虫女
(2008年 日本)
監督・脚本/タナダユキ
出演/蒼井優(佐藤鈴子)
   齋藤隆成(佐藤拓也)
   矢島健一(鈴子の父)
   キムラ緑子(鈴子の母)
   平岩紙(リコ)
   弓削智久(リコの彼氏)
   モロ師岡(刑事)
   斎藤歩(海の家の主人)
   竹財輝之助(ユウキ)
   佐々木すみ江(桃農家の絹さん)
   ピエール瀧(桃農家の長男)
   石田太郎(村長)
   笹野高史(喫茶店のマスター)
   森山未來(中島亮平)
公式サイト

| | コメント (0) | トラックバック (2)

接吻

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

孤独なOL・遠藤京子は、一家3人を惨殺した犯人・坂口秋生をテレビで見て惹かれ、新聞や雑誌の記事をスクラップし、会社をやめてまで裁判の傍聴に通い詰め、差し入れをする。坂口を担当する国選弁護人・長谷川は、思い詰めたような様子の京子のことを心配するうちに、その存在が気になってくる。

思ったこと

遠藤京子と長谷川弁護士が、それぞれ長いセリフをよどみなく滔々と話したり、そのセリフにちょっとよい調子がついていたり、京子が内容をはっきりと口に出しながら坂口への手紙を書いたりするので、なんだか舞台のお芝居を観ているようでした。
うん、それはそれで悪くない。

さえないOL風の遠藤京子だったが、やけに小ぎれいな部屋に住んでいるのが気になる。
親とは絶縁状態らしいが、仕事やめちゃったりなんかもして、そんなにお金に余裕があるの〜?
「タクシーが12400円!? どんなド田舎だよ」って、家賃が高くないことの伏線だったのだろうか。
それから、京子は「いつも皆に無視され、見下されてきた」と心の闇を語るが、ちょっと被害妄想強いタイプ?
若くてきれいで、(長谷川に対していたように)人の目をちゃんと見て自分の気持ちをすらすら言えるんだから、そんな弱者じゃあないんじゃ〜?と思ってしまう。
「一人で旅行したら、自殺するかと疑われた」って、わりとよく聞くような話だしね〜。
“おひとりさま”が珍しくない存在となった現代でも、そんなことが普通にあるのかは疑問ですが。

それでも、坂口秋生の犯罪やメディアの使い方、遠藤京子の一途な思い込みなどは、とても現代的に感じる。
報道陣に囲まれた京子が浮かべる笑み・・・ぞっとさせられます。

京子はひたすら坂口を見つめ続け、想いをつのらせるが、私はこういう一方的な強い気持ちにはどうも拒否反応がある。
なんか、勝手に「あなたはこういう人。私と同じ」と思い込まれてもねぇ〜。
「もっと早く出会っていれば・・・」というセリフがあるが、京子は、凶悪殺人を犯した坂口だからこそ興味を持ったんじゃないのだろうか、という気がしてならない。

トヨエツはいい声してるな〜と思った。
だんまりを決め込む坂口秋生の声を聴きたいと切望する京子に同調してしまっていたためか、坂口が声を発したとき、どきどきした。

中盤はだれ気味で、正直ちょっと眠ぃ〜となっていたが、そして展開はある程度予想がついていたのだが、ラストの数分にはけっこうびっくりした。
く、狂ってる・・・。
女優としての小池栄子に瞠目した瞬間でした。

接吻
(2006年 日本)
監督/万田邦敏
出演/小池栄子(遠藤京子)
   豊川悦司(坂口秋生)
   仲村トオル(長谷川弁護士)
公式サイト

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ミスト

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

ひどい嵐の翌朝、湖の向こうには霧が広がっていた。デイヴィッドが息子ビリーと隣人の弁護士ノートンを連れてスーパーマーケットへ買い出しに行くと、とても混雑している。そこへ、血を流した男が、「霧の中の何かに襲われた!外へ出るな!」と駆け込んで来た。外はみるみる霧で覆われ、デイヴィッドたちは大勢の客と共に閉じこめられてしまう。

