インスタント沼

お気に入り度 ★★☆☆☆

こんな話

不思議なものを信じない沈丁花ハナメは、編集長をやっていた雑誌が廃刊になって会社を辞め、“ジリ貧”な毎日。沼に落ちて意識不明になった母が、30年前に“沈丁花ノブロウ”に宛てた手紙が発見される。そこには、ノブロウがハナメの父だと書いてあった。ハナメは、「電球商店」という骨董屋を営むノブロウを探し当てる。

思ったこと

ビミョ〜。
ショートコントの連続という感じで、このノリについていける人にはおもしろいのかもしんないけど、私には分かんなかった・・・。
2、3カ所は笑えるところもあったがね・・・「死んだふりしないで!」とかね。
あと「赤ちゃんプレゼント 森永ドライミルク」の看板とか「USA牧場」とかね、細かいところでいろいろ凝ってるよね・・・そういうのがなんだか小賢しいの。

30才くらいと思われる沈丁花ハナメは、キイキイ騒々しく子供っぽい女・・・まあこういう30代はけっこういるとは思うけど・・・しかしまったくもって編集長っぽくはないな。
ハナメがしゃべりまくり畳みかけてくるオープニングはけっこうおもしろかったので期待したんだけど。
黒ウサギを飼っているというところに好感をもったが(私も黒ウサギを飼ってるから)、ウサギ繁殖牧場にお嫁さんを探しに行って、自分のウサギを見失う・・・。
ア・リ・エ・ナ〜イ!
アリエナイことはあってはならないのですよ!
ウサギってどれも似たように思えるかもしれないけど、色とか毛並みとか顔の形とかかなり個体差あるの。
普通にかわいがっていたら、分かんないなんてことはないの。
スズメや白文鳥とかだったらまぎれちゃうのも分かるけどさ〜(小鳥愛好家だったらアリエナイと言う?)。
ここで、ハナメのことをまったく好きになれなくなった。
ただ、着ている服やネックレスはどれもこれもかわいい。

うさんくさいおっさん、電球=沈丁花ノブロウの存在感は良かったな。
ウソばっかり言って、浮き世離れしてて、子供のまんま大人になったみたい。
こういう人と友達づきあいするって楽しそう。
気分が向いたときに会いに行けばいつでも相手してくれて、くだらないことをだらだらしゃべるの。
「テンション上げるには、水道の蛇口をひねろ!」と一緒に走りたい!

飄々と「ほら、カッパがいるでしょ」と言う、ハナメの母もかわいい。
電球のおっちゃんと再会してほしかったな・・・。

タイトルにもなっている“インスタント沼”だが、沼ってそういうものだっけ・・・?
それ、“インスタント泥”なんじゃないの?
カッパはきれいな水にしか棲めないと思う。

インスタント沼
(2009年 日本)
監督・脚本/三木聡
出演/麻生久美子(沈丁花ハナメ)
   風間杜夫(電球/沈丁花ノブロウ)
   加瀬亮(ガス)
   松坂慶子(ハナメの母)
   相田翔子(和歌子)
   笹野高史(出版社部長)
   ふせえり(市ノ瀬)
   白石美帆(立花)
   松岡俊介(雨夜)
   温水洋一(サラリーマン)
   宮藤官九郎(刑事・椹木)
   渡辺哲(刑事・隈部)
   村松利史(リサイクル業者・東)
   松重豊(リサイクル業者・川端)
   森下能幸(リサイクル業者・大谷)
   粟根まこと(白い骨董屋)
   五月女ケイ子(看護師)
   岩松了(泰安貿易社長)
公式サイト

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レッド・クリフ part II −未来への最終決戦−

お気に入り度 ★★☆☆☆

こんな話

赤壁で対峙する魏・曹操の軍vs呉・孫権と蜀・劉備の同盟軍。敵陣をスパイする尚香。魏の軍で疫病が流行り、死体が送りつけられてきて、連合軍にも疫病が蔓延した。戦意を失った劉備軍は撤退する。孔明は残って10万本の矢を調達し、風の動きを読む。周瑜は敵の武将を謀殺する。そして決戦のときが近づいた。

思ったこと

未来って最終決戦って・・・だってこれって1800年も昔で、多くの人が成り行きを知ってる話なんでしょ?
それに冒頭、「この不況の時代、一人ひとりが勇気をもって未来を作ろう! byジョン・ウー」的なメッセージが入っていたが、ウッセーなんであんたにわざわざそんなことを言われなきゃなんないんだよ!と思った。

元気な尚香ちゃんはかわいくて好きなのだが、男だらけの敵陣に入り込んで気付かれないなんてことがあるのだろうか?
蹴鞠が得意な叔材と仲良くなる尚香ちゃん・・・これって友情? それともラブのエピソード?
姫の相手としては不足だな・・・。
スパイ活動を手伝わせ、窮地を助けてもらい、あげくは「きっと帰ってくる」とか適当なこと言って〜!
次に会うときは殺し合わなきゃいけない敵同士だというのは自明なのに、そんなことは考えてもいなそう。
友情にしてもラブにしてもぬるいから、まったくもって感情移入できません。
スパイから戻ってきて、腹に巻いた布をくるくる回りながら披露する、ヘソ出し尚香ちゃん。
何だそりゃ〜(笑)。
しかし、上着をそっとかけてあげるお兄ちゃんには、ちょっとグッときた。

冬至のお団子のシーン。
小学生の頃、給食でフルーツポンチ(白玉団子入り)が大人気で、男子が配膳係をやると自分らの仲間にばかり白玉団子をたくさん入れてイヤだった〜、ひとり3つずつです!・・・という思い出がよみがえったよ。
皆からお団子を分けてもらう周瑜・・・尚香ちゃんや孫権からも分けてもらう周瑜・・・お団子大好きな人なの?

周瑜の嫁、小喬は美女だとは思うが、なんかウザイ。
病人を看病しながらそっと涙ぐむところなんか、これ見よがしな感じで〜。
「あなたの心を乱さないためにお腹に子がいることを黙っていた」と言うならずっと黙っていればいいのに、最高に心を乱させるタイミングでの告白・行動。
そんなに重要人物なのか〜? その女。

今回、曹操がけっこうアホっぽくてかわいかった。
「処刑しろっ!」「(やっぱり)待てっ!」って・・・ちょっと笑っちゃうんですけど。
「華陀を呼べっ!」って言うからてっきり毒でも盛られたかと思ったが、なんだったの?
あと「劉備!?」って声が裏返っちゃうところもおもろい。
「一杯のお茶のせいで戦いの機を逃した」って本気で言ってるのかな・・・?

劉備たちの動きは「え?」という感じで、どうせなら、なんかもっと効果的な演出があったんじゃなかろうか。
ドッカンドッカンと爆発・炎上が見どころなのかもしれないが、派手なばかりで私はあんまり盛り上がれない〜。
周瑜と趙運はめちゃ強いな! こういうのがもっと見たいんだけど。
しかし大将とか将軍がそんな最前線に出ちゃっていいわけ〜?
赤壁の戦いの間、孔明はひとりお留守番をしていたのだろうか?

なんか・・・ずっと思っていたんだけど、周瑜と孔明がふたりで話すとき、顔を近づけすぎだよね・・・それは恋人たちの距離だよ! 周りには静かな空間が広がっているのに!
アップだとトニー・レオンのお肌がちょっと荒れてるのが気になるんだよナー。

レッド・クリフ part II −未来への最終決戦−
赤壁/Red Cliff

(2008年 アメリカ/中国/日本/台湾/韓国)
監督/ジョン・ウー
出演/トニー・レオン(周瑜)
   チャン・チェン(孫権)
   ヴィッキー・チャオ(孫尚香)
   中村獅童(甘興)
   リン・チーリン(小喬)
   ホウ・ヨン(魯粛)
   金城武(孔明)
   ヨウ・ヨン(劉備)
   フー・ジュン(趙雲)
   バーサンジャブ(関羽)
   ザン・ジンシェン(張飛)
   チャン・フォンイー(曹操)
   ソン・ジア(驪姫)
   シェ・ガン(華陀)
   トン・ダーウェイ(叔材)
公式サイト

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チョコレート・ファイター

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

日本人ヤクザのマサシとタイ・マフィアのジンは恋に落ちるが、嫉妬に狂ったナンバー8に狙われ、マサシは日本に帰国した。妊娠していたジンは、組織を抜け、生まれた子にゼン(禅)と名付けて育てる。自閉症のゼンは人とのコミュニケーションに難をかかえるが、並はずれた身体能力を持っていた。

思ったこと

プラッチャヤー・ピンゲーオ監督の『マッハ!!!!!!!!』『トム・ヤム・クン!』に続く、ノーワイヤー・ノーCG・ノースタント3作目(そういえばトニー・ジャーくんは最近どうしてるんだろ?)。
今回は可憐な乙女のアクションということでとっても楽しみにしていたが、期待に違わぬ超絶っぷりだった〜。
映画というよりザ・超人ショー。
ストーリー展開や演出がなんかヘンなのは、もはやお約束。
少女ゼンが成長して覚醒するまでがちょっと退屈・・・でも暴れ始めたらノンストップだ!
仏像、象に続いて、今回の闘う理由は「ママのお金を返せ」!!