思ったこと

子供の頃から、“何かが限定された状況”というのを空想することがよくある。
もし土砂崩れで家の中に閉じこめられたら、どうやって生き延びるかとか。
もし本300冊だけしかこの先読めないとしたら(または映画300本)、どれを選ぶかとか。
もしダンボール箱ひとつ分の服を一生着回すしかないとしたら、何を入れるかとか。
なかでもポピュラーな空想が、もしスーパーマーケットの中に閉じこめられたら、そこにある食料でどのくらい生きられるか、効率よく長くもたせるためにはどんな順番で食べたらいいか、というもの。
(電気が止まっていたら、まず最初にアイスを食べよう・・・と決めている)

この映画では、私が何度も空想していたのと近い状況に陥る。
いっぱいの人が一緒だというのが違うけど。
何日もスーパーマーケットの中で過ごすうちにサバイバル的な争いが起きるのかな〜と思っていたら違った。
もっと常軌を逸したスペクタクルな恐怖だった。
こちらはパニックホラームービーだと分かって観てるから、全然信じようとしないノートンにいらいらしちゃうけど、現実であんなこと言われたら「ハァ?ふざけてんの?」という感じだよね〜やっぱ。

外界を満たす霧の向こうに、何か怖ろしいものがいる・・・。
倉庫のシャッターをガタガタと揺らす大きなもの。
得体のしれないタコの脚みたいなのにさらわれていった店員。
外に出ていった人の腰につけていたロープが、しゅるしゅると勢いよく引っ張られていくのは恐怖!
そう、何がいるのか見えていないうちは本当に怖かった・・・。

大きな虫がガラスに張り付いてきたとき、一瞬びくっとはしたものの、きょろきょろ動く目とか、かさかさした動きとか、なんだかおもちゃみたいで笑みを誘う。
ほかにも翼竜みたいのとか、でかいクモとか、よくできたモンスターだね〜という感じで、すっかり怖さが退いていってしまった。
実際に部屋の中で飛び回られたら逃げまどうだろうけどね・・・。
終盤の巨大モンスター登場では、「おぉお〜」と、なんかクジラや王蟲を見たときのように厳かな気持ちに。

そして最も怖ろしい相手は、神への贖罪を説くミセス・カーモディと、扇動されて狂信的になっていく人々。
宗教ってヤバすぎ!!
キリスト教の素地がまったくないもので、彼らの気持ちにはついていけないとしか思えないのだが、これが日本だったらどうなんだろう?
昔だったら山の神さまとかご先祖さまとかにおびえる感じかな・・・。

勇気を持って理性的に行動するグループである主人公たち。
しかしこのラストは・・・“衝撃”の看板に偽りなし。
そんなちょっとの差で〜。
絶望を越えたさらなる絶望。
もうお願いだから殺してくれ、という気持ちでいっぱい。

ミスト
The Mist

(2007年 アメリカ)
監督・脚本/フランク・ダラボン
原作/スティーヴン・キング
出演/トーマス・ジェーン(デイヴィッド・ドレイトン)
   ネイサン・ギャンブル(ビリー・ドレイトン)
   ケリー・コリンズ・リンツ(ステファニー・ドレイトン)
   アンドレ・ブラウアー(ブレント・ノートン)
   フランシス・スターンハーゲン(アイリーン・レプラー)
   ローリー・ホールデン(アマンダ・ダンフリー)
   マーシャ・ゲイ・ハーデン(ミセス・カーモディ)
   トビー・ジョーンズ(オリー・ウィークス)
   アレクサ・ダヴァロス(サリー)
   サム・ウィットワー(ウェイン・ジェサップ)
公式サイト

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ラスト、コーション

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

1942年、日本軍の占領下にある上海。傀儡政府のもと、特務機関の幹部を務めるイーは、4年前に香港で出会ったマイ夫人と再会し、激しく惹かれあった。実は、マイ夫人とはワン・チアチーが学生仲間とともに作り上げた架空の人物で、抗日組織のスパイとしてイー暗殺を狙って近づいたのだ。