自閉症のゼンが、家の隣にあるムエタイ道場を覗き見たり、TVのアクション映画や格闘ゲームなどを通して、すべての技を身につけてしまったというビックリ設定。
ほとんど無表情でマーブルチョコレートをかじっている華奢で可憐な少女が、「ママのお金ー」と幼児のように叫びながら次から次へと大人の男たちを倒していくのは異様ともいえる光景だが、萌える・・・。
息をつかせぬ本物アクションには、全身の血が沸き立つような興奮!
特に“駆け上がり蹴り”がかっこいい!!
でもちょっと敵の頭を蹴りすぎなんじゃな〜い? 殺しちゃってないか心配。
借りたお金はちゃんと返したほうがいいし、子供たちに暴力をふるう男たちはいかにもな悪者だが、ゼンの取り立てはほとんど強奪のようであった。
極めつけは、宿命のライバルであるかのように登場した、メガネジャージ少年との対決。
知恵遅れ(?)の少年がチックみたいな動きをしながら闘う・・・なんだこれ、ヤバすぎ!!
ふたりのアクションが常人離れしすぎてて、なんだか格闘ゲームのキャラを見ているようだったよ。

ジンに拾われてゼンと一緒に育つ、ストリートチルドレンのムン。
スクリーンではなかなか見られないような、こきたないデブっ子・・・。
ゼンが苦手とするハエを退治しに登場したところはちょっぴりかっこよかったよ。
でも、ゼンとのラブ展開とかは今後もなさそうですね。

エンドロールでメイキング映像が入るんだけど、看板ファイトで道路に落ちた人が病院に送られている。
なんか笑いながらお見舞いしたりしてるけど・・・大丈夫か!? 取り返しのつかないことになってない!? 誰か死んじゃったりしてない!? と、とってもハラハラさせられます。

チョコレート・ファイター
Chocolate

(2008年 タイ)
監督/プラッチャヤー・ピンゲーオ
出演/ヤーニン・ウィサミタナン/ジージャー(ゼン)
   阿部寛(マサシ)
   “ソム”アマラー・シリポン(ジン)
   タポン・ポップワンディー(ムン)
   ポンパット・ワチラバンジョン(ナンバー8)
公式サイト

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マルタのやさしい刺繍

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

夫を亡くして無気力になっていた80才のマルタは、若い頃の夢を思い出し、パリのように素敵なランジェリーショップを開きたいと一念発起する。リージは応援してくれるが、友人のフリーダやハンニ、息子ヴァルターら、保守的な村の面々からは「みっともない!」「村の伝統を壊す」と非難されてしまう。

思ったこと

田舎のムラ社会は、日本もスイスも同じなんだね〜。
世間体を気にして目立つことをしないよう生きていくのを求められる・・・。

夫の死から立ち直れないままでいるマルタをなんとか元気づけようとしている友人たちの気持ちがあたたかい。
でも、そんな友達から「その年で」「昔の夢を今さら」「腕が鈍ったのよ」「恥ずかしくないの」「笑いものになるわよ」などとたたみかけるように言われると、ほんとヘコむ。
そういった言葉に従うことが、いわゆる“空気を読む”なんだろうな〜。
周りからの圧力に屈さないでいるには、強い意志の力がいるし、せめてひとりは分かってくれる仲間が必要だよね。
一緒になって夢をみてくれるリージの存在がすごくありがたい。
そんなリージも、恋人を追って渡米したという武勇伝が口癖の“アメリカかぶれ”だし、村ではちょっと浮いていたんだろうな〜。

しかし、マルタを非難する友人たちも、それぞれ何かに抑圧されているから、自由に生きようとしている人のことをなかなか認められないのかな・・・と思う。
元社長夫人でプライドの高いフリーダは、今では老人ホームに入っており、なじむことができないでいる。
大きな農場経営をしている家のハンニは、脚の不自由な夫の世話に苦労し、実の息子から「施設に入れろ」と言われている。
そんなフリーダやハンニが、それぞれ新しい道を見出し、マルタと一緒になって目覚めていく様子は本当に気持ちよいです。
生き生きと元気で明るいお婆ちゃんたち、カワイイ!

対して、男の登場人物たちが頭の固いやつらばっかりだったのは、監督が女性だからか?
そんななか、老人ホームのマネージャー(?)の若い男性は一服の清涼剤でした。

新しいお店を開く過程というのは、ワクワクさせるものがあるよね。
私も手芸が好きなので、ベルンの手芸店を久々に訪れたマルタが、美しい布やレースの数々にうっとりしてしまうのに感情移入〜!
ランジェリーをひとつひとつ手で作るのって、すごく時間がかかるだろうに、よくお店が開けるほどまでになったよ。
目は大丈夫なのかな・・・って心配しちゃったり。
パンツやスリップはいいとして、ブラのサイズ展開とかどうしていたんだろ?