思ったこと

はーどきどきしたぁー・・・いろんな意味で。
学生たちが思いつきのように企てるイー暗殺計画なんて穴だらけだし、田舎から出てきて間もないワン・チアチーが上流夫人を自然に演じられるわけないしで、絶対バレてるに違いない・・・バレてる、バレてるよ〜と気が気でなかった。
そんなんで騙そうとするのは無理あるってー。
しかし、イーは頭がよく鋭い人物として描かれてはいたが、よっぽどマイ夫人の魅力に惑わされていたということですかな・・・。

ワン・チアチー役のタン・ウェイがかわい過ぎて目が離せない。
農村時代のあどけなさ、抗日芝居を成功させた熱狂、理想と目的のためには手段を選ばない純粋さ、年月を重ねて愁いをおびた表情、歌い踊る姿、すらりとした肢体を際立たせるチャイナドレス・・・。
今回のトニー・レオンは、同胞の抗日運動を弾圧するコワイ男、イーを堂々と演じている。
仕立屋で、チアチーが美しい青のチャイナドレスを試着したとき、「そのままで」というイーの言葉にどきっ。
倒すべき敵である人物なのに、私はトニーさまファンなもんだから、ついつい最初から意識して見ちゃいます〜。
冷徹で厳しい態度をとりながらも、ふとこぼれるように見せる心の断片が、たまりません。

その後もどきどきは続く。
愛人になるしかないと覚悟を決めたチアチー、そこまでやるかー!? そして皆もさせるのかー!?
イーの言動一つひとつにびくびくしてしまい、私だったら泰然としているの、絶対ムリ・・・と思う。
人力車に乗って走るチアチー、いったいこの次の瞬間にどうなるのか、息が止まりそうな気分。

ベッドシーン、過激だと噂には聞いていたが、びっくりしたー。
トニーさま、そんな人だったとは思わなかったっ!
近年、ベッドシーンを赤裸々に描く映画が多いと思うけど、私としては正直、そこまで映してくれなくてもいいんですケド・・・って感じ。
なんかストーリー本筋から気がそれるし・・・身体やわらかいな〜とかそういう方向に感心しちゃったりして。

それにしても、女のスパイは信用ならないねっ!
色仕掛けで敵の要人に近づく作戦は、失敗することが多いんじゃないかという気がする・・・いろいろ映画を観ている限り。
最後の指令を出す、イーの暗い瞳が忘れられない。
そして、イー夫人がどこまで気付いていたのかも気になる。

上海の街の雑踏、麻雀卓を囲む夫人たち、夜の道を走る2階建ての路面電車、インド人の宝石商など、昔の中国を感じさせる雰囲気も十分に味わいました。

ラスト、コーション
色・戒/Lust, Caution

(2007年 アメリカ/中国/台湾/香港)
監督/アン・リー
出演/トニー・レオン(イー)
   タン・ウェイ(ワン・チアチー/マイ夫人)
   ワン・リーホン(クァン・ユイミン)
   ジョアン・チェン(イー夫人)
公式サイト

| | コメント (0) | トラックバック (1)

ナルニア国物語 第2章:カスピアン王子の角笛

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

ナルニア黄金時代から1300年。テルマール人に征服されたナルニアでは、かつてのナルニアの民は伝説上の存在として、ひっそりと隠れて生きていた。テルマール王位をねらう叔父ミラースに暗殺されそうになったカスピアン王子は、夜の森の中に逃れ、ナルニアの民と出会い、魔法の角笛を吹く。その音に導かれ、ロンドンからピーター、スーザン、エドマンド、ルーシーが再びナルニアに呼び寄せられた。

思ったこと

私もルーシーみたいな特別な子供になりたかった・・・。
初めて原作の本を読んだ10歳頃の自分に、すっかり戻った気分。
と言いつつ、物語の内容はけっこう覚えてなかったりして。
7冊のなかではわりと思い入れの少ない巻だし・・・。
でも何回も読んでるはずなのになー。
カスピアンも4きょうだいも、原作よりちょっと育っちゃってる感じよね?

アスランの姿が見えるのはルーシーだけ、きょうだいたちにさえ信じてもらえない・・・そのもどかしさ、切なさに涙しました。
そのへん、もうちょっとじっくり描いて欲しかったな〜。

戦いに次ぐ戦いという、バイオレントな展開。
とはいえ、さすがディズニー映画、敵は弓や剣のひと突きで倒れ、血も一切見せません。
ピーターはなんか好戦的でエラそうな感じ〜。
カスピアンと主導権争いで険悪になっちゃったりしてるし・・・船頭が多いと船が山に登っちゃう・・・。
そもそも伝説の王と王女が突然現れたって、素直に信じて命をかけちゃうナルニアの民、そんなことで大丈夫なのか〜?・・・と、今や大人になってしまった私は思う。
いやしかし、そうやって純真な心を忘れてしまったから、もうナルニアには行けないのかしら・・・でもでも無条件に信じなきゃいけないって、宗教っぽいよね!?
ミラースが率いるテルマール軍は、大人の戦士だし、頭数も装備も統率も圧倒的だし、あちゃ〜今回は負けちゃうな・・・と半ば本気で思ってしまった。
それにしてもスーザンが弓の腕前を見せまくりで凛々しいのにはちょっとびっくり。
エドマンドはきょうだい思いの勇気ある子に育っていたが、影薄かった。
カスピアン役のベン・バーンズはイケメンだつって世間で騒がれているっぽいが、それほどかね〜?
前作で白い魔女ファンになったので、ちょっとだけど登場したのはうれしかったな。

リーピチープはかわいい(と言ったら怒るかな)。
小ささと素早さを生かし、姿を見せないまま森の下生えの中を走り回って敵を倒すのだが、実際こんな目に遭ったら「おばけ〜!」という感じで恐いだろうなぁ〜。
女のセントールたちもいて、けっこう強そうに見えるのに、あまり戦闘には参加していないっぽかったのが残念。
大木が歩いてきて加勢するのって、『ロード・オブ・ザ・リング』でもあったよね・・・。
川の神がベルナの橋を押し流すシーンはスペクタクルだけど、なんかずるい気が・・・。
戦いが終わってからの凱旋パレードで初めて、あ、街もあったんだ、と気付く。
テルマールの民衆がナルニアの勝利を祝っているようだが、彼らはいったいどういう感情なんだ?
そしてファンタジーらしい掟破りの領土問題の解決。

ロケはニュージーランドのほか、チェコ、ポーランド、スロヴェニアでも行われたらしい。
4きょうだいが降り立ったビーチは、ニュージーランドのコロマンデル半島・・・きれいだけど、ちょっと爽やか過ぎる気がした。
4人とトランプキンが小舟でわたっていく川は、とてつもなく澄んでいて美しい!

ナルニア国物語 第2章:カスピアン王子の角笛
The Chronicles of Narnia : Prince Caspian

(2008年 アメリカ)
監督/アンドリュー・アダムソン
原作/C・S・ルイス
出演/ベン・バーンズ(カスピアン王子)
   ジョージー・ヘンリー(ルーシー)
   スキャンダー・ケインズ(エドマンド)
   アナ・ポップルウェル(スーザン)
   ウィリアム・モーズリー(ピーター)
   セルジオ・カステリット(ミラース)
   ティルダ・スウィントン(白い魔女)
声/リーアム・ニーソン(アスラン)
  エディ・イザード(リーピチープ)
公式サイト

| | コメント (0) | トラックバック (0)

グラインドハウス USAバージョン

お気に入り度 ★★★★★

こんな話

グラインドハウスとは、1960〜70年代にアメリカで流行った低予算B級映画の2、3本立て上映館のこと。それにオマージュを捧げて、片足マシンガンの美女がゾンビを殺しまくる『プラネット・テラー』と、耐死仕様の車で若い女の子たちを追い回す殺人鬼を描く『デス・プルーフ』の2本立てに、製作予定のない映画の予告編4本を組み合わせた企画ムービー。

思ったこと

おもしろかったー!
血や死体にまみれているのに爽快!
かわいくて元気でスタイルのいい女の子たち満載で眼福、眼福。
世の中にはまだまだおもしろいものがたくさんあるね!という前向きな気分に。
おそらく、監督たち自身が楽しんでいる気持ちが伝染したんだと思う。