まるで絵本の中のような村の風景がカワイイ!
むくつけき男たちもこんなかわいい家に住んでいると思うとなんか不思議。
そして、田舎だからハエが飛んでいる・・・。
ランジェリーや若くてかわいい女の子の頭にもハエがとまっていたよ!
ナチュラルすぎておもしろい。
撮影のときはきっともっといっぱいいて、一生懸命追い払ったりしてたんだろうなー。
あと、村のコーラス隊がびっくりするくらい下手だったのもおもしろかった。
合唱祭に向けてだんだん上手くなるのが地味にカタルシス。

マルタのやさしい刺繍
Die Herbstzeitlosen/Late Bloomers

(2006年 スイス)
監督/ベティナ・オベルリ
出演/シュテファニー・グラーザー(マルタ・ヨースト)
   アンネマリー・デューリンガー(フリーダ・エッゲンシュワイラー)
   ハイジ=マリア・グレスナー(リージ・ビーグラー)
   モニカ・グブサー(ハンニ・ビエリ)
   ハンスペーター・ミュラー=ドロサート(ヴァルター・ヨースト)
   リリアン・ネーフ(フレニ・ヨースト)
   マンフレート・リヒティ(フリッツ・ビエリ)
   ペーター・ヴィスブロート(エルンスト・ビエリ)
   モニカ・ニッゲラー(シャーリー・ビーグラー)
公式サイト

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その土曜日、7時58分

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

会計士のアンディは、金に困っている弟ハンクにある強盗計画を持ちかける。その対象は、郊外で両親が経営している宝石店だった。躊躇するハンクだが、内部をよく知っているし、保険がかけられているから誰も損をしないというアンディの言葉に乗せられて実行に移す。しかし予期せぬ事態が起こり・・・。

思ったこと

あわわ・・・ハンク(イーサン・ホーク)のヘタレっぷり狼狽っぷりが真に迫っていて、このような状況に陥っていないというだけで自分がものすごく幸せであるような気がしてきた。
追い詰められる緊張感、もう生きててもしょうがないという気持ちになって苦しい。
幼い実の娘にまで「ルーザー(負け犬)」と言われてしまう悲しさ・・・。
でもちゃんとした会社で働いているっぽいのにね?
離婚した妻に渡した部屋のローン、娘の養育費、自分が住んでいる部屋の家賃・・・と聞いただけでも大変そう。
「ホットドッグ代が払えるのか?」と言うアンディ、娘ダニエルに「ライオン・キング観劇の遠足に行っていいでしょ!?」とねだられて「パパに聞いてみなさい」と笑いながら言う元妻、みんなイヤミっぽくて意地悪だな〜!
こんなになるまで、相当ダメの実績を重ねてきたのだろうね・・・。
事件が起こってからのキョドリ具合は見ちゃおれない。

アンディ(フィリップ・シーモア・ホフマン)のゆがみっぷりもすごかった。
いかにも精神力の弱いハンクに強盗をやらせるのは明らかな人選ミスだと思うが、アンディの心の奥底では、両親のかわいい“ベイビー”が強盗という裏切り行為をするということに暗い悦びを感じていたのだろうか。
それもこれも幼い頃からの家族関係の根深さ・・・。
確かに全然似てない兄弟だよねぇ。
ハンクは確かにヘタレだけど、そこがかえって人から愛されたりもしそうだもんね。
「ハンクはかわいいから」というのは、ルックスと愛嬌を合わせてのことだと思うが、男でもそういうことを気にしたりするんだなぁ。

この人たち、不穏な話し合いを人いっぱいの店でけっこうカジュアルに行っているからヒヤヒヤ。
強盗で手に入る金の見込みは、1人あたり6万ドル。
日本円にして600万円程度でしょ・・・危険を犯すには合わない額のような気がするけど〜。
焦点のあたる人物がめまぐるしく入れ替わり、時間が行ったり来たりするので、何か思いがけない裏切りや秘密が隠されているのかと(最近そういう映画多いじゃん?)身構えていたが、わりとそうでもなくって拍子抜け。
もちろん人物たちの心情はどんどん掘り下げられていくわけだけれども、そんなに意外性がなかったというか〜。
意外性やドンデン返しを過度に期待してしまうのは、映画観すぎの悪癖かもね?

お葬式のとき、サングラスをしていたり、ジーナが胸の深く開いた服を着ていたりしたのが、文化の違いだな〜と興味深かったよ。

その土曜日、7時58分
Before the Devil Knows You're Dead

(2007年 アメリカ)
監督/シドニー・ルメット
出演/フィリップ・シーモア・ホフマン(アンディ・ハンソン)
   イーサン・ホーク(ハンク・ハンソン)
   マリサ・トメイ(ジーナ・ハンソン)
   アルバート・フィニー(チャールズ・ハンソン)
   ローズマリー・ハリス(ナネット・ハンソン)
   ブライアン・F・オバーン(ボビー)
   アレクサ・パラディノ(クリス)
   マイケル・シャノン(デックス)
   エイミー・ライアン(マーサ)
   サラ・リヴィングストン(ダニエル)
公式サイト

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おくりびと

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

チェロ奏者の小林大悟は、オーケストラ解散を機に、妻の美香と故郷の山形へ帰る。求人広告で見つけたNKカンパニーを訪れると、社長の佐々木にその場で採用される。その仕事とは、遺体を棺に納める納棺師だった。