●マチェーテ(フェイク予告編)
これってば『デスペラード』と同じような話?
派手で分かりやすいストーリーと絵面で盛り上がる。
本当に製作することが決まったそうなので、楽しみに待とう。

●プラネット・テラー
迫りくるゾンビの恐怖。
片足マシンガンのチェリーのかっこよさ!
笑っちゃうくらいの痛快アクション。
息つく間もないくらい堪能いたしました。

エル・レイ・・・かっこよすぎ♡
最初もしかしてアジア系かな?と思ったけど、どうもメキシコ系らしいと判明し、そしてフレディ・ロドリゲス本人のプロフィールを見たらプエルトリコ系だった。
・・・っていうか、観てるときに気付かなかったのはうかつだけど、『ボビー』にも出てた人じゃん!
私こういう顔がすごくタイプ・・・ガエルくんから乗りかえようかしら。
自分のもとを去った恋人のために、ゾンビだらけの病院に乗り込む姿にしびれた。
片足を失ったチェリーに「これでもつけて走れ!」と厳しいところも、なんかいい。
異様に強いヒーローぶりももちろん素敵。
さらに、チェリーに何故出ていったのかと問いかけながら、じーっとまばたきもせず見つめる表情に惚れました。

ガーターベルトに注射器を差している女医ダコタ、セクシーな双子の存在感も忘れられない。

アビーが切り取ったタマタマを集めていたのは、きっとウイルス抗体とかになるという伏線だ・・・と予想していたら、関係なかったみたい。
じゃ何故拾い集めてたの? 趣味?

最後の海に面した遺跡は、メキシコはカンクンのそばにあるトゥルムだ!(行ったことないけど)
すごい印象的な景色で最後の決戦にぴったりと言えましょう。
遠景から映しているとき、海水浴客たちが普通にしっかり入っているのがいかにもB級で可笑しかった。

●ナチ親衛隊の狼女(フェイク予告編)
ニコラス・ケイジには吹き出した。

●ドント(フェイク予告編)
繰り返しギャグみたいで笑える。
予告編の中では、観客に一番ウケていた。

●感謝祭(フェイク予告編)
イタイ殺人満載!

●デス・プルーフ
タイトルは“死の証拠”じゃなくて、ウォータープルーフとかのプルーフだったのね。
女の子たちのだべりが続く前半は悪くない、悪くないけどちょっと冗長な感じ。
バタフライのラップダンスが“フィルム紛失”で飛ばされたのは笑えた。
死に様を一人ずつじっくり見せるところは、乾いた変態性を感じさせます。

そして、後半の打って変わった疾走感!
まず、映画製作の仕事仲間である4人がそれぞれ魅力的なので、だべりも楽しい。
スタントウーマン・ゾーイって一見普通っぽいのに、本物のスタントぶり、すごいな!!
恐怖のカーチェイスも目が離せなかったが、女の子たちの容赦ない反撃が始まると、興奮も最高潮に。
ゾーイ姉さん、ハコ乗りにもほどがある!
スタントマン・マイクの打たれ弱さにも激笑!
あー強い女の子って最高ですね。

プラネット・テラー
Planet Terror

(2007年 アメリカ)
監督・脚本/ロバート・ロドリゲス
出演/ローズ・マッゴーワン(チェリー・ダーリン/パロミータ)
   フレディ・ロドリゲス(エル・レイ)
   ジョシュ・ブローリン(ウィリアム・ブロック)
   マーリー・シェルトン(ダコタ・マックグロウ・ブロック)
   マイケル・パークス(アール・マックグロウ)
   ジェフ・フェイヒー(JT)
   マイケル・ビーン(ヘイグ保安官)
   ナヴィーン・アンドリュース(アビー)
   ブルース・ウィリス(マルドゥーン中尉)
   ステイシー・ファガーソン(タミー)
   クエンティン・タランティーノ(兵士)

デス・プルーフ
Death Proof

(2007年 アメリカ)
監督・脚本・出演/クエンティン・タランティーノ(ウォーレン)
出演/カート・ラッセル(スタントマン・マイク)
   ヴァネッサ・フェルリト(アーリーン/バタフライ)
   シドニー・ターミア・ポワチエ(ジャングル・ジュリア)
   ジョーダン・ラッド(シャナ)
   ローズ・マッゴーワン(パム)
   ゾーイ・ベル(ゾーイ)
   トレイシー・トムズ(キム)
   ロザリオ・ドーソン(アバナシー)
   メアリー・エリザベス・ウィンステッド(リー)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ミリキタニの猫

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

ニューヨークの路上で絵を描いて売る、80歳を越えたホームレスの男、日系人のジミー・ツトム・ミリキタニ。彼に興味を持って撮影を進めていたリンダ・ハッテンドーフは、9・11後にミリキタニを保護して家に住まわせる。第二次世界大戦時には強制収容所に入れられアメリカ市民権を奪われていたミリキタニの過去が掘り起こされるドキュメンタリー。

思ったこと

ミリキタニというのが“三力谷”という日本の名字だとは予想外だったよ。
ホームレス状態とはいえ、絵の対価としてしか決して金を受け取らないミリキタニ。
強制収容所やヒロシマの絵を何枚も描き続けるミリキタニ。
風変わりなマイノリティー人種の男を通して過去の不幸な歴史を見つめ直すアメリカの良心、というコンセプトのドキュメンタリーなんだな〜・・・とわりと冷めた目で観始めたのだが、監督であるリンダがミリキタニを同居させて深くコミットし、彼の人となりや過去がだんだんと明らかになっていくにつれ、その人生に引き込まれていった。

ジミー・ツトム・ミリキタニは1920年にカリフォルニアで生まれた日系2世なのだが、3〜18才の間は広島で育ち、軍国主義の日本を逃れて再度アメリカに渡ると、ほどなく日米が開戦する。
そして、敵性外国人としてツールレイク強制収容所へ。
太平洋戦争のときにアメリカにいた日系人たちがどういう運命をたどっていたのか、あまり考えたことがなかった自分に気付く。
そして現在、9・11後には、アラブ人差別という同じことが起こっている。
歴史から学ぶことで、不幸と憎悪の循環をこれ以上繰り返さないよう、人類は進化していけると信じたいけど・・・。

かつて剥奪されたアメリカ市民権は回復されていたのだが、連絡不行き届きでミリキタニはずっと知らないままだったということが分かる。
生きているかどうかも分からなかった実の姉ジャニスと、50年ぶりに再会する。
「アメリカの世話にはならない!」とずっと頑なだったミリキタニだが、福祉施設で絵の先生として迎え入れられる。
そんな積み重ねのうちに、何十年も心の中に黒々とわだかまっていた憎しみが、だんだんとほどけていく様子に目頭が熱くなります。
ツールレイク強制収容所の跡を訪れて絵を描くミリキタニは、随分と落ち着いて見える。
それもこれも、リンダの尽力のおかげ。
長くつらい時を過ごし、80才を越えたミリキタニの人生が、人との関わりによって変わっていくのだ。
実際、肉親でも友人でもなかったホームレスを家に入れて、その一筋縄ではいかない境遇と心を解きほぐしていくなんて、そうそうできることではないよなぁ・・・。

ミリキタニの絵は、のびのびとした描線とハッとさせられる色使いで、独特な魅力がある。
手持ちカメラによってちらちらと視点が移動する映像なので、絵をもっとじっくり見せてくれ〜!と、そのへんがちょっぴり物足りなかったよ。

それと、ミリキタニはちょっとびっくりしてしまうくらい、英語が上手くない。
英語で喋っているにもかかわらず英語の字幕が出るということは、アメリカ人にとっても相当聞き取りにくいんだろう。
日本の歌をよく歌っているし。
人生のほとんどの時をアメリカで過ごしているとはいえ、まともな市民として扱われず、きちんと学べる環境にないと、言葉って上手にならないのだなぁ・・・という点も衝撃でした。

ミリキタニの猫
The Cats of Mirikitani

(2006年 アメリカ)
監督/リンダ・ハッテンドーフ
出演/ジミー・ツトム・ミリキタニ
   リンダ・ハッテンドーフ
   ロジャー・シモムラ
   ジャニス・ミリキタニ
公式サイト

| | コメント (0) | トラックバック (0)