思ったこと

納棺の流れるような所作は、茶の湯にも通じる美しさだと思った。
そういえば私は今まで見る機会がなかったので、このようなことが行われているとはまったく知らなかったなぁ。
お葬式のシーンで、遺体を納棺するにしたがい、遺族たちがお別れの気持ちをととのえていく・・・というところは、いろいろ個人的な思い出とかが喚起されてきて泣けた。

最初に提示された仕事の条件を聞いて、いいかも! 私もやるよ、と思ったが、虫は・・・ほんとごめんなさい、やっぱムリです。
ああいうのって警察の仕事ではないの〜?
アメリカの元警察官が書いた小説『あなたに不利な証拠として』で、臭いについて書かれていたのを思い出した。
しかし、大悟の仕事を知った人々が「もっとまともな仕事を見つけろよ」「自分の子供に堂々と言える?」と忌避感をあらわにするのだが、納棺の仕事に対する差別みたいなものが本当にそんなにあるの?

それにしても、泣かせを意図したストーリーと過剰な演出がちょっと鼻につく。
ああ、銭湯のおばちゃんが亡くなるのね・・・とか、行方不明の父親が見つかるんだろうな・・・とか。
コミカルで笑える部分もあることはあるが、大の男が頬をちょっと切られたくらいで騒ぎすぎだし、川の土手でチェロを弾くのは絵作りしすぎ。
石がぽろっと落ちると、「おいおい泣かせどころか〜コラ」と思わず顔が笑っちゃう。
後ろのほうではグスグスすすり泣く音が聞こえていたのに、ニヤニヤしている私はひねくれ者でしょうか・・・。

広末涼子が演じる美香を見ていて、久しぶりに“ブリッコ”という言葉を思い出した。
顔がなんか常に笑っているのに違和感。
タコを投げた川べりで、「もうやめようかな」と言う大悟を、「何を?」と微笑みながらふりあおぐところなんか、「何だこの女〜!?」とか思ってしまいましたが。
大悟の仕事を知って、話を聞く姿勢をろくに見せようともしないのも、「チェロをやめたのも、山形に帰るのも、私笑ってついてきたよね? 本当は悲しかったんだよ」と言うのも最悪〜。
表面的にはニコニコと賛成しておいて、後から「本当はイヤだったけど我慢してた」とか言うタイプの人って信用ならない〜。
でもまあ、この役は他の女優がやったらもっとよくなったとかいうわけでもないと思うので、まあいっかどうでも。

アカデミー賞外国語映画賞の受賞は快挙だとは思うが、あんまり大騒ぎするのも、「アメリカ様から評価されたのがそんなに嬉しいんか」としらける気持ち(ひねくれ者ですから・・・)。
しかし、本木雅弘と山崎努は世界に打ち出して誇らしい日本男児だな!と、プチっとナショナリストな気持ちを覚えたのも確かです。
なんだかんだいって広末涼子も、透明感のあるジャパニーズビューティには間違いないしね〜。

おくりびと
(2008年 日本)
監督/滝田洋二郎
脚本/小山薫堂
音楽/久石譲
出演/本木雅弘(小林大悟)
   広末涼子(小林美香)
   山崎努(佐々木生栄)
   余貴美子(上村百合子)
   吉行和子(山下ツヤ子)
   杉本哲太(山下)
   笹野高史(銭湯の常連客)
   峰岸徹(小林淑希)
公式サイト

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大阪ハムレット

お気に入り度 ★★★☆☆

こんな話

久保家の父ヒサノリが死んだ。その後なぜか、父の弟であるおっちゃんが家に居つく。次男・行雄は担任教師から「ハムレットみたいやなぁ」と言われて激昂、だんだん自分の出生について疑念を持ち始める。老け顔の長男・政司は年齢を偽って年上のファザコン大学生とつきあい始める。三男・宏基は「女の子になりたい」と言う。

思ったこと

原作マンガは傑作だけど、映画は凡作だった。
ストーリーの流れやセリフなどは共通しているのに、ここまで感触が違うとは、マンガも映画も演出がすごく大事なんだなぁ!ということがよく分かる。
原作を読んでない方はゼヒ!
デフォルメが効いた非・美男美女たちの織りなす人生の機微に、涙ぽろぽろウケアイだよ!

この映画、いろいろ雑なところが多くて引っかかるんだよねぇ〜。
3人の個性的な子たちのストーリーをひとつにまとめてるのが、そもそも無理矢理だし。

政司が由加に読んであげる絵本は、「テンテンちゃん、お買い物はタマネギじゃない? ううん、違う、タマネギはおうちにあった」と書いてあるのがちらりと見えたんだが、政司が読みあげるのは「テンテンちゃん、お買い物はタマネギじゃない? あっそうだ、タマネギだ」。
なんで内容が変わってるの〜?
さらに「テンテンちゃんはおうちに帰りました。終わり。おもしろかった?」って、全然おもしろくなさそうな話だ!

行雄と宏基が川縁で話しているところで、宏基がどんどん向こうの橋へ歩いて行ってしまうのに、声だけは手前にいるように聞こえてくる。
私いつもはそんなに音響のこととか気にならないんだけど、さすがにこれは気持ち悪いよ!

おっちゃんは、家族皆に色違いでお揃いの品を買ってくるんだが、確か宏基にはピンクの物をあげていた。
新しい赤ちゃんが生まれたら「男の子だったら緑色。女の子なら桃色や」と言っていたけど、ピンクと桃色は同じ色だヨ!

シンデレラの劇が舞踏会のシーンで終わったように見えるのもヘン・・・。
「最高のシンデレラだったよ」って、なんだそりゃ(笑)。
宏基が女の子になりたいという思いを尊重するのは好もしいんだけど、あんまり周りがお膳立てするのもちょっとどーなの?という気もした。
お祖母ちゃんの「男でも女でも生きとったらどっちでもええわい」という言葉(原作どおり)は沁みるけどね〜。
あと、宏基をシンデレラに推薦した同級生のちょい太めメガネの女の子はおもしろかったな〜。
特に何をしたというわけでもないのに一番笑えたよ。

そんななか、悩めるヤンキー次男・行雄は見ごたえあるね。
乱暴者だけど家族思い。
けっこうかわいい顔してるし・・・。
ハムレットのセリフを大阪弁でまくしたてるシーンが印象的。

それと、松坂慶子が演じるお母ちゃんの存在感がイイ!
つらさや悲しみを飲み込みながら、はつらつと働いて、笑顔を絶やさない。
お母ちゃ〜んパフン!と豊満な胸に飛びつきたい気持ち。
小さい頃からとてもモテてたというのに、死んだヒサノリにしろ、居ついた孝則にしろ、パッとしない男とばかりくっつくなんて、菩薩さまの功徳のようだ。

それにしても、大阪って私あんまり縁ないんだけど、なんだか外国みたいに思えるな〜。
こういうところなんだ〜・・・?

大阪ハムレット
(2008年 日本)
監督/光石富士朗
原作/森下裕美
出演/松坂慶子(久保房子)
   岸部一徳(久保孝則)
   久野雅弘(久保政司)
   森田直幸(久保行雄)
   大塚智哉(久保宏基)
   間寛平(久保ヒサノリ)
   加藤夏希(明石由加)
   本上まなみ(亜紀)
   白川和子(ヤエ)
   中村隆天(行雄の担任教師)
公式サイト

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スイート・スイート・ビレッジ

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

集団農場で運転手として働くパヴェクと、助手のオチク。知恵遅れのオチクは一生懸命パヴェクの役に立とうとするが失敗ばかり。腹を立てたパヴェクに、今度の収穫後には乱暴者トゥレクと組んでもらうと言い渡される。絶望したオチクは、プラハの公団からの仕事の誘いにのってしまうが・・・。

思ったこと

なんか、なんだか、生きてるっていいな、と思わせてくれる作品。
パヴェクやドクトル、隣の墓掘り人が、庭で自家製ソーセージをつまみにビールを飲みながら、他愛ない会話を交わす。
「地下室の階段の7段目に置いたビールが、最もちょうどよく冷える」
「この世にはいいものもたくさんある・・・森も残っているし、この国のビールはうまい・・・そして女! この国の女は世界一だ」
素敵すぎ!
こんな風に生きていきたい、私・・・。
毎日景色に感動して詩を口ずさみながら車を走らせるドクトルは、しょっちゅう事故っているが、ひょうひょうとした存在感が魅力的。
こんな風に年をとりたい、私・・・。
村の皆が当然のように、オチクのことを身内同然に案じている様子にも心温まる。

会う人会う人に「別荘族の門柱を壊したんだって?」と言われてクサるパヴェク、水に何秒潜っていられるかこだわるトゥレク、不死身(!?)のドラーパリークなど、細かい笑いどころもツボだ。
村にふらりと現れて古い家の絵を描く画家役のズデニェク・スヴェラークも、相変わらず渋くていいね。

パヴェクに好かれようと、かわいがっている鳩をしめて届けるオチクに涙。
口笛の音を聞いて、忠実な犬のように目を輝かせて走っていくオチクに、涙、涙・・・。

ところで、ちぇこっとチェコ豆知識。
チェコの食卓の定番、ロフリーク。
小さめの細長い白パンで、見た目は日本のコッペパンのようだけど、もっとカサカサ・スカスカしています。
バターなどを塗ったり、ソーセージやチーズを挟んだりして食べます。
趙素朴な味だけど妙にハマる!
日本ではこういう味わいのパンって見かけないよな〜。
私が初めてチェコに行った2000年頃、このロフリークは1つ3円程度でした。
安っ!
食堂などで籠に積まれて好きなだけ食べられるようになっているのも納得。
でも現在では物価上昇やレート変動で1つ10円相当くらいになってるかな?
スーパーマーケットでは大きな透明ケースにこのロフリークが何百個と無造作に積み上げられていて、客はビニール袋にたくさん詰めて買っていきます。
オチクがいつもかじっているのが、このロフリーク。
だから、プラハのオフィスで飲み物は何がいいか問われたときのオチクの答えに「菓子パン」という字幕が出ているのは、大きな間違い。
かなりイメージ違うと思うヨ!