アース

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

およそ50億年前、小惑星が地球にぶつかったために地軸が23.5度傾き、地球上には四季の変化ができた。氷に閉ざされた北極の冬から、乾期のアフリカ、熱帯から南極の海まで、大自然と多様な野生動物たちの姿を最新の撮影技術でとらえたドキュメンタリー。

思ったこと

驚愕の映像美!
ダイナミックに、そして精細に、地球の大自然が写し取られていて、ポカーンと口を開けて観ているうち、あっという間に時間が過ぎていった。
もっとずっと観ていたかった〜。
いったいどのように撮影されたのか想像を絶する。
空中から、海中から、まるでカメラや撮影者が透明であるかのように野生動物がすぐ間近に。
季節が移り変わるにつれ、桜や広大な森がさーっと色づいていく様なんてアニメーションかと疑ったくらい。
画面がぶれない安定感を保ったまま、コマ落としで時の流れをとらえながら、アングルが変わっていくなんて、まるで神の視点のよう。

北極の長い冬が明けるところから始まり、雪の中の穴からホッキョクグマの母子が出てくる。
仔グマのかわいらしさに悶絶・・・!
ああー子供ってどうしてこんなにかわいいんだろう・・・どんな生物でも小さいときは愛らしいのか・・・と一瞬考えたけど、虫の子供はまったくもってかわいくないな。
確か子供を無条件にかわいく感じる要素として、「丸っこい」「目が大きい」「頭が大きい」等々があったかと思うけど、虫の子供はこれらに当てはまっていても、ぜーんぜんかわいく思えないな(映画に虫はほとんど出てこないが、何故かそんなこと考えつつ観てた・・・)。

オシドリの雛たちの初飛行。
先に外に出た親が励ますなか、高い木の上にある巣から、雛たちが不器用な仕草で次々と飛び出てくる。
これが実に感動的でした。
目頭が熱くなった。
だってね、飛行というより、落ちてくるんだよ・・・!

ニューギニアの極楽鳥はヘン過ぎる!
神経質に掃除したり、奇妙な求愛ダンスを踊ったりする様子には、笑かしてもらいました。
雌にアピールする決めポーズがエイリアンちっく、鳥に見えない・・・世界はまだまだ知らないことだらけだと謙虚な気持ちになりました。

トナカイを追いかけるオオカミ、ゾウを狙うライオン、セイウチに襲いかかるホッキョクグマ、トムソンガゼルを捕らえるチーター・・・。
野生動物の食うか食われるかの場面では、どちらに感情移入するかで、随分気持ちが変わる。
逃げてっ!と思うか、腹減った、絶対食ってやるっ!と思うか。
追いつめられたトナカイやトムソンガゼルの、悟ったような表情が心に残る・・・(まあ人間の勝手な思い入れなんでしょうけど)。
その点、オットセイがイワシの群れに突っ込むのは、よーしどんどん食べろ!と安心して応援できるな。
ホオジロザメのジャンプも圧巻だ。

なかでも、水場に集うゾウの群れとライオンの群れの駆け引きにはドキドキした。
それぞれの目がアップで映され、「ゾウは人間と同じ程度にしか、暗闇でものが見えていない」「しかし、ライオンにはすべて見えている」・・・なんという緊迫感!

最後に地球温暖化の話などが語られるのだけど、エコのことをあまり考えると、破滅的な暗い考えにハマってしまうの。
再生紙とかエコバッグとかで「地球にやさしい」なんて満足してるのもアホくさいしな〜(せっせとやってますがね・・・)。
やっぱさー、地球環境をこれ以上壊さないためには、私たちは生活レベルを下げるしかないんじゃないでしょうか。

アース
Earth

(2007年 ドイツ/イギリス)
監督/アラステア・フォザーギル、マーク・リンフィールド
音楽/ジョージ・フェントン、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
声/渡辺謙(ナレーション)
公式サイト

| | コメント (0) | トラックバック (0)

«やわらかい手