もうひとつ、オチクやパヴェクが社食で食べているメニューも、いかにもチェコって感じだった〜。
スープと、肉料理(たぶん)に添えられたクネドリーキ、そしてテーブル真ん中にパンの籠。
クネドリーキというのは茶筒を輪切りにしたような形の付け合わせで、白い蒸しパンみたいな感じ。
パンの細切れを混ぜ込んだものとか、マッシュポテト入りのものとかあります。
これはスーパーではミックスしか売ってないので、家やレストランでそれぞれ作るのが基本なんでしょう。
実は私はそれほど好きじゃないんだが(まずいわけじゃないけど、すぐ飽きちゃう)、ああチェコだ〜と思わせる一品。

スイート・スイート・ビレッジ
Vesnicko ma Strediskova/My Sweet Little Village

(1986年 チェコスロヴァキア)
監督/イジー・メンツェル
脚本・出演/ズデニェク・スヴェラーク(画家)
出演/ヤーノシュ・バーン(オチク)
   マリアーン・ラブダ(パヴェク)
   ルドルフ・フルシーンスキー(ドクトル/スクルジュニー先生)
   ペトル・チェペク(トゥレク)
   リブシェ・シャフラーンコヴァー(ヤナ)
   エヴジェン・イェゴロフ(墓掘り)
   ヤン・ハルトル(カシュパル)

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鴨川ホルモー

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

2浪して京大に入った安倍は、新歓コンパで出会った早良の鼻を見初め、普通のサークルだという「京大青龍会」に入った。しかしその実体は、オニ語を駆使してオニ(式神)を操り戦う、千年の歴史をもつという“ホルモー”を行うサークルだった。

思ったこと

Hormo01友人が何人か試写会で観て「イマイチだった」と言っていたけど、原作も読んでないけど、どうしても“オニ語”が見てみたくなったー。
そして、気に入ったー!!
私、もしこのサークルに入ってたら、ハマってたな・・・。
最初はうさんくさそうにオニ語の練習をしていた面々が、実戦になると必死で「ゲロンチョリー!」「ゲロンチョリー!」叫んでるのが笑える。
ホルモーの強さって何で決まるんだろう。
精神力? オニ語のうまさ? 身体のキレ?
でも四神のなかから選ぶなら朱雀がいいので、龍谷大学に入らなきゃ。
龍の谷の大学か・・・いいな。
白虎もちょっと捨てがたいが・・・(イメージだけで語ってます)。

ホルモーの設定って、ゲーマーにはたまらないと思う。
音楽もいかにもって感じだよね。
これがゲーム化されたらやっちゃうかも・・・Wiiでオニ語の指令ができるんなら、我慢していたハードも買っちゃおう!
女は救援隊だというのが不満だが、だからこそ楠木の活躍に盛り上がる。

それ以外のシーンで、いろいろと懐かしさを喚起するところも好き。
大学に入って数カ月後にダレる感じとか、得体の知れないサークル、がやがやとした新歓コンパ、素敵な人を見つけて夢みちゃう気持ち、雑然とした部室、怪しすぎる学生寮、ヒマな学生の奇行・・・あった、あったよー、そういうもの!
細かいギャグもけっこうツボった。

私、山田孝之、好きだなー。
どんな役でも実にそれらしくて見ごたえがある。
早良を部屋にあげたときの、なんか舞い上がってる様子とか、すごく本当にありそうなおもしろさだったよ。
今後、山田くんが出ているというだけで、趣味じゃない映画でも観に行っちゃいそう・・・!

気が弱くて、いざというときにヘタレな長髪、高村は・・・なんだか身近に思えすぎて、自分の学生時代の同級生のような気がしてならない。
ちょんまげの同級生はいなかったけど!

大木凡人似の楠木・・・美少女も、髪型とファッションとしぐさ次第でおかしなことになってしまうというのがよく分かる。
でもカワイイよ、楠木・・・ドアを蹴る様に萌え♡
告白シーンには久々にキュンとしたよ♡

その他、傲然としていてなおかつ圧倒的に強く、反感を覚えつつも頼りになる芦屋とか、きれいでやさしげだけど自己チューな早良とか、それぞれが愛すべきキャラクターだった。

しかし、オニ語のポーズをもっとちゃんと見せてほしかった。
カメラが動いたり一部だけしか映ってなかったりでフラストレーションがたまるんだよ〜。
オニのビジュアルが人形ぽいっていうか、チープすぎなのも不満。
17条にまつわる云々とか、神様の怒りを鎮めるだとか、そのあたりはよく意味が分からん・・・でもきっと、たいした意味はないんだろう。
居酒屋「べろべろばあ」の店長、ホルモー実況中継なんかは、かなりうるさい感じなんだけど、若い役者たちの熱演と、京都の風景だけを見てればいいや。

鴨川ホルモー
(2009年 日本)
監督/本木克英
原作/万城目学
出演/山田孝之(安倍)
   栗山千明(楠木)
   濱田岳(高村)
   石田卓也(芦屋)
   芦名星(早良)
   荒川良々(菅原)
   斉藤祥太(三好兄弟)
   斉藤慶太(三好兄弟)
   渡部豪太(松永)
   藤間宇宙(紀野)
   梅林亮太(坂上)
   石橋蓮司(居酒屋の店長)
   佐藤めぐみ(龍谷大フェニックス会長)
   趙王民和(立命館白虎隊会長)
   和田正人(京産大玄武組会長)
   パパイヤ鈴木(鈴鬼)
公式サイト

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ラースと、その彼女

お気に入り度 ★★★★☆

こんな話

極度に内気な青年ラースは、兄ガスと兄嫁カリンの家の脇にあるガレージに住んでいる。孤独なラースを何かと心配する兄夫婦。ある日、ラースがガールフレンドを連れてくると聞いて喜んで迎えたら、なんとネットで注文した等身大のリアルドール、ビアンカだった。

思ったこと

予告編を初めて見たときびっくりして、友達に「恋人はダッチワイフという映画をやるよっ。しかも心温まるらしい」とメールしてしまった。
その後、あらすじとかを読んで、「ダッチワイフじゃなかったみたい。等身大の人形らしい」とメールして、「それはなかったよね、さすがに引くもんねー」と話していた。
でも・・・“リアルドール”の意味って・・・やっぱそういう人形なんじゃん!

もう、キモッ、キモッ、キモイとしか思えなかった。
もともと私、人形があまり好きじゃないし・・・子供の頃にもかわいがった覚えないし・・・。
兄夫婦や町の人も皆、合わせてあげすぎ!と思いながら観てた。
しかし時間が進むうち、なんだかだんだんビアンカも一人の存在のような気がしてくる。
慣れてくるもんですなー。
形から入って心がついてくるっていうの?
心なしかビアンカの表情も違って見える・・・。
周りの人も最初は、可哀想な青年ラースのためのイヤイヤながらの演技だったと思うけど、ビアンカを一人の人間として扱っているうちに、だんだん感情移入しちゃうんだね。
ボランティア仲間の女性の「ビアンカにも自分の人生があるのよ!」という説教には、思わずじ〜んとしてしまった。
それに、リアルドールだから異様な感じが先立つんであって、実のところ、フィギュアやテディベアに愛着をもつ同僚たちとたいした差はないんじゃないか、ということにも気付く。

それにしても、人形相手にラブラブなのはまだいいとして、プロポーズしては断られたり、激しく口ゲンカをしたりという、ラースの妄想力には脱帽です。

これは、うまく大人になれなかった内気な青年が必要とした心の道程だ。
最初から「僕は人嫌いじゃない」と言っていたように、心の奥底では他人とコミュニケートできる自分を求めていたのだなぁと、最後には素直に共感できる。
兄ガスとの会話で「ビアンカの故郷では成人と認められるための試練があって・・・」と出てきたけど、これがラースの通過儀礼だったのだね。
でも、「いつ自分が大人になったと気付いた?」という質問にはぐっと詰まる。
私、答えられない・・・。
ガスも「人は誰でも子供の部分があると思うけど・・・」と断りつつ、「自分のためだけじゃなく、人のことを考えて行動できる」というようなことを言っていたけど、明確な通過儀礼がないのは、自由であると同時に不自由なことなのかもしれない。

内気すぎるラースも変わってるけど、食事に誘おうと暗闇の中待ち伏せして、飛びついて押し倒して強要するカリンもヘン(笑)。
とても温かい女性なんだけど、場合によってはちょっぴりウザイかも・・・。
独りでいるのが好きっぽい人を、好きにさせておくのがいいか、無理矢理にでも誘うのがいいか、難しい問題ですね。

ラースと、その彼女
Lars and the Real Girl

(2007年 アメリカ)
監督/クレイグ・ギレスビー
出演/ライアン・ゴズリング(ラース)
   エミリー・モーティマー(カリン)
   ポール・シュナイダー(ガス)
   ケリ・ガーナー(マーゴ)
   パトリシア・クラークソン(ダグマー・バーマン医師)
公式サイト

